暇だから新潟県十日町で全部雪のせいにしてみた

暇だから新潟県十日町で全部雪のせいにしてみた

少し前まで「暇な女子大生」だったわたしに、「新潟県の『美人林』に行ってきてほしい」という依頼が来た。美人林……一体どんな林なのだろうか。林なのに「人」がつくとはどういうことか。美人が大勢集まる場所の比喩なのかもしれないし、「美人林」という名のエステサロンの可能性もある。

最近ちょうど疲れていたところだ。美人林がどんなところか分からないがとにかく旅に出たい。早速東京駅へ向かった。

JR東京駅

川端康成もビックリ

車窓からの景色

東京駅から新幹線に乗って1時間くらい経つと、外の景色がいきなり白くなった。まさに「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった。」という印象だ。

川端康成も「えーww ちょ、いきなり雪だらけでww ついさっきまで『土』見えてましたやん、『土』wwww」 
という気持ちでこの名文を生み出したに違いない。時を越えてノーベル賞作家と通じ合うことができた。

Maxとき

1時間40分ほどで新潟県の「越後湯沢駅」へ到着。ここから電車に乗り換えて「十日町市」を目指す。「町」だけど「市」のようだ。わたしが乗っていたのはピンクと青のラインがかわいい「Maxとき」という新幹線。しかも2階建てだった。

駅の中の温泉!

酒風呂 湯の沢

十日町行き電車の出発時間まで1時間ほどあったので越後湯沢駅構内をうろついていると、なんと天然温泉を見つけた。「駅の中に足湯」は聞いたことがあるけれど、お風呂屋さんは初めてだ。

珍しいので入ってみる。ほんのりお酒の香りがするお湯で身体の芯まで温まった。日本酒のお風呂というのも新潟県ならでは。

車窓からの景色

温泉で温まったあとに乗り継ぎの電車に乗る。電車の窓から見える景色に息をのんだ。「ぜんぶ雪のせいだ。」というより、ぜんぶ雪だ。それもそのはず、行き先の十日町は「雪まつり」が開かれるほどの豪雪地帯。

「東京、雪積もるってよ」という言葉だけでいちいち大騒ぎしていたことがちょっと恥ずかしい。
この深い雪の先にいるというのか、美人が……

まずは十日町名物「へぎそば」を堪能

美人に会いに行く前にちょっと腹ごしらえ。

へぎそば

十日町の人気そば店「由屋」で味わう十日町名物「へぎそば」である。「へぎ」とはこの四角い木の器のことだ。

十日町は織物を一大産業として栄えてきた歴史があり、この「へぎそば」にも織物の糊付けの際に使われる「布海苔(ふのり)」を混ぜ込んでいるため、そばなのにうどんのようなつるっと感、ぷりっと感がある。

糸の束を規則正しく並べたようなビジュアルも織物の街だからこそ。
食と産業が密接に絡み合っている。

由屋 天ぷら

アンチエイジングに効果があるといわれる「ふきのとう」の天ぷらや、美白効果があるといわれる「そば茶」を頂く。美容に効く食べ物のあるところには美人が多いに違いない。美人林への期待が高まる。

いよいよウワサの美人林へ

美人林へは、車が乗り入れられるところから「スノーシュー(「わらじ」のようなもの)」を着けて行く必要があるようだ。近くの森の科学館「キョロロ」で貸してもらえる。ストックも借りた。

スノーシュー 装備

装備は整った。

雪の足跡

「キョロロ」のお姉さんに美人林への道を尋ねると、「足跡を辿って行けばわかるよ」

というファンタジックな答えが返ってきた。しかし、いきなり2つに分かれている。「どちらの……?」と聞こうとしたが、振り返るとお姉さんはもういなかった(ファンタジック)。

分厚い雪の上を夢中で歩いていると、目の前に「美人林」が現れた。

美人林

風もなく、動物の気配もない。何の音もしない静寂の世界がそこにあった。自分以外に「生き物」を感じない空間で、「木」の存在感は圧倒的だった。
この、すらりと伸びたブナの木々の立ち姿が美しいことから「美人林」という名前がついたのだという。やはり美人の条件というのは「姿勢の良さ」なのだろうか。林の中で改めて姿勢の重要さを確認する。

美人林

たまに雪の重さでしなっているものもある。びっしりと雪化粧した枝が美しい。

美人林

スポットや天候、季節によって様々に表情を変える美人林を撮影するため、年間を通して熱心なカメラマンたちがここを訪れるという。

雪に文字

冬の美人林はまるで外の世界と完全に切り離された「異境」だった。俗世での悩みや仕事も忘れ、本当の「孤独」と「ひま」を楽しむことができる。

1時間ほど散策した後、雪で覆われた森の科学館「キョロロ」へ戻った。

ご馳走+日本酒+露天風呂=極楽

越後湯沢駅に戻り、「和みのお宿 滝乃湯」へ。

滝乃湯 夕食

自分のお部屋でゆっくり頂く夕食がうれしい。

新潟のもち豚

新潟のもち豚。

カキの鍋

大好物、カキの鍋。

魚沼産コシヒカリ

魚沼産のコシヒカリを現地で食べられるのは大きな魅力だ。栄養たっぷりの雪解け水がつくり上げた美味しいお米は、お米だけでこんなに写真映えする。

女のほろ酔いセット

そしてその美味しいお米でつくった日本酒。わたしはそんなにお酒が強いほうではないのだが、せっかく新潟にいるのに飲まないなんて勿体ない。

3銘柄のお酒を楽しめる「女のほろ酔いセット」を注文した。新潟限定白えびポテトチップス付き。

暇女 日本酒

滝乃湯でくつろぐ

日本酒を飲みながら足を投げ出してのんびりバラエティ番組を観る喜び。もうわたし、東京に帰りたくない。ずっとここで暮らしていきたい。

滝乃湯 温泉

お酒に酔ってそのまま寝てしまった翌朝は、チェックイン時に予約できる時間制の貸切風呂で目を覚ます。ヒノキの香りに包まれながら、外がだんだん明るくなってゆくのをボーっと眺める。雪国の朝は本当に静かだ……

このあと大浴場もハシゴしてみた。雪がひらひらと舞い落ちる露天風呂はとても風情がある。

着物の街が生みだした前衛的すぎる“kimono”

道の駅クロステン

越後湯沢を発ち、着物の街・十日町へ舞い戻る。 駅から歩いて10分のところにある「道の駅クロステン 和装工芸館」に、着物を借りて街を散策できるサービスがあるらしい。

十日町 着物

成人式の振袖のような華美な物を想像していたのだが、ドクロ柄やトランプ柄など随分前衛的なデザインの着物が取り揃えられていた。これは『くれまちす』という十日町のオリジナルブランドだ。

十日町 着物

カタログの中で1番興味深かった、馬の帯×蹄鉄柄の着物を着てみることにした。

十日町では5月に「きものまつり」が開催され、成人式も1月ではなくその時期に合わせて行われるという。老いも若きもみんな着物で外を歩き回り、町全体が着物だらけになるそうだ。

東京でもハロウィンとかじゃなくて「きものまつり」をやってほしい。それならぜひ参加したいと思う。

暇女 着物姿

和装工芸館のスタッフさんが着付けしてくれた。自分で言うのも何だが、すごく似合っている。これからずっと着物キャラとして生きていこうか迷うくらい似合っている。

スタッフさんも「あら、すごく似合いますね~清楚な感じで」と褒めてくれるのでますますいい気になってきた。成人した時に写真館で高いお金を出して撮ってもらった振袖写真よりも、こちらの方がよっぽどお見合い写真として使えそうだ。

つるし雛

お出かけ用にショールとバッグも貸して頂いた。後ろに映っているのは、その数の多さでギネスブックにも登録された『つるし雛』だ。つるし雛とは千羽鶴のように、人々の幸せを願うためにあるものらしい。

着物を着たまま美術鑑賞

越後妻有里山現代美術館[キナーレ

着物を着たまま「道の駅クロステン」の隣の「キナーレ」という交流館に足を運んでみた。建物は、有名な建築家の原広司さんが手掛けたそうだ。

越後妻有里山現代美術館[キナーレ] 館内

現代美術は元々好きなのだが、着物を着て鑑賞すると何だかよりいっそう刺激的で面白い。何でもない日に街中を着物で歩くのはちょっと勇気がいるが、美術館の中だと着物でもすごく自然な気がする。

十日町市とその隣の津南町市を合わせて「越後妻有(えちごつまり)」と呼ぶそうだが、この地域では3年に1度、世界最大級の国際芸術祭「大地の芸術祭」が開かれる。その一大イベントの拠点がこの「キナーレ」なのだ。

スケートリンク

玄関にあったのは氷を使っていないスケートリンク。常設展だけでなく、こうした面白い企画が定期的に開催されている。

「大地の芸術祭」は過疎高齢化の進む豪雪地の200の集落にアート作品を散在させ、そのアートを辿って行く中で里山の美しさや豊かさにも目を向けてもらおうという町おこしの面も持っている。

「大地の芸術祭」の成功を受けて、現在日本各地で町おこし×アートのイベントが催されているが、そのうちの1つがあの「瀬戸内国際芸術祭」である。十日町が発祥だったとは知らなかった。

名残惜しさを感じつつも東京へ

新幹線で帰る前にまた酒風呂に入ってしまった。風呂に入っている間に越後湯沢駅の全ての駅弁が売り切れてしまったので、駅弁は早めに確保することを勧める。

新潟というと「NGT48」「コシヒカリ」「細長い」という印象しかなかったのだが、今回は十日町というアクティブでアーティスティックな場所があるということを知ることができた。

きっと、日本にはもっと「行ってみないとわからない」面白い場所がたくさんある。

狭苦しい東京のマンションの一室でグダグダ考えごとをしておのずと思考の幅も狭くなっていたが、林の中を歩いたり露天風呂から雪を眺めたりしているうちに心の中に「余白」が生まれてきた。
頭の中で考えても出ない答えは旅先で見つかるのかもしれない。

「地味な着物なら似合う」という自信と、「雪国でスニーカーは足がビショビショに濡れる」という教訓を胸に抱え、都会という現実世界へと、ひとり戻ったのであった。

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