今回の列車旅ポイント
選書サービスを行っている「5冊だけの本屋 ミホコ」です。メディアにて選書や本にまつわるコラムなども執筆しています。
今回は、多くの本屋や古書店などがある京都へ。品揃え豊富な大型書店や壁一面に圧巻の本棚が並ぶブックカフェなどを巡ります。レトロ建築や歴史ある町家など、本だけでなく建物も楽しめる京都巡りです。
JR東京駅からJR京都駅までは、東海道新幹線で約2時間10分。読書をしていたらあっという間に京都駅に到着です。
さっそく、最初の目的地である京都岡崎へと向かいます。京都駅から京都市営烏丸線にて烏丸御池駅へ。さらに京都市営東西線に乗り換え、最寄りの東山駅まではトータル約15分です。
京都への旅は「JR東日本びゅうダイナミックレールパック」を利用すると、新幹線と宿をお得なセットで申込みできます。
東山駅から徒歩約10分。平安神宮や美術館などが並ぶ、まさに京都の文化の中心地でもある岡崎エリア。1960年、建築家・前川國男氏の設計によって建てられた京都会館が、建物はそのままに「ロームシアター京都」として生まれ変わりました。こちらの一角にあるのが、「京都岡崎 蔦屋書店」です。
京都岡崎 蔦屋書店では、「アート」「日本の暮らし」「ON JAPAN(日本の旬を伝える)」をテーマにした本と雑貨がセレクトされています。
御朱印帳や西陣織の小物などの雑貨も充実しており、魅力的なものばかり。
書店内には「EN シェルフ」と「EN ウォール」からなる展示スペース「GALLERY EN」があり、伝統工芸品とアートに触れることができます。
ENシェルフでは、日本の工芸品や民芸品を展示。ENウォールでは、全長9メートルの白壁に現代アート作家の作品を展示しています。この日は、京都の夏らしく妖怪の個展でした。
作品を通してつくり手の思いを肌で感じ、作品とともに並ぶ本で知識を深められます。旅先で、伝統工芸品やアートとの偶然の出会いがあるのはうれしいですね。
3階には、もう1つの展示スペース「BOOK & ART GALLERIA」もあります。「感性で伝わる、共感でつながる」をコンセプトとし、伝統文化や芸術の知見を広げることを目的としていて、取材日にはイベントが開催されていました。
思う存分本を見て回ったら、お腹が空いてきました。2階のカフェ&レストラン、「京都モダンテラス」でランチをいただきます。
本好きの目を引くのは、天井までつながる大きな本棚。京都岡崎 蔦屋書店セレクトの本が常設されています。気になった本はランチやお茶をしながら読むことができます。
ランチには、オープン当時からの人気メニュー、スフレオムハヤシライスをいただきました。チーズと卵で蓋をされたキノコピラフとビーフハヤシソースが、鉄鍋で焼き上げられてやってきます。
出汁文化の京都らしく、卵とキノコも出汁が効いています。見た目のボリュームとは裏腹に、あっさりと食べることができます。
お腹も満たされ、腹ごなしにゆったり歩きながら次のブックカフェを目指します。
京都モダンテラスから徒歩約25分、「Cafe bibliotic Hello!」に到着。市営バスを利用する場合は、京都市役所前バス停から徒歩で10分ほど。築100年以上の町家を活かしたブックカフェです。
住宅街にある町家とのことで迷わないか不安でしたが、店の前にシンボルツリーのように立つバナナの木のおかげで、迷わずにたどり着きました。
こちらのお目当ては、なんといっても壁一面の大きな本棚。一目散に本棚へ。隅々まで見たくなるのは本好きの性。見たことのないアートブックや大型本まで幅広く充実していて気分も上がります。
異国情緒溢れる店内。1人で読書に没頭する人、本棚の前にある大テーブルで仕事をする人、会話を楽しむ人々。それぞれが自由に過ごしています。ジャズなどのメロウな音楽が流れ、開放感のある居心地のいい空間です。
2階席で圧巻の本棚を眺めながら、シャインマスカットのタルトとアイスティーをいただきます。
シャインマスカットのジューシーで自然の甘みが広がる、しっとりと上品なタルト。フードもドリンクも種類が豊富。フルーツタルトは季節に応じて、ほかにも宮崎県産マンゴー、マスクメロン、白桃やナガノパープルなどがありました。
ソファでくつろぎながら本を眺め、京都の蒸し暑さも吹き飛びました。
本日はここまで。宿泊先のホテルがある四条駅へと向かいます。
2日目は、まず「堀川新文化ビルヂング」へ向かいます。四条烏丸のバス停から堀川中立売のバス停まで、市営バスで約15分。バスを降りるとすぐに堀川新文化ビルヂングの建物が見えます。
堀川新文化ビルヂングは、京都市に本社がある大垣書店が運営する書店を中心とした複合施設。「大垣書店 堀川新文化ビルヂング店」やカフェ、印刷工房、ギャラリー、レンタルオフィスなどが入っています。京都・西陣のそばにあり、伝統と文化を感じられる場所です。
大垣書店 堀川新文化ビルヂング店では、この地域ならではの生活と文化、暮らしなどをテーマにした本が数多くセレクトされています。地域に密着した毎日寄りたくなるような本屋です。
書店併設のカフェ&バー「SLow Page」は、モーニングからランチ、バータイムまで、終日利用できます。読書やちょっとした作業ができるカウンター席のほか、テーブル席やテラス席もあり、目的別に過ごしやすい空間です。
カフェには珈琲焙煎機も構えられており、自慢の自家焙煎コーヒーをいただきました。
カフェでは購入した本を持ち込み、読書を楽しむこともできます。旅の思い出に、大垣書店オリジナルのブックカバーをかけてもらいました。
おいしい珈琲のおかげで読書もはかどりました。次はいよいよ、今回の旅、最後の目的地へと向かいます。
堀川新文化ビルヂングから徒歩20分ほど、市営バスを利用するなら天神公園前バス停から徒歩1分ほどの古書と茶房「ことばのはおと」は、町家を利用したブックカフェ。「静かな1人時間を楽しんでいただくための場所」をコンセプトに営業されています。
靴を脱いで中に入ると、畳のある和室で懐かしく温かい空間が広がります。店内のそこかしこにある本は、自由に手に取って読むことができます。店主ご夫婦の本をはじめ、お客さんや近所の方が持ってきてくれる本なども置いてあるとのこと。
京都らしい町家のブックカフェでの読書のお供は、やっぱり抹茶。静かな空間なので、オーダーも小声でひそひそと。
待ち時間も読書時間。飲み物が来るまで、目の前にある書棚から気になる本を手に取り読んで過ごします。BGMだけが響く静かで心地良い空間は、読書に没入できます。
運ばれてきたアイス抹茶ラテは、お抹茶の苦みとこっくりとした甘さのあるクリームが絶妙なおいしさ。
1人客が多く、みなさん思い思いに飲みものを飲みながら本を読んだり、食事をしながら庭を眺めたりしていました。
お店のコンセプトを理解し、店主さんとその空間を共有するお客さん。そんな皆さんが、この静ひつで美しい空間をつくり、守っていると感じました。気持ちも落ち着く贅沢な空間です。あまりに居心地が良くつい長居してしまいました。なかには、丸一日を過ごされる方もいるとか。
名残惜しくも最後のブックカフェをあとにしました。
文化を発信するモダン建築と京都ならではの町家を利用したブックカフェ。アートと文化に触れ、心地良い刺激を受けて爽快感でいっぱい。読書するために京都へ来られたという贅沢を噛みしめ、東京駅へと帰ります。
掲載情報は2025年10月16日配信時のものです。現在の内容と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。
今回の旅の行程
【1日目】JR東京駅→JR京都駅→烏丸御池駅→ロームシアター京都/京都岡崎 蔦屋書店/京都モダンテラス→Cafe bibliotic Hello!→四条駅(宿泊)
【2日目】四条駅→堀川新文化ビルヂング/大垣書店/SLow Pag→古書と茶房ことばのはおと→JR京都駅→JR東京駅