宮城のこけしに会いに行こう。モダンなこけしは必見!絵付け体験も
今回の列車旅ポイント
- 難読駅である愛子(あやし)駅
- 仙台駅、愛子駅から秋保(あきう)温泉エリアまでバスが出ている
- 仙台駅で絶品お土産「玉澤総本店のミニ黒砂糖まんじゅう」を購入
エッセイストの柳沢小実です。普段は衣食住、暮らしについて書いていますが、旅も大好き。仕事の合間に、年10回以上は国内や海外へ出かけています。
「東北の伝統工芸品は、かわいいものが多いよね」
友人とふいに、「こけし」の話になりました。東北を旅しながらこけしを集めている彼女によると、東北地方の各地域でこけしは作られており、形や顔つき、柄なども地域によってさまざまだそう。話を聞いていたらむくむくと興味が湧いてきたので、いろいろと調べて仙台へ向かうことにしました。
東京駅
仙台のこけし文化を学ぶ旅
JR東京駅から、東北新幹線でJR仙台駅まで約90分。仙台市は、緑が多いことから「杜の都」と呼ばれる、宮城県の県庁所在地です。東を太平洋、北を松島丘陵、西を奥羽山脈、南を名取川に囲まれており、海が近いため東北地方の中では比較的温暖な気候です。
今回は仙台を起点に、遠刈田と作並のこけし工房をめぐる旅。東北のこけしは、伝統的なものからモダンなものまで、作風も作家さんによってさまざまです。
伝統こけしは、江戸時代に木のお椀やお盆などを挽く木地屋が、東北の湯治場を訪れる客への子ども向け玩具として作ったものといわれています。こけしの形や顔つきは土地ごとに異なる特徴があり、
・鳴子こけし(宮城県大崎市鳴子温泉)
・遠刈田こけし(宮城県刈田郡蔵王町)
・土湯こけし(福島県福島市土湯温泉町)
この3つが、「三大こけし」といわれています。
遠刈田温泉
いこいの里、遠刈田温泉
仙台駅前で食事をし、お腹が満たされたところで、仙台駅から遠刈田温泉まで、宮城交通のバスで移動します(約1時間)。遠刈田温泉は古くから湯治場として知られる温泉街で、スキー場として有名な蔵王連峰の東麓に位置します。
街には温泉宿と、遠刈田温泉バス停から徒歩5分圏内に公衆温泉が2軒あります。「壽(ことぶき)の湯」は、小ぶりな歴史ある建物でお湯は熱め。刈田嶺神社に隣接する「神の湯」は、温度の異なるお風呂が2つ。そのため、観光客には神の湯が入りやすいよと地元の方に教えていただきました。
温泉で軽く汗を流して、ほてった体を冷ましながら散策し、神の湯から徒歩2分ほど、「はせがわ屋」の豆乳ソフトでクールダウン。甘さ控えめで、さっぱり美味しい。
みやぎ蔵王こけし館
こけしの絵付けに挑戦!
さて、今回の旅の目的、こけしに会いにいきましょう。はせがわ屋などがある遠刈田温泉の中心部から徒歩で約10分のところにある「みやぎ蔵王こけし館」は、全国の伝統こけしと木地玩具5,500点が展示され、こけしの絵付け体験もできます。
地元の名工の作品や、貴重な資料類の展示も。
「日本三大こけし」のひとつである遠刈田こけしは、最も古くに誕生し、こけしはここから発祥したのではないか、といわれています。遠刈田こけしの特徴は、比較的大きめの頭と、切れ長な目の大人っぽい表情にあります。また、胴模様には菊などの花のモチーフが多用されています。
展示を見終えたら、こけしの絵付けに挑戦しましょう。私は美術的センスがゼロで、もちろん絵心も壊滅的ですが、工人(こけし作家)さんが親切にご指導くださり、描き方のテキストもあるので安心です。筆を扱いなれていない人は、筆ペンを使うと描きやすくなりますよ。私も顔部分は筆ペンを使いました。
絵付けは、黒、赤、緑と一色ずつまとめて、顔→頭→胴体という順で描いていきます。一筆一筆はうまく描けなかったとしても、全体で見るとそれなりにまとまるのでご安心を。胴体の模様の線部分は、機械を使って描きました(※)。最後に工人さんが、全体にろうを塗る「ろう仕上げ」をして仕上げてくださいます。
※編集部注:通常、体験では機械は使用せず、手描きのみになります。今回は特別に使用させていただきました
かっぱの宿 旅館 三治郎
足腰の疲れに効く硫酸塩泉
再び温泉街の中心部へ戻り、今夜のお宿「かっぱの宿 旅館 三治郎」へ。遠刈田温泉にゆっくり浸かって、日ごろの疲れを癒しましょう。泉質はナトリウム・カルシウム-硫酸塩・塩化物泉で、足腰の疲労に効果があるのだとか。
夕食は、新鮮なお刺身や和豚もちぶたの常夜鍋などをコース仕立てで。常夜鍋は、最後に宮城県丸森町産の新米つや姫と蔵王町「白鳥ファーム」の新鮮な卵で雑炊にしていただけます。たっぷり食べて、お腹がはちきれそう~。
今晩は早めに寝て、明日に備えます。
秋保ワイナリー
料理関係者の間でも話題のワイナリーへ
2日目。
朝風呂後に朝食をいただいて、遠刈田温泉から再び宮城交通のバスで仙台駅へ。そこからさらに、仙山線でJR愛子(あやし)駅へ向かい(約30分)、愛子駅から仙台市営バスで秋保(あきう)温泉の最寄りである磊々峡(らいらいきょう)入口へ(約15分)。ちなみに、愛子駅は特殊な読み方をする「難読駅」のひとつで、「あいこ」ではなく「あやし」と読むそうです。
仙台市南西部の秋保温泉は、宮城県内で有数の温泉郷。近年はワイナリーやお洒落なカフェなどもできて、活気があります。
東京のお寿司屋さんに、「秋保ワイナリー」がいいと教えていただいて立ち寄りました(磊々峡入口バス停より徒歩1分ほど)。ぶどうの栽培と醸造を行い、施設内では試飲や販売もしており、国内外からの観光客でにぎわっていました。列車旅は、お酒を飲めるのがいいですよね。
玩愚庵こけし屋
人気作家のこけしを求めて
秋保ワイナリーより徒歩25分ほど。「玩愚庵こけし屋」は、全日本こけしコンクール「内閣総理大臣賞」を受賞した、人気のこけし工人・鈴木明さんの工房兼ショップです。くびれのある木地に赤と黒の2色だけで描彩した伝統的な仙台こけし(※)と、現代風にアレンジしたかわいいこけしを、息子の敬さんとともに製作しています。
※編集部注:作並系・通称、胞吉(えなきち)こけし、ともいわれる
店内では、絵付け体験もできます。
いちごやすいか、桃をモチーフにしたこけし。
ケーキやパンケーキをモチーフにしたこけしは、20~50代の女性に雑貨感覚で受け入れられているよう。
仙台駅
ロールケーキや笹かまぼこをお土産に
「玩愚庵こけし屋」の最寄りのバス停の秋保工芸の里から、タケヤ交通のバスで仙台駅へ(約50分)。仙台駅には宮城県内のお土産をまとめて買えるお店があるため、時間のない旅行者にはとてもありがたい。お土産を購入して、仙台っ子のソウルフードともいわれる「パスタハウス トライアングル」のスープスパゲティを食べました。
満足して、仙台駅より東北新幹線で帰京。
自宅
お土産は、旅の間にたくさんの方からおススメを教えていただいて、張りきって駅ビル「S-PAL仙台」で買いまわりました。
霜ばしらは、熟練した飴職人しか作れない、真珠を思わせる鮮やかな光沢の飴菓子。
笹かまは、松島蒲鉾本舗の個包装詰め合わせが家族にも好評でした。
玉澤総本店のミニ黒砂糖まんじゅうは、日持ちしないため、店頭では仙台でしか買えないそう。
秋の仙台こけし旅は、しみじみ癒される東北の温泉、脈々と続くこけし文化を味わえた、豊かな旅となりました。春に訪れた弘前で作った鳩笛のとなりにこけしを並べたら、なんだかみんな嬉しそう。日本の伝統工芸を追って、これからもあちこち訪れたいと思います。
掲載情報は2020年1月14日配信時のものです。現在の内容と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。
編集注:今回の旅は、きみどりこけし様に紹介いただいた「こけしスポット」を中心に、旅のプロ・柳沢小実さんが宮城を旅する特別企画です。伝統的なこけしとモダンなこけしを満喫できる旅をお楽しみください。
今回の旅の行程
【1日目】JR東京駅→JR仙台駅→遠刈田温泉(神の湯、はせがわ屋)→みやぎ蔵王こけし館→かっぱの宿 旅館 三治郎
【2日目】かっぱの宿 旅館 三治郎→JR仙台駅→仙山線 愛子駅→秋保ワイナリー→玩愚庵こけし屋→S-PAL仙台→パスタハウス トライアングル→JR仙台駅→JR東京駅
宮城・遠刈田温泉JR+宿泊 蔵王のお宿 旬樹庵 さんさ亭
1泊2日/東京駅⇔仙台駅/夕朝食付き
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