今回の列車旅ポイント
関東周辺をメインフィールドに、山歩きの魅力をお伝えしている山岳ライター&登山ガイドの西野淑子です。秋は低山ハイキングに適した季節。空気が澄み、山頂からの美しい景色を望めます。
新潟県・佐渡島には多くのトレッキングコースがあり、本格的な縦走登山(※)からライトなトレッキングまでさまざまに楽しめるのが魅力です。自然散策と観光と温泉を目一杯楽しむ、盛りだくさんの旅へご案内いたします。
※編集部注:山頂に登頂した後、下山せずに次の山へ向かい、尾根沿いに複数の山を経由する登山スタイル
佐渡島への旅の始まりはJR東京駅から。上越新幹線「とき」に乗車し、JR新潟駅へ向かいます。何歳になっても新幹線って特別な存在、乗車するだけでワクワクします。
約2時間の列車旅で新潟駅へ到着。「JR東日本びゅうダイナミックレールパック」を利用すると、新幹線と宿をお得なセットで申込みできます。
新潟駅からは路線バスに乗り換え、新潟港を目指します。
駅下にあるバスターミナルへは、新潟駅の改札からスムーズにアクセスできます。
20分ほどで新潟港に到着。佐渡島の玄関口・両津港へはカーフェリーとジェットフォイルの2つの船が運航していますが、今回はカーフェリー「おけさ丸」に乗船し、約2時間30分の船旅です。
旅の目的であるドンデン高原のトレッキングは、気温が低く空気も澄んでいる朝から楽しみたかったので、2日目に行うことにしました。1日目は佐渡島観光をし、翌日に備えて宿でゆっくり過ごします。
観光スポットとして選んだのは、両津港から路線バスで20分ほどの「トキの森公園」。両津港から路線バス「南線」に乗車。のどかな田園風景を眺めていると、トキの森公園バス停に到着しました。
広い園内には、「トキ資料展示館」と「トキふれあいプラザ」があります。
まず訪れたのは「トキ資料展示館」。トキの保護や飼育の歴史、トキと共生するためのさまざまな取り組みを、豊富な映像や資料、剥製、骨格標本などで知ることができます。
続いて訪れたのは「トキふれあいプラザ」。ケージの中に池や湿地、樹林など、トキの生息環境を再現しています。運がよければ1階の通路から池の中のえさを食べるトキを間近に眺められるそう。2階には双眼鏡が置かれていて、トキの顔や姿をはっきりと見ることができます。
トキの森公園をあとにして、両津港行きの路線バスに乗車して20分ほど。夷本町バス停で下車して徒歩約2分、本日の宿「湖畔の宿 吉田家」に到着しました。両津港からは、徒歩で15分ほどです。
フロントでチェックインを済ませて客室へ。すべての客室から、新潟県最大の湖である加茂湖が一望できます。カキ養殖のいかだがたくさん見えていました。
夕食の時間にはまだ余裕があるので、温泉に向かいます。
まずは西館1階の大浴場「湖(うみ)の湯」へ。肌触りのよい温泉で、肌がつるつるしっとりしてくるのがわかります。
風呂から上がったら、湯上がり処で冷水をいただいて一息。
続いて東館6階の屋上展望露天風呂へ。心地よい檜の浴槽、寝転ぶように湯船に浸かると空が広がっていて、心地よさにうっとり。夜にも入浴しましたが満天の星がきれいでした。
温泉を満喫し、一息ついたところで夕食。1階の食事処へ。加茂湖が見渡せる席に案内してもらえました。
吉田家で味わえるのは、佐渡沖の漁場から水揚げされる新鮮な魚介類を中心とした会席料理。刺身や岩牡蠣など魚介類のおいしさはもちろんなのですが、前菜や煮物なども上品で繊細な味付けでした。お宿の名物・自家製イカの塩辛はほどよい塩味とともにコクがあり、日本酒に合いそうです。
料理自慢のお宿、ちょっと贅沢して特別料理(別料金)も味わってみたいもの。今回はあわびの踊り焼きをいただきました。網の上で焼ける姿に圧倒され、やわらかく旨みたっぷりのあわびに感動……。
21時からは1階ロビーで、佐渡の民謡「佐渡おけさ」に合わせた踊りの披露がありました。郷土芸能に触れる機会があるのはうれしいですね。
ゆっくり休み、大浴場で早朝風呂を楽しんでから朝食。ご飯は佐渡産のコシヒカリ、炊きたてツヤツヤの白飯です。味噌汁の具は佐渡を代表する海産物「ながも」というとろみのある海藻でした。
海藻が原料の佐渡の郷土料理「巻いごねり」も食膳に並んでいました。
宿をチェックアウトしたら、今回の佐渡旅のメインイベント「ドンデン高原トレッキング」へ。両津港から定額タクシーに乗車して約40分、「ドンデン高原ロッジ 自然リゾート」に向かいます。
今回歩く「ドンデン高原1周コース」は、ドンデン高原ロッジを起点にドンデン池、尻立山(しりたてやま)に向かう時計回りの周回コース。歩行時間は約2.5時間、景色を楽しみながら歩くと半日程度で楽しめるコースです。
未舗装の山道を歩く部分もありますので、履き慣れたトレッキングシューズ、リュックサックなどが必要です。天気の急変に備えて雨具も必ずお持ちください。道中には売店などがないので、飲み水や行動食(おやつ)も用意しましょう。けがや体調不良に備えて、絆創膏や常備薬などを入れた救急セットもあると安心です。
歩き始めは舗装路を緩やかに下っていきます。金北山縦走路入口の道標を見送り、さらに舗装路を進みます。スタートから30分ほどで、ドンデン池・尻立山へ向かう登山道に入ります。
うっそうと木々が茂り、深い森の雰囲気になっていきます。登山道を20分ほど歩くと視界が開けて、小さな草原が現れます。
草原を右手に見ながら散策路を進んでいくと稜線(※)に出ます。右に進むと尻立山ですが、いったん左に進み、ドンデン池を目指します。
※編集部注:山の峰から峰へつながる尾根のこと。尾根を稜線ということも
稜線を10分ほど進むと、青々とした水をたたえたドンデン池に到着します。木々や草原の緑に囲まれた小さな池、のどかな雰囲気で癒やされます。遠くに見える避難小屋の赤い屋根もいい感じです。
ドンデン池からは来た道を分岐まで戻り、いよいよ尻立山の山頂へ。思ったよりも山が大きく見えますが、分岐から山頂までは20分ほどの道のりです。歩き始めは小石混じりのザラザラとした上り斜面。滑らないように慎重にゆっくり歩きましょう。
ほどなく、小石混じりの道から、石畳のように岩が敷かれた道になります。息を整えながらゆっくりゆっくり足を運んでいくと、尻立山の山頂の標識が見えてきます。
尻立山の山頂は樹林などさえぎるものがなく、文字通り360度の展望が楽しめます。歩いた日は雲が多めでしたが、快晴だと金北山へ続く稜線もくっきりと見渡せるようです。
景色を満喫したら、ドンデン高原ロッジに向かって下山。やや急な下りから心地よい草原を抜け、樹林を下っていきます。山頂から30分ほどで、登山口に到着。
ちなみにドンデン高原の紅葉は例年10月下旬から11月上旬が見頃だそう。美しい紅葉を眺めながらのトレッキングも楽しそうです。
標高約900mに位置するドンデン高原ロッジは、トレッキングや観光を楽しむ人々に人気の高い山荘です。宿泊施設としても利用できます。
木造の洒落た外観で、展望の良さが魅力です。
日帰り入浴(※)もでき、山の湧き水を使ったお湯で散策の汗を流せます。
※編集部注:入浴可能時間は11~22時まで
下山後の楽しみはドンデン高原ロッジでのランチ。うどんやそば、カレーなどのほか、フレンチのシェフによる月替わりのパスタが味わえます。
「今月のパスタ」をサラダセットでいただきました。この日のメニューは「佐渡牛のボロネーゼ」。粗挽きのひき肉は、肉そのものの旨みが引き立ちます。香草のクロモジの葉が風味のアクセントに。
ドンデン高原ロッジのランチでは「青空ドンデンカレー」も人気。青空のように真っ青なカレールーのタイカレーで、遊び心のある一品です。
帰りのタクシーを待ちながら、ロッジ入口の展望デッキで一息。両津港や国中平野が見渡せました。天気に恵まれれば飯豊山や鳥海山、北アルプスまで眺められるそう。
タクシーで両津港に戻り、カーフェリーへ。新潟港へ向かう船旅、最後は夕日が海を染めるのを眺めることができました。
行ってみたいと思いつつ、遠いし日数もかかるだろうと諦めていた佐渡島でしたが、1泊でトレッキングだけでなく観光もでき、温泉も満喫。こんなに楽しめるんだとうれしい驚きがありました。次回は春、花の咲く時季に訪れたいですし、紅葉の時季もよさそう。佐渡島の山旅、まだまだ楽しめそうです!
掲載情報は2025年10月8日配信時のものです。現在の内容と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。
今回の旅の行程
【1日目】JR東京駅→JR新潟駅→新潟港 佐渡汽船ターミナル→両津港 佐渡汽船ターミナル→トキの森公園→湖畔の宿 吉田家
【2日目】湖畔の宿 吉田家→両津港 佐渡汽船ターミナル→ドンデン高原ロッジ 自然リゾート→ドンデン高原登山→ドンデン高原ロッジ 自然リゾート→両津港 佐渡汽船ターミナル→新潟港 佐渡汽船ターミナル→JR新潟駅→JR東京駅
1泊2日/東京駅⇔新潟駅/夕朝食付き
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