温故知新が息づく桐生へショートトリップ。こだわりのカフェ、洋品店、本屋
今回の列車旅ポイント
- 西桐生駅のノスタルジックで可愛いらしい駅舎
- JR桐生駅から徒歩圏内にある個性的なお店
- 旅先で買った本を列車で読みながら帰京
世界各国を買付で飛び回るインテリアバイヤーの早川七実です。旅の中で出会う素敵な「モノ、コト、ヒト」を、インテリア雑貨やコラムなどを通して紹介しています。
今回は、北陸新幹線と両毛線を乗り継いで群馬県桐生市へ。織物(桐生織)の産地として栄えた桐生の街には、古い建物や看板をいかした雑貨店、洋服店、カフェなどの個性あふれる店舗がいろいろ。店主のこだわりがつまった、ここでしか出会えない素敵なお店を巡りました。
西桐生駅
ノスタルジックな可愛いピンクの駅
JR東京駅から北陸新幹線に乗って約50分のJR高崎駅へ、さらに両毛線に乗り換え約46分、JR桐生駅で下車。そこから徒歩約7分で上毛電気鉄道の西桐生駅に到着。
奈良時代から繊維、織物の街として栄え、古い建物がそこかしこに残る桐生の街。そんな桐生のシンボリックな存在でもある、西桐生駅の駅舎を見学します。
上毛電気鉄道の終着駅でもある西桐生駅。洋館スタイルの駅舎は当時と変わらぬ面影を残しています。
駅舎の中に入ると、古い運賃表が壁に掲げられ、クリーム色の壁を何度も塗り直されたと思われるピンクが彩ります。
改札口を抜けると、ミントグリーンの柱のプラットホームが現れます。現役で活躍中の上毛電気鉄道のグリーンの列車が、乗客を乗せてちょうど出発したところでした。
待合い室のベンチには手作りのカラフルな座布団が。見ているだけで笑みがこぼれる可愛さです。のんびりベンチに腰掛けて可愛い駅舎の中を眺めるだけで楽しいひと時♪。
ふやふや堂
素敵な本に出会える小さな本屋さん
西桐生駅からは古くて可愛い建物を眺めながら、テクテク徒歩で約20分、月曜の夕方・金曜の午後・第1土曜だけ営業する小さな本屋さん「ふやふや堂」へ。
ふやふや堂のある桐生市本町一丁目、二丁目エリアは、現在も歴史的な建造物が多く残っており、国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されています。ふやふや堂も、元織物工場だったという歴史を感じる木造の建物。
「小さいけど素敵な出版社から出される、こころがじんわり温かくなる本」をコンセプトに、オーナーの齋藤直己さん自ら丁寧に選書した、個性豊かな一冊に出会える素敵な本屋さん。
ふやふや堂のオーナーご夫妻が中心となり、古くから、桐生の人々の買い物の聖地として愛され、買場紗綾市が行われてきた長屋をリノベーションし、「カイバテラス」としてこの春オープン。
入口入って右側がショップスペースで本や雑貨を販売。建物の左側にはキッチンや畳の小上がりがあり、レンタルスペースとして貸し出す予定。地域の人はもちろん観光客も気軽に立ち寄ることができて交流できるコミュニティスペースとしていきたいとのこと。
また毎週日曜(第1は土曜日)には長屋の前の空き地で「のんびりマルシェ」を開催。地元の美味しいものや可愛い雑貨のお店が並ぶので、ぜひ立ち寄ってみて。
ホテルふせじま
山間に佇む静かな温泉宿
本町一丁目のバス停から「おりひめバス」に乗って約20分の新桐生駅へ。そこから東武桐生線に乗り換えて約7分で藪塚駅。徒歩約10分で、本日宿泊する「やぶ塚温泉 ホテルふせじま」に到着。
宿に着いたらまず温泉! 桐生の街をたくさん歩いて疲れた身体を癒します。最上階にある解放感たっぷりの露天風呂「せせらぎの湯(女性用)」は、正面には関東平野、右手には茶臼山の大自然が広がります。チェックイン後から朝9時まで入浴可能なので、深夜は大空に星が降り注ぐのを楽しみながら、早朝は朝の爽やかな空気を感じながら温泉に浸かることも。
温泉で疲れを癒した後はお楽しみの夕食! 今回は、膳処「つつじ」でいただきました。旬の食材を使った会席をベースとした季節のコース料理。
色鮮やかな先付からスタート。菜の花が季節を感じさせてくれます。
お椀、天ぷら、お刺身、ぶりの照り焼き、そしてメインは、名産赤城地鶏と群馬産豚肉と旬の鱈のお鍋。出汁に溶け出した赤城地鶏の程よい弾力の身と、甘みのある脂の旨みを存分に楽しめる一品。一緒に炊かれていた玄米のお団子は料理長のオリジナルだとか。出汁がしみてとっても美味でした。
お口直しの季節のフルーツまでで全8品。料理長の丁寧な仕事が窺える大満足の夕食でした。
※編集部注:お料理や食事場所は季節やプランなどによって異なります。
今夜のお部屋は、畳が気持ち良い和室。ふかふかのお布団で明日の散策に備えて早めの就寝です。
RIPPLE YōHINTEN
月7日間だけ開く洋品店
2日目は、ホテルをチェックアウトし、東武桐生線とおりひめバスを乗り継いで約25分、桐生駅へ。桐生駅からは昨日訪れた西桐生駅のピンクの駅舎を横目に通過し、緑が生い茂る山道と階段を登り歩くこと約15分、洋品店「RIPPLE YōHINTEN」へ。
白塗りのシンプルな内装の店内には、天然素材を使用したカラフルな洋服がずらり。桐生出身、モナコ在住のオーナーが生み出すこちらの洋服は、色やデザインが全て違い、1着1着が手作り。こだわりがつまった1点もの。
月初の7日間だけオープンするこちらのお店は全国各地にファンを持ち、私が訪れた開店時間には、お客さまがオープンと同時に次から次へと途切れることなく来店。1点ものかつオンラインショップで買うことができないため、この7日間を目がけてファンが駆けつけるのです。
カラフルな洋服に合わせてコーディネートしたい、オリジナルの冷え取り靴下。可愛い色を選んでお土産にするのもおすすめです。
Purveyors
鉄工所をリノベした大人の秘密基地
洋品店から徒歩で約20分。大きな鉄工所の建物をリノベーションしたアウトドアショップ「Purveyors」へ。
シャッターが下ろされた正面。もしや店休日? と不安な気持ちを抱えながら、右脇の細い階段を上がって2階からお店の中へ。
入口を抜けるとそこには、吹き抜けの大きな空間に、都心ではなかなか見ることができない、テントやカヌーなどの大型アウトドア製品が展示され、思わずあっと驚きます。
広々とした空間の特性をいかした、美術館のような大迫力のディスプレイは見ているだけでわくわくして楽しい。
1階の奥にはカフェスペースが併設されているので、店内を眺めながらゆっくりオリジナルコーヒーを楽しめます。アートギャラリーのような店内を見渡しながらコーヒースペースでまったり、なんて過ごし方が良さそう。
3階には広々としたショップスペースと、キッズスペースにもなっているルーフバルコニーがあり、お子さん連れにも嬉しいですね。
圧巻のディスプレイを楽しめる大人の秘密基地のようなお店。広々とした店内では本格的なアウトドアグッズはもちろん、洋服、雑貨などとっておきの一品を見つけることができますよ。
Itoya coffee factory
素敵インテリアに包まれて楽しむ絶品コーヒー
Purveyorsから歩いて7分の場所にある「Itoya coffee factory」で、桐生で一番、と評判の美味しいコーヒーをいただきます。
ネクタイ工場だった古い建物がリノベートされていて、懐かしさとモダンな雰囲気が絶妙に融合した素敵な外観。
白を基調としたモダンな店内には、アンティーク家具が配されていて、コーヒーの香りとともに、ゆったりとした時間を過ごせます。
可愛い器で提供される本日のスペシャルティコーヒー。この日の豆は、チョコレートやスイーツとも相性の良い「ケニア ニエリヒル」(450円税別)。コーヒー豆本来の味を知ることのできるフレンチプレスで抽出。さっぱりとしたお味ながら、奥深い香りを楽しめる最高に美味しい一杯でした。
美味しいコーヒーで幸せな時間を過ごしたら、もう帰京の時間。名残惜しい気持ちで徒歩13分ほどの桐生駅へ向かいます。桐生駅から高崎駅へ向かい、北陸新幹線に乗り換え。新幹線の中では、昨日ふやふや堂で見つけた本を読んでいたらあっという間に東京駅到着。
古いものを大切に残しながら新しい現代の感覚を取り入れ、素敵な街へと進化している桐生には、東京ではなかなか見つけられない、素敵な場所がたくさんありました。東京から2時間程度の距離、ふらりと週末に、おすすめですよ。
東京駅
掲載情報は2020年4月28日配信時のものです。現在の内容と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。
今回の旅の行程
【1日目】JR東京駅→JR桐生駅→西桐生駅→ふやふや堂→カイバテラス→藪塚駅→ホテルふせじま
【2日目】ホテルふせじま→JR桐生駅→RIPPLE YōHINTEN→Purveyors→Itoya coffee factory→JR桐生駅→JR東京駅