東京・御朱印めぐりの旅。「日本橋七福神めぐり」は見逃せない!
社寺や旅行をテーマに、物書きをしている大浦春堂と申します。東京というと、巨大なビル群が林立する大都会のイメージをもたれがち。でも、まだまだ緑豊かなオアシスや、古き良き時代の面影を宿す風景もたくさん残っています。
今回は「日本橋七福神めぐり」と特色ある2つの神社にお詣りしながら御朱印をいただく、1泊2日の参拝旅に行ってきました。
JR東京駅からJR山手線でJR秋葉原駅に行き、地下鉄日比谷線で人形町駅へ。小網神社からスタートです。
【行程】
- 日本橋七福神その1「小網神社」へ
- その2「茶ノ木神社」へ
- その3「水天宮」へ
- 甘酒横丁の発祥となった「玉英堂」
- その4「松島神社」へ
- その5「末廣神社」へ
- その6「笠間稲荷神社」へ
- その7「椙森神社」へ
- 築地にある「波除稲荷神社」へ
- 広大な都心のオアシス「明治神宮」へ
日本橋七福神その1「小網神社」へ
江戸の下町情緒を感じられる日本橋。都心部のオフィス街でありながら、味のある銅板建築や木造の家屋・商家が残る界隈を歩いて回って参拝できるのが、日本橋七福神めぐりの特長です。出発地点は定められていないので、自分の好きな神社からスタートできますよ。
「小網神社」は「強運厄除の神様」として有名な神社で、初詣には参拝者が長蛇の列をつくるほど。ここにお祀りされているのは、健康長寿にご利益があるとされる福禄寿(ふくろくじゅ)。参拝したら社務所で御朱印をいただきます。
日本橋七福神その2「茶ノ木神社」へ
次は、小網神社から歩いて5分ほどのところにある「茶ノ木神社」へ。守護神として倉稲魂大神をお祀りし、防災や生産の神様として町内の人々に崇敬されています。御朱印を書いていただけるのはお正月時期のみ。ただし、七福神めぐりの各神社で書き置きの御朱印を授与しているとのことです。
日本橋七福神その3「水天宮」へ
弁財天(べんざいてん)を祀る「水天宮」へは、茶ノ木神社から歩いて5分ほど。江戸時代に久留米藩と加賀藩の藩主が宝生流能楽を競う際、弁財天に願掛けをして、見事勝利を収めます。以来、「宝生(ほうしょう)弁財天」と呼ばれるようになったとか。
甘酒横丁の発祥となった「玉英堂」
「日本橋七福神めぐり」で散策する人形町のあたりには、甘酒横丁という幟(のぼり)がちらほらと立っています。明治時代の初め頃、尾張屋という甘酒屋が横丁の入り口にあり、甘酒を商って繁盛していたのだそう。そのため、地域の人々は、店のある一角を甘酒横丁と呼ぶようになったとか。
尾張屋があった場所に、今は「玉英堂」という和菓子屋さんが店を構えます。
甘酒販売の歴史について伺うと、24代目にあたる店主の今江さんが、こんな話を聞かせてくれました。
「祖父が東京に店を構えようと探していたとき、閉じた店を貸してくれると紹介されたのが尾張屋さんでした。ただ、名物の甘酒を売り続けてほしいという条件付きだったそうです。うちも和菓子屋ですし、ちょうどよかったのでしょう。今は甘酒の提供はしていませんが、パックで販売し続けていますよ」
甘酒横丁には軒先で甘酒を飲ませる店も数軒あり、七福神めぐりでにぎわうお正月には、温かい甘酒を求めて多くの人が通りを行き交います。
日本橋七福神その4「松島神社」へ
玉英堂から徒歩5分ほど、4社目は豊穣の神様・大国神を祀り、鎌倉時代の創建と伝わる「松島神社」。まだ一帯が入り海だった頃、松が生い茂る小さな島がありました。毎夜、島にあった祠に明かりがともされ、近くを航行する船が目印にしていたといいます。
日本橋七福神その5「末廣神社」へ
5社目は勝運向上や疫病鎮護のご利益がある毘沙門天をお祀りする「末廣神社」。松島神社から徒歩5分ほどです。財運や福徳繁栄などのご利益を願って参拝に訪れる人も多いといいます。吉原が現在地に移転する前の元吉原(葭原)の総鎮守(そうちんじゅ)として信仰されました。
日本橋七福神その6「笠間稲荷神社」へ
6社目は、末廣神社から5分ほど歩き、寿老神(じゅろうじん)を祀る「笠間稲荷神社」に。江戸末期に茨城県・笠間の神社から分霊、お屋敷にお祀りしたのが始まりです。築地市場の前身となる日本橋魚河岸の守護神としても商人を中心に崇敬されました。寿老神は長寿の神様ですが、水産守護や殖産興業の神様として導いてくださるとか。
日本橋七福神その7「椙森神社」へ
「椙森神社(すぎのもりじんじゃ)」は、1000年以上の歴史があると伝えられる神社で、武将の戦勝祈願や雨乞い祈願などに霊験ありとの記録があります。恵比寿神をお祀りし、毎年10月19、20日には恵比寿祭が行われています。笠間稲荷神社から徒歩10分ほどで着きます。
椙森神社の御朱印帳の表紙には、かつてこの場所で開かれた富くじ興行を記念して建立された富塚があしらわれています。当せんを祈願する人には、社務所で宝くじを収納できる「富久富 籤(くじ)入れ」も授与しています。
これで「日本橋七福神」のすべてのお参りが終了。通常は1時間ほどで巡れるコースですが、寄り道をしたり食事をしたりしながら、のんびりと巡礼を楽しむのがおすすめ。水天宮と小網神社を除くと、小さなお社が多いので、御朱印の書き手も一人というところがほとんど。混雑している日もありますので、時間に余裕をもって巡礼したいですね。
宿泊地の最寄りのJR品川駅までは、人形町駅から都営浅草線で一本(京急本線乗り入れ)、所要時間は15分ほど。翌日に備えて、品川でゆっくりします。
築地にある「波除神社」へ
翌朝は、品川駅から京急本線(浅草線乗り入れ)で東銀座駅まで約10分、そこから歩いて10分ほどの「波除神社(なみよけじんじゃ)」に向かいます。
近くの築地市場関係者の崇敬を集めていた波除神社。江戸時代、この辺りを埋め立て、日本橋にあった魚河岸を移転する計画でしたが、江戸湾の荒波で工事は難航しました。そんな折、海から稲荷大神の御神体が見つかります。社殿を建ててお祀りしたところ、波風が収まって無事に工事が完了。その故事にちなんで、波除稲荷と呼ばれるようになったそうです。
築地場外市場は、水曜日はシャッターを下ろすお店も多く、営業日であっても15時前には閉店するお店がほとんど。早起きはニガテという人も、10時ごろまでに出かければ安心です。閉店間際には店頭にある商品を安くしてくれるお店もあるので、遅めに出かけるのもひとつの方法です。
広大な都心のオアシス「明治神宮」へ
都営大江戸線の築地市場駅から代々木駅経由で原宿駅へ移動し、駅からすぐの「明治神宮」に向かいます。
明治神宮は大正 9 (1920)年に創建された、明治天皇と皇后の昭憲皇太后をお祀りする神社です。
御社殿は昭和33(1958)年に再建されたもので、現在は2020年の鎮座百年祭に向けて改修の真っ最中。2019年の8月に本殿遷座祭が行われるまでの間は、御社殿の内部にしつらえられた仮殿に参拝します。
お正月には、日本で一番多くの参拝者が初詣に訪れることでも知られます。毎年およそ300万人もの人がやってきて、広い参道にも人がぎっしりと並ぶ様子は圧巻です。
参拝の後は、明治神宮の参拝記念品やおみやげものがそろう「フォレストテラス明治神宮」に立ち寄りました。店内には明治神宮の社紋を入れたお菓子や御朱印帳袋などの雑貨が並ぶほか、明治神宮をより深く知ることができる書籍などが手に入ります。
明治神宮はじっくり見て回るとあっという間に2~3時間たってしまうほど広いので、築地の後に参拝する場合には、時間に余裕をもって行くのがおすすめ。閉門時間(季節によって変更あり)に注意が必要です。
東京都内には、日本橋だけでなく歩いてまわれる七福神めぐりが多数あります。いつもは電車やバスで移動する人も、たまには徒歩で街歩きをゆったりと楽しみながら神社とのご縁を深めてみませんか。
今回の旅の行程
【1日目】JR東京駅→人形町駅→小網神社→茶ノ木神社→水天宮→玉英堂→松島神社→末廣神社→笠間稲荷神社→椙森神社→JR品川駅
【2日目】JR品川駅→東銀座駅→波除神社→築地場外市場→築地市場駅→JR原宿駅→明治神宮→JR原宿駅→JR東京駅