今回の列車旅ポイント
北陸と関東の2拠点生活をする、取材ライター・インタビュアーの岩井ななです。北陸新幹線が延伸し、東京から乗り継ぎなしで福井県のJR敦賀駅まで行けるようになりましたね。延伸したJR金沢駅から敦賀駅までの間には、魅力的な駅がいくつもあります。
今回は、そのなかのひとつ、JR芦原温泉駅へ。温泉や地元の魅力たっぷりのグルメを満喫し、チロルリボン工場「エイトリボン」や「金津創作の森」で地域に根付くクラフトマンシップを感じる、1泊2日の列車旅をしてきました。
JR東京駅から芦原温泉駅までは北陸新幹線で約3時間。「JR東日本びゅうダイナミックレールパック」なら、新幹線と宿をお得なセットで予約できます。
芦原温泉駅からバスもしくはタクシーで移動するなら、西口から出るのが正解。
駅舎内のコンコースには、恐竜の足跡が!
2024年3月16日に開業した北陸新幹線芦原温泉駅は、とてもきれいで明るく、駅舎から距離を取らなければ全体像を把握できないほど、大きくて迫力がありました!
芦原温泉駅西口からバスに乗車し、宇田バス停で下車。徒歩25分ほどかけて辿り着いたのは、チロルリボン(チロリアンテープ)や織ネームタグ(衣類の首やわき部分に付いているブランドロゴなどが書かれたタグ)などの細巾織物を織る工場「エイトリボン」です。こちらで、事前に予約した「工場見学ツアー」(見学+ワークショップ)に参加します!
チロルリボンとは、アルプス山脈東部地域で民族衣装に使われていたことにルーツを持つリボンのこと。洋服の装飾に使われたり、身近な雑貨のデザインに取り入れられていたりと、さまざまなところに使用されていますよ。
かつて福井県には、個人店も含めると1,000軒以上の織物工場がありました。エイトリボンの前身は、1961年、米国など海外からの大量注文に応えることを目的とし、8つの織物工場がひとつになって発足した「丸岡エイトリボン協業組合」。2015年にその歴史に幕を閉じましたが、シャトル織機(旧式)を使う工場としては国内最大級のリボン工場として再スタートし、今に至るそうです。
およそ60年前からほとんどそのままのかたちで使われているという工場内には、織物工場特有の香りとレトロな雰囲気が漂っています。
リボンづくりは、糸を用意するところから始まるそうです。素材や色、細さが異なる糸は引き出しで管理されています。引き出しが空いていると「今この糸を使っています」のサインだそう。
経糸(たていと)をボビンに巻く機械では、私たちが見たことのあるものと比べると何倍もの大きさのボビンがセッティングされていました。
経糸と緯糸(よこいと)を合わせてリボンを織る織機(しょっき)は、大きな音を立てて規則的に動きます。近くで見ると、緻密な柄が少しずつ織られていく様子に感動しました。
この織機を一日中動かしても、チロルリボンは4mしか織り進めることができないのだとか……!
経糸を次の織物用に変えたいときは、糸を途中で結び直します。左右で約3,000本ある糸を手作業で結び直すのは、まさに職人技。その作業は、エイトリボンで働く20名ほどのスタッフのなかでも、3名の職人しかできないとのこと。鮮やかな色と細かな柄がキャッチーなチロルリボンには、職人の技と努力が詰まっていると思うと、より愛おしく感じられます。
ワークショップでは、チロルリボンを使ってオリジナル缶バッジを作成。
好きな色のハギレとリボンを2本選び、組み合わせる簡単な工程で、気軽にオリジナリティ溢れる缶バッジをつくることができます!
私はピンク色が好きなので、ピンク系で統一したデザインに仕上げてみました。旅の思い出に、手づくりのものがあるとうれしいですよね。
ワークショップでフル回転させた頭をクールダウンさせるべく「リボンズカフェ」へ。
扉を開けると、チロルリボンを使った雑貨や、さまざまな柄のチロルリボンが並ぶカラフルなショップスペース。
その横のカフェスペースでいただいたのは、旬のフルーツを使用した季節限定スイーツです。
一層ずつにメロンが挟まった贅沢なミルクレープは、香りからすでにおいしい! ふんわり軽やかなクリームとジューシーなメロンのマリアージュを楽しみながら、オリジナルブレンドのハーブティーでリラックスしました。
お腹を満たしたら、ショップスペースでお土産選び。
オリジナルチロルリボンブランド「レピヤンリボン」のポーチは、目の詰まった艶やかなオリジナル生地でできていて、デザイン性と機能性が両立されています。持ち手の部分はエイトリボンで織ったチロルリボンを使用。繊維産業が盛んな福井らしさを、日常にさりげなくプラスできるアイテムだと感じて購入しました!
レピヤンリボンのオリジナルテキスタイルをつかった「レピヤンポーチ(なみパステル)」(デザインは写真と同じ)を、びゅうたび読者5名にプレゼント。ぜひご応募ください。
※プレゼント詳細は記事下部をご覧ください。
リボン工場としての機能を果たしながら、地元の人や観光客を幅広く受け入れる開かれた姿勢がとてもすてきな、手芸やかわいいものが趣味の人が親しみやすい場所でした。
この日の宿泊先は「あわら温泉 美松」。美松の魅力は、広大な中庭とテーマ性のある温泉。事前にお願いしておくと芦原温泉駅まで送迎バスが迎えに来てくれるので、とても便利です。
部屋で一息ついてから夕食へ。懐石料理でお腹を満たします。
新鮮なお造り、あわびの鉄板焼き、和牛の焼肉とローストビーフと、豪華すぎる夕食。福井県産「いちほまれ」のお米は、ツヤツヤした見た目と上品な甘さで何杯もいただきたくなるほどおいしかったです。
早朝4時から温泉に入れるということで、2日目の朝4時過ぎに行ってみることに。
温泉がある棟へ向かう途中で見えたのは、朝日に照らされて輝く中庭。きれいに手入れされた木々と、池で泳ぐ鯉。「日本庭園の美」にしばらく見入ってしまいました。
2種類ある温泉は、朝と夜で男湯と女湯が入れ替わります。朝の女湯は「ドーム式庭園大浴場 太陽殿」です。
天井からは朝日が程よく差し込み、泳ぎたくなるほど広々としたすばらしい環境を、タイミングよくひとりじめ。
チェックアウト後は、送迎バスで芦原温泉駅まで送っていただき、次に向かったのは、「金津創作の森」です。駅からは、あわら市内の約30箇所へワンコイン(500円/1回片道)で移動できる便利な「あわらぐるっとたくしー」を利用しました。
金津創作の森は「美術館アートコア」「野外美術館」「ガラス工房」「創作工房」などからなり、広大な面積を誇る公園になっています。これほどきれいに植物が生い茂り、空気が澄んだ環境は、都会ではなかなか出合えないかも。
壁画の前に置かれていたのは、富山県にゆかりのあるクラフト・プロダクトデザイナー、相川繁隆さんの『雲の椅子』です。美術館アートコアに流れる穏やかな空気に馴染むような、やわらかいフォルムが印象的でした。
※編集部注:(上の写真)壁面の作品『マスキングプラント・野生の水脈』(©Yusuke Asai)は、企画展「淺井裕介展 星屑の子どもたち」開催期間中(2024年4月27日~8月25日)のみ展示
せっかくの晴天なので、野外美術館に展示されている現代アートを巡ってみました!
美術館アートコアの壁面にいくつも付けられた作品は、現代美術家、河口龍夫さんの『関係―鉛の巣箱』。
※編集部注:(上の写真の壁面左端)美術館アートコア外壁の作品『空の穴へ』(©Yusuke Asai)は、企画展「淺井裕介展 星屑の子どもたち」開催期間中(2024年4月27日~8月25日)のみ展示
画家、眞壁陸二さんの『森のアンリの小屋』は、木々が反射したような柄のレッドの壁画が印象的。森の中に突如現れるグリーンとレッドのコントラストが不思議な魅力を放つ作品です。
野外美術館は、ゆっくり歩いて一周するのに30分から45分ほどかかります。森の中に潜むアート作品を見つけるとなんだかうれしくなり、しばらく眺めていたくなりました。
帰りも、あわらぐるっとタクシーを利用。金津創作の森にはぐるっとタクシーの乗り場があり、わかりやすかったです。
芦原温泉駅に戻ってきて、帰りの新幹線を待つ間に入ったのは2023年3月にオープンした芦原温泉駅西口賑わい施設「アフレア」。美しい建築の中に観光案内所「おしえる座ぁ」やカフェ、福井のお土産が買えるお店などが入った芦原温泉駅隣接の複合施設で、新幹線の待ち時間などにふらっと立ち寄るのにもおすすめです。
エイトリボンや金津創作の森で福井のクラフトマンシップを感じ、リボン工場とカフェ、旅館とドーム式温泉と、ちょっと意外な組み合わせに感性を刺激され、楽しい旅となりました。
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掲載情報は2024年7月30日配信時のものです。現在の内容と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。
応募期間は終了しました。沢山のご応募ありがとうございました。
今回の旅の行程
【1日目】JR東京駅→JR芦原温泉駅→エイトリボン→あわら温泉 美松
【2日目】あわら温泉 美松→JR芦原温泉駅→金津創作の森→JR芦原温泉駅/芦原温泉駅西口賑わい施設「アフレア」→JR東京駅
1泊2日/東京駅⇔芦原温泉駅/夕朝食付き
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