今回の列車旅ポイント
毎度ご乗車ありがとうございます。鉄道大好き芸人ダーリンハニー吉川正洋です。今回は「秋田内陸縦貫鉄道」を旅してきました。この路線の魅力はなんと言っても「四季の濃さ」。春は清々しく、夏は抜けのいい青空が広がり、秋は紅葉で埋め尽くされ、冬は完璧な冬。特に「冬の濃さ」は絶品で、銀世界を感じながら乗る列車は格別です。さっそく出発しましょう!
JR東京駅から乗り込んだのは、もちろん秋田新幹線「こまち」。JR盛岡駅までは東北新幹線「はやぶさ」と連結しての運転です。私はこまち号が大好きで、どれくらい好きかというと自分の娘の名前にしてしまったくらい大好きです。列車名の響き、真っ赤でスタイリッシュな車体、稲穂をイメージした黄金色のシート(普通車)。どこを取っても素敵な新幹線です。
盛岡駅で新青森行きの「はやぶさ」とお別れしてからは、田沢湖線の区間を走ります。フル規格の東北新幹線区間は最高速度320km /hでビューン。在来線区間は最高速度を130 km /hまで落として走ります。この速度の違いが味わえるのも秋田新幹線の魅力。新幹線のスピードと特急のスピードを味わえちゃうお得感がありますし、速度次第で車窓の見え方もだいぶ変わるんだなと気付かされます。「こまち」の終点はJR秋田駅ですが、今回は秋田内陸縦貫鉄道に乗るため、東京駅から約3時間のJR角館駅で降りました。
JR角館駅のすぐ横に、秋田内陸縦貫鉄道の角館駅はあります。「今からローカル線の旅が始まるんだ」とじわじわ温かい気持ちがこみ上げてくる駅舎です。この駅から乗るのは……急行「もりよし」!
普通列車もいいですが、「急行もりよし」は観光アテンダントさんが添乗しています。地元の方ならではの観光案内や車窓の見どころも教えてくれますし、車内でお土産も買えるのでオススメです。
そしてこの急行もりよしは「秋田犬っこ列車」として運行されています。なんと車内は「秋田犬」の写真だらけ! その数なんと約50枚!!
シートにも秋田犬が。よく見るとどこかに違う動物もいますので、乗って探してみてくださいね。
旅をしたのは12月だったので雪はまだ少なめでしたが、それでも「冬の旅」を実感できる車窓の連続。進むにつれどんどんと雪の量が増えていきます。奥には山。そして秋田杉。この杉に雪が被り始めたら、もう完璧です。
車窓に見入っていると、アテンダントさんから車内販売開始のアナウンスが。
待ってました! 私はいつも、乗ると決まって買うものがあるのです。
それが……北秋田名物、もちもち三角バター餅!!
ほわほわと柔らかい食感。そしてバターの優しい甘み。これを車内でチビチビと食べながら雪景色を見ていると、「これが至福の時ってやつか!」と思います。この日はお茶と一緒に楽しみましたが、バター餅は不思議とウイスキーとの相性もいいんです。ぜひ一度「試運転」してみてください!
紙風船上げで有名な「上桧木内(かみひのきない)駅」、秋田県で一番標高が高い駅「戸沢駅」を過ぎたら、いよいよお楽しみの「トンネルタイム」でございます。
お楽しみトンネルの名は「十二段トンネル」。秋田県で一番長い列車用トンネルで、長さは5,697mあります。
この「十二段トンネル」はとにかく真っ直ぐ。そして真っ直ぐだからこそ起きる、「ある現象」があります。
その現象とは、数秒間ほど「入口と出口の両端が見える瞬間」があるんです。一瞬だけ列車の前後に本当に小さい光が見えます。列車は1両なのでよく見えます。そしてその瞬間にお願い事をすると、願いが叶うとも言われています。
冬を感じ、郷土のお菓子を食べ、長いトンネルでお願い事をしているうちに、あっというまに阿仁合(あにあい)駅に到着。この駅には「里山レストラン&カフェ こぐま亭」という有名なお食事処があり、こちらの「馬肉シチュー黄金ライス添え」は絶品なのですが、この日は水曜日で残念ながら定休日(私、旅をすると定休日が多い……)。
※2021年3月25日現在、毎週火・水が定休日です。
ということで私は3駅先の急行停車駅、角館駅から約1時間25分の阿仁前田温泉駅で降りることにしました。
阿仁前田温泉駅は秋田県初の温泉付き駅舎。駅の中に「クウィンス森吉」という温泉施設が入っています。外に出なくてもダイレクトで温泉に入れます! それでは着いて早々ですがもちろんザパーンとまいりましょう! こちらのお湯はちょっと熱めのカルシウム・ナトリウム-塩化物泉。露天風呂もありますよ。
朝東京を出て、お昼には秋田の温泉に入れてしまうなんて。秋田新幹線&秋田内陸縦貫鉄道バンザイです!
時刻は13時過ぎ。ちょっと遅めですがランチといきましょう。
クウィンス森吉にはお食事処もちゃんとあります(14時までがランチタイムで、夜は17時30分から営業しています)
こちらでいただいたのが、比内地鶏の親子丼!
さすが秋田! 親子丼のお肉が比内地鶏! もう見た時点で「美味確定」でございます。お肉は柔らかく、ダシが利いた親子丼。とにかく満足感がすごかったです。
さぁ次の列車で角館駅方面に戻るとしましょう。
阿仁前田温泉駅から約15分、先ほど寄ることができなかった阿仁合駅で降りました。
こちらは北緯40度に位置することから「4」の数字を背中合わせにしたデザインになっています。とても絵になる駅舎です。
そして阿仁合駅に来たら是非寄りたいところがあります。
それが「内陸線資料館」です。ここには秋田内陸縦貫鉄道の歴史が細かくわかるパネルや、貴重なヘッドマーク、廃車となったAN-8900形の座席などなどお宝がたくさんあります。駅前にありなんと無料で入れて有難いです(開館時間は16時までなのでご注意ください)。
阿仁合駅は東北の駅百選にも選ばれている駅舎で、2018年にリニューアルされました。1階には売店や食堂がありますが、2階も「北秋田森吉山ウエルカムステーション」として開放されていて、じっくりと車両を眺めることができます。
日が暮れてからの阿仁合駅も情緒たっぷり。
阿仁合駅発の普通列車に揺られ約1時間30分の角館駅へ。この日は駅近くのホテルで1泊しました。秋田内陸縦貫鉄道を満喫したいい1日でした!
1日目はたっぷり鉄分補給をしたので、2日目は観光をしましょう。角館といえば、何と言っても武家屋敷がたくさん残っている街として有名です。駅から歩いて行くことができますので、散歩するのにもってこいですね。
武家屋敷通りを歩き、角館駅からだと約25分、武家屋敷「石黒家」に入り、歴史を学びました。
中に入るとガイドの方が丁寧に説明をしてくれます。石黒家は佐竹北家の家臣で、主に財政面を担当していたそうです。蔵の中には、甲冑(かっちゅう)・掛け軸・着物・さらに杉田玄白の解体新書の初版を所蔵しており、その複製版も飾ってありました。
武家屋敷通りは歩いているだけでも楽しいですが、やはり中に入っていろいろ教えてもらえると嬉しいですね。
いろいろ歩いていたら、あっという間にお昼。ここは角館の名店「あきた角館 西宮家 れすとらん北蔵」でお食事をいただくことにしましょう。石黒家から徒歩15分ほどで到着。
むかしむかし、佐竹北家のお殿様はよく鷹狩りに行っていたそうです。その場で獲物と地元の野菜を一緒に食べていたそうで、「狩りの場所で食べる」=「お狩場焼」になったそう。
美味しいお肉と山椒味噌の味付けが最高! 刺激的な辛さはなく、優しくて甘い味噌と山椒の香りが相互乗り入れしていました!
最後は安藤醸造でお土産タイムとしましょう。
「安藤醸造」はもともと角館の地主で、小作米として入ってくるお米の一部で味噌や醤油を造るようになったという老舗のお店。西宮家から徒歩5分ほどで到着。
どれにしようか迷っていると、お店の方に「ぜひしろだしを飲んでみてください」とお薦めしていただきました。お湯で10倍に薄めたというしろだしを飲んでみたら……岩魚のしょっつる(魚醤)・かつお・こんぶ・しいたけのうまみが詰まりまくり! あまりの美味しさに飲んで1.5秒後には「これをください!」と言っていました。「安藤のだし御用袋セット(しろだし&あまだれのセット)」を即購入!
これで稲庭うどんを食べたら美味しいだろうなぁ。お鍋もいいなぁ。
いいお土産が買えました!
徒歩12分ほど、角館駅へ戻り、再び秋田新幹線で東京へ。
今回の列車旅は雪あり、温泉あり、武家屋敷あり、しろだしありと1泊でしたが盛りだくさんの旅でした。また乗りに来ます!
掲載情報は2021年3月25日更新時のものです。現在の内容と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。
内陸線資料館
住所:秋田県北秋田市阿仁銀山下新町41-20
営業時間:9:00~16:00
定休日:不定休