フォトグラファー・ライターの「もろんのん」です。今回の目的地は、新潟県村上市にある瀬波温泉。なんと「夕映えソムリエ」のいる宿があるそうです。
村上市は昔ながらの「町屋造り」が残る風景や鮭が有名と聞いているので、充実した1泊2日が過ごせそうでワクワクです。
JR東京駅からJR新潟駅まで、新幹線で約2時間。そこから羽越本線特急に乗り換えて約50分で、JR村上駅に到着しました。
村上駅から送迎バスで約10分、日本経済新聞・日経PLUS1で、「夕日の美しい宿・全国No.1」に選ばれたこともある、日本海の夕映えの宿「瀬波温泉 汐美荘」へ。天気の良い夕刻には、全客室から日本海に沈む素晴らしい夕日を見ることができます。
※汐美荘は2020年7月に「大江戸温泉物語 汐美荘」としてリニューアルオープンしています。
※リニューアルオープンに伴い、記事でご紹介している施設のサービス内容は現在変更となっています。
こちらは、宿の日本海側から見た景色です。
客室に入った瞬間、噂通り日本海が一望できて感動しました。
汐美荘には、夕日に関する解説を行う、夕映えのスペシャリスト「夕映えソムリエ」の渡辺正樹さんがいらっしゃいます。そこで、渡辺さんがおすすめする、汐美荘の夕日スポットベスト3をご紹介。
【BEST1】客室
客室でゆっくりしていると、だんだん日が傾いて、空がオレンジ色に染まってきました。こちらは日の入り25分前くらいの景色です。
ベランダから出ると目の前の海が一望できて、最高です!
【BEST2】廊下
海側の廊下から見る夕日も美しかったです。
【BEST3】ロビー
全面ガラス張りのロビーからは、椅子に座ったまま海と夕日を一望できます。
いよいよ、お待ちかねの汐美荘の名物、ロビーでの乾杯タイム。日没時刻10分ほど前になると、夕映えソムリエの渡辺さんが、夕映え解説を行います。時刻はロビーの案内板に書いてあるので、日の入りが何時になるのかをチェックしておきましょう。
渡辺さんが、夕映えにまつわるお話をしてくださいます。
光は、さまざまな色が混ざってできています。
夕日が赤く見えるのは、太陽が水平線上に沈むくらい遠くにあり、光の波長の最も長い赤い色だけが目に届くからだとか。
ちなみに、晴れていると、海に向かって左手には佐渡島が見えるのだそう。
日没時刻に近づくと、カクテル「夕映え」が配られます。ジンベースで、ザクロ風味のシロップ、グレナデンを加えたもの。お酒が苦手な人には、ぶどうジュースや地元名産の村上茶などもあります。
毎日、夕日が沈む時刻に乾杯をします。曇っていて沈む瞬間を肉眼で見られないときでも、太陽が水平線に消えるのを想像して乾杯するそう。
ほかのお客さんと一緒に同じ場所で、同じ時刻に、同じ体験をするという、忘れられないひと時になりました。
※2020年9月現在、夕映え解説は実施されていません。
乾杯の後は、温泉へ。露天風呂からは日本海が一望でき、ここからも夕日が見られます。露天風呂は源泉かけ流しで、体の芯まで温まりました。
温泉に入ってさっぱりした後は、ディナータイムです。
日没後のディナーは、通年の和食コース「日本海会席膳」をいただきました。
宿には備え付けの浴衣があるのですが、それとは別にプラス500円で、女性はカラフルな浴衣を選ぶことができます。せっかくなので、浴衣を着てみました。
料理のメインは新潟和牛すき鍋。村上の名物である鮭のつみれ汁も、珍しくておいしかったです。そして新潟といえば、お米ですよね。汐美荘でいただけるのは、釜炊き岩船産コシヒカリです。
そして新潟なので、大好きな日本酒も。越後地酒3本セットをいただきました。
※リニューアルオープンに伴い食事内容は変更になっています
ほろ酔い気分で1日目は終わり、ぐっすり寝て明日に備えます。
2日目は汐美荘から無料送迎バスで約10分の村上駅へ。駅からは市営のバスで約10分の町屋へ向かいます。
村上は、江戸時代に村上藩の城下町として栄えました。市内には町屋造りの建物が残り、タイムスリップをしたような街並みが広がります。
昔ながらの町屋造りの風情を感じるお店もたくさんあります。
まず向かったのは、伝統的な製法を守っている鮭の加工販売店「千年鮭 きっかわ」。村上の鮭料理には約1000年の歴史があり、100種類近い鮭料理が現代に伝えられています。
「千年鮭 きっかわ」では、化学調味料はもちろん、防腐剤などの添加物、酵母エキスなどを使いません。天然素材を使って手間暇かけてだしをとるなど、日本古来の調理方法を貫いているそうです。
このようにして、毎年冬に鮭を干して、発酵・熟成させているのだとか。この鮭は「鮭の酒びたし」という村上の代表的な珍味。鮭の香りと、その量に圧倒されます。
店内では、塩引鮭や鮭の酒びたしなどをお土産に購入できますよ。
重要文化財でもある、武家屋敷「若林家住宅」。「千年鮭 きっかわ」からは徒歩約3分の場所にあります。秋には紅葉がキレイなのだそう。
このお屋敷には、隠し部屋があるそうなので、ぜひ来た時にはどこにあるか探しながら見学してみてくださいね。
ランチは「千年鮭 井筒屋」で。先ほど訪問した「千年鮭 きっかわ」のお食事処で、徒歩2分ほどです。
こちらでは、村上の伝統的な鮭料理が楽しめます。2品の鮭茶漬けから、21品の御膳まであるのですが、私は今回いろいろな小鉢がついた「鮭料理 七品」を選びました。ご飯が炊き上がるまで30分程度かかるので、どんな鮭料理が出てくるのかワクワクしながら待ちました。
いよいよご飯が炊き上がり、料理が運ばれてきました。
お土産としても人気の「塩引鮭」。先ほど立ち寄った「千年鮭 きっかわ」でも一番人気のお土産だそうで、どんな味か気になっていたので、こちらでいただけてうれしかったです。鮭の塩味がほどよく旨味を引き出して、ご飯が進みます。
この中で一番気に入ったのは、3つの小皿の真ん中にある鮭の焼漬です。ちなみにほかの2つは、はらこの味噌漬けと鮭のかぶと煮です。
最後は、お茶漬けでいただきます。だしは、村上茶・生揚醤油・鰹節の3種類からとったもの。紅茶のような、少し甘い香りがしました。
町屋から村上駅までバスで戻ります。歩ける距離ですが、バスに乗れば5分くらい。バスの本数は少ないので、あらかじめ時間を調べておくと便利ですよ。
素敵な夕日と昔ながらの古き良き街並み、贅沢な鮭料理を満喫できた村上の旅。夕映えソムリエのお話を聞き、夕日を見ながら乾杯したあの時間は、夕日をていねいに見るという人生で初めての貴重な経験になりました。
掲載情報は2020年9月29日更新時のものです。現在の内容と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。
今回の旅の行程
【1日目】JR東京駅→JR新潟駅→JR村上駅→瀬波温泉 汐美荘
【2日目】村上駅→町屋→千年鮭きっかわ→若林家住宅→千年鮭 井筒屋→JR新潟駅→JR東京駅