「リゾートやまどり」で、名湯・草津と中之条の美味をめぐる旅

はじめまして。古い建物好き、鉄道好き、おいしいもの好き、そして“駅弁女子”を名乗るイラストレーターなかだえりです。
暑さの中にも、ほんの少し秋の訪れを感じさせるこの時期。夏の疲れを、爽やかな自然と温泉ですっきりさせませんか? 温泉王国群馬の名湯“草津温泉”に向かいます。

JR大宮駅から出発! 郷愁誘う「リゾートやまどり」

リゾートやまどり

大宮駅8:52発—中之条駅11:19着(停車時間約100分)—長野原草津口駅13:42着

大宮駅から乗り込んだのは「リゾートやまどり」。土日を中心に大宮駅とJR長野原草津口駅を1日1往復する列車で、やまどりとは群馬県の県鳥の名前だとか。

リゾートやまどり車内

レトロな雰囲気の車両は、国鉄時代から活躍していたお座敷列車を改造したもので、温泉街に向かう気分を盛り上げてくれる。車内はそこはかとなく和を感じさせるデザインで、ゆとりのある3列(1列+2列)シートに、広い窓からは眺めが気持ちいい!
このリゾート感たっぷりの列車に、低料金で乗れるのがうれしい。快速列車なので、特急料金がかからず、乗車券に指定席券520円のみなのだ。
乗客には家族連れや子どもグループなどが多い。

JR中之条駅で約100分の停車

車内に流れる観光ガイドのアナウンスを聞きながら、ふむふむと群馬をお勉強。群馬県の歴史や地理を題材にした“上毛(じょうもう)かるた”の引用が頻繁に出てくるのが気になる! 一度じっくり読んでみたい。

リゾートやまどり車窓

車窓から穏やかな榛名山や赤城山を眺めつつ進む。
さすがは温泉王国群馬。沿線には伊香保温泉、川原湯温泉など、温泉地が点在している。

車内にボランティアガイドさんが現れて、中之条駅周辺の散策資料を配ってくれる。約100分の停車時間に、街へ出てみようという趣向のようだ。
100分間って、どんなことがどれくらいできるんだっけ? あれこれ考えをめぐらせる。

中之条駅 お出迎え

中之条駅に着くと、白い制服をまとった駅長さんをはじめとしたみなさんの、あたたかく素朴なお出迎え。

中之条駅 お出迎え 太鼓

中之条駅の着発ともに太鼓で盛り上げてくれる、子どもたちの姿も

まずは腹ごしらえに「そばきり 吾妻路」へ直行

着いたのは、ちょうどお昼時。観光ボランティアガイドさんとめぐる無料散策コースにも心揺れたが、食欲が勝ってしまった。ヨウイドーン! 

そばきり 吾妻路 外観

「そばきり 吾妻路」は風情のある建物も見どころ。県外にもたくさんの常連を抱え、土日や連休には行列も

向かったのは中之条駅から徒歩5分の「そばきり 吾妻路」。大人気店との噂を聞いていたが、11:30の開店時間にちょうど間に合って、並ばず席に着くことができた。ラッキー!

注文したのは店主の高橋達人さん一押しの“そば屋のだし巻”(1,000円)と、“変わりそば”(1,050円)、そして“おすすめ群馬の地酒唎酒セット”(600円)。
電車旅の醍醐味のひとつが、昼酒を飲めること。

そばきり 吾妻路 そば屋のだし巻、変わりそば

大きなだし巻は、ふ~っくらぷるぷる。おいしい!! 極太の十割そばは素朴の極み。かみ応えがあって、おなかが満たされた

そばきり 吾妻路 おすすめ群馬の地酒唎酒セット

キリッと冷えた地酒を飲み比べ

「ふきのとう農産物直売組合」で、早くもお土産購入

すでに1時間近くたってしまった。残りの時間は大好きな古い建物でも見学しようと思っていたが、ちょっと地味なのに、いや地味だからこそ吸い込まれるように入ったのは、駅からすぐの「ふきのとう農産物直売組合」。

ふきのとう農産物直売組合

観光客向けというより、地元の人が普段使いするような野菜や食品が並ぶ。こういうとこ好き! 

ふきのとう農産物直売組合 商品

ふきのとう農産物直売組合 こんにゃく

こんにゃくの種類が多いのが、さすが群馬だ

商品に生産者の名前が記されている。地元の人なら、どこどこの誰々さんって、顔を知っているのではなかろうか。
買いたいものがいっぱいだが、なにせまだ旅の途中。軽いものと日持ちするものに絞って選んだ。

ふきのとう農産物直売組合 揚かき餅、そばとそうめん

揚かき餅、そばとそうめん(乾麺)などを購入

デザートは専門店のみそジェラート

意外に時間が過ぎるのは早いものだ。もう残り時間わずか。そろそろ駅に向かおうか……。
すると目に飛び込んできたのは“みそジェラート”なる文字。駅から徒歩3分の「こうじや 徳茂(とくも)醸造舗」だ。

こうじや徳茂醸造舗 外観 こうじや徳茂醸造舗 みそジェラート看板

あまり甘いものが好きじゃないし、普段はこういう冒険をしようと思わないのだが、清潔で質素な佇まいと発酵食品に惹かれて、勢いよくお店に入ってみた。すると見るからにお人柄の良さそうなご夫婦がいらっしゃった。徳茂家4代目の伸子さんと埼玉県出身の玲(あきら)さんは、結婚して今年でちょうど10年。玲さんの前職は、今とは畑違いの営業マンだったそう。1899年創業というこの店で、一から自分で考えて作ることの楽しさ、思いを込めたものを売る喜びを知ったという。
もっとお話ししたいな、と後ろ髪を引かれつつ、ジェラートをカップに入れてもらって慌てて駅に戻ったのだった。

こうじや徳茂醸造舗 徳茂さんご夫妻

徳茂さんご夫妻

こうじや徳茂醸造舗 塩こうじジェラート

みそジェラートのほか、塩こうじジェラート(レモン)も

中之条駅のお見送りに涙!

駅ではお出迎えと同じく、駅長さんや地元ボランティアの方々が笑顔でお見送りもしてくれて、ちょっとウルッとしてしまった。
終わってみれば、あっという間の100分間。駅周辺の食べ物関連3店舗への慌ただしい立ち寄りとなったが、どの方も優しくて、ちょっとしたふれあいが楽しくて、すっかりこの街が好きになった。
やっぱり大正解! のみそジェラートを食べつつ、再訪を心に決めた。次回は、中之条駅からほど近い四万温泉にも行ってみたい。

中之条駅 お見送り

発車する列車の窓越しに、「絶対また来るよ~!!」と心で叫びながら手を振った

長野原草津口駅から、バスで涼しい草津温泉へ

長野原草津口駅

快適なリゾートやまどりの旅は、終点の長野原草津口駅に到着。草津温泉へは、ここからJRバスに乗って30分ほどだ。

草津温泉バスターミナル

山道を上り、標高が高くなるのを感じつつ着いた、草津温泉バスターミナル。草津は居住地の平均標高が1188.9 mと、日本の市町村で一番高いそう。
バスから降りると、東京より大宮より中之条よりずっと涼しい!! 白樺の木もあって、温泉地というより避暑地の雰囲気だ。

街の中心地、有名な「湯畑」へは、バスターミナルから徒歩5分ほど。まんじゅう店や土産物店など和風の建物が増え、だんだんと温泉場らしくなってくる。

草津温泉 湯畑周辺

坂道を下って着いた湯畑は、なんと表現したらよいだろうか、とにかくものすごいインパクト!!  以前に一度訪れたことがあるのだが、その時よりもっと風情と情緒が増している。圧倒的に人が多いし、周辺の建物もなんだか違う。わたしの好きなレトロな洋館や和洋折衷的な建物が、見事に立ち並んでいるではないか。古いのか新しいのか、渋さもあるが、おしゃれな感じもする。湯畑周辺の街並みのデザインを手がけたのは岡本太郎。凹凸や質感のある道に、散策も楽しくなる。

草津温泉 湯畑

圧巻の湯畑

瓦を埋め込んだ遊歩道

瓦を埋め込んだ遊歩道

生まれ変わった「熱乃湯」で湯もみショー

草津温泉は日本三名泉のひとつで、主に利用されているのは6つの源泉。自然湧出量は日本一を誇り、毎分32,300リットル以上の温泉が湧き出している。草津の旅館や温泉施設で「源泉かけ流し」ができるのはこのため。日本有数の酸性泉で、殺菌作用もあるそうだ。
有名な湯もみだが、ショーのためではなく、実用から編み出されたもの。50℃近くもある熱い源泉がほとんどで、そのまま入浴することもできず、かといって水を入れると温泉の効能が薄れてしまう。そこで入浴できる温度まで下げるため、板を入れて湯をもむ「湯もみ」が考え出されたのだ。湯を柔らかくする効果や、入浴前の準備運動にもなるとか。

湯畑周辺でもひときわ存在感のある建物が「熱乃湯(ねつのゆ)」。ここで観光用に湯もみショーが始まったのは1960年。約半世紀を経て、2015年に大正ロマン風の建物に生まれ変わった。館内は吹き抜けが気持ちよく、湯もみの「チョイナチョイナ」の掛け声が響く。

熱乃湯 行列 熱乃湯 湯もみショー

湯もみショーでは、草津節に合わせて湯もみ娘が実演。体験コーナーでは、お客さんがこぞって手を挙げて参加を立候補。楽しい思い出作りにぴったり。

魅力的な源泉と建物がいっぱい!

6つの源泉の中で一番歴史が古いのは、湯畑の隣にある「白旗(しらはた)源泉」。源頼朝が発見して入浴したという言い伝えがあり、源氏の白旗にちなんで名付けられた。この湯を引く無料の共同浴場が「白旗の湯」。湯につかれば、源泉の良さのみならず、建物の素朴な造りに歴史を感じることができる。湯上がりは、涼しい高原の空気が格別に気持ちいい。

左:白旗の湯 右:熱乃湯

1994年に建て替えられた白旗の湯(左)

また2013年に完成した日帰り温泉「御座之湯」は、明治時代まで実在した共同湯を再現したもの。草津の多くの建物に取り入れられていた、伝統的な建築様式「せがい出し梁造り」を用いて建てられた。2階の畳敷き大広間でゴロンと寝転べば、昔風情が味わえる。

白旗源泉と御座之湯

白旗源泉と御座之湯。御座之湯は明治時代に途絶えた幻の湯屋を再建

一時期低迷していた草津の人気が復活したのは、町長が代わった2010年から、街を挙げて湯畑周辺を再開発したからだとか。古いものを好むわたしでも感銘を受ける立派な建物が、新たに造られたものだったとは。街並みに魅力が増したことで、お客さんも増えたようだ。

ほかに湯畑周辺には足湯(無料)をはじめ、大滝乃湯、西の河原露天風呂も。各旅館やホテルでも、源泉かけ流しの湯あみを満喫できる。
魅力的な建物を楽しんだあとは、ホテルに宿泊。一日の疲れも温泉ですっきり!

やさしい味わいと時間「TEA ROOM Yuki Usagi」

翌日、ホテルをチェックアウトしたあとは、バスターミナルへの坂道の途中にある「TEA ROOM Yuki Usagi」へ。店内には本や雑誌がたくさん置かれ、かわいらしくやわらかい雰囲気が漂う。

TEA ROOM Yuki Usagi 外観

店主の宮本和代さんは草津出身。東京で働いたのち、結婚を機に地元へUターン。2003年に、この店をオープンさせた。おすすめを尋ねながら、シンプルミルクティー(600円)とカステラ&スコーン(500円)を注文。本をめくったり、ぼんやりしたり、気持ちのいい時間を過ごすことができた。自分の部屋が、こんなだったらいいな。近所にあったらいいな。

TEA ROOM Yuki Usagi カステラ&スコーン シンプルミルクティー

甘さ控えめで、素朴でやさしい味わい。しみるおいしさ! ポット入り紅茶もたっぷり

TEA ROOM Yuki Usagi 店主の宮本さん

お店の雰囲気は、店主の宮本さんそのものといった感じ。おしゃべりしながら草津情報も教えていただいた

JR高崎駅の停車時間を利用して駅弁購入

帰りはバスで長野原草津口駅まで戻り、JR吾妻(あがつま)線の各駅停車に乗って、高崎駅までのんびりと。ここからJR高崎線で大宮駅に戻る。駅弁女子としては乗り換えの時間も無駄にはせずに売店へGO!
高崎駅の代表作といえば「だるま弁当」だが、ほかにも郷土色ある駅弁がいっぱい。つい買い込んじゃった。長野原草津口駅で買った地ビールと合わせて、帰りもいい気分♪

ぐんまの郷 川魚鮨 草津温泉物語

左:ぐんまの郷(1,200円) 右:川魚鮨(1,000円)、草津温泉物語(500円)

快適なリゾート列車やまどりの旅は、約100分の途中下車という面白い運行時間設定のおかげで、初めてにして穴場的な街、中之条町に出合うことができた。おいしいものと地元の人たちの温かさに触れたことで、もっと深く知りたいという新たな旅の構想も浮かんでいる。
そして日本三大名湯、草津温泉の底力はやっぱりすごい。豊富な湯量と泉質を、足湯に、日帰りに、宿泊に、湯治にと、存分に満喫できるバリエーション。歴史の上に、街づくりによる新たな魅力が加わって、渋さと奥深さが重なり、何度でも訪れたい温泉地となっている。

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