今回の列車旅ポイント
お茶が好きすぎてお茶になりたい! 「お茶もきこ」こと茂木雅世です。小さなころから急須でお茶を淹れることが大好きだった私。お茶好きが高じて、仕事を辞め、その魅力をさまざまな形で伝える活動をしてきました。
今回はそんなお茶愛強めの私が、東海道新幹線に乗って、「お茶ラバー」にとっての聖地・静岡へ。お茶の魅力を五感で味わい、満喫する。1泊2日のお茶に包まれる癒やし旅をご紹介します。
東京方面から静岡へ行くならば、車窓から富士山も茶畑も愛でられる列車旅がおすすめです。JR東京駅からJR静岡駅までは、東海道新幹線「ひかり」に乗れば約1時間。サクッと出かけられる気軽さも魅力です。
新幹線と宿の予約は「JR東日本びゅうダイナミックレールパック」を利用すれば、セットでお得に申込みできます。
静岡駅から東海道本線に揺られること35分ほどで到着するJR金谷駅。金谷駅から、今でもSLが走ることで知られる大井川鐵道に乗りかえ、最初の目的地・門出駅を目指します。レトロな車両で15分ほどの心躍るローカル列車旅。
あっという間に門出駅に到着。門出駅がある島田市西部の金谷地区は、お茶の産地としても知られています。この地に、2020年秋にオープンしたお茶と農業の体験型フードパーク「KADODE OOIGAWA」に向かいます。
列車を降りると「緑茶色ポスト」が出迎えてくれました。
「KADODE OOIGAWA」は駅に併設しているので、アクセスも抜群。施設内には、体験型のアトラクションや静岡のおいしいものに出会えるお食事処、子どもたちが思いっきり遊べるエリアも設けられているので、1日たっぷり楽しむことができます。
まずは「緑茶ツアーズ」へ。ゲスト自身が摘まれたばかりの茶葉になって、お茶ができるまでを体感するアトラクションです。
チケットを買ったらカウンターで手荷物をロッカーに入れて、お茶色のポンチョをゲット! 茶畑の葉がお茶になるまでの映像を見ながら、心の準備を整えていきます。
準備ができたら、1つ目のお部屋へ。
ここは、茶葉に蒸気を当て、「蒸す」工程を体験できる空間です。天井からは、勢いよくミストが噴きだし、部屋中が真っ白に~!! しっかりと蒸されたので、私はきっと深蒸し茶です(笑)。
続いて、「揉む」工程が体験できるお部屋へ。勢いよく風が噴きだしていて、床にはポタポタと水滴が。お茶の葉の中に残る余分な水分を落としていく工程を体感できる時間です。
最後はお茶の香ばしさや魅力を引き出す重要な工程「火入れ」のお部屋。熱気に包まれて、香ばしさ抜群に仕上がりました。
最後はカウンターに戻り、「蒸し時間」と「火入れの強さ」が変わると、味わいにどんな変化が出るのか、実際に4種のお茶を飲み比べて楽しみます。また、飲み比べで使われたオリジナルのミニ茶碗は、持ち帰ることができます。うれしい!
続いては中央にどんと構える「MANDARA茶柱」へ。「蒸し」と「火入れ」の度合いが異なる16種類の緑茶がわかりやすい言葉で紹介されているフォトジェニックなエリアです。
それぞれのお茶の名前は「いろは歌」からつけられたもの。
どのお茶がいいか迷ってしまった場合は、質問に答えるだけでぴったりなお茶を導き出してくれる「緑茶診断」や「茶みくじ」で決めるというのもおすすめ!
今回、私が飲みたいと思ったものは、深蒸しで火入れ強めの「た」のお茶。お隣の「緑茶B.I.Y.スタンド」でそのお茶を淹れてみることに。
オリジナルロゴ付のボトルとティーバッグを買って、おすすめの淹れ方に沿って、湯量や浸出時間を計りながら淹れていきます。気軽なのに、おいしくできて大満足です。透明のボトルはお土産に持って帰ることができるのもうれしい。
おなかがすいてきたので、ここらでランチに! フードエリアでは、ビュッフェスタイルで地元野菜の創作料理が楽しめるレストランや、静岡の幸を使ったオリジナルのお茶漬け、島田市生まれの名店「麺屋 燕」のラーメンなどが食べられます。
今回は「緑茶バーガー&麦酒」というお店をチョイス。栄養バランスを考えてつくられた緑茶×テリヤキソースでいただく「カドデバーガー」と、ほうじ茶を使ったクラフトビールを注文しました。
SLをイメージしたふわっふわの黒いバンズの中には、お肉とお野菜がたっぷり。クリームチーズにパウダー状の煎茶をMIXしたというソースが利いていて、食欲をそそります。
島田市伊久美地区で無農薬有機栽培されたほうじ茶を使用したブラウンエールは、クセがなく、華やかでふわっと上品。爽やかな飲み心地に心まで癒やされムードです。
食後は「茶畑のベンチ」前にお店を構える「カフェ」へ。
スイーツ代わりに季節のフルーツがたっぷり入った、煎茶のフルーツティーをいただきます。テラスで心地よい風にふかれると癒やし度もMAX!
日本庭園を眺めながら、お茶コンシェルジュが淹れた大井川流域の高級茶をいただけるお店「茶寮」もありました。ペアリングのお菓子と一緒にお茶を楽しめるそうです。
最後は、道を挟んで駅側にある「TOURIST INFORMATION おおいなび」へ。こちらでは、島田市や川根本町など大井川流域の観光案内やお土産品の販売をしています。
建物の前にあるSL広場には2007年まで大井川鐵道を実際に走っていたSLの展示も。
入口近くにある「A STATION KIOSK」の黒い「SLソフトクリーム」も気になりましたが、今回は〆のお茶を。水道をひねると緑茶が出る! ごくごく飲める爽やかな緑茶水道の冷たい一杯をいただきながら、帰りの列車を待ちます。
大井川鐵道で金谷駅へ向かい、その後、静岡駅へ。余韻に浸りながら、この日は静岡駅近くのホテルに宿泊です。
2日目は、静岡駅近くのお茶スポットを2か所巡って静岡茶を満喫します! まずは静岡駅から呉服町通りを歩いて約8分のところにお店を構える「Maruzen Tea Roastery」へ。
ここは老舗の製茶問屋「丸善製茶株式会社」が創業したお店。世界初の「80℃、100℃、130℃、160℃、200℃」から焙煎温度が選べるお茶とジェラートのカフェです。お茶はもちろん、ジェラートでも焙煎度合いの味わいの違いを愉しむことができます。店内の焙煎工房で焙煎した茶葉をハンドドリップで抽出してくれるところも贅沢~!
白を基調とした落ち着いた店内の2階スペースでいただいたのは、80℃の焙煎温度「玉露」と130℃の焙煎温度の玄米茶ジェラート。玉露のとろりとした甘さと、香ばしさがたまらないジェラートのマリアージュが後をひきます。
そろそろお茶の旅も終わりが近づいてきました。最後に、静岡駅の駅ビルパルシェ1階の食彩館に入っている和紅茶専門店「ニガクナイコウチャ by green eight」でお土産を購入しましょう。
清水両河内産のさまざまな品種の茶葉を、独自の製法で緑茶と紅茶に仕上げているブランドで、飲みやすくギフトにもぴったりなアイテムが揃います。際立つ甘さが特徴の「SWEET」からスモーキーな魅力の「WILD」まで全9種類のお茶が並び、少量から購入が可能なので、全部買って飲み比べをするのも楽しそう。
パッケージもかわいいうえ、紅茶とレモングラスをブレンドした華やかなメニューも並んでいるので、ばらまき用のお土産にもおすすめです。
店頭では、テイクアウトメニューも販売していて、紅茶、緑茶、ほうじ茶のストレートやフルーツティー、ミルクティーなどがあります。オレンジが乗った「和紅茶のフルーツティー」をテイクアウトで注文すると、名残惜しくも、そろそろ家路に就く時間です。
大満足だった1泊2日のお茶に包まれる癒やし旅。お茶と一言でいえども、実は奥が深く、その魅力もさまざまです。聖地・静岡でお茶を五感で感じ、知ると心地よい茶沼にはまること間違いなし! 次は列車に乗って、急須や茶器の里も訪れたいなあ。お茶かれさまでした。
掲載情報は2025年6月12日配信時のものです。現在の内容と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。
今回の旅の行程
【1日目】JR東京駅→JR静岡駅→JR金谷駅→大井川鐵道・金谷駅→門出駅→KADODE OOIGAWA→おおいなび→大井川鐵道・門出駅→金谷駅→JR金谷駅→JR静岡駅(ホテル)
【2日目】JR静岡駅→Maruzen Tea Roastery→和紅茶専門店「ニガクナイコウチャ by green eight」/JR静岡駅→JR東京駅