名物朝市でウニ、ホヤ、ナマコ! …からの朝銭湯が八戸流!?
「ウニとは、ほんの少し盛られたものを、ありがたがって食べるもの」
もちろん私だって、そう思っておりました。
高級ですもんねー、ウニ様!
ところが、青森に行けば「ウニ? 食べ飽きるほどあるよ」だそうで……。
ええっ。そ、そんなの、ぜひ食べ飽きたいんですけど!
さっそく八戸へゴーゴー!
まずは隠れた名店で、地物ネタ寿司を満喫!
JR東京駅から、東北・北海道新幹線に3時間半ほど乗ると、JR八戸駅着。
駅に隣接したホテルにチェックインしたら、さっそくお寿司を食べに出かけましょう!
おじゃましたのは、八戸駅からはタクシーで20分ほどの「鮨 まつさか」。
住宅街にほど近い場所にある、落ち着いた雰囲気のお寿司屋さんです。
大将の松坂広美さんは東京や札幌の江戸前寿司店で修業後、約25年前に地元である八戸に自分のお店をオープン。
ってことは、もしやバリバリの江戸前が食べられるのかしら……!
カウンター6席の店内に座り、まずはおつまみから。
地元の食材を使った小鉢がいろいろあるそうなので、おまかせで出していただきます。
しったか貝の煮ものは、ようじを刺して貝の方をくるくる回すと、肝までとれる!
くー、肝が濃厚で甘い……いきなり日本酒飲みたいわー!!
お酒は地酒ではなく、全国のものを置いているそう。今日は奈良の「風香」の純米からいただきます。
「うちはお客さんが地元の人ばかりだからね。地酒は家で飲めばいいんですよ(笑)」って、なるほど!
来ました、ホヤの塩辛!
青森といえば、ホヤ! そして夏はホヤのベストシーズン!
ふわっふわでサイコーだわあ……塩辛といってもしょっぱすぎず、ほどよくお酒が進む味。
「どんこのとも和え」なるものが出てきたので、「どんこ……? 椎茸?」と思ったら全然違った。
チゴダラという魚のことを、青森では「どんこ」と呼ぶらしい。
身を肝で和えてあり、ふわっとした食感が楽しい~。
江戸前の寿司屋さんといえば、タコの桜煮!
もちろん、箸で切れそうなほどやわらかーく煮てあります。
この時点で、そうとうお酒も進んでいるのですが、まだまだ出てくるおつまみ! もう飲むしかない!
濃厚な海老みそをエノキにからめた珍味すぎる一品や、コリコリのナマコ酢、穴子の骨せんべい。なんですか、ここは天国ですか……この酒ドロボー!
と思えば、ホタテとムール貝のアヒージョ(!)なんておつまみも。
うーん、にんにくが効いていておいしーい。
とはいえ、こちらはあくまでもお寿司屋さん。そろそろ握ってもらおうかしら。
ババーン! ネタケース登場!
「地物のネタをお願いします」とお伝えして、おまかせで。
まずは、いきなりのウニ! きゃー!
ねっとり濃厚感が……たまらん。
ばふんウニと紫ウニのミックス!
ああ、この時期に来てよかったー(泣いてる)。
石がれいの昆布締め。
この時期のひらめは身がゆるむので、かれいをシメたものがオススメだそう。
かむほどに白身の甘さがすごい……どれもきっちり江戸前仕事をしてあり、ここが八戸だとは思えない!
とろけるように脂の乗った鰯をいただいてから、煮切りしょうゆが塗られたつぶ貝。
このコリコリの歯ごたえ、貝好きには悶絶もの。
そしてシメに、煮イカと穴子のにぎり。
青森といえばイカだけど、まさかにぎりで出てくるとは……。
穴子もイカも、ふわっとやわらかく煮てあって最高!
いやー、ひとりでよく食べて飲んだわ……大満足すぎる。
しかもお会計は、驚くほどリーズナブル! すべてのメニューに価格が記載してあるので、注文も安心してできます。
一見こわもてだけど、話すとやさしい大将もステキですよ。
八戸に来るなら、また絶対に来たいお寿司屋さんとなりました。
※メニューは取材当時(2017年9月)のものです。仕入れ状況などにより変更している可能性があります。
八戸駅に戻り、駅前のホテルに宿泊。翌日の朝市に備えます。
陸奥湊駅前朝市で、5時から朝ごはん!
翌朝はJR八戸線でJR陸奥湊駅へ。駅から徒歩すぐの、地元の人たちも多く訪れる陸奥湊駅前朝市へ向かいます。
朝5時から開き、新鮮な魚介がずらりと並ぶ朝市。
こちらの名物は、場内で好きなものを買って食べる朝ごはん!
八戸は青森でも有数の水揚げ量を誇る漁師町なので、その鮮度は間違いなしよね。
食べきりサイズの刺し身がいろいろあって迷うわ……。
写真上にあるタコの白子は八戸ではポピュラーな食べ物らしく、このあといろいろなところで目にしました。プリッとしていておいしそう!
そして、いきなりあったー! ホッキガイの貝殻に盛られたウニ!
しかも、この量で500円……ま、まじですか。
すじこも安い……しかも、塩味としょうゆ味が選べるなんて(また泣いてる)。
しかも自家製のイカの塩辛が100円……(さすがイカの水揚げ量日本一!※2017年度のデータ)。
いろいろな店舗から買い集めたおかずを持って、食堂スペースへ。
炊きたてのごはんとしじみ汁を組み合わせれば、朝食の完成!
焼き魚メニューもいろいろ。
隣の席で「ハムエッグとごはんとみそ汁」をシブくキメるおじさんに憧れつつ(この状況で魚介類を頼まないのが地元民の証し!)、私はバリバリの観光客なので、これでもかと海の幸を並べます。
ウニ、すじこ、ひらめ、つぶ貝!
ひとりホクホクしていると、地元のおじさんが、こちらをじーっと見ている。
「それは、全部でいくら?」と聞かれ、「えーっと……1200円くらい……かな?」と答える私。
「高いべ!」だそうですが、いやいや~!
これだけいろいろ選べる楽しさがあって、量もたっぷり……文句はありません!
(ハムエッグ定食に比べたら高いかもだけど!)
もちろんやりますよねー、オンザライス。
ふわふわのウニが、ごはんに乗り切らない!
むぎゃー、うーまーいー!
しかも突然、お店の人から「これも食べなー」と焼きたての魚が皿の上に一切れやってきた。
なんでしょう……私の食べっぷりに、おかずが足りないと思ったのかしら(笑)。
ありがとうございます! 八戸の人たち、やさしい!
はあはあしながら食べ終わり、お土産に自家製瓶詰めの塩ウニも購入。
これだけ入って1300円……安い。
「塩してあっから、(持ち歩いても)ダイジョブだー」だそう。
ちなみに隣の建物も市場になっていて、地元の人たちもバリバリ買い物をしています。
蟹も安いわー。ひと箱……使い切れなさそうだけど!
旬のホヤもごろごろしていて、食材を眺めていると「八戸だなあ」と実感。
※料金・商品はすべて取材当時の情報です。
八戸の朝は銭湯から!
「はー、食った食った」と言いつつ、お次に向かうのは銭湯!
漁師町・八戸には朝銭湯文化があるそうで、これまた朝5時からやっているところも。
海での漁で冷えた体を銭湯で温めるため……というのが発祥の理由らしいけど、地元の人たちもうれしいだろうなー。
ちなみにホテルと朝市、銭湯までぐるっと回るなら、乗り合いタクシー「あさぐる」を使うと便利です。
伺ったのは、陸奥湊駅からタクシーで10分の「卵湯」。なんて素敵な店名……。
番台にいらした女将さんに由来を聞いたところ、「昔、卵の商売してたんだよー。卵は貴重だったから、港まで売りにきてたんだー」とのこと。
へー! 卵から銭湯へ……人生は何があるかわかりませんね。
入浴券は自販機で買います。
「たまご湯」って書いてある……なんかかわいい……。
番台のようなフロントのような。
青森ではこのスタイルが多いのかしら?
60余年前の創業当時からの脱衣かごや体重計も現役!
お風呂の種類もいくつかあって、2時間くらいのんびり過ごしてしまいました。
さすが東北なのが、銭湯とはいえバリバリの天然温泉! じっくり浸かったら、肌がつるつるになったような気がする~。
脱衣所で隣になった地元のオバちゃんに聞いたところ「何十年も毎日、朝から来てるよー。ここのは肌にいいんだよ」だそう。
いいなあ、毎朝450円でできる銭湯美容!
当初の目的だったウニもたっぷり食べられたし、ホヤ、ナマコなど珍味好きにはたまらないラインナップの八戸旅。朝市&銭湯という朝文化も、しっかり体験しました。
「今度は冬の八戸にも来てみたいな~」と思う帰り道なのでした。
掲載情報は2020年7月30日更新時のものです。現在の内容と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。
スポット情報
卵湯
住所:青森県八戸市柏崎5-1-17
電話:0178-46-0383
営業時間:5:30~22:00
定休日:無休
スポット情報
鮨 まつさか
住所:青森県八戸市川町字桔梗野上2-23
電話:0178-79-6105
営業時間:17:00~23:30
定休日:不定休
今回の旅の行程
【1日目】JR東京駅→JR八戸駅→鮨 まつさか
【2日目】JR八戸駅→JR陸奥湊駅→陸奥湊駅前朝市→卵湯→JR八戸駅→JR東京駅