三春滝桜、花見山の桜…福島の名所でポートレート撮影に挑戦!
あちらこちらに芽吹く、春の新しい命。
桜が人を惹きつけるのは、儚(はかな)いからに違いない。
儚い桜の命をカメラに収めるべく、カメラマンの高比良美樹さんと一緒に向かった先は、4月の福島。
東北新幹線「やまびこ」で東京から約1時間半の福島は、思ったよりもずっと近い。
福島駅前から臨時バスに乗り、15分ほどで花見山に到着。
花見山は日本を代表する写真家、故・秋山庄太郎氏が「福島に桃源郷あり」と通った場所で、ヒガンザクラやソメイヨシノなど約70種類の花が咲く、福島県随一の花の名所。この時期、山全体が桜色や桃色に包まれ、まさに「桃源郷」なのです。さっそく、広い敷地内を散歩しながら撮影することに。
花の楽園 花見山で撮影大会
花見山には30分、45分、60分の3つの桜散策コースが設置されています。今回は60分コースを歩くことに。公園の入り口で手に入れたガイドマップを片手に、山のてっぺんを目指しながら撮影開始。
花見山が撮影にぴったりなのは、東京にはあまりない「東海桜(トウカイザクラ)」という低い位置に花を咲かせる桜が見られるから。
花と人間のポートレートを撮るときは、花と顔を近づけるのが鉄板。そのとき問題になるのが枝の高さ。東京でよく見かけるソメイヨシノは高い位置に花が咲くので、人物の顔と花のベストポジションを探して、モデルが台に乗ったり、立ち止まってアングルを作ったりしないといけない。低い位置に花が咲く東海桜なら、顔の位置にピンクの花が咲いているので、歩いたままの視点で撮影できる。
背景にしてみたり、顔のそばで撮影したり……。ポートレートに適した開放値の高いレンズで桜を撮影すると、焦点の当たっている場所以外がフワ〜っと淡いピンク色になって、幻想的で美しくなります。
ちょっと急な斜面を登り始めると、空に広がる桜が! と言いたいところだけど、この日はまだ5分咲き。惜しい。
散策道には要所要所にガイドさんがいらっしゃって、花の種類や見どころを教えてくださいます。いい撮影ポイントをお聞きしたところ、日向水木(ヒュウガミズキ)と桜の両方を撮影できるスポットがあるとのこと!
山頂に向かうコースから少し外れるので、気づかず通り過ぎちゃう人も多いんだって。花見山のガイドマップの表紙もこのあたりだそうで、絶対に見逃さないでほしい場所のひとつ。
最後の坂道を登りきって、頂上でひと休み。
その後の下り道で、やっと顔を覗かせた太陽の淡い光の中で撮影。ちなみに、桜は淡い色なので、晴天よりも太陽の光が弱い日、もしくはちょっと曇りの日くらいがベストシャッターチャンス。光が強いと、花の色が飛んで白っぽくなってしまうこともあるので注意。
桜ずくめのスポットを後に、福島駅に戻って遅めのランチ。
今回の旅は撮影用の小道具が多くて大荷物だったので、春の期間だけオープンする駅前の「臨時手荷物預かり所」に荷物を預けて、飲食店を物色。
あらかじめ調べておいた人気の餃子屋さんを狙ったのですが、残念ながら営業時間に間に合わず……。第二希望のそば処丸松 エスパル福島店にて牛タン定食をいただきました。山登りというほどではないけれど、歩きながらの撮影は、おなかがすくのです。
今回のお宿は磐梯熱海。福島駅から郡山駅へ「やまびこ」で移動し、郡山駅からは磐越西線に乗り換え。磐越西線は、ボタンでドアを開けるタイプのローカル線。東京育ちの私。慣れない操作にドキドキしながら乗車。
春にはちょっと早い車窓の景色を見ながら、一路、磐梯熱海へ。
福島では5分咲きだった桜が、郡山駅から磐梯熱海駅までの間では咲いていないことが気になって、駅からホテルに向かう道中、タクシーの運転手さんに聞いてみた。こういうことは毎日地元を走っている運転手さんに聞くのが確実。
するとびっくり、この辺りは桜が遅くて、桜前線は福島市から南下してくるんだって!
明日はちゃんと桜が見られるかな……と不安になりつつも、到着した本日のお宿「華の湯」の豪華さに気分が上がります!
磐梯熱海の「美人の湯」で、ツルツル美肌に!
磐梯熱海でも女性に人気の高い「華の湯」は、肌触りが心地よい、ほのかなとろみを感じる透明なお湯。「美人の湯」とも呼ばれるアルカリ性単純泉は、温泉特有のにおいがほとんどないのに、入っているそばから肌がツルツルになるのが実感できる最高の泉質。30種類も湯船があり、入っている間に体はポカポカ、お湯から上がると、かかとがすべすべになっているのが実感できます。
温泉を出たあとは、お待ちかねのブッフェディナー。
県内のお野菜をふんだんに使ったメニューがずらりと並び、選ぶのに迷ってしまうほど。天ぷら、お寿司、ステーキ、唐揚げ、麻婆豆腐、サラダ、グラタン、たこ焼き、カレー、鍋、名物チーズ餃子……と、本当になんでもある。見逃せないのは、福島の郷土料理「いかにんじん」。おいしいので、ぜひおためしを!
部屋に戻ってからは、福島駅で調達した日本酒飲み比べ。
今回選んだのは、「ふなくち三撰」という飲み比べ3本セットとミニ樽、つまみ&おやつたち。
「若関」は、香りが強い、苦味のあるはっきりした飲みごたえのお酒。「穏」は、わずかな酸味と微炭酸を感じるスッキリした味。明日行く三春町産の「三春駒」はまろやかで甘く、フルーティでとっても飲みやすいお酒。これらとはまた違った味で、甘さと軽さがあり、飲みやすい香りが特徴の「大七豆樽」。肴には、スモークたまご、甘い桃饅頭を交互に食べる食欲の春。秋田の旅に続き、以前よりもさらに日本酒を飲む習慣ができ、飲み比べも板についてきたところで初日終了。
朝から湯巡りをして、いざ三春へ!
2日目の朝は、男湯と入れ替わった温泉をすかさずチェック! 朝から庭園露天風呂巡りをして、朝食ブッフェへ。昨晩の食べ過ぎから、若干ペースが落ち気味でフルーツとヨーグルトが中心になりましたが、和から洋まで充実していて大満足で出発。
今日の目的地は、福島県のもうひとつの桜の名所、「三春」。磐梯熱海駅から郡山駅まで戻り、三春駅へ向かう列車を調べると、なんと1時間も待つことが判明!
東京感覚で出てきてしまった私は、時間を調べてこなかった己のうかつさを反省しつつ、駅員さんにバスがあるかを聞いてみた。しかし、こちらも1時間に1本程度……。三春駅に向かう際は、事前に時刻表をしっかりチェックすることをおすすめします。
目指す三春町は、至る所に梅、桃、桜の木があります。これらの梅、桃、桜が一度に咲いて3つの春が同時に来ることから、「三春町」という名がついたといわれているそう。
目的は「三春滝桜」と呼ばれている、推定樹齢1000年以上とされる「ベニシダレザクラ」の巨木。日本三大桜にも数えられ、桜の開花期間中は、多くの観光客が訪れるのだそうです。道路の混雑緩和のため、三春駅からは臨時バス「滝桜号」が出ているのですが、なんと運行は4月12日から(取材日は4月10日)。惜しい……。
(取材時の2017年の情報です)
仕方なく路線バス(大人300円)を乗り継いで向かうことに。
しばらくバスで走ると、ぽっかりと大きな広場が現れ、そこに!あ!木があるーーー!!!木はある。でも、まだ、咲いてない(涙)。
予想はしていましたが、実際にまだ咲いていない桜の大木を見ると、ちょっとしょんぼり……。見上げると、視界いっぱいに広がる枝ぶりで、満開の頃に来たらさぞかし美しいのでしょう。滝が流れるように桜が溢れ返るところを想像しつつ、撮影ポイントをチェック。
撮影後は、売店やカフェの並ぶ方へ吸い寄せられ、おやつ&お土産タイム!
三春滝桜おすすめスポット1 桜cafe&shop
コーヒー、パンケーキといったカフェらしいメニューを、桜の見える場所でいただけます。Shopでは豆乳のドーナツやたこ焼き、三春三角油揚など、ヘルシーな軽食あり。
※2019年現在、「桜cafe&shop」は営業の確認を取れていません。
三春滝桜おすすめスポット2 夢・菓子工房 かめまん
かめまんきんつば、ようかんに桜大福、そしてシュークリームまで! その場で食べるもよし、詰め合わせてお土産にしてもよし。
三春滝桜おすすめスポット3 三春ゆべし かんのや
かわいいひし形の「家伝ゆべし」。もちもち生地を試食して購入を即決した桜あんは、季節限定のピンク色のあんがポイント。くるみゆべしもおいしくて、こちらも購入。
気がつけば、移動と撮影で2時間が経過。三春から郡山への列車の本数が少ないことを思い出して、慌ててタクシーに。
ちなみに、滝桜の開花情報は三春町のHPで確認できます。ぜひ、HPのライブカメラをチェックして、滝桜と周辺の桜が咲いている時期に、ぐるりと撮影散歩をしに行ってみくださいね!
※編集部注 三春の滝桜が満開になったら、こんな感じになります!
番外編:郡山のおすすめカフェ&お土産
旅の終わりは、郡山駅周辺の食べ歩き。
その1 薄皮饅頭の「柏屋」
駅前から商店街のアーケードをまっすぐ進んだところにある、福島名物の薄皮饅頭で有名なお店。期間限定のピンク色のお饅頭「SAKURA MILK」は、パッケージがきれい。店内も素敵で、のれんもレトロでかわいい。
選んだのは、パッケージのデザインがおしゃれで気に入った「創菓 嘉永餅」。バター風味のつぶあんが後を引くお餅です。
※「創菓 嘉永餅」は柏屋本店と通信販売のみの限定商品
その2 居心地のいい「アンカフェ」
かわいい女性スタッフが迎えてくれた店内は、こだわりのインテリアで居心地抜群。
上機嫌で、パフェとフレンチトーストを注文。
店内の内装も味も、とっても大満足の素敵なカフェ。
あぁ、今日は桜が咲いてなくてちょっと悲しかったけど、最後にいい場所に寄ることができてよかった!!!と、うれしさいっぱいで東京に戻りましたとさ。
この記事の内容は2019年3月2日現在の情報です。
スポット情報
花見山公園
住所:福島県福島市渡利
電話:024-526-0871(花見山情報コールセンター ※3月1日から4月30日まで。午前8時から午後5時)
今回の旅の行程
【1日目】JR東京駅→JR福島駅 →花見山公園 →JR福島駅 →そば処丸松 エスパル福島店 →JR郡山駅 →JR磐梯熱海駅 →華の湯
【2日目】華の湯 →JR磐梯熱海駅 →JR郡山駅 →JR三春駅 →三春の滝桜 →桜cafe&shop →夢・菓子工房 かめまん →三春ゆべし かんのや →JR三春駅 →JR郡山駅 →柏屋 →アンカフェ →JR東京駅
福島・磐梯熱海温泉JR+宿泊 ホテル華の湯
1泊2日/東京駅⇒福島駅・郡山駅⇒東京駅/夕朝食付き
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