今回の列車旅ポイント
ご乗車ありがとうございます。鉄道大好き芸人ダーリンハニー吉川正洋です。今回は、福島県を走る会津鉄道の旅に行ってきました。会津鉄道は自然の爽やかさを感じられて、有名な観光地や鉄道ファンにはたまらないスポットもある見どころ満載の路線です。さっそく発車しましょう!
JR東京駅から新幹線に乗って約1時間半でJR郡山駅へ。私が乗ったのは東北新幹線「やまびこ・仙台行き」と山形新幹線「つばさ・山形行き」が連結された新幹線。
2つの新幹線は郡山駅の先のJR福島駅で切り離され、それぞれの行き先へ向かいます。郡山駅、もしくは手前の駅までの場合はどちらに乗っても大丈夫。「車両を選べる楽しみ」があるのは嬉しい!
磐越西線は福島県の郡山駅から新潟県のJR新津駅を結んでいる路線です。車窓の注目ポイントは進行方向左手に見える旧中山宿駅のスイッチバック跡、そして猪苗代湖(どちらも一瞬なのでご注意を!)。
JR猪苗代駅からは右手にご注目。日本百名山にも選ばれている福島県のシンボル「磐梯山」がどーんと見えてきます。
磐梯山を眺めた後はぜひ「カーブ」を味わってください。JR翁島駅を出ると列車はクネクネと曲がりながらJR会津若松駅に向かいます。
この区間はかなりの高低差があり、直線で線路を敷くと急勾配になってしまうため、あえてカーブをつくっているんです。ぜひ先人の知恵を左右の揺れで体感してみてください!
磐越西線に揺られること約1時間20分で会津若松駅に到着。時間はそろそろお昼時。徒歩15分ほどの場所にある料理旅館「田事(たごと)」さんに行くことにしました。
こちらは宿泊もできるお食事処。
私は「めっぱめし」をメインに、会津料理を一度に味わえるという「会津おもてなし膳」を注文!
会津地方では農作業や山仕事の時に「曲げわっぱ」を弁当箱にする風習があったそう。それが「めっぱめし」のルーツです。私は、白魚(しらす)のめっぱめしをいただきましたが、ふっくらご飯&しらすの塩気&味を引き立てる大葉が連結していて美味しい!
そしてお祝いの席で出されるという「こづゆ」も絶品! 乾物のホタテの貝柱で贅沢にダシを取っていて、そこに豆麩や野菜など七種の具材が入っているお吸い物です。さらにどれも主役級の「みそ田楽」「ニシンの山椒漬け」「ぼうたらの煮物」もついていて大満足!
着いて早々、会津にもてなしていただきました。
会津若松駅に戻り、「快速AIZUマウントエクスプレス」に乗車。会津鉄道の塔のへつり駅に向かいます。
「快速AIZUマウントエクスプレス」の座席は特急ばりのフカフカなクロスシートですが、なんと追加料金はなし! これはうれしいサービスです。贅沢なシートに座りながら見える景色もまた格別。門田(もんでん)駅〜あまや駅は、まっすぐ延びる線路&農地&遠くに見える山々が美しい。
徐々に山深くなってくると、「芦ノ牧温泉南」のように「温泉」の名の付く駅や、「大川ダム公園」という秘境駅チックな駅も現れます。大自然、名駅舎、落ち着く景色。これもまた会津のおもてなしですね。
まもなく塔のへつり駅です。
会津若松駅から43分乗車して塔のへつり駅に到着しました。駅から350mほど歩いたところに、国の天然記念物にも指定されている「塔のへつり」はあります。「へつり」とは「険しい崖」を意味するそうで、その崖が塔のように並んでいるので「塔のへつり」との名が付いたとのこと。
侵食と風化によって生まれた不思議な崖の連なりを眺めていると、「時間とは?」「自然とは?」「人間とは?」とテーマがどんどん大きくなっていって、想像力も豊かになってくる気がします。
秋は紅葉と塔のへつり、冬は雪景色と塔のへつり。
塔のへつりは駅からのアクセスもいいので、ぜひみなさまも塔のへつりへ!
(思わず「へつり」を連呼したくなるのも、塔のへつりの魅力)
それではまた会津若松方面に戻りましょう。
塔のへつり駅から列車に揺られて約25分ほど。着いたのは芦ノ牧温泉駅。駅舎は翌日じっくり堪能するとしましょう。ここからは送迎バスに乗って約10分。本日の宿「大川荘」へ。
渓谷にたたずむ大川荘は「非日常」をとことん感じられるお宿です。
玄関を入ると吹き抜けの大きな空間が広がり、下を見ると「浮き舞台」と呼ばれるステージがあります。16時からはここで三味線の演奏も始まります。なんでしょう、この異空間は。
しばらく聞き惚れていると、私の近くにいた少年が思わず呟きました。
「本当に無限城にそっくりだ……」
我が家の子どもたちも大ハマりした『鬼滅の刃』。無限城は鬼の黒幕「鬼舞辻無惨」の本拠地でしたね。大川荘をモデルにして描かれたかは定かではありませんが、SNSで話題になり、鬼滅ファンの方々が多く宿泊するそうです。
非日常はまだまだ続きます。
川のせせらぎ、森の匂い、「だんだん」になっている棚田風湯舟の露天風呂。渓流沿いに建っているお宿だけあってまさしく絶景の温泉です。
すっかり大川荘の虜になった私。
いつか鬼滅ファンの子どもたちも連れてこよう。この日は落ち着く和室でゆっくりと休みました。
翌日。再び芦ノ牧温泉駅にやってきました。
芦ノ牧温泉駅は「ねこ駅長」で有名な駅です。(※)初代はご長寿あっぱれ名誉駅長の「ばす」さん。私も何度かお会いしましたが残念ながら2016年にお亡くなりになってからは、「らぶ」さん(二代目名誉駅長)、「さくら」さん(アテンダント)がマイペースでお勤め中。2020年に退職された「ぴーち」さん(施設長)は、ご自宅でのんびりされているそう。
この日は「らぶ」さんが駅務室で気持ちよさそうに寝ていました。これも立派なお勤めです。
編集部注:病気療養中であった「らぶ」さんは2022年10月5日に永眠しました。たくさんの思い出や癒やしをありがとうございました。
ねこ駅長さんに癒やされた後は、外に出て「アレ」をやりましょう!
アレとは会津鉄道の全区間を運転できちゃうシミュレータ! 実際の車両の運転台を使っているところが素晴らしいです!
運営する「会津気動車愛好会」の方によると、この運転シミュレータ目当てに芦ノ牧温泉駅へ来る方もいるのだそう。わかりますねぇ。これは、正直ハマります! 一日中やっていたい!
最後は会津下郷駅にやってきました。
芦ノ牧温泉駅から約30分で到着。あたたかみのある駅舎がいい味を出してます。1934年に開業した際には「楢原(ならはら)」という駅名でしたが、1987年にJRから会津鉄道に移管された際に「会津下郷」という駅名になりました。
駅の中はリニューアルされていて「駅カフェ しもごう」というお店が入っています。
名物「ますバーガー」は下郷町にある養鱒公園でニジマスを養殖していることから誕生したご当地バーガー。マスのフライはサクサクとしていて、「えごま」を練り込んだパンとよく合います。「花豆パイ」も地元で採れた花豆を使ってつくったもの。素朴な甘さがローカル線にぴったり。そしてなんといっても駅舎の中で食べるご飯はやっぱり美味しいですね!
満足満足。今回はこのあたりで終点にして東京に帰りましょう。
会津の景色、食、温泉を堪能した2日間でした。
旅をして、ますます会津が好きになりましたよ!(ますバーガーの影響?)
掲載情報は2021年9月22日配信時のものです。現在の内容と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。
今回の旅の行程
【1日目】JR東京駅→JR郡山駅→JR会津若松駅→料理旅館「田事」→JR会津若松駅→塔のへつり駅→塔のへつり→塔のへつり駅→芦ノ牧温泉駅→大川荘
【2日目】大川荘 →芦ノ牧温泉駅→会津下郷駅→JR会津若松駅→JR郡山駅→JR東京駅