寒く長い冬に嫌気が差していたところ、「春を先取りする旅の記事を……」とお声がけいただいたので「行きます!」と即お返事をした。
行き先は、千葉県・南房総。たしかに暖かいイメージはある。しかし、皮肉なことに、今回の取材日は全国的に「最強寒波がくる!」と天気予報で叫ばれていた1月中旬。さすがの南房総さんでも、春を先取りってのは、ちょっと厳しいんじゃねぇの? 若干の不安を抱きながら列車へ乗り込んだ。
東京駅から房総特急列車わかしおに乗り、JR安房鴨川駅で下車。
駅に着いたら、さっそく駅レンタカーで車をレンタルします。事前予約をしていたので、すんなり借りることができて楽チン。
自分の手柄みたいに書いてますが、私は無免許のため、今回車の手配&運転は、編集部スタッフさんにすべておまかせ!感謝!
レンタカーの係の方が、パンフレットを見ながら、オススメのルートや春を感じられそうなスポットを教えてくれました。
というわけで、今回は南房総の海沿いを、ぐるりドライブしながら巡ります。
レンタカー(助手席)に乗り込み、いざ出発だー!(運転よろしくお願いします!)
安房鴨川駅を出て小さな商店の並ぶ町を抜けると、すぐに海が見えてきます。
海が見えるとテンションが上がる。どんなに根暗でインドアな私でも、この気持ちにはあらがえない。
道幅が広く開放的な410号線、寒波はどこへやらな快晴、穏やかで青々とした海……根暗でインドアな私の奥底に潜むパーティーガールが、思わず「ウェーイ!」とはしゃぎだすような絶景です。
そんな海を感じられそうな「道の駅ちくら 潮風王国」に、まず行ってみることに。
到着してドーンと目に入ってくるのは、千葉県内有数の漁業町として知られている千倉を象徴する漁船“第一千倉丸”のレプリカ。そして千田海岸を眺めながら歩くことのできるプロムナード。
道の駅ってお土産屋さんが並ぶだけかと思いきや、アミューズメント性抜群。南房総の道の駅はどれも個性派ぞろいで、どこに立ち寄るか迷ってしまいます。
ショップも個性的で、鮮魚に干物から、お洒落カフェまで。誘惑がすごいですが、まだ1軒目なのでぐっと我慢。
昼食は国道128号線沿いにある「エビヤカフェ」へ。こちらでは、なんでも伊勢エビを丸ごと使ったカレーが食べられるとか。
“伊勢エビ丸ごと”とは……? さらにホームページには「※ご予算に応じて伊勢海老の大きさが選べます!」という一文が。
どういうことだ?? 期待と緊張に胸を膨らませ、いざ突撃!
伊勢エビは(大)(中)(小)と、サイズを選べるらしい。いつもなら間違いなく(小)にするけど、今日は取材だ!贅沢旅だ!えぇい!と(中)をオーダー。
サイズを指定すると、「それでは、本日はこちらを……」と、まだ生きた伊勢エビを持ってきてくれました!
お洒落なカフェ風の店内に、堂々たる活き伊勢エビ! なに、このミスマッチ!
あっという間に調理された先ほどの伊勢エビが、カレーに乗っかり登場。大迫力のこちらが「房州産伊勢エビカレー」です。
なるほど、たしかに、これは間違いなく「伊勢エビ丸ごと」!
ぷりっぷりの歯ごたえと、口の中に広がる甘み。フルーティーなカレーとの相性も最高。黙々と身をほぐし、パク。パク。
抜け殻となった伊勢エビちゃんに見守られながら、あっという間に完食です。あぁ、本当に美味しかった。
もしこの記事がたくさん読まれたら、ご褒美に再訪し、勇気を出して(大)を注文しよう。そう心に誓ったのでした。
無知で申し訳ないのですが、房総がお花であふれているということを、今回の旅で初めて知りました。海沿いの道を走っていると、本当にいたるところに「お花畑」「お花摘み」の看板があって驚きます。
そんなお花を堪能しに、関東最南端のリゾート観光施設「白浜フラワーパーク」へ。
※編集部注:白浜フラワーパークは閉園しました。
ポピーやストックなど数種類のお花に、ジャングル温室まであるこの施設。
さすがにまだ早かったのか、外に咲くお花は少し寂しげでしたが、ハウスの中には可愛らしい金魚草が咲き誇っていました。
ついついカメラのシャッターを押しまくり。「いいね!」がたくさんもらえそうな写真が撮れました。
そろそろ日も傾いてきたところで、最南端の夕日スポット、野島埼灯台へ。
これまで調子よく「寒波?なにそれ?」な旅をしてきたのですが、ここでついに。
なるほど。まぁまぁ、仕方ない。
灯台をあきらめ、岬の公園へ行くと、同じように夕日を見に来た観光客がたくさんいました。
皆さん、夕日を写真に収めようと、カメラをセッティングして待機中。
なかでもひときわ本格的な設備で撮影に臨んでいた方がいたので、こっそりと同じ場所、近い構図で撮影してみました。
……こういうことでいいのでしょうか?
太平洋に沈む夕日、青から赤へのグラデーションは息をのむ美しさ。カシャカシャと鳴るカメラのシャッター音は拍手のようで、今、ここにいる人たちみんなが同じ景色と気持ちを共有しているんだ……と、ちょっと感動してしまいました。変な構図の写真ー!とか思ってごめん。
宿泊先の「白浜オーシャンリゾート」では、バイキングが想像以上の豪華さで感動!
アワビまでついてきました! 活きが良すぎて、写真がブレるブレる。
おなかいっぱい幸せいっぱい。さらに海を一望できる温泉で心身ともにリラックスして、気づけば22時すぎには就寝していました。
今回の旅、食事に景色にとさまざまな「贅沢」を味わっていますが、振り返ってみたら、この早寝がなによりの贅沢だったかも。
2日目も、少し早起きして春を探しに向かいます。
車を走らせていると、さっそく春めいた菜の花でいっぱいの道路が!
「房総フラワーライン」という房総半島の南側を走るこの道路は、1月頃から春までは菜の花、夏はマリーゴールドが道を彩っているのだそう。
菜の花に導かれるように到着したのは「ポピーの里 館山ファミリーパーク」。
※編集部注:館山ファミリーパークは2021年5月に閉園しました。
7500平方メートルの広大な敷地に、春には10万株100万本のポピーが咲き誇るという、関東最大級の「お花畑」。
7500平方メートル、100万本という規模が大きすぎてピンとこなかったけど、実際に目の前にすると、とんでもない迫力で驚きます。見渡す限り、花!花!花!
昨日の海と同様、どんなに根暗でインドアでも、お花を見るとテンションが上がる。
高めの声で「わぁ〜!」って言っちゃうよそりゃ、女だもの。
自撮りもしちゃうよ、盛れるんだもの。
ここから好きな花をハサミで切って持って帰る。それが“お花摘み”。
お花摘みって正直地味だよなぁって思ってたけど、このだだっ広いお花畑で自由にザクザク摘み取る作業、実際やってみると想像以上に楽しかったです。
ただ……、ポピーはつぼみを摘むのがルールのため……
なんか!思ってたのと違う!
可愛い花束を持って帰る絵を想像してたのに! なんか違う!
花もいいけど、団子もね。いや、海鮮もね。ということで、2日目の昼食も、またまたインパクト抜群なお食事をいただくことに。
やってきたのは「漁師料理 たてやま」
こちらでは、活貝焼きバイキングを楽しむことができます。
サザエもホタテもハマグリもカキも食べ放題! 食べ放題!っていい響き!
地元漁港から直送の新鮮な貝類は、お味が最高なのはもちろんのこと、自分で焼いて食べるスタイルが楽しい! 冬の寒さもなんのその、屋内でぬくぬくBBQ気分を味わえちゃいます。
初体験の貝焼きに、真剣に取り組むこと60分。気づけばバケツいっぱいの殻が。
貝だけでおなかいっぱいになるなんて、なかなかないよなぁ。あぁ、なんという贅沢。
最後は春を先取る旅の締めくくりにふさわしい、いちご狩り。
「館山観光いちご狩りセンター」へ到着したところで、なんと、雪がチラチラ。そしてチラチラからの、まぁまぁの吹雪。
ゴール目前、この旅もついに寒波に敗れるか……
と思いきや、いちご狩りはビニールハウス内なのでぬくぬく〜! 房総、完全勝利〜!!
貧乏性なので、先ほどの貝もいちごも「何個食べたら元とれるかな……?」とセコイことばかり考えてしまいましたが、そんな心配もいらないくらいバクバク頬張り、堪能しました。
ひとつのハウスに数種類の品種があるので、食べ比べできるのも楽しかったです。
いやぁそれにしても房総って、カラフルで可愛い。海に夕日にお花にいちご……出会うものすべてがフォトジェニック!
カメラを構えずにはいられない!という瞬間がいっぱいの2日間でした。
素敵な写真がたくさん撮れると、旅が終わってからも余韻にたっぷり浸れるのでうれしいですね。帰りの列車の中で写真を見返しながら、ルンルン春気分で東京へと戻ったのでした。
ちなみに……東京に戻り、厳しい寒さに逆戻りでうんざりしていた頃、摘んできたポピーが見事に開花。つぼみを持ち帰ったおかげで、時間差でこんな喜びが!
満開のポピーとお土産に買ってきたピーナッツバター、房総旅の思い出に囲まれた部屋で、春を待つことにします。
この記事の内容は2019年3月2日現在の情報です。
今回の旅の行程
【1日目】東京駅→安房鴨川駅→道の駅ちくら 潮風王国→エビヤカフェ→白浜フラワーパーク→野島埼灯台→白浜オーシャンリゾート
【2日目】ポピーの里 館山ファミリーパーク→漁師料理 たてやま→館山観光いちご狩りセンター→安房鴨川駅→東京駅