北関東

【わたらせ渓谷鐵道】列車ファンなら絶対満足する、レトロ車両の旅

2019.05.21 北関東群馬
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みなさん、初めまして! フリーアナウンサーの久野知美です。ホリプロアナウンス室に所属し、列車が好きすぎる「女子鉄アナウンサー」としてテレビやラジオの情報・バラエティ番組、イベントなどに出演しています。

担当マネージャーは、びゅうたびでもお世話になっている南田裕介氏。列車好きのタッグで、私鉄の列車自動アナウンスのお仕事なども担当させていただいています。

さて! 今回は鉄分多めのローカル線の旅をすべく、群馬・栃木方面へ行ってきました。


【行程】


鉄分多めのローカル線旅へ!

やまびこ207号

旅のスタートは、JR東京駅! 10:12発のやまびこ207号で出発進行! E2系に揺られること約40分、小山駅で両毛線に乗り換えです。コトコトと211系でJR桐生駅へ。1時間ほどローカル線を味わったところで、到着しました。

わたらせ渓谷鐵道のトロッコ列車で出発進行

トロッコ列車と筆者

桐生駅からは、駅構内乗り換えで「わたらせ渓谷鐵道(以下、わ鉄)」に乗ることができます。ここからが初日のメインディッシュ。大人気のトロッコ列車に乗り込みます!

トロッコ列車は事前予約制。自由席になっているので、お目当ての席を狙うのでしたら時間に余裕をもってお出かけすることをおすすめします。

トロッコ整理券のほかに、もちろん乗車券も必要なので、一日中「わ鉄」を満喫したいなら「一日フリーきっぷ」が便利。

トロッコ列車の切符

車内には都心からの観光客をはじめ、外国の方の姿も。特に、桜と紅葉のトップシーズンは、早めの予約が必須です。私が訪れたときは、水沼駅周辺で桜のつぼみがほころんで、沿線に美しい彩りを添えていました!

筆者

トロッコ列車にはアテンダントさんも乗車し、沿線の概要や各駅の見どころなどを紹介してくれます。「まばたきをすると見逃してしまう小さな滝」など、ときにユーモアを交えながらの小気味よい沿線案内に、乗客の間からもクスクスと笑い声がこぼれます。

車窓から見える滝

まばたきをすると見逃してしまう小さな滝

お土産の車内販売も充実していてうれしい。私は早々にポップコーンとタブレットクッキーをゲット(笑)。

ポップコーンとタブレットクッキー

特急車両でランチ! 「列車のレストラン清流」へ

桐生駅から1時間ほどで「神戸(ごうど)駅」に到着。兵庫県の神戸(こうべ)と同じ漢字表記ですが、読み方も、駅の雰囲気もまるで異なるローカルな無人駅です。駅舎やプラットホームが国の登録有形文化財に指定されています。

神戸駅

無人駅ではあるものの、併設された「列車のレストラン清流」では名物駅弁などのお食事を楽しめるため、いつも多くの乗客が下車して、にぎわいをみせています。

列車のレストラン清流

列車のレストラン清流

列車のレストラン清流は、東武鉄道の元特急列車1720系デラックスロマンスカーの中間車2両を活用したお食事処となっています。2011年までは、まるで寝台列車のようにブルーに塗装されていましたが、現在は当時の姿に寄せた塗装に変更されています。

列車のレストラン清流の店内

列車のレストラン清流の店内

現在筆者は、東武鉄道の新型特急「リバティ」の車内自動アナウンスを担当させていただいているので、大先輩に会いにきたような気分です。

やまと豚弁当

こちらでいただくのは、大人気「やまと豚弁当」。レストランの厨房で、焼きたてのやまと豚をのせてくれるので、ホカホカあったかいのが特徴です♪ 手ぬぐい付きで税込1,100円だなんて、コスパも抜群! 全国でいろんな駅弁をいただいてきましたが、トップ10に入る美味しさ。自信を持っておすすめできます♪

足尾銅山でもトロッコ列車に乗車♪

おなかも満たされ、鉄分も補給できたところで、続いて通洞(つうどう)駅を目指し普通列車に乗り込みます!

約25分で通洞駅に到着。駅から「足尾銅山観光」までは、徒歩約5分。ここでは、日本の高度経済成長を支えた足尾銅山の歴史を学びながら、銅山の発展に欠かせなかった運搬用のトロッコ列車(観光用)に乗車可能! 鉄分もたっぷり味わえます(笑)。

足尾銅山観光

トロッコ列車

足尾銅山観光は、銅山閉山後の1980年に開設されました。観光坑道としてはかなり初期のもので、観光用に新設された914mmゲージという珍しいミニチュアタイプのトロッコ列車で坑内に案内してくれます。2001年にリニューアルされ、延長された軌道は、静岡県・大井川鐵道の井川線を彷彿とさせる、車体の下に付いた歯車とかみ合わせて急勾配の坂を登る仕組みである「ラックレール」が用いられています。

トロッコ列車内

坑道内は、トロッコから下車して徒歩でめぐります。足尾銅山を鉱脈として開発するまでの長い歴史が人形模型などと併せて展示され、スタッフさんによる解説もあり、詳しく歴史を学ぶことができます。

足尾銅山観光

江戸時代から明治、大正、昭和と順に展示をたどると、いかに掘削作業・運搬作業に悩まされたかが見て取れます。トロッコによる貨物輸送が可能になってからは、加速度的に銅の採掘が進んだとのことで、ここでも鉄道輸送のパワーを知ることになりました。

奥の資料館にはシアターがあり、映像解説や使われていた貨車の展示、実際に採掘された銅以外の鉱物も見られます。大人の社会科見学として、列車好きならずとも見どころが盛りだくさんです!

駅直結! 「水沼駅温泉センター」でリラックス

学びを得たところで、そろそろ日が傾いてきました。ここでまっすぐお宿へ! といきたいところですが、わたらせ渓谷鐵道の水沼駅直結、「水沼駅温泉センター」で汗を流してから宿へ向かうことにしましょう♪

水沼駅温泉センター

通洞駅から上り列車に乗って約40分。本日の最終目的地・水沼駅には、日帰り温泉施設「水沼駅温泉センター」があります。駅直結の足湯は全国に数あれど、温泉施設そのものがあるのは非常に珍しい!

センター内には、施設の上流にある渡良瀬川「釜が淵の河童伝説」にちなんで名付けられた「かっぱ風呂」などがあります。お湯は、赤城山東麓を流れる猿川沿いの「猿川温泉」から引いたもの。さらっとした熱めの温泉に身を委ねれば、心も体もリフレッシュ。屋内浴場に加えて、露天風呂もありますよ。

露天風呂

さ、ひと呼吸置いたところで、本日最後の「わ鉄」旅で桐生駅へ。
今夜はここからタクシーで15分ほどの温泉宿に宿泊します。明日に備えて早めにおやすみなさい。

上毛電気鉄道・大胡駅で車庫見学!!

2日目は少し足を延ばして、上毛電気鉄道の乗り鉄旅へ出かけます! 桐生駅から徒歩9分ほどで、趣のある特徴的な駅舎の西桐生駅が見えてきます。女子鉄好みでフォトジェニックな駅舎は、マンサード屋根と呼ばれる建築様式が特徴の洋風駅舎です。

西桐生駅

上毛電気鉄道は、旧京王3000系列車を中心に譲渡車両が現役で活躍していることで知られています。古くから列車内に自転車を解体せずに持ち込むことができる「サイクルトレイン」の導入に取り組んだり、運転体験を実施したりと、列車関連イベントの先駆けとしても有名な鉄道会社です。

上毛電気鉄道

今回は運良く、今年から走り始めたデコトレイン「桐生織物号」に乗車できました! 西桐生が最寄り駅で、婦人服地の生産と一部製品を製造する「株式会社ミタショー」とコラボした列車で、「春をテーマに、桜の花びらが空から舞い降りてくる様子」をイメージして飾り付けされています。ワインレッドのロングシートと桜モチーフの飾り付けで、とてもおしゃれな空間に。

上毛電気鉄道の車内

運行は 2019年4月末日までとのことですが、好評なら来年も実施されるかも!?  こうした形で、地元の特産品である桐生織物を広める取り組み、素敵です!

※編集部注:2021年4月現在は春の風物「桜」を飾り付けた桜電車が運行しています。

大胡駅

2日目の目玉! 西桐生駅から約35分の大胡(おおご)駅にやってきました♪ なんと、上毛電気鉄道・大胡駅西側の大胡電車庫では、入場料相当分(170円)の見学料だけで車庫見学ができてしまうのです。(要予約)

※編集部注:2021年4月現在は、見学を中止しています。

案内役は、現役で働かれている列車区検修のヤマモトさん。1928年、上毛電気鉄道誕生の時から沿線を支え続けてきたデハ101をはじめ、昔の機械工作室などが見学できます。デハ101があれば、お願いして運転台にも乗せていただけちゃいます!!

車庫見学

デハ101の後継に当たるビビッドなイエローカラーのデハ104には、通勤列車として大活躍した歴史が。ピーク時はなんと推定乗車率が300%! を超え、駅で乗客を乗せきれなかった、いわゆる「積み残し」の歴史もあるそうです。

保線用に使われる軌道自転車

保線用に使われる軌道自転車にまたがりました!

私が乗っているのは、保線用に使われる軌道自転車。乗車体験のアトラクションは、車庫見学や年始のお祭りの際に行われるとのことですが、とにかくお子様に大人気! とはいえ、我々大人でも夢中で楽しめます(笑)。

30分ほどの車庫見学を大満喫したあとは、大胡駅から約20分の赤城駅まで戻り、遅めの昼食を。

赤城駅ホーム

赤城駅から、わ鉄の大間々駅までは徒歩15分ほど。鉄分たっぷりの2日間の旅も、間もなく終着駅。週明けのお仕事に備えて、早めに帰路に就くことにします。

大間々駅

最後の乗り鉄は、もちろん「わ鉄」。大間々駅から約15分、桐生駅へ戻ります。昨日乗車したトロッコ列車でなくとも、タイミングが合えばアテンダントさんが乗り合わせて車内販売を行ってくれるのが「わ鉄」のいいところ。自分へのお土産として、桐生織のポーチを購入。まだまだ名残惜しいけれど、これで心おきなく東京に帰れます。

車内販売

鉄分あふれる列車旅! お楽しみいただけましたか?
みなさんもぜひ、この週末にお出かけしてみてくださいね♪

両毛線


掲載情報は2021年4月21日更新時のものです。現在の内容と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。

今回の旅の行程

【1日目】 JR東京駅→ 小山駅→ 桐生駅→わたらせ渓谷鐵道(トロッコ)→神戸駅(列車のレストラン清流)→通洞駅(足尾銅山観光)→水沼駅(水沼駅温泉センター)→桐生駅(宿泊)

【2日目】桐生駅→西桐生駅→大胡駅(車庫見学)→赤城駅→大間々駅→桐生駅→小山駅→JR 東京駅

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この記事を書いた人

久野知美

フリーアナウンサー・女子鉄。鉄道好きが高じ、テレビ朝日系「タモリ倶楽部」はじめ、鉄道関連のテレビ、ラジオ、イベントに多数出演。鉄道会社の車内自動アナウンスも担当。 現在は、テレビ東京「なないろ日和!」「よじごじDays」、BS日テレ「友近・礼二の妄想トレイン」、BSフジ「鉄道伝説」シリーズ、「Let’s トレ活!」などに出演中!2022年8月、5冊目の著書『東急電鉄とファン大研究読本』(カンゼン)を刊行。
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