こづゆ、浪江焼きそば、円盤餃子…福島名物の温故知新くいだおれ旅
福島へ行くたびに思うのは、「地元の人たちが食べ続けているものが本当においしいなー」ということ。
会津そばや喜多方ラーメンもそうですが、素朴なのにじんわりうまい。
私の何度目かの福島への旅、伝統料理から地元に根付く味まで、まるっと食べまくります!
会津若松の冠婚葬祭の定番「こづゆ」ってなんだ?
まずはJR東京駅から東北新幹線で約1時間20分のJR郡山駅へ。
そこからさらに約1時間20分JR磐越西線に揺られ、JR会津若松駅に到着~。
さっそくお昼ごはんを食べに向かったのは、会津若松駅からタクシーで約7分、七日町通り「澁川問屋」。
「こづゆ」などに代表される、会津若松の伝統料理が食べられるお店です。
そういえば、食べたことなかったんですよ……「こづゆ」「棒タラ」!
何度も来ているのに、必修単位取り忘れにもほどがある。
「澁川問屋」は1868年に創業した海産問屋で、現在は郷土料理店兼宿泊施設として営業しているお店。
かつては北海道から運ばれたにしんや棒タラなどの塩干物を仕入れ、会津地方の鮮魚店、料理店などに卸していたのだそう。
山に囲まれた会津だから、海産物は貴重だったんですねー。
通していただいたのは、蔵を改造した「蔵座敷」の部屋。
いかにも蔵らしく窓は小さめですが、天井が高くて気持ちいい!
いただいたのは「祭り御膳」鶴コース(2,200円)。
代表的な会津の郷土料理が、お盆にズラリ!
まずは小さなグラスに入った食前酒を……。
ほどよい甘みのにごり酒が、食欲を増進させます。
「にしんの昆布巻」は、身欠きにしんを昆布で巻いて、長時間とろ火で煮込んだもの。
カチカチの身欠きにしんがふっくらと煮えて、昆布のうまみを吸いまくり……わー、お酒のつまみに最高! 食前酒じゃ足りないほど。
会津の干し魚文化を代表する、もうひとつの食材が棒たら。
干して棒のように硬くなったマダラを水に漬け、ゆっくり煮付けた「棒だら煮」は、意外にもホクホクした食感。
干すことで旨味が倍増して、これも日本酒に合いそう……。
そして、食べてみたかった「こづゆ」!
干し貝柱のだしに、里芋、きくらげ、豆麩などを入れた汁物です。
会津の冠婚葬祭やお正月には必ず登場するそうですが、とにかく貝柱から出るだしが滋味深い……。
このお膳、本当に「干した魚介」のフルコースなんだなあ。
天ぷらは、揚げたてがやってきます。
身欠きにしんは冷たい水にさらして、柔らかくしたものをカリッと揚げてある。
こういう食べ方もするんですねー。
食事が終わったら、大正時代に建て替えられたままだという、歴史ある建物内を見学するのもオススメ。
2階の大広間や、2.26事件に絡んだ逸話のある「憂国の間」というお部屋も見学できます。
最高の「さくら肉」で地元民と地酒宴会!
そして、夜は隠れた名物・さくら肉(馬肉)を食べに居酒屋へ!
会津若松は、旧越後街道の交通の要衝として栄えた町。
多くの馬が人々の生活に密接に関わっており、馬のせり場があったことから馬肉を食べるようになったそうです。
向かったのは、会津若松駅から徒歩10分ほどの場所にある「盃爛処(はいらんしょ)」。
以前に訪れた際、その馬肉のクオリティと、現地でしか飲めない地酒の品ぞろえに感動したお店なのでした。
シブいたたずまいにひるまず、のれんをくぐれば、迎えてくれるのは店主のカズくん!
底抜けに明るい接客と豊富な地酒知識で、おひとりさまでも楽しく過ごせます。
カウンターの裏には、ずらりと冷蔵庫に並ぶ魅惑の日本酒たち。
好きな人なら、ずーっと眺めて飲める、すばらしい品ぞろえ!
まずは、オススメの「百十五」。
さっぱり軽めの飲み口で、確かに一杯目にぴったり。
「このお酒は、ホヤ酢に合うよ」とのことなので、さっそくオーダー。
ホヤは東北に来たら必ず食べるもののひとつ!
ふわふわ軽い食感と、ほどよい塩気がたまらない……。
会津に来たなら、地元を代表するお酒「会津娘」を飲みたい。
こちらは酒屋限定酒で、通常のものに比べ、オリ(沈殿物)が3倍入っているのだそう。
米の旨味をがっつり残し、濃厚でコクのある後味に……。
甘くないにごりって、ぐいぐい飲んじゃうわー。
来ました、さくら肉!
おろしにんにくをたっぷり入れたしょうゆでどうぞ。
馬肉の力強さをぐっと受け止めて、日本酒にもよく合います。
しっかりとした赤身で、水っぽさゼロ。
鉄の味がほとんどしない、シルキーな舌触りがすばらしいのです。
わーん、おかわりしたい!
さくら肉にもピッタリ合う生原酒タイプの地酒「会津中将」を!
これも東京では飲んだことないお酒だなあ。
地元にしか出回りづらいお酒がたくさんあるのが、日本酒の面白いところ。
そして、全国に飲みに行きたくなる理由ですよね。
「うちの馬ハラミ串もおいしいよ」だそうで、もちろん頼む。
しっとりやわらかで、刺し身とも違う、ほのかな脂がたまらんわー。
カウンターから見える焼き台では、しそで挟んだ焼きみそおにぎりがチリチリと焼けている!
隣の席のお客さん用ですが、うっとり眺めちゃうなあ。
さらに飲んでいると、地元のお客さんが入れ代わり立ち代わり……。
何度、予約なしのお客さんを断っていたことか。
行くと決めた方は、予約をオススメします!
結局この日は、近くの席の皆さんと、0時ごろまでワイワイ酒盛りに。
会津若松のさくら肉と地酒を堪能して、駅前のホテルで爆睡したのでした。
ローカルパン「クリームボックス」で、おやつタイム
スッキリ爽快に起きて、本日は福島方面へ。
まずは磐越西線で郡山駅まで戻ります。
目的地への乗り換え電車まで時間があるので、向かうは駅構内1階の「郡山おみやげ館」。
ここに、郡山っ子のソウルフード的おやつがあるらしい。
それがこちら、三万石で販売している「ロミオのクリームボックス」!
市内のいろいろなパン屋さんでオリジナル商品が売られているそうですが、ロミオのものが元祖とのこと。
食パンに濃厚なミルククリームが塗ってあり、素朴なおいしさ。
ありそうでない、不思議なパンだなあ……。
もちもちの極太麺がたまらない!「浪江焼きそば」
おやつを食べたら、JR東北本線で約25分のJR二本松駅へ。
お目当ては「浪江焼きそば」!
特注の極太麺を使った焼きそばだと聞いて、ずっと食べてみたかったのです。
駅からすぐの市民交流センター内に、目指すべき「杉乃家」はあります。
もとは海沿いの浪江町にあった食堂でしたが、震災をきっかけに避難を余儀なくされ、こちらに移ってきたのだそう。
のれんは、浪江町の頃から使っていたもの。老舗感!
店に入れば、壁には大きな「がんばろう!浪江 ありがとう二本松」の垂れ幕。
震災から6年がたつけれど、ここにいると、ついこの間のような気がするな。
それでも「浪江にいたときと同じ味のものを出していますよ」と話すのは、店主の芹川輝男さん。
浪江焼きそばの定義を聞いてみると、
「① 通常の中華麺より太い麺を使うこと ②具はもやしと豚肉 ③ソース味が基本」
とのこと。
さっそくいただきまーす!
ドーン!
大皿に盛られた焼きそばは、たしかに極太でもっちもち。
そして具は極めてシンプルなところが、麺の食感を引き立てます。
「店によって味に個性があるけど、うちの極太麺は手打ちの自家製。こだわっているのは、少し甘めに仕上げたブレンドソースかな」
やさしい味わいで、なかなかの量なのに、ぺろっといただけました!
卓上にある「七味にんにく」をかけて味変するのもオススメ。
憧れの「円盤餃子」は、パクパク食べられるあっさり味
夕方からは福島市に移動して、この旅のフィナーレとなるお店へ。
憧れの福島名物「円盤餃子」を食べるぞー!
福島市は、かつて満州から引き揚げた人が数多く住み、「満州で食べた味を」と店で餃子を出すようになったのが事の始まり。
「フライパンいっぱいに餃子を並べて焼けば、たくさん焼けて効率がいい」と丸く並べて焼いたところ、「円盤餃子」と呼ばれるようになったそう。
今では市内に10軒ほど、オリジナルの円盤餃子を出す店があるのです。
再び東北本線に乗り、JR福島駅へ。向かったのは駅から徒歩15分ほどの、発祥の店と名高い1953年創業「元祖円盤餃子 満腹」!
まだ夕方なので席がありましたが、開店から1時間もすれば、あっという間に行列ができるのだとか。
「餃子がなくなり次第終了なものの、予約は不可」というハードルの高さゆえ……!?
きゃーー! 会いたかったよ、円盤餃子!
もちろん、ビールとおしんこはマストです。
カリッと焼けた皮は薄いのにモチモチ。
2種類の粉を使って手で練り上げる、手作りの皮を使用しているのだそう。
餡は白菜がたっぷり入ったやさしい味で、軽くてあっさり。
これは、パクパク食べられちゃうなあ……。
店によって全然違うらしい円盤餃子、食べ比べたら楽しそう!
そんなわけで、2日間で駆け巡った福島の食いだおれ旅。
食べるほどに、「もっといろんな福島の食を知りたい!」と思うばかりでした。
さー、次は何を食べにこようかな!
スポット情報
三万石 郡山おみやげ館
住所:福島県郡山市燧田195
電話:024-923-1267
営業時間:8:00~20:00
定休日:なし
今回の旅の行程
【1日目】JR東京駅→JR郡山駅→JR会津若松駅→澁川問屋→盃爛処
【2日目】JR会津若松駅→JR郡山駅→郡山おみやげ館→JR二本松駅→杉乃家→JR福島駅→元祖円盤餃子 満腹→JR福島駅→JR東京駅
福島・会津若松市内JR+宿泊 大江戸温泉物語 あいづ
1泊2日/東京駅⇒会津若松駅・福島駅⇒東京駅/夕朝食付き
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