今回の列車旅ポイント
カメラ片手に「フォトジェニック目線」で旅やカフェ巡りを楽しむ、フォトライターはるかです。
肌寒い季節になると恋しくなるのは、そう温泉です。「ほっこりあたたまりたい」と向かうは日本三古泉の一つ、有馬温泉。有馬温泉から近い六甲山にある六甲ガーデンテラスからは、空気が澄む冬が美しい夜景も楽しみます。温泉と夜景の両方を堪能する欲張り旅へとカメラ片手に、いってきます。
JR東京駅から東海道・山陽新幹線「のぞみ」に乗り、約2時間40分でJR新神戸駅に到着です。「JR東日本びゅうダイナミックレールパック」を利用すると、新幹線と宿をお得なセットで予約できます。
新神戸駅からは、神戸市営地下鉄北神線に乗り換えて約8分の谷上駅で降車。谷上駅で神戸電鉄有馬線三田行きに乗り、約11分の有馬口駅で有馬温泉行きに乗り換え、そこから約3分で有馬温泉駅に到着します。
神戸市の中心地から列車で約30分という、さほど離れていない距離に温泉地があることに驚き!
有馬温泉駅に降り立つと、既に温泉地特有の風情があります。
旅館や温泉施設、土産物屋が並び、どこかノスタルジックな街並みに思わず足を止めて写真を撮ってしまいます。
こちらは有馬温泉の源泉のひとつ「炭酸泉源公園」。天然の炭酸水が湧き出しており、「サイダー」発祥の地ともいわれています。あちらこちらから湯けむりがもくもくと出ている温泉街ならではの雰囲気を楽しみながら、点在する源泉を巡るのもよいかもしれません。
有馬温泉の街を散策した後はお宿に荷物を預けて、「六甲ガーデンテラス」を目指します。
六甲ガーデンテラスへは「六甲有馬ロープウェー」を利用します。六甲有馬ロープウェー有馬温泉駅までは、有馬温泉街から徒歩10分ほどですが、急な坂道を登ることになります。今回はお宿の無料送迎バスを利用しました。
六甲有馬ロープウェー有馬温泉駅から六甲ガーデンテラスのある六甲山頂駅まで、12分の空中散歩です。
ゴンドラの大きな窓から広がる大パノラマは、有馬の街を見渡すことができます。
六甲山頂駅に到着したら目的の六甲ガーデンテラスまで3分ほど歩きます。
六甲ガーデンテラスは標高約800メートルの高さに位置していて、展望スペースからは神戸の市街地や港の景色が一望できるロケーションにあります。
敷地内には、イングリッシュガーデンやレストラン、カフェ、ショップが点在していて食事やショッピングを楽しむことができます。
中でも目を引く「自然体感展望台 六甲枝垂れ」は、六甲山で最も標高の高い展望台で、淡路島から大阪平野、関西国際空港と大パノラマでの景観を楽しむことができるビュースポットです。
「山の上に立つ1本の大きな樹」をコンセプトに、眺望とアート、自然を融合させた体感型展望台で、一見すると無機質な建築物のように思えますが、計算された建築デザインの力で自然を体感できる仕組みがあります。
展望台の仕組みなどを紹介してくれるガイドツアー(※)もあるので参加してみてはいかがでしょうか。
※編集部注:「ロッコウシダレガイドツアー」について詳しくは、六甲ガーデンテラスに電話をするか現地にてお問い合わせください
六甲山での昼から夜にかけての変化は魅力的です。空の色がオレンジに変わり、やがてトワイライトタイムがくると六甲枝垂れも色づきはじめます。
「Lightscape in Rokko しょくぶつのあかり」と題されたイルミネーションは、ライトアップアーティストの伏見雅之さんによる作品。眼下に広がる1,000万ドルの夜景とのコラボレーションは、ここでしか味わえない体験です。
季節ごとに変わるテーマに合わせて、ライトアップの色も変化するとのことで、写真のライトアップは3月中旬より始まる春のプログラム(※)。
※編集部注:2025年は春のプログラムが始まるまでライトアップは行っていません。開催時期などの詳細は、六甲ガーデンテラス公式HPをご参照ください
夜景は撮影・観賞を問わず、日没後すぐのまだ暗くなりきっていないトワイライトタイムが最も美しいとされています。いつもなら見逃しがちな空の色の変化を感じながらその時を待つ、そんな時間の過ごし方って贅沢じゃありませんか?
夜景を満喫したら、お宿に戻ります。六甲有馬ロープウェーは、季節や平日・土日祝日で終発の時間が異なります。冬の時期は、日没後は運行がないためタクシーを利用しましたが、有馬温泉街までは20分ほどでした。
今回のお宿「月光園 游月山荘」は、有馬温泉町内であれば、無料送迎(※)をしてくれます。神戸電鉄有馬温泉駅からは5分ほどで月光園に到着。お宿から六甲有馬ロープウェー有馬温泉駅へ行く際も利用できて便利です。
※編集部注:月光園 游月山荘の有馬温泉周辺の無料送迎について詳しくはこちら
到着し、ロビーに足を進めると目に入るのは色彩豊かな、この景観。
月光園 游月山荘の魅力の一つはこの立地! 静かな山の中に佇み、四季折々の風景を堪能することができます。
ロビーと客室をつなぐ「月光橋」からは川のせせらぎが聞こえ、冷えて澄んだ空気がとても心地よく、贅沢なひとときに期待がふくらみます。橋を渡り切ると客室のある游月山荘の玄関になります。
游月山荘は五十余年前に建てられた木造づくりの建物。お部屋は洗練されたシンプルさと木のぬくもりが見事に調和した、純和風のどこか懐かしさを感じる空間です。
ゆっくりとした時間が流れます。
有馬温泉は日本最古の温泉といわれ、療養泉として指定している9つの主成分のうち7つもの成分が含まれている、世界的にも珍しい多くの成分が混合した温泉です。また金泉と銀泉(ラドン泉)と2種類のお湯があり、月光園 游月山荘ではこの2つの湯を露天風呂や大浴場で楽しむことができます。
まずは大浴場で癒やされましょう。
女性大浴場の「亀の湯」では、金泉とラドン泉の両方を楽しむことができます。
金泉は鉄分と塩分を含み赤茶色で濁った泉質が特徴で、保温や美肌に効果があるとされ、一方のラドン泉は新陳代謝を促進し、自然治癒力が高まる効果があるといわれています。「両方の効能を存分に受けちゃうぞ」と何回も交互に入浴できるのも、この大浴場の醍醐味。
月光園は有馬でも数少ない自家源泉を所有している旅館です。露天風呂では源泉掛け流しに浸かる贅沢な入浴が叶います。木々の隙間からもれる光が湯けむりを照らすのも趣があります。
また、游月山荘に隣接する姉妹館「鴻朧館(こうろうかん)」にある温泉も利用OK。サウナを併設した大浴場や、テーマの違う3種類の貸切風呂もあり、さまざまなお風呂で、有馬温泉を満喫できます。
夜はメイン料理付きの和風創作ビュッフェをいただきました。
メイン料理は「黒毛和牛竹蒸し」と「お造り」。竹蒸しはお水を自分で注ぐと、あーら、不思議! 下からもくもくと蒸気が立ち上がり、食材が蒸し上がるパフォーマンス。お肉を食べた瞬間、そのやわらかさに笑みがこぼれちゃう。
ビュッフェコーナーには約50種の料理が並べられています。どの料理も魅力的で、気づけばお皿がいっぱいに。メニューのバリエーションも豊富で、韓国料理のヤンニョムチキンはおおぶりな手羽元に甘辛いたれがあとを引くおいしさ。
しょうが醤油で食べる、郷土料理の姫路おでんもありました。地域によっておでんの味の違いや食べ方を知るのも旅の醍醐味。私は姫路おでんが一番好きという発見がありました。おすすめです。
六甲山山頂で冷えた体も温泉でぽかぽかになり、お腹も満たされたところで就寝、おやすみなさい。
2日目、朝食をいただいたら、お宿の送迎で六甲有馬ロープウェー有馬温泉駅へ。六甲有馬ロープウェーで六甲山頂駅へと向かいます。
六甲山上バスに乗り換えて、約10分の森の音ミュージアムバス停で降車。バス停から徒歩1分ほどで、静かに自然の中に佇む「ROKKO 森の音ミュージアム」に到着です。
館内にはオルゴールなどの自動演奏楽器やからくり人形のコレクションが展示されています。2階のコンサートルームでは解説スタッフによるコンサートが毎日開催され、アンティーク・オルゴールなどの音色を実際に聴かせてくれます。
展示品には今まで見たことのないような自動演奏楽器やからくり人形が。その中でも興味深かった2点をご紹介します。
自動演奏オルガン「デカップ・ダンス・オルガン『ケンぺナー』」は移動式のダンステントやダンスホールなどで、楽団の代わりとしてダンスBGMを演奏していたオルガンです。楽団の代わりということもあって、さまざまな楽器の音色が聴こえます。オルガンってひとつの音色だけではないのか……と驚きました。
もうひとつは、手紙を書きながら居眠りするピエロの自動人形「エクリヴァン」。本当に書いているような滑らかな動き、そして、火を灯したランプがどんなカラクリを見せてくれるのか……。ぜひ実際に見てほしい展示品です。
ミュージアムには、展示だけでなく実際にオルゴールを組み立てる体験もあります。選べるオルゴールの音色はジブリからJ-POPまで豊富です。きっと好きな曲が見つかるはず。
※編集部注:「オルゴール組立体験」について詳しくはこちら
ミュージアム内にある「森のCafé」で、数量限定の「神戸ポークハンバーグ」をいただきます。
店内はもちろんですが、ナチュラルガーデン「SIKIガーデン~音の散策路~」を臨むテラス席でいただくこともできます。
テラス席は、森の中でオシャレピクニックをしているかのような空間。
どこに座っても、ガーデンを背景にかわいいフード写真が撮れちゃいます。
食後は、SIKIガーデン~音の散策路~の散策を楽しみます。
音楽と自然が融合したガーデンでは、音を鳴らす体験スペースや自然に溶け込んだツリーハウスで思い思いの時間を過ごすことができます。
季節で見どころとなる植物も違うので、春には花々が咲き誇り、夏には緑が生い茂り、秋は色づく紅葉、冬はクリスマス装飾など、訪れたシーズンならではの景色を楽しめます。
春夏秋冬を全制覇したいぐらい、素敵なガーデンでした。
帰りは「六甲ケーブル」のケーブルカーで六甲山を下ります。森の音ミュージアムバス停から六甲山上バスに乗り、六甲ケーブル山上駅バス停で下車。約6分で到着です。
※編集部注:六甲ケーブルは2025年4月12日(予定)まで運休中。運休中は代行バスを運行しています。詳しくはこちら
六甲山上駅から六甲ケーブル下駅までは、約10分で到着します。
六甲ケーブル下駅から新神戸駅までは、まず神戸市バスで阪急六甲バス停に向かいます。バス停からすぐの六甲駅から、阪急電鉄神戸線で神戸三宮駅へ。徒歩で三宮駅に移動して、神戸市営地下鉄西神・山手線に乗り新神戸駅に到着です。六甲ケーブル下駅からは40分ほど。その後、新神戸駅から東海道・山陽新幹線で東京へと帰ります。
今回の旅は、有馬温泉と六甲山の美しい夜景や絶景を欲張りに堪能。ロープウェーやケーブルカーを利用し周遊することで、効率よく六甲山の魅力をより知ることができた旅でした。四季折々で違った魅力に出会えそうなので、ぜひまた訪れたいと思います。
掲載情報は2025年2月18日配信時のものです。現在の内容と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。
今回の旅の行程
【1日目】JR東京駅→JR新神戸駅→谷上駅→有馬温泉駅→月光園 游月山荘→六甲有馬ロープウェー→六甲ガーデンテラス/自然体感展望台 六甲枝垂れ→月光園 游月山荘
【2日目】月光園 游月山荘→六甲有馬ロープウェー→ROKKO森の音ミュージアム→六甲ケーブル→六甲駅→神戸三宮駅→三宮駅→JR新神戸駅→JR東京駅