小海線に乗って信州の寺社めぐり。鉄道最高地点神社&御朱印も!
今回の列車旅ポイント
- 鉄道最高地点神社
- 小海線から見える車窓
- JRの路線の中で最も標高の高い1,375mの地点
こんにちは。御朱印大好きライターの井口エリです。
東京からそう遠くない場所で、ローカル列車に乗って旅気分を味わえる。その列車は、JRの路線の中でも一番標高が高い1,375mという「天空に近い」場所を走っている……。さらに沿線で寺社を参拝して、御朱印を頂ける……。そんな夢のような列車へ乗るために、山梨県のJR小淵沢駅へ向かいました!
前置きが長くなりましたが、今回乗車する列車の名前は「小海(こうみ)線」。「八ヶ岳高原線」の愛称でも親しまれている、小淵沢駅(山梨県北杜市)からJR小諸駅(長野県小諸市)までの全長78.9 kmを結ぶ列車です。
JR新宿駅
特急あずさの新型車両で山梨ヘ
まずは新宿駅からスタートです。乗ろうと思っていた新宿8時発松本行き列車が、特急あずさの新型車両でした。幸先がいい~!
今回は、こちらの御朱印帳(豊川稲荷東京別院の夏季限定の金魚柄)と一緒に旅をします。
新宿、立川、大月、甲府とだんだん東京から離れるにつれ、車窓の景色も緑が多くなっていきます。流れる景色を眺めていると、旅情をかきたてられる……。
小淵沢駅
極楽浄土のように美しい寺へ!
新宿駅から1時間53分で小淵沢駅に到着。こちらで小海線に乗り換えるわけですが、その前に立ち寄りたい場所があります。小淵沢駅で途中下車し、駅前からタクシーに揺られて約5分。
う、美しい……。八ヶ岳南麓の豊かな自然に包まれて佇む「曹洞宗 淵嶽山(えんがくさん) 高福寺」に到着しました。手入れの行き届いた庭園には花が揺れていて、まるで極楽浄土のような美しさ。
高福寺境内には「108のしあわせの鐘」があります。こちらは過去・現在・未来にわたる心の苦しみを救い、すべての人がしあわせになることを願って造立されたもの。鐘の音が心に静寂を与えてくれる……。
鐘を撞く木槌は貸し出してくれるほか、小さな木槌のお守りもあります。か、かわいい……!
108というのは煩悩の数と同じです。しあわせを願いつつ、心を込めてずらりと並ぶ鐘をつきました。ひとつひとつの鐘の音色が体に染みわたるようです……はあ、癒される。
本殿参拝後、御朱印をいただきました。御朱印に書いていただいた「無量壽佛(むりょうじゅぶつ)」とはこちらのご本尊である阿弥陀如来の異名です。住職さんに書いていただいた御朱印、達筆でとってもかっこいいです。
小淵沢駅
緑の中を走る小海線で旅情にひたる
さて、改めて小海線の小諸行きに乗車し、JR野辺山(のべやま)駅を目指します。ちなみに、小海線は1~2時間に1本の間隔で運行しているので、乗車の際は事前にしっかり時刻表を調べておくことをおすすめします。
レトロでかわいい列車の中はこんな感じ! ボックス席っていいですよね……。旅気分がさらに盛り上がります。
都会生活では決して見ることができない車窓からの風景、額縁に入れて飾りたい気分です。景色を眺めながら「ここに生まれていたら、どんな人生を送っていたんだろう」と妄想してしまいました。生まれる場所や環境が違えば人生も変わっていたと思うので、あらゆる可能性の先の自分を集めて、一緒にランチをしてみたいものです。
野辺山駅
スカイツリー超え!?日本一標高の高いJR駅
ちょっとセンチメンタルな気持ちにひたっているうちに、目的の野辺山駅に到着しました。こちらの駅の標高は1,345mと、JRの駅では日本一高い地点です。ちなみに最高標高地点 の1,375mは隣駅のJR清里駅との間にあります。
野辺山駅駅舎です。現存する自立式電波塔の中で世界一高い東京スカイツリーが634mなので、野辺山駅の標高はスカイツリーよりもずっと高いんです。
そんな野辺山駅周辺には「鉄道最高地点」として、ちょっと変わったスポットがあります。駅前からタクシーで向かいます。
鉄道最高地点神社
ご神体はレール! 鉄道ファン必見の神社
駅前からタクシーで約5分。着いたのはこちら、「鉄道最高地点神社」です。2005年に「JR最高地点を愛する会」によって建立された神社で、神社のシンボルは車輪。八ヶ岳高原を走ったC56型蒸気機関車の主動輪が使われています。
鉄道最高地点神社のご神体は、実際に活躍したレールです。標高の数字が「ひとみなこうふく」「ひとみなごうかく」と読めることもあり、境内には幸福や合格を祈願する絵馬がたくさん見られました。
鉄道最高地点神社の絵馬は、近くの「レストラン最高地点」で手に入ります。レストランはお土産物屋併設となっており地元のものも手に入るし、何よりもおそばとケーキが絶品なのでぜひ寄っておきたい!
レストラン最高地点
鉄道最高地点で絶品おそばとケーキを堪能!
鉄道最高地点神社の目の前にあるログハウスが「レストラン最高地点」。こちらのお店では、店主こだわりの絶品おそばやケーキが楽しめるのです。そば屋さんなのにケーキ!?
店内の窓からは八ヶ岳の雄大な自然が広がり、ログハウスの店内は温かみがあって雰囲気も最高です。この空間で食べるおそばとは……!
おすすめを伺って注文したのがこちら。野菜天もりそばです。取材時の野菜はカボチャ、ナス、ウド、クサフジ、コシアブラでした。この辺りの山で採れた山菜も使用しているので、その時々によって内容が変わります! コシアブラやクサフジの天ぷらははじめてでしたが、とてもおいしかったです。東京ではなかなか食べられないんだろうなぁ……。
そしておそば! 時期に合わせて、店主が一番いいと思うそば粉を使用して作っているという、こだわりのおそばはコシが強く、うまみをギュッと感じられます。地元の人に愛されているのもうなずける絶品おそばでした。
そば屋なのにケーキ! 店主の娘さんが地元の食材を使って手作りしたケーキがまたおいしいのです。チーズケーキに目が無い私は「ベイクドチーズ」をチョイス。どしっとチーズの香りを感じられるチーズケーキは、濃厚なのに口当たりが軽くていくらでも食べられてしまいそうです。しっとりサクサクのパイの食感も楽しくて、最後のひと口までおいしく頂けます。
再びタクシーにて7分ほど、清里駅へ向かいます。本日は、清里にて宿泊。
千ヶ滝
駅から徒歩で行ける名滝へ!
朝9時前の清里駅へやってきました。この時間はまだお店もオープンしておらず静かです。列車が出るまでにもまだ時間があるので、ちょっと滝を見に行ってみたいと思います。徒歩で!
向かう「千ヶ滝」は清里駅からは約1kmという距離ですが、坂もあり、車どおりも多い道です。市の観光協会のサイトなどでは清里駅から徒歩約15分となっていますが、5~10分程度余裕をもたせていくのがおすすめです。
千ヶ滝の案内が見えたらあともう少し。ペンションの駐車場を通り、滝へ行く山道に入っていきます。足元の悪い中を進むので、ヒールなどは避けて歩きやすい靴で行くことを推奨します。
ち、近い! 想像以上に滝まで近寄ることができて驚きました。それこそ水しぶきが顔に掛かってくる距離感です。滝は水量も多くて迫力があります。
千ヶ滝は、大滝、宮詞の滝とならぶ「大門川三滝」のひとつで、落差・幅ともに約20mという分岐瀑(※)です。そんな立派な滝が、駅から歩ける距離感で拝めるなんて……! マイナスイオンをたっぷり浴びて、とってもリラックスできました。
※編集部注:途中岩に当たって、分かれて流れ落ちる滝のこと
清里駅
ローカル線・小海線に乗って約2時間の列車旅
清里駅まで戻り、清里駅から小海線終点のJR小諸駅までは1時間53分の列車旅。のんびり向かおうと思います。
車窓からの景色、緑・緑・水・空・緑・緑……ひたすら緑色です。ただただ2時間、景色を眺めてぼうっとすることなんてないので、新鮮な気持ち。
そんな景色の中に、自分の知らない誰かの生活がある。当たり前のことなんだけど、なんだか少し不思議な気分です。飛行機から東京の夜景を見た時、「このひとつひとつが人の生活している光なんだな」と不思議な気持ちになったことがありますが、ちょっとそれと似たような感じ。この辺りは「星空スポット」として有名なくらいに夜は真っ暗ですけど。
小諸駅
小海線終点は長野県小諸市・小諸駅
小海線終点の小諸駅に到着。いつのまにか長野県に来ていました。流れる景色を眺めていたら列車での約2時間はあっという間でした。小海線が山手線のようにぐるぐる回ることができる列車だったら2〜3周したいぐらいですが、列車の間隔を考えると確実に家まで辿り着かなそう。
小諸駅からタクシーで10分ほどで、「布引観音」の入り口に到着しました。こちらは信濃四大伝説のひとつ、布引観世音菩薩が牛と化して老婆を善光寺の阿弥陀如来のもとまで導いたと伝えられる、「牛に引かれて善光寺参り」という伝説の舞台にもなっています。
お寺までは山道を約20分登ります。
参道である山道には信徒の方が安置したお地蔵さまや石仏があったり、善光寺と繋がっているといわれる「善光寺穴」があったりと、見どころが多くて楽しく登ることができます。
約20分かけて、ようやく頂上へ。お寺に到着しました。こちらでは、参拝の前に御朱印帳を預けるように案内がされているので、まず御朱印帳を預けて、観音堂へ。
岩山の崖に築かれた観音堂はまるで浮いているようで、とってもかっこいい……! 観音堂宮殿は鎌倉前期に建造されたもので、国の重要文化財にも指定されています。山道は大変だったけどこれを自分の目で見られて本当によかったです。頑張った甲斐があったなぁ……!
観音堂内には立ち入ることができますが、柵が低いのでめちゃくちゃ怖い。下を見ると足がすくみますが、目の前に広がる美しい景色はすごい。善光寺までは約60km離れていますが、見えちゃうんじゃないかってぐらいに遠くまで見渡せます。
お寺に戻って、釈尊寺の御朱印をいただきました。険しい山道を登り切って、美しい観音堂に参拝して、御朱印をいただいて……って達成感がすごい。春は桜、秋は紅葉の名所でもあります。もちろん、緑あふれる初夏の観音堂もすごくよかったです。帰りは電話でタクシーを呼んで小諸駅へと向かいました。
小諸駅
軽井沢駅経由で帰京
東京に帰るまで列車旅は続く。小諸駅から軽井沢駅へは真っ赤な車両がかわいい「しなの鉄道」で向かいます。しなの鉄道は私がはじめて体験するタイプの列車でした。
というのも、私が乗った車両は手で開けるタイプのドアでした。ボタンを押して開閉するタイプは珍しくないけど手動ははじめて! こうした手動のドアは寒い地域でよく見られるそうですね。
軽井沢駅まで約30分、最後までローカル列車の旅を楽しむことができました。
JR軽井沢駅から北陸新幹線でJR大宮駅まで約50分、さらに湘南新宿ラインで新宿へ戻ります。
調べなくてもすぐに列車に乗車できる都会と違い、その列車を逃すと1時間2時間待つ必要が生まれてしまうローカル線の旅では、事前に交通手段や時間をしっかり調べておくことが必須です。それさえきちんとしておけば、今まで見たことがないような景色に出合えるはず。ローカル線の旅、最高~!
掲載情報は2019年8月15日配信時のものです。現在の内容と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。
新宿駅
スポット情報
レストラン最高地点
住所:長野県南佐久郡南牧村野辺山214-32
営業時間:午前11時〜午後6時位(おそばが終わり次第終了)
定休日:火曜定休、夏期は無休
スポット情報
鉄道最高地点神社
鎮座地:長野県南佐久郡南牧村野辺山214−34
営業時間:なし(参拝はいつでも可能)
今回の旅の行程
【1日目】新宿駅→小淵沢駅→淵嶽山 高福寺→野辺山駅→鉄道最高地点神社→レストラン最高地点→清里駅→宿
【2日目】宿→千ヶ滝→清里駅→小諸駅→布引観音→小諸駅→軽井沢駅→新宿駅