仙台で冬の味覚を楽しむ旅。せり鍋・三陸産牡蠣・たらきく・地酒
今回の列車旅ポイント
- 東京駅から約2時間で仙台駅へ
- 仙台駅を起点にアクセスしやすいお店を巡る
- 仙台駅ビルで「仙台駄菓子」をお土産に購入
今回旅するのは冬の宮城県。牛タンや笹かまぼこが有名ですが、もちろんそれだけじゃないですよ。近年話題のせりを使った鍋や、三陸の海の幸もぜひ楽しみたいところ。ローカルフードを愛するライター、白央篤司が旅します。
東京駅
みちのく冬の旅、いざ仙台へ!
JR東京駅から東北新幹線に乗って約1時間半。JR仙台駅に到着しました。東北新幹線は去年(2022年)が開業40周年だったんですよね。開業当時私は7歳で、ちょうど仙台に住んでいたんです。幼かったけれど、新しい路線だけではなく新しい時代が始まっていくようなワクワク感を覚えたこと、思い出すなあ。
さて、ともかく出発しますか。やっぱり寒さ厳しい東北の冬、まずは体をあっためましょう。おいしい甘酒を楽しめるところがあるんです。
五橋駅
老舗の蔵元が営む甘酒カフェでひと息
仙台駅から地下鉄南北線に乗って1駅、五橋駅で下車して、歩くこと6~7分ぐらい。荒町商店街に向かいます。
「森民茶房」に着きました。日本酒の蔵元「森民酒造本家」が営むカフェで、蔵元自体の創業は1849年とのこと。歴史がありますねえ。
こちらの甘酒は2種類あって、まず「麹 生甘酒」は、麹のやさしく深い甘みが特徴です。けれど重たくはなく、次第に甘みがスーッと消えて、後口は爽やか。驚きました。飲んでいて気持ちがやさしくほぐれるような、実にいい甘酒です。
対して「酒粕 甘酒」は酒粕が入っていますから、アルコール感があります。けれどそれが強すぎず、甘酒といいバランス。体の芯から温まり、飲んでいてリラックスした気持ちになりました。ああ、こたつでこれを飲みたいなあ……。
「森民さんのカフェはスイーツもおいしい」なんて評判を小耳にはさみ、気になって頼んでみたら大正解でした。「酒粕レーズンバターもなか」は、レーズンを酒粕につけてからバターと練り合え、あんこと一緒にいただくもの。
あんこもバターもリッチに使われていました。サクサクとした皮とバター、酒粕レーズン、あんこのハーモニーがとても楽しく、忘れがたい一品です。
もちろん、森民酒造本家の日本酒を買うこともできますよ。飲みやすいものからにごり酒まで、種類もいろいろ。おみやげにもいいし、18時30分からのバータイムなら店内でもいただけます。お隣が酒蔵で、予約すれば見学もできますが、今回訪ねたときは改修中でNG。残念!(※)
※編集部注:バータイムは水曜・木曜・金曜の週3日営業。酒蔵見学について詳しくはこちら
いな穂
新たな仙台名物をたっぷり楽しむ
さて、そうこうするうち夕飯時になりました。また仙台駅に戻りまして、駅から徒歩5分しないぐらいの居酒屋「いな穂」を目指します。
宮城県で近年人気なのが、名産のせりを使った鍋。共通項は「せりをたっぷり使うこと」、県内の各店でさまざまな趣向のせり鍋が供されています。
具だくさんのせり鍋もいいけれど、まずはせり自体の味と香りをシンプルに、存分に味わいたくていな穂さんを選びました。こちらの名物は、せりのしゃぶしゃぶです。
せりは根っこからいい香りとだしが出るんです。もちろん、きれいに洗浄されてますからご安心ください。
根っこの部分は鍋つゆに10秒もしゃぶしゃぶすればいただけます。噛むとせり独特の芳香がパァッ……と口に広がりますよ。鍋つゆは鰹節と昆布のだしを醤油で味つけして鴨肉を煮たもので、これがせりと非常にいい相性!
葉の部分は2~3秒も火にくぐらせればじゅうぶん。生でも食べられるものなので、くれぐれも火は通しすぎないで。せっかくの香りが飛んじゃいますよ!
ああ、お酒を忘れていました。いな穂さんは宮城の地酒がいろいろと楽しめる店でもあります。今日は新澤醸造店の「伯楽星」にしよう。好きなんですよー。
この日は「伯楽星 純米吟醸 おりがらみ生酒」が置いてありました。すっきりとしつつ、うま味と米の甘みもしっかり感じられる。素敵なバランスだなあ……。せりしゃぶとの相性も最高でした。
もちろん、他のおつまみもおすすめ。いな穂さんは3種盛りのお通しが定番で、取材日はエシャロットに味噌をつけたの、牡蠣のピリ辛焼き、焼いたさよりをほぐして明太子とネギで和えたのを出してくれました。ほら、酒好きのあなた、もうたまらんでしょう。
寒い時期に宮城に来たなら、たらの白子も食べてほしい。こっちでは「たらきく」なんて呼ぶんですよ。形が菊の花を想わせるから、なんて聞きますね。三陸の海で獲れるたらの白子、鮮度も濃厚さもたまりません……!
さてせりしゃぶ、シメにいきますか。雑炊、うどん、お餅、ラーメンから選べますが、今回はラーメンを選びました。「だし廊」という仙台の人気ラーメン店の細麺で、しなやかなコシがたまらんのです。あ、シメ用に少々せりを残しておくのを、お忘れなく。
さあ、1日目はここまで。仙台駅近くのホテルに泊まって、明日に備えてしっかり休むとしましょうか。
定禅寺通
仙台のメイン通りでアート散歩を
さて2日目。ホテルで朝食を済ませたら、ちょっと散歩でもしませんか。市の中心部にある「定禅寺通」(じょうぜんじどおり)はいわば仙台のメインストリート。約700mにわたってケヤキ並木が続き、仙台のイメージカットとしてもよく使われる場所です。
定禅寺通には彫刻が飾られて、自然とアートが同時に楽しめるのも魅力なんですよ。
そして定禅寺通、冬の一時期はライトアップもされて、それはそれは見事なんです。
ですが、ごめんなさい! この記事が公開される頃はもう終了なんです……でも、きれいな写真だけでもお見せしたかった。「SENDAI光のページェント」という仙台の冬恒例のイベント。よかったらいつかぜひ、訪ねてください。
さて、お昼にしましょうか。仙台駅内にいいところがあるんです。
仙台駅
駅内で三陸の牡蠣を楽しんでから家路へ
仙台駅の3階には寿司店が並ぶ「すし通り」なんて魅惑的な通りがあるんです。今日は三陸の牡蠣が食べたいから「すし三陸前」に入りますかね。冬の仙台に来て牡蠣を食べないで帰っちゃ、いけません。
石巻などの三陸地方は牡蠣が名物、冬を代表する食材でもあります。宮城の生牡蠣は濃厚だけどスッキリしたうま味でたまらんですね、やっぱり。
生もいいけど、焼きもはずせません。ギュッと味わいが凝縮されて、香りも立って、いいもんです。あと10個ぐらい食べたいなあ。
寒い時期の仙台旅なら、ぜひ北寄貝(ほっきがい)も食べていってください。慣れないと最初はちょっと磯の香りが強いかもですが、噛むうちにこの貝にしかない甘みが感じられてきます。そこに日本酒を流し入れるとね……もうたまらんのですよ。
加熱してもおいしい貝で、県内では炊き込みごはんにする地域もあります。
もちろん、三陸の魚介は貝以外もおいしいのでぜひぜひ。このヤリイカ、絶品でしたよ。噛むほどに甘みが……って、そろそろ時間だ。おみやげを買いに行きますか。すみません、お勘定お願いします!
おみやげも候補多数で悩ましいのですが、今回は「熊谷屋」さんの仙台駄菓子の詰め合わせにしました。ほんのりとした甘さの懐かしい味わいで、食べ飽きません。見た目も素朴で、かわいいですね。
仙台駅に隣接する駅ビル「エスパル仙台 本館」地下の「エキチカおみやげ通り」で購入。宮城の名物みやげが一度にチェックできますよ。
ああ、新幹線の時間だ。後ろ髪が引きちぎられそう……まだまだご紹介したいお店もおみやげも数え切れないほどあるんですよ。またぜひ仙台をご案内させてください。それでは!
東京駅
掲載情報は2023年2月21日配信時のものです。現在の内容と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。
今回の旅の行程
【1日目】JR東京駅→JR仙台駅→JR五橋駅→森民茶房→JR五橋駅→JR仙台駅→いな穂→ホテル
【2日目】ホテル→定禅寺通→JR仙台駅/すし三陸前/熊谷屋→JR東京駅