立山黒部アルペンルートで6種類の乗り物と絶景に大興奮!
はじめまして!「列車に乗って面白いことをする」のが好きな乗り鉄、鉄旅タレント木村裕子です。プライベートでケーブルカーに乗って滝修行したりする変な鉄ヲタです。
秋は、日本のあちこちで「絶景」というごちそうに出会える季節!
今年の秋の乗り鉄先は、行けば回転寿司のように向こうから「美味しい鉄道」がやってくる立山黒部アルペンルートに決めました。ここは富山から長野にそびえる北アルプスを貫き、絶景しかない山岳観光ルート。標高2,450mまで登りますが、登山するのは6種類の乗り物たち。体力に自信がない方にもおすすめの路線です。
【行程】
- 立山ケーブルカーで荷台に胸キュン
- VIPバスに乗車できる確率は、わずか1割!
- 室堂で、ライチョウシールGETだぜ?
- 立山ロープウェイで360度の大パノラマの絶景
- 日本でココだけ!全線が地下を走るケーブルカー
- 黒部ダムでゼェハァしながら虹を見る
- 黒部湖遊覧船ガルべで、湖から景色を見上げる
- 黒部ダムを見ながら、名物ダムカレーのランチ
- 実はこの旅のハイライト!?関電トンネルトロリーバス
立山ケーブルカーで荷台に胸キュン
東京6時台発の北陸新幹線に乗ってJR富山駅へ。そこから富山地方鉄道に乗り換えて1時間ほどで、アルペンルートスタート地の立山駅に10時台に到着! 今回は富山側からアルペンルートを巡ります。起床からたった数時間で美味しい空気と山々に囲まれるなんて、新幹線って現代版ドラえもんの道具ですよね。
今回乗車する乗り物はこちら……
1日目:立山駅→(ケーブルカー)→美女平→(バス)→室堂
2日目:室堂→(立山トンネルトロリーバス)→大観峰→(ロープウェイ)→黒部平駅→(ケーブルカー)→黒部湖→黒部ダム→(関電トンネルトロリーバス)→扇沢
ちなみに、アルペンルートは随所に湧水があるので、ペットボトル持参必須! 湧水は、場所によって冷たさが変わります。立山駅前で満タンにして、いざ出発! 検札を通って、ケーブルカー場所取り戦争に挑みます。1番のおすすめは、一番前の運転席の左右真横スペース。ここからだと、ジェットコースターのような急斜面の迫力が飛び込んできます!
傾斜24度の急こう配をぐんぐん登っていくケーブルカー。標高差が500mあり、窓から入ってくる風が徐々に冷たくなっていくのを体感できました。1.3kmをわずか7分ほどで登山できるなんて、運動が苦手な私には超快適だぁ~♪
美女平駅に到着したら、下車するのは一番最後まで待ってください。そうすることで、車両との2ショット写真が、よりキレイに撮れるからです。乗客が降りたら、一番前で写真をパチリ。
貸し切りのように誰もいない写真が撮れました。これなら自撮りも恥ずかしくなく、撮り放題! さらに見てほしいものがあります。
だ~れも見向きもしなかったケーブルカー後ろに付いた荷台、これが超ポイントなんです! 黒部ダム建設の資材運搬に使われていて、日本の数あるケーブルカーでも荷台付きは珍しい。私には荷台がきらめいて見えました。
VIPバスに乗車できる確率は、わずか1割!
美女平から室堂(むろどう)までは立山高原バスに乗り換え。ベスポジは進行方向左の窓側です。大自然を走り抜ける天空ロードの車窓からは、タテヤマスギの巨木、称名(しょうみょう)滝、富山平野、タイミングが合えば雲海も見渡せます。これらほとんどが左側にあり、ビュースポットでは徐行もしてくれますよ。ちなみに私は、ケーブルカーの荷台にデレデレしすぎて最後の乗車となり、右側となってしまいました。
しかし! この日の私は超絶ツイてました! 私が乗ったバスは、シートが革張りでUSB電源付きのVIP車。
これは30台中3台というレアバス。運よく、2018年にデビューしたばかりのバスに当たりました。なんというラッキー!
室堂でライチョウGETだぜ?
アルペンルートで標高が一番高い、室堂に到着。真夏でも気温は18度でした。ランチは日本で一番高い場所にある立ち食い駅そば店「立山そば」で、白海老かき揚げそば温泉卵トッピング。
おなかを満たしたあとは、ナチュラリストによる無料の自然解説ツアーへ。登山大好きな案内人・天野雅美さんと、2時間コースで室堂を巡ります。
道端の高山植物を指さして「これはエーデルワイスの仲間ミネウスユキソウ、こっちはトリカブト」と、トリビアたっぷりに教えてくれ、無知の景色が何倍も面白くなりました。天野さんイチオシは、みくりが池に山が映り、ハートが現れる場所!
さらに、神の使いとされるライチョウが現れることも。立山自然保護センターに目撃申告すると、記念シールをGETできます。
この日はホテル立山で、満天の星と一緒に眠りに就きました。
立山ロープウェイで360度の大パノラマの絶景
2日目。室堂から大観峰(だいかんぼう)まで、日本でアルペンルートの2カ所しか走っていないトロリーバス(以下、トロバス)に乗車します。トロバスとは、見た目はバスですが、ガソリンではなくパンタグラフで電気を供給して走る「電車」。おもしろ鉄ポイントは、乗降口の下にぶら下がる鉄球です。
※編集部注:「立山トンネルトロリーバス」は2024年11月をもって運行終了となります。2025年4月以降は電気バスに変更
大観峰で乗り換えて黒部平までは、ハイライトであるロープウェイで一気に下ります。
雑誌やポスターの写真はだいたいココ! という絶景です。後立山連峰に向かって吸い込まれるように空を走っていきました。
日本でココだけ!全線が地下を走るケーブルカー
黒部平から黒部湖までは、1969年の開業以来ずっと走り続け、今年で約50年目の黒部ケーブルカーで。車両の命は短いので、人間にするとおじいちゃんくらいかな? 全線地下なので照れ屋っぽいなぁ~と、ひとり妄想でニヤける私。車両を見る時の頭の中って、こんなもんですよね? え、私だけ?(笑)
黒部ダムでゼェハァしながら虹を見る
ケーブルカーを降りてひんやりしたトンネルを抜けるとお目見えする、日本一の高さ186mの黒部ダムは必見! 毎秒10トンの水が白い水煙を上げてウェーブを描きながら流れ落ち、生きてる龍のよう。なが~い階段を登って一番上の展望台へ行くと、ダム湖と放水の大パノラマを一望できました。
ゼェハァしながらなんとかたどり着き見下ろすと、水しぶきに向かって陽光が差し、虹が出ていました。大自然からのハッピープレゼントですね。
さらにこの日は下の放水口から出ていました。同じくひとりで来ていた見知らぬ男性が、大きな録音マイク付きの4Kカメラ片手に説明してくれます。「5年間ここで録画し続けてきたけど、下から出てるのは初めて見たよ。これは珍しい! お姉さんラッキーだね!」と、ダムの放水ごとく目からキラキラを放出しています。正直そのすごさがイマイチわかりませんが、ダムマニアさんと熱い握手を交わし、祝福を分かち合いました。
黒部湖遊覧船ガルべで、湖から景色を見上げる
せっかくなので、大きな湖を悠々と進む遊覧船にも乗っちゃいましょ! 30分かけてダムを一周すると、雪をかぶり屏風のような立山連峰、スバリ岳、針ノ木岳、赤牛岳がこちらへ迫ってきます。
※運行期間はH Pをご確認ください。
今年は雨が少なく水位は半分ほどで、これは約5年ぶりだそうです。船長によると「例年は10月中旬頃が見頃だけど、2018年は紅葉が早いかも」とのこと。ぜひ参考にして出かけてくださいね。
黒部ダムを見ながら、名物ダムカレーのランチ
名物のダムカレーを目指して、黒部ダムレストハウスへ。お昼の満席時は提供まで30分以上かかることもあるので、時間をずらして行くのがベスト。2階窓際のカウンターからダムを眺めながら、スパイシーなダムをいただきます。食後は1階のおみやげ売り場で「ダムカードください」と伝えましょう。この訪問記念カードが無料でもらえます。
実はこの旅のハイライト!?関電トンネルトロリーバス
ラストは2度目のトロバスです。おそらくこの記事を見ている鉄ヲタさんは、これまでの文章をすっ飛ばして、真っ先にここを読んでいるはず。なぜなら、2018年11月に関電トロバスがラストランを迎えるから。正直に言います! 今回私が一番楽しみにしていたのは、この子です!(※2019年4月以降は、電気バスに変更)
鉄ヲタ知識を駆使して座席が埋まった頃に乗車し、一番の特等席である1台目一番前の立ち席を見事陣取りましたーーー! 心で雄たけびガッツポーーーーズ!!
もう一生乗ることができなくなる関電トロバス。その車両をじっくり味わいます。バスなのにVVVFという電車のモーター音。標識も鉄道方式。トンネル工事で水害を受け、開通まで苦労した道。トンネル内の行き違いでは、運転士同士でタブレット交換(通行証)もあります。こんなに面白いのに……なぜほかの乗客はみな爆睡しているのでしょうか?
でもね、アルペンルートは関電トロバスに乗るまでがアルペンルートなんです! 試しにツイッターで、写真付きでつぶやいてみてください。私はあっという間に鉄ヲタさんたちから「255いいね」が付きました。どや顔!
どこを切り取っても絶景続きの立山黒部アルペンルート。今年の秋は関電トロバスのラストランもあって、さらに貴重な鉄旅になりますよ。
至れり尽くせりの秋のフルコースを、おなかいっぱい堪能してくださいね。
掲載情報は2020年9月29日更新時のものです。現在の内容と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。
今回の旅の行程
【1日目】JR東京駅→JR富山駅→立山駅→美女平駅→室堂駅→ホテル立山
【2日目】室堂駅→大観峰駅→黒部平駅→黒部湖駅→黒部ダム→扇沢駅→JR長野駅→JR東京駅