今回の列車旅ポイント
東京のレトロなおでかけスポットを紹介するWebマガジン「てくてくレトロ」を運営している、レトロ好きライターの中村英里です。
浅草出身ということもあり、昭和レトロな純喫茶や昔ながらの街並みが残る下町が大好きな私、今回は1泊2日の昭和レトロ旅へ!
2021年のリニューアルで大きな話題を呼んだ「西武園ゆうえんち」や、昭和レトロなムード漂う「JR上野駅〜JR日暮里駅」近辺の散策を楽しんできました。
1日目は「西武園ゆうえんち」から!
JR東京駅から中央線で約40分のJR国分寺駅へ行き、西武鉄道多摩湖線に乗り換えて約20分乗車し多摩湖駅へ。そこから西武鉄道山口線に乗って約1分の西武園ゆうえんち駅で下車すると、すぐ目の前に西武園ゆうえんちがあります。
1950年(昭和25年)に開業した西武園ゆうえんちは、「心あたたまる幸福感に包まれる世界」をコンセプトに、2021年5月にリニューアル。園内では、昭和レトロな雰囲気を味わえます。
入ってすぐに目に飛び込んできたのは、「夕日の丘商店街」。
「あれ、遊園地のゲートくぐったよね?」と一瞬混乱しそうなくらい、リアル感のある商店街です。
散策の前に、西武園ゆうえんちのマストアイテム「西武園通貨」をゲットすることに。
西武園通貨は、西武園ゆうえんち内だけで使える通貨。10園(10せいぶえん)=120円です。入口外のチケット売り場か、園内の夕日丘郵便局で購入できます(発行当日限り有効)。
西武園通貨を無事ゲットして商店街をぷらぷらしていると、お客さんに話しかけている2人組を発見。
右の男性は紙芝居屋さん、そして左の女性は「喫茶ビクトリヤ」の看板娘であり、商店街のマドンナのかおるちゃんです。
西武園ゆうえんちでは、商店街の人々がふらりと現れて、お客さんに気さくに声をかけてくれます。昭和の商店街では、こんな光景が当たり前のように見られたんでしょうね。古き良き昭和のあたたかさを感じました。
西武園ゆうえんちに来たら絶対に見たい! と思っていたのが、夕日の丘商店街名物の「ブギウギ祭」。商店街の住人が大集合してお祭り騒ぎを繰り広げるショーです。
車の上で、かおるちゃんが歌って踊って観客たちを盛り上げます。お客さんと商店街の住人が一緒になって楽しむ、このライブ感がたまらない!
商店街を見てまわっていて、個人的にグッときたポイントは細部へのこだわり。
洗濯物が干してあったり、昭和のネズミ捕り器が店頭に並んでいたり……。随所に散りばめられている細かいこだわりが、リアルな昭和感につながっているんですね。
ショーを楽しんだあとは、「喫茶ビクトリヤ」へ。
ザ・昭和の喫茶店、というたたずまい。入口上のステンドグラスが洒落てる!
店内の本棚には、少女まんが雑誌『りぼん』の昔の号が。昭和レトロな純喫茶には漫画や新聞が置いてあることが多いですが、スマホがなかった時代の時間潰しアイテムだったんでしょうね。
スパゲッティ・ナポレターナとゼリイポンチをいただきました。
スパゲッティ・ナポレターナは、もちもち太麺が食べ応えあり! デミグラスに特製ケチャップソース、隠し味にはバターを使っています。本格的な味わいでおいしかった!
ゼリイポンチには、丹沢山系の天然水からつくられた「丹沢サイダー」が使われています。下に沈むフルーツゼリーがまるで宝石のような美しさ。もちろん見た目だけではなく、味も絶品でした!
夕日の丘商店街を抜けた先には、アトラクションのエリアが広がっています。
「大観覧車」や「メリーゴーラウンド」など、昔懐かしのアトラクションがたくさん! 園内が広いので、人が多くてもゆったりとまわることができます。
2021年のリニューアルで新設された、「レッツゴー!レオランド」へ。手塚治虫作品に登場するキャラクターのアトラクションが楽しめるエリアです。お目当ては、「レオとライヤの夕日列車」。
夕日列車に乗って、行方不明になった『ジャングル大帝』に登場するレオとライヤを捜索する、というストーリー仕立てのアトラクションです。レオとライヤがかわいくて、ほっこり。
西武園ゆうえんちに来たのは初めてでしたが、どこかほっとするような懐かしさを感じるのは、小さい頃に家族で行った遊園地の記憶がよみがえるからでしょうか。昭和を体験したことのない世代にも、ぜひ行ってみていただきたい!
帰りは、再び国分寺駅を経由して東京駅へ。山手線に乗り換えて上野駅に行き、駅近くのホテルで宿泊。昭和レトロ旅、2日目に向けてゆっくり休みました。
昭和レトロ旅2日目は上野駅からスタート!
現在の上野駅駅舎は、関東大震災で焼失した後、1932年(昭和7年)につくられたそうです。昭和の雰囲気漂う駅舎を眺めながら最初に向かったのは、駅から徒歩5分ほどの場所にある「古城」。1963年(昭和38年)創業の純喫茶です。
ステンドグラスとシャンデリアがきらめく古城の入口。見下ろすと、地下へと続く階段がありました。朝らしからぬ、なんともムーディーな雰囲気……。期待半分、緊張半分で階段を下りていきます。
入口が小さく一見入りにくいものの、店内に一歩入ればステンドグラスに石造りの壁、シャンデリア……と豪華絢爛な空間が広がり、圧倒されます。地下のお店ですが、天井が高くて店内が明るいので、圧迫感がありません。
ハムエッグのモーニングセットをいただきました。昭和のサラリーマンたちは、こんな素敵な空間で出勤前にモーニングを食べたりしていたのでしょうか。羨ましい!
古城の店内デザインは、現オーナーのお父さまが手がけたそう。「本物」にこだわって内装をつくり込み、壁には本物の大理石を使っています。
食後にクリームソーダも堪能。ステンドグラスを眺めながらゆったり過ごすひととき、最高でした。
古城を出たあとは、日暮里駅方面へ歩いて20分ほどの場所にある「国立国会図書館 国際子ども図書館」へ。
明治39年に帝国図書館として建てられ、現在は国立の児童書専門図書館として運営されています。
ルネサンス様式の明治期建築を間近で見られ、児童書に関する展示もあります。しかも、国立の図書館なので入館料は無料!
明治の建物なので、今回の旅のテーマ「昭和レトロ旅」からは少しずれるかな……とも思いましたが、レトロなムードたっぷりの素敵な建物ですのでぜひご紹介したい! 早速、行ってみましょう。
館内は、随所に明治期のレトロ建築のデザインが感じられます。
「世界を知るへや」は、帝国図書館時代に貴賓室として使用されていた場所。天井の漆喰装飾や寄木細工の床板など、当時の内装が保存・再利用されています。
明治から現代までの、日本の子どもの本のあゆみを紹介している「児童書ギャラリー」は、帝国図書館時代は特別閲覧室として使用されていた部屋。天井の漆喰装飾が美しい!
時代ごとに並べられた児童書の中には、昔読んだ絵本がいくつもありました。本好きにはたまらない展示ですね。
音楽会等のイベントや国際子ども図書館を紹介する展示を行っている「ホール」。
南側にガラス張りの張り出し窓があり、レンガ棟建物の外壁やレリーフ彫刻を間近に見て、触れられるようになっています。
子ども向けの本を集めた図書館ですが、レトロ建築や展示など大人も充分楽しめる施設でした。
1泊2日の昭和レトロ旅もいよいよ終盤。最後の目的地は、国際子ども図書館から日暮里駅方面に10分ほど歩いた場所にある「上野桜木あたり」です。
こちらは昭和13年築の日本家屋を利用した複合施設。ビアホールやベーカリー、塩とオリーブオイルの専門店、ファッション等のお店とレンタルスペースが入っています。レンタルスペースでは、ワークショップや交流会なども開催されているそう。
古い建物って、どうしてこうも落ち着くんですかね。施設の中を歩いているだけで、心がゆるむような居心地のよさを感じます。
築80年以上の建物が今も現役で利用できているということは、持ち主が大切に使ってきたんだろうなと。この居心地のよさは、大切にされてきた建物だからこそ感じられるものなのかもしれません。
帰りは、上野桜木あたりから徒歩約10分の日暮里駅まで向かい、山手線で東京駅まで。
以上で、1泊2日の昭和レトロ旅は終了。昭和生まれではあるものの物心ついたころにはすでに平成だったため、実体験として知っていたわけではない、昭和という時代。2日間かけていろいろな場所をめぐったことで昭和を追体験でき、より昭和レトロに興味がわきました。西武園ゆうえんちも上野〜日暮里も、またぜひ遊びに行きたい! 大満足の2日間でした。
掲載情報は2022年4月21日配信時のものです。現在の内容と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。
今回の旅の行程
【1日目】JR東京駅→JR国分寺駅→多摩湖駅→西武園ゆうえんち→多摩湖駅→JR国分寺駅→JR東京駅→JR上野駅→ホテル
【2日目】ホテル→JR上野駅→古城→国際子ども図書館→上野桜木あたり→JR日暮里駅→JR東京駅