「忍者になりたい」をかなえるぼっち旅。手裏剣や吹き矢にも挑戦!
何年かに一回、猛烈に忍者になりたいと思う時期がある。
最初忍者になりたいと思ったのは小学生の頃。同じクラスの子の影響で、忍者のアニメに夢中になった。
2度目は社会人になってから。滋賀県で忍者になれる「忍者検定」をやっていると知り、受けに行ったのだ。合格すれば甲賀流の忍者として認めてもらえるその検定は、ほとんどが筆記試験の点数で決まる。
手裏剣投げなどの実技も行うものの、試験全体からすると、ほんの一部。こんなことで忍者と認めていいものなのかと少し釈然としなかったが、隠れ身の術や分身の術といった忍術をやれと言われるよりはずっとましだろう。ちょっと勉強するだけで忍者になれるならば、願ったりかなったりである。
私は忍者検定を受けるためだけにわざわざ滋賀県まで行き、そして落ちた。「忍者検定」などというポップな名称のわりに、忍者の歴史書に記されているようなマニアックな知識を問う、とても難しい試験だったのである。結局、いまだに忍者になりたい夢はかなっていない。
今年こそ、忍者になるぞ
この春、再び私は忍者になりたくなった(5年ぶり3度目)。
そこで、山梨県にある忍者のテーマパーク「忍野 しのびの里」へ行くことにした。忍者に関する施設は甲賀流忍者発祥の滋賀県や、伊賀流忍者発祥の三重県にもいくつかあるが、ここはまだオープンして1年半ほどと比較的新しい。しかも、山梨は忍者のいた地域でもなんでもないのに、地名に忍野村という「忍」という漢字が使われているからというだけの理由で、忍者の里を作ったのだという。忍者の里にしてはずいぶんカジュアルである。人目を忍んでいる感じもしない。
「天ぷら忍者」で手裏剣天ぷらを食べる
まずは、新宿駅から中央線経由で河口湖駅へと向かった。富士山周辺のスポットはたいてい河口湖駅から出ているバスで行けるため、ここが観光拠点となる。ちなみに、駅周辺で偶然にも忍者をテーマにした天ぷら屋さんを見つけた。「天ぷら忍者」というその店は、昨年11月にオープンしたばかり。一昨年オープンの「忍野 しのびの里」といい、ここ1~2年は山梨に何らかの忍者ブームがきているのだろうか。おそらく富士山目当ての外国人観光客向けだと思われるが、今まで山梨をその身ひとつで支えてきた武田信玄公の地位が少々心配である。
ニンジャタウンに着いた!
河口湖駅からバスで約40分。「忍野 しのびの里」へ着いた。なお、読み方は「しのびの しのびのさと」ではなく、「おしの しのびのさと」である。正直、「しのびの しのびのさと」と読むほうがシャレっぽくて面白いけれど。バスの中の英語アナウンスでは「ネクスト おしのニンジャタウン」と言っていた。ニンジャタウン! ニンジャタウンに来たでござる!
中に入ると……さっそく忍者がいた。
ここでできるのは主に3つ。「からくり屋敷」「忍者の武器体験(忍者道場)」「忍者修行のためのアスレチック」だ。日によっては、忍者集団「靁凬刄(らいふうじん)」によるパフォーマンスを見ることもできる。屋根の上に立っていたのは、この靁凬刄の忍者である。
手裏剣1枚の重さ=スマホの重さ……!?
この「しのびの里」の中で、最も忍者らしいことができるのが「忍者道場」。張り切って手裏剣を投げてみたものの、並んでいた手裏剣をありったけ投げてもひとつも当たらず。ちなみに、手裏剣は1枚でスマホと同じくらいの重さらしい。身軽さが求められる忍者にとって、手裏剣は1枚でも結構重い。そのため、持ち歩く手裏剣は基本的に1枚だけ。アニメなどで手裏剣を何枚も投げているアレは、嘘なのだそう。
手裏剣以外の武器体験も、結果は散々だった。吹き矢は何度やっても1メートルも飛ばず、弓矢のみ1本だけ命中。悔しさをバネにさせるためなのか、道場の先には忍者修行のできるアスレチックが用意されていた。
難易度の高いアスレチックで忍者修行をしよう
アスレチックの難易度はそれぞれレベル1~3までがあり、難易度レベル3のいくつかは、まるで歯が立たなかった。憧れだけでは忍者になれない、そんな現実を突きつけられているようだ。
最後に、「靁凬刄」による忍者パフォーマンスも見ていきたい。彼らは、各地でショーを行ったり、忍者映画に出演したりして、忍者文化の普及活動を行っている。
じっくりとすべてを体験して回って約4時間。「忍野 しのびの里」での忍者体験が終わった。
この日の夜は河口湖畔まで移動し、ラビスタ富士河口湖で忍び修行の疲れを癒やす。
「西湖いやしの里根場」で日本文化の体験
この富士五湖周辺では、「西湖いやしの里根場」でも忍者気分を味わえるそうだ。ここは昔のかやぶき屋根の集落が再現されている一画で、紙すきや陶芸などの日本文化の体験ができるのだ。鎧(よろい)や三度笠といった衣装をレンタルして歩き回ることができ、その中には忍者装束もある。
紙すきをやってみる忍者
忍者になれたので、手始めに「紙屋 逆手山房」で紙すき体験をすることにした。紙の原料である「こうぞ」を棒で叩いて、繊維をほぐしていく。
「こうぞ」を叩いて、水の中でかき混ぜていくと、ドロッとしてくる。それを「漉き舟」に入れてすき、すくったものに飾り付け。何工程かに分けて水分を押し出したら、外で乾かして完成となる。
お裁縫をする忍者
もはや忍者装束を着ている以外には、忍者と何も関係がなくなってきたが、粛々と続けたい。「ちりめん細工・つるしかざり」の家屋では、布小物作りの体験ができる。ここではドングリのストラップを作った。
コタツでくつろぐ忍者
「大石紬と布の館」では、繭玉(まゆだま)を使った小物を作れる。この店の体験スペースにはコタツがあったため、小物を作り終えてからもしばらくコタツでくつろがせてもらった(当日の気温は10℃と、非常に寒かった)。寒がりの忍者がいたっていいと思う。
こうして、忍者になり続けた2日間が終わった。この旅でわかったことは2つ。ひとつは、私は忍者になるにはあまりに運動能力が足りていないこと。もうひとつは、この平成の世における「忍者」は、あくまでもテーマパークやショーなどで活躍するエンターテインメント業であること。敵地を偵察し、潜入する、私の憧れる忍者は、この時代にはいない。生まれてくる時代が遅すぎたのだ。古き時代の忍者に思いを馳せる日々は、まだまだ続きそうである。
今回の旅の行程
【1日目】JR新宿駅 →富士急行河口湖駅→「天ぷら忍者」→「忍野 しのびの里」→ラビスタ富士河口湖
【2日目】ラビスタ富士河口湖 →「西湖いやしの里根場」 →富士急行河口湖駅→JR新宿駅
山梨・河口湖JR+宿泊 ラビスタ富士河口湖(共立リゾート)
1泊2日/新宿駅⇔河口湖駅/夕朝食付き
※商品が0件の場合は検索条件を変更いただき、再検索をお願いします。