【青森クラフト旅】こぎん刺し&鳩笛作りに挑戦!名喫茶&お土産も
衣・食・住・旅のエッセイスト柳沢小実です。今回の目的地は、りんご生産量全国1位の青森県弘前市。
弘前は海の幸と山の幸に恵まれた城下町。実はコーヒー文化が根付いており、雰囲気のある喫茶店もたくさん。そんな弘前で、伝統工芸体験をしてきました。
【行程】
- 城下町の喫茶店でミートパイを
- こぎん刺しのヘアゴムをつくってみた
- 幻の豆腐、タラの白子に舌鼓!
- 2日目もロマン感じる喫茶店からスタート
- 自分だけの鳩笛をつくる!絵付け体験
- 弘前の人気のカフェでひと休み
- お土産で、旅の余韻を楽しむ
城下町の喫茶店でミートパイを
弘前へは、JR東京駅からJR新青森駅まで、東北新幹線で約3時間。さらに新青森駅からJR弘前駅まで、JR奥羽本線で約35分の道のりです。
ここ弘前は、昔ながらの喫茶店が多い街。太宰治が通っていた「万茶ン」や、地元のコーヒー好きに愛されている「成田専蔵珈琲店」をはじめ、名店がずらり。江戸時代に幕府より北方警備を命じられた弘前藩士がコーヒーを飲んでいたことから、コーヒーと喫茶店文化が広まりました。
まず向かったのは、地元の方数名がオススメしてくださった「名曲&珈琲 ひまわり」。60年続く名店で、ミートパイが評判です。
クラシック音楽をBGMにミートパイを。さくさくのパイ生地に甘めのゆるい肉あんが絡んで、たしかにこれは美味しい。ほかに、「藩士の珈琲」やリンゴジュース、アップルパイなども人気だそうです。
こぎん刺しのヘアゴムを作ってみた
喫茶店から5分ほど歩いて、次は手芸店「しまや」で、こぎん刺し体験に初挑戦します。こぎん刺しとは、農家の女性たちが津軽の厳しい寒さを乗り切るために、補強も兼ねて綿糸で麻生地に柄を刺して着物にしたもの。その美しさから、伝統工芸品として再び見直されています。柄と生地と糸の組み合わせは無限大。初心者向けの「きくらこ柄」を選びました。
刺繍は久しぶり。ざくざくと粗い生地に刺していきます。私はネイビーの生地にしましたが、淡い色の生地のほうが、目を見つけやすいため、手芸初心者にはおすすめだそう。30分ほど無心に作業してできあがり。刺し終えた生地をその場でボタンに仕立てて、ヘアゴムにしていただきました。自分で手を動かすと、達成感がありますね。
次は、手芸店から10分ほど歩いたところにある雑貨店「green」に。ティッシュケースやコースター、名刺入れやブローチなど、こぎん刺しのアイテムも、たくさん並んでいます。
幻の豆腐、タラの白子に舌鼓!
そのあとは、ホテルに向かう道すがら、市場をのぞいたり、古い教会を巡ったりしました。
夜は、ホテルのスタッフの方に教えていただいた、弘前駅そばの居酒屋「夕凪」へ。「新鮮な魚を食べたいならここ! 」とのお言葉通り、近海で獲れた魚介類に舌鼓を打ちました。
この日は、地元の人でもなかなか買えない幻の豆腐、奥瀬商店(黒石市)の豆腐があり、そちらももちろんオーダー。ひとりでのんびり食べていたら、お隣の方々が、タツ(タラの白子)の天ぷらや納豆巻きなどを次々と分けてくださいました。ひとりだと種類を食べられないのが唯一の悩みなので、ありがたく頂戴しました。いい夜だったな。
この日は弘前駅周辺のホテルに宿泊。翌日もクラフトめぐりは続きます。
2日目もロマン感じる喫茶店からスタート
弘前旅の2日目スタート。2日目は鳩笛の絵付け体験がメインですが、早めにホテルを出て、老舗の和菓子店「大阪屋」でお土産を買い、地元の方に教えていただいた喫茶店へ向かいました。
どこへ行くかはある程度リサーチしてありますが、決めつけすぎず、行く先々でおすすめを教えていただくというスタイルです。落ち葉が風に舞うように、その時の気分に身をまかせるのも、旅ならではの過ごし方ですよ。
弘前駅から車で10分ほど。「大正浪漫喫茶室」は、大正10(1921)年に建てられた、日本商工会議所の初代会頭を務めた藤田謙一氏の別邸の一角。2003年に国の有形文化財に指定されています。レトロな建物や整えられたお庭を眺めながら、アップルパイやタルトタタンがいただけます。
朝食代わりに、弘前市はタムラファームのアップルパイとアップルティーを。雨上がりで鮮やかさを増していたお庭の紅葉が印象的でした。弘前公園近くで、散策中のひと休みにちょうどいい立地です。
自分だけの鳩笛をつくる!絵付け体験
さて次は、「大正浪漫喫茶室」から弘前公園経由で15分ほど歩き、津軽の民芸品やお土産などを集めた、「津軽藩ねぷた村」へやってきました。ここでは、さまざまな伝統工芸製作を体験できます。
下川原焼(したかわらやき)土人形は、かつて、食器をつくる窯元が、オフシーズンの冬の間につくりためて春にまとめて焼いていたものだそう。鳩笛の絵付けに挑戦しました。
筆の扱いは難しかったですが、丁寧なご指導により、美術の成績が壊滅的だった私でも、なんとかかわいくできました。うれしい!
弘前の人気のカフェでひと休み
愛らしい鳩笛を完成させたら、この後はお土産ショッピングの時間です。弘前駅から徒歩10分ほどのところにある、弘前中央食品市場で食品を購入しました。
買い物後は、弘前の若い女性たちに人気だというカフェ「cafe TUBE LANE」へ。アンティーク家具が置かれた店内は、大きな窓からたっぷり日の光が入って、しみじみ幸せを感じる空間です。ランチやケーキもいただけますが、この日はすみれアップルを。すみれのシロップ&リンゴジュース&ジンジャーエールの、爽やかでおしゃれなドリンクでした。
お土産で、旅の余韻を楽しむ
下調べの段階から、弘前は食に恵まれた土地だと期待していました。訪れてみたら予想以上で、持っていったほぼ空っぽの小さめスーツケースは、帰りは食べ物でぎゅうぎゅう。重さを量ってみたら、なんと17キロもありました。帰宅後にお土産をほどき、余韻を味わうのも旅の醍醐味ですね。
実は「城下町だった弘前には、和菓子の名店がひしめいている」「リンゴの名産地で、アップルパイなどにも力を入れている」といった情報を聞き、「弘前のおやつを調査する」を裏テーマに旅していました。最も感激したのが、創業から300年以上の老舗、「大阪屋」の竹流し。そば粉入りの生地を薄く伸ばして焼いた素朴なお菓子ですが、カリパリとした歯ごたえと、ほのかな甘さ、そばの香りと、とにかくバランスが絶妙で止まらない……! これは間違いなく銘菓ですよ。
そして、弘前のホテルの朝食にも登場する、津軽の漬物店「いした」の杏の漬物もいくつか。直営店は市内から離れていますが、駅から徒歩圏内のイトーヨーカドーの漬物コーナーか、津軽藩ねぷた村で買い求めることができます。
弘前で作った鳩笛も、しっくり部屋になじみました。伝統工芸体験と、喫茶店と、食の旅。弘前へは、また必ず訪れたいと思っています。
スポット情報
夕凪
住所:〒036-8004 青森県弘前市大町1丁目9−2
営業時間:17-24時
定休日:日曜
今回の旅の行程
【1日目】JR東京駅→JR新青森駅→JR弘前駅→名曲&珈琲ひまわり→手芸店「しまや」(こぎん刺し体験)→雑貨店「green」→居酒屋「夕凪」
【2日目】大阪屋→大正浪漫喫茶室→津軽藩ねぷた村(鳩笛絵付け体験)→弘前中央食品市場→cafe TUBE LANE→JR弘前駅→JR新青森駅→JR東京駅