2018年のおすすめ美術展5選を美術ブロガーが厳選!【東京&東北】
アートブログ「青い日記帳」を主宰している美術ブロガーのTak(タケ)です。年間400ほどの展覧会を見て回る私が、2018年注目の展覧会をピックアップしました。これからでも間に合う、東京と東北で開催されるおすすめ展覧会を5つご紹介します。
【東北歴史博物館(宮城)】「東大寺と東北-復興を支えた人々の祈り」
東大寺の名宝、名物が東北で初めて一堂に会す展覧会
開催期間:4月28日(土)~6月24日(日)
東北歴史博物館で開催されている「東大寺と東北-復興を支えた人々の祈り」は、東日本大震災の復興を祈念する特別な展覧会です。
東大寺の名宝、名物が東北で一堂に会するのは初めてのこと。国宝17点、重要文化財25点を含む約150点が展示される、奈良や東京でもなかなかお目にかかれない規模の展示になっています。
大きな特徴は、東大寺の創建に多大な影響を与えた東北との関係性を構成に盛り込んでいることです。例えば、「奈良の大仏」として知られる東大寺の盧舎那(るしゃな)仏像造営には陸奥国小田郡(現在の宮城県)で産出した金が用いられていたなど、創建当初からあった東大寺と東北とのつながりやその背景に驚かされるはずです。
そのほか、快慶作「地蔵菩薩立像」やお水取りで有名な東大寺二月堂の「二月堂御正躰」も特別に陳列される、貴重な機会となっています。
【十和田市現代美術館(青森)】「ラファエル・ローゼンダール:ジェネロシティ 寛容さの美学」
世界初!インターネット・アートの代表的存在が個展を開催
開催期間:2月10日(土)~5月20日(日)
インターネットアートの代表的存在として知られ、ウェブ上で作品を発信している、1980年オランダ生まれ、米国在住のラファエル・ローゼンダール(Rafaël Rozendaal)。自身のサイトが年間5,000万回もアクセスされるほど、世界中から注目されているアーティストです。時代の最前線を走るアーティストの初めての個展「ラファエル・ローゼンダール:ジェネロシティ 寛容さの美学」が、十和田市現代美術館で開催されています。
無限に広がるネット空間とは大きく異なる「美術館」という展示空間に、一体彼はどのようにアプローチしているのでしょう?
会場の十和田市現代美術館は、昨年から常設展の写真撮影が可能になりました。現代アートを自分の視点で写真に収められるので、写真ファン、インスタグラマーのみなさんにもぜひおすすめしたいスポットです。
【森美術館(六本木)】「建築の日本展:その遺伝子のもたらすもの」
日本が誇る現代建築の本質に迫る
開催期間:4月25日(水)~9月17日(月)
日本が誇る建築は、伝統的な寺社仏閣だけではありません。谷口吉生(よしお)、安藤忠雄、隈研吾、妹島(せじま)和世など、多くの日本人建築家たちが国際的に高い評価を得ているのをご存じでしょうか。日本は世界有数の建築家大国でもあるのです。銀座の街中で建物の写真を熱心に撮る外国人旅行者のお目当てはショッピングではなく、世界をまたにかけ活躍する日本人建築家の「作品」なのです。
これほどまでに日本人が世界で活躍できた理由は、どこにあるのか? それを教えてくれるのが森美術館で開催中の「建築の日本展:その遺伝子のもたらすもの」展です。パネルや模型で再現されるのは、建築家たちの美意識の結晶といえるもの。また、原寸で再現された千利休作の茶室《国宝・待庵》も見逃せません。
【上野の森美術館(上野)】「ミラクル エッシャー展 奇想版画家の謎を解く8つの鍵」
超現実美術館へようこそ!
開催期間:6月6日(水)~7月29日(日)
「だまし絵(トロンプ・ルイユ)」で知られるマウリッツ・コルネリス・エッシャ-の作品は、見るたびに「目の錯覚か?」と思わせるような不思議の世界へ私たちを誘ってくれます。デジタル化が進みテクノロジーが発達した現代においても、ますますエッシャーの人気は高まる一方。そんなエッシャーの、東京では約12年ぶりとなる大規模個展は見逃せません。
上野の森美術館で6月6日から開催される「ミラクル エッシャー展」は、「科学」「聖書」「風景」「人物」「広告」「技法」「反射」「錯視」の8つの観点からエッシャーの作品に迫るというもの。普段、目にする機会の多いエッシャー作品ですが、この展覧会では知っているようで知らないエッシャーの謎が待っています。インスピレーションを受けに行きましょう!
【静嘉堂文庫美術館(世田谷)】「酒器の美に酔う」
器だけで酔える? 美しき酒器たちの競演
開催期間:4月24日(火)~6月17日(日)
おいしいお酒を飲んでいますか? 銘酒を手に入れ、旬の食材を肴にするのもいいですが、何より大切なのが酒器ではないでしょうか。世界のさまざまな国で、四季折々の風情やもてなしの趣向に合わせて生み出された多彩な酒器。静嘉堂文庫美術館で開催中の「酒器の美に酔う」展では、約3,000年前の中国古代から幕末・明治時代までの東洋の豊かな酒器の世界と、酒にまつわる絵画などが紹介されます。
そして世界にたった3碗しか存在しない、話題の国宝「曜変天目(ようへんてんもく)」のひとつ「稲葉天目」も特別出品。2018年は、ここでしか見ることができません!
都心にある美術館と違い、周囲を多くの緑に囲まれる静嘉堂文庫美術館は、訪れるだけで癒やされる場所です。ちょっとしたピクニック気分で出かけてみては?
どれも見逃せない個性的な展覧会で、自信を持っておすすめできます。
近隣の方はもちろん、遠方に住んでいる方も、ぜひ見に行ってください。展覧会を目的に旅をするのも楽しいものですよ。