東京都内の学生街グルメ。最高のお店は最高に大盛りで最高すぎた
学生街というものがある。大学がある街のことで、特に大きい大学がある街では、学生が満足するようなお店が軒を連ねている。具体的に言うと、安くて大盛りの飲食店があるのだ。
もちろん学生にとって、そのようなお店はうれしいけれど、学生でなくても「安くて」「大盛り」はうれしい。今回はそんな街を歩き、安くて大盛りのグルメを堪能したいと思う。
早稲田の白富士
東京にはいくつもの学生街が存在する。社会人になった今となっては、この大学に通い、ここに住みたかったな、と思ったりもする。ただし、大学には通えないとしても、その街を堪能することはできる。
まずは早稲田大学である。通いたかった。これを書いている私も早稲田大学に通い、武蔵野のはずれにある英語教育で有名な大学の女学生と付き合いたかったのだ。完全に村上春樹の『ノルウェイの森』の影響だけれど。
私は早稲田大学には通えなかったので、いま早稲田を歩き満喫する。ここを歩く大学生っぽい若者は、おそらく難関である早稲田の学生だろう。どこか懐かしく感じる寮などもあり、今風の若者と時間の止まった建物を併せ持つ街になっている。
そんな早稲田にあるのが、早稲田駅から徒歩すぐの「キッチンオトボケ」だ。『ノルウェイの森』に出てくるお店ではないけれど、もし私が『胃袋の森』という小説を書いたら間違いなく出てくる。それくらいすごい盛りのお店なのだ。
上記の画像に、富士山のようなものが見えないだろうか。真っ白な富士山のようなものが。それは残念ながら富士山ではありません。白ご飯です。ジャンジャン焼定食大盛の白ご飯でございます。醤油ベースのタレで豚肉を炒めたもので、「醤」がジャンと読めるので、並べてジャンジャン焼と名付けたそう。
味も最高だ。甘辛くご飯が進む肉。もう次から次へと口に運んでしまう。肉の量も多い。若者にとって肉は正義だ。これを食べずに早稲田に来たとはいえない。決して脂っこくはなく、若者でなくてもいける。最高なのだ。
明治大学と古本街
次は神保町だ。早稲田駅からは東西線、都営新宿線と乗り継いで、10分ほどで神保町駅に到着する。
神保町といえば「古本街」というイメージが強いけれど(実際そうです)、明治大学や日本大学があるなど、学生街でもあるのだ。この近くにある大学に通っていれば、毎日が古本漬けだったと思う。
神保町は「時間泥棒」だ。一般的な本屋以上にいろんな本がそろっている。古本屋により、扱っているジャンルが異なるので、専門書の充実度がハンパないのだ。興味あるジャンルの古本屋に入ったら最後。日が暮れる。
料理、演劇、SF、文芸など、専門の古本屋があるのだ。私はSFが好きでして、特に「サンリオSF文庫」が好きでして、高くて買えないのだけれど、ずっと見てしまう。ちなみにサンリオSF文庫は、キティちゃんなどのキャラクターでお馴染みのサンリオが1978年から1987年にかけて刊行していたシリーズだ。
本当に日が暮れてしまった。晩ご飯にしようではないか。そこでオススメしたいのが、神保町駅から徒歩2分の「天丼いもや 二丁目天丼店」だ。メニューは天丼とえび天丼とおしんこの3つだけ。そして、大盛りは無料だ。そもそも安いのに、大盛りは無料。最高だ。
キス、エビ、カボチャ、イカ、ノリと、天ぷらのオールスターがご飯の上にのっている。しかも、揚げたてなので熱い。たっぷりとかかった甘辛いツユが天ぷらに絡み、ご飯になじみ、最高においしい。揚げたては正義だ。
※天丼いもや 二丁目天丼店は2018年3月に閉店しています。
立教大学の乱歩
天丼を食べたあとは神保町駅から半蔵門線、丸ノ内線で池袋駅まで移動。駅周辺のホテルでゆっくりと休み、次の日を迎えた。
池袋といえばサンシャインや乙女ロードなどを思い浮かべるが、立教大学のある学生街の一面も持つ。東京六大学野球連盟にも加盟しており、スポーツも盛んな大学だ。
オシャレである。歩いている学生もオシャレな気がした。大学には学生以外は基本的に立ち入り禁止だけれど、「立教大学江戸川乱歩記念大衆文化研究センター」は、水・金曜日の10時30分から16時まで一般公開されている。
江戸川乱歩といえば、『少年探偵団』や『D坂の殺人事件』など、有名な作品がたくさんある作家だ。ものすごい転居好きで、東京での住まいは26カ所にも及んだ。その26番目の住まいがここなのだ。ここで『少年探偵団』は生まれた。
「セントポール」は立教大学の通称のひとつ。その隣にあるお店だから「セントポールの隣り」なのだ。池袋駅西口からは徒歩5分。店内に入れば立教大学のサークルのチラシなどが貼られ、ここが学生に好まれているお店であることがわかる。
頼んだのは「白いカツ丼大盛り」。大盛りにすると、ご飯の量がほぼ倍になる。ちなみにこのお店は大学生男子基準なので、普通でも多い。そのため、通常の量の2/3のプチセットもあるほど。プチセットで、普通のお店の普通盛りかもしれない。
白いカツ丼は15年ほど前に、当時バイトしていた女子テニス部の学生が夏バテしていたことから生まれた一品。カツととろろ、ノリ、キムチ、温玉が、ご飯の上にのっている。確かに量は多いけど、ペロリといける。夏バテでも食べられることを考えての一品だからだろう。めちゃくちゃおいしい。
日本大学芸術学部と専門店
最後は「江古田」である。池袋駅からは西武池袋線で6分。日本大学の芸術学部や武蔵野音楽大学などがある場所だ。私は、日本大学芸術学部のキャンパスに憧れたことがある。ちなみに結果的には、武蔵野のはずれにある、英語教育で有名な大学の近くの大学に通ったけど。
音楽大学があるからだろう。江古田の商店街を歩いていると、楽器の入ったケースを持っている若者とすれ違う。芸術学部に音楽大学。芸術の街が江古田なのかもしれない。そんな場所にあるのだ、そこくるか! と思うような専門のお店が。
江古田駅から徒歩すぐのこのお店は「生姜焼き」の専門店で、メニューは基本的に生姜焼きのみ。ただ、生姜焼きに種類がある。「特製醤油ダレ」「味噌ダレ」「おろしポン酢」「塩ダレ」「ピリ辛ごまダレ」「カレー風味」「とんとろ」の7種類だ。今回は人気の「特製醤油ダレ」(580円)を頼んだ。
今回は普通を頼んだけれど、「大大セット」を頼めば、ご飯がおかわり自由になる。食欲旺盛な時期にはうれしい、無敵のスターのような存在だ。ちなみに生姜焼きを作る金田亮さんは、生姜焼き一筋だそう。プロだ。生姜焼きのプロだ。
特製のタレに生姜が効いている。炒め終わった後に、さらに生姜を足すらしく、生姜の風味も生きている。おいしい。これはおいしい。さすがに専門店だ。大学生にはもったいないとすら思えるおいしさだ。
生姜焼きにはマヨネーズがたまらなく合う、と私は思っていて、ここにももちろんマヨネーズがテーブルにスタンバッている。わかっている。さすがだ。生姜焼き好きにはたまらないお店だった。
学生街最高!!!
東京にある4つの学生街を回った。もしここに通っていたら――と思いながら歩くと、なおのこと楽しかった。これから通う人は、ワクワクもあるだろう。食事もやっぱりボリューミーでよかった。学生街に、また行きたくなった。もはや住もうかしら。
掲載情報は2020年1月17日更新時のものです。現在の内容と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。
今回の旅の行程
【1日目】早稲田駅→キッチンオトボケ→神保町駅→天丼いもや 二丁目天丼店→池袋駅
【2日目】立教大学江戸川乱歩記念大衆文化研究センター→セントポールの隣り→江古田駅→笑姜や