氷瀑「袋田の滝」へ!袋田温泉と、凍結した滝に癒やされる
「ここではないどこかへ行きたい」。
例え話だが、意味不明な命令をしてくる嫌な上司の存在に疲れ、息抜きに温泉旅行へ行くことを思い立ったとしよう。ただそんなに長く会社を休めるわけでもないので、思いきり遠くへ行くのは難しい。
それでも欲しい、「非日常感」。
現実逃避が日々の延長であっては、完全にリフレッシュはできないと感じる。
なので「非日常」、もっと言うと「異世界」くらいの感覚を望んでしまう。心が疲れている時のその願いは、わがままとも思えない。
【行程】
- 自然に圧倒される! 氷瀑「袋田の滝」へ
- 国内最大級。絶景の竜神大吊橋
- 茨城「竜神大吊橋」でバンジー!?
- 夜は袋田の滝ライトアップを見物
- 袋田温泉でゆっくりするなら「思い出浪漫館」がいいぞ
- 道の駅「奥久慈だいご」で温泉のおかわり
- トーア乳業のジャンボどら焼
- おわりに
そんな時に強くおススメしたいのが、茨城県だ。
JR東京駅からJR上野東京ラインで約5分、JR上野駅へ。
そこからJR常磐線の特急に乗り換えて約1時間20分、意外なほどあっという間に茨城県のJR水戸駅に到着する。
茨城県? だいぶ日常じゃん。
そんな声が聞こえた気がする。まあ、わかるよ。その気持ちも。
先に結論を言うと、茨城県には大自然も、絶景も、非日常も、全部ある。
東京駅から1時間半くらいで行ける非日常の世界を、紹介していく。
自然に圧倒される! 氷瀑「袋田の滝」へ
まず、茨城には冬に凍る滝がある。どうだろう。それだけじゃ行く理由になりにくいけど、ちょっとだけ見たくないだろうか。
水戸駅で、駅レンタカーを借りて出発。
「この先29km、道なりです」というゴキゲンなナビを聞きながら、真っすぐに北上する。
山道が凍っている可能性もあるので、冬ならスタッドレスタイヤ装着車を借りる方が安全である。
1時間半ほど運転すると、滝の近くにたどり着く。観光地っぽい街並み!
付近には駐車場がたくさんあるので、止める場所には困らない。「滝から一番近い駐車場! 」ってデカい看板があったので、そこに止めた。
その後、滝までの道のりで続々と駐車場が出現するので、後悔しながら歩いた。嘘つきだ。「来週の土曜出てくれ。その後の平日一日休んでいいから」って言ってきて休ませてくれなかった上司みたいだ。
ちなみに滝までのルートは、トンネルを進むか、山道を歩くかの2通りある。
せっかくなのでいい感じの山道を歩くと、まだ滝に着いていないのに、山肌に氷の姿が見えてくる。
なにこれ、すごくない?
これが自然の力……?
登って見てみたらたらめちゃくちゃ人工だったので、2度驚いた。奇跡を演出する感じ、ガールズバーで「この店では俺のことを社長と呼べ」って言ってきた上司を思い出す。
気を取り直して本物の氷瀑へ。
怖い橋を越えると、もう間もなくだ。
入場料の300円を支払い、滝の前へ。
うおっ……!
滝が凍ってる! 滑り台みたい!
すごい迫力。写真で紹介しておいてこんなこと言いたくないんだけど、写真じゃ伝わらない迫力と衝撃がある。
奥にはエレベーターがあり、展望デッキにつながっているので、高い位置からも眺めることができる。
夜はライトアップが行われ、それもとても幻想的と聞く。夜もまた来るしかない。
帰る道には「俳句投稿コーナー」があった。
そういう感性にだいぶ乏しく、「氷瀑は とっても大きな すべり台」という小学2年生くらいの俳句を投稿したので、載ってたら教えてください。
飲食店も結構あるので、おなかがすいていたらランチも◎。
凍(し)みこんにゃくの天ぷらという、知らない揚げ物を食べた。凍みこんにゃくとは、こんにゃくを乾燥させた食品らしい。不思議な食感でよかった。エビとかよりうまかった。
国内最大級。絶景の竜神大吊橋
袋田の滝から車で40分ほどでたどり着く竜神大吊橋は、なんと全長375m。
歩行者専用として国内最大級の長さを誇り、ダム湖面からの高さは100mもあるのだとか。
長い!
320円の料金を支払い、渡ってみる。
景色がものすごい。黒い線みたいに橋の影が。
この辺りは、そのままハイキングコースにもつながっている。歩いてこの自然に包まれるのもいいだろう。
ただちょっとルートが厳しそうだったので、ハイキングはしなかった。
ちなみに橋を渡った先では100円でカリヨン(連鐘)を鳴らせるのだが、想像以上に大きな音が鳴る。音色は山々に響き渡り、景色を楽しんでいる人とかをビビらせることができる。
茨城「竜神大吊橋」でバンジー!?
僕は飛んでないのだが、この橋ではバンジージャンプもできる。
この写真の位置がだいたい飛ぶポイントから見える風景なのだが、すごく高い。バンジージャンプで高さ日本一の100mは、欄干から見ただけでも心臓がすくむ。
飛んでないから言えることなんだけど、すごく景色がいいから、めちゃくちゃ気持ちいいだろうなと思った。
バンジージャンプ自体の経験がないが、どうせ飛ぶなら日本一のところを飛んでみたい。「飛んだら自分の中の何かが変わるかもしれない」と思えるくらいパワーがある。いつか飛びにくるかもしれない。
ちなみに飛んでいるところは奥の広場で見学できるので、闇のゲームの主催者みたいな気分になれる。上司が飛ぶとこなら見たい。その時は絶対楽しそうに飛ばないで、みっともなく落下してほしい。
夜は袋田の滝ライトアップへ
竜神大橋から車で滝へ戻ってきた。今度はもっと近くの駐車場に止めた。旅は人を成長させると聞いたことがあるけど、こういうことなんだろうか。
夕方くらいに到着したが、昼間とは雰囲気が変わっていた。
滝までの道に明かりがついている。
今度は山道ではなく、トンネルを進むルートで滝を目指す。
トンネル内にも未来的なライトアップが!
突然光りだしてビックリした大子来人(ダイゴライト)という超神秘的な照明も。
そしてトンネルを抜けると……
キレイだ……。
昼はこう、圧倒してくるようなイメージだった氷瀑が、夜はなんとも神秘的に。
この日の凍結度合いは5〜6割ほどで、一部に水の流れがしっかりとあるのも逆によかった。
滝や下の川も凍っているくらいに寒かったが、永遠に見ていられるような幻想的な光景。
※編集部注:ライトアップは期間限定です。詳細はWebサイト等をご確認ください
袋田温泉でゆっくりするなら「思い出浪漫館」がいいぞ
永遠は無理で、体が芯から完全に冷えたので、宿に移動する。
袋田の滝から車で約1分、すごく近くに最高の宿がある。
それがここ、「思い出浪漫館」だ。ここは、普通の温泉宿と一線を画している。
一言でいってしまえば、「すごくハイカラ」なのだ。
明治時代の迎賓館のような内装。
異国情緒がある。
普段生きていて、異国情緒を感じることがあるだろうか。
どこかでほんのりと異国の空気を受けることはあっても、異国情緒とまでいくことは珍しい。
この宿全体を包み込むハイカラな空気と調度品の数々が、感情のステージを一段上げてくれている。
現実逃避したい時に欲しかったのって、こういう宿だったんじゃないか?
施設名も最高すぎて撮ってしまった。
温泉宿の中にある居酒屋の名前が「まだ宵の口」って、あまりにセンスが良すぎないか。マッコリにブルーハワイのシロップ混ぜて「スカイマッコリやで」とか言ってた上司に見せてやりたい。
あとは広い大浴場で凍てついた体をほぐして……。
最高のロケーションにたたずむ「渓流露天風呂」に入って、旅の疲れどころか日々の疲れも癒やされていき……。
そして、
旬の食材をたくさん使った品のある和食などをおなかいっぱい食べればもう、その旅は「最高」と言っていいのではないでしょうか。
※お食事は一例です。季節によってメニューが変わるので、それも楽しみに……。
※写真撮影のために食事を一度に出してもらいましたが、基本的には食べ終えたら次の品が出てくるスタイルです。
宿では何をしたっていい。
残業を強制してくる上司も、休日に呼び出してくる上司もいない。
もう一度温泉に入ったり、ラウンジを歩いたりするのもいい。施設内のお店に行くのも楽しい。普段こんな時間には飲めないコーヒーを飲んだっていい。小さな非現実感をためて、現実逃避をしよう。
好きなことをして、しっかり眠る。
きれいな和室にお布団って、なんであんなに落ち着くんだろうか。
「久々にこんなに寝たな」ってくらいグッスリと眠った。
朝のラウンジもハイカラで素晴らしかった。
またゆっくりしたい時に来たいな。
道の駅「奥久慈だいご」で温泉のおかわり
温泉宿を去ったあと、「温泉に入り足りなかった」と思うことはないだろうか。僕はある。
そんな時は道の駅「奥久慈だいご」に行こう。左下のマークにご注目。
この奥久慈だいごには、道の駅としては珍しく「温泉」がある。
道の駅の2F、500円で温泉のおかわりができてしまう。
さっきまでだいぶゆっくりしてたのに、まだゆっくりしていられる幸せをかみしめることができる。
お風呂あがりは、限定のりんごソフトクリームがピッタリだった。
シャーベットっぽくておいしかった。
お土産屋さんもあるので、わりと知らないタイプの野菜を眺めつつ……
お土産に干し柿を買った。12個つながってて1,200円(税込)という安さ。食べられるインテリア。
※編集部注:干し柿の個数と値段は取材当時のものです
トーア乳業の特大どら焼
車で水戸駅に向かう途中、ちょっと小腹がすいたら、トーア乳業のどら焼がおすすめ。
これ、すごくデカい。
サイズ比較用の60円(税込)の大福の上にある有名なジャンボどら焼も普通のより大きいんですが、55円(税込)という意味不明な値段設定。
右の特大どら焼も100円(税込)。利益は出ているのか? と思ってしまうレベルに安い。
顔が隠れるくらい大きい。
特大だけど口当たりが軽く、後味もサッパリ。パクパク食べられるので、小食な方でも普通にいけちゃうと思う。
※編集部注:どら焼の値段は取材当時のものです
おわりに
レンタカーを返却し、水戸駅から上りの列車に乗る。
景色はみるみる変わり、1時間ちょっとで上司の住む東京に着く。すごく近い。
こんなに近いのに非現実感が随所にあり、心も体も癒やされた。
氷瀑・袋田の滝は、四季折々に変化すると聞く。その昔、西行法師が「この滝は四季に一度ずつ来てみなければ真の風趣は味わえない」と褒めたたえたのだとか。
あの凍っていた滝は、春にはどんな飛沫を上げるのだろう。
竜神大吊橋から見えるあの景色も、秋はもっと色づくのだろう。
毎日働いて、四季なんかわかんないくらい疲れる日々に戻る。だからたまにはそんなふうに、遠いようで近い茨城に思いを巡らせるのもいいかもしれない。行こうと思えば上野駅から一本で水戸駅まで着いてしまう、あの距離感がちょうどいい。
次はバンジーも、やってみようかな。
もし飛べたら、ドキドキした心臓を、あのハイカラな宿で落ち着かせたいな。
今回の旅の行程
【1日目】JR東京駅→JR上野駅→JR水戸駅→袋田の滝→滝本屋本店→竜神大吊橋→袋田の滝(ライトアップ)→思い出浪漫館
【2日目】奥久慈だいご→トーア乳業→JR水戸駅→JR上野駅→JR東京駅