今回の列車旅ポイント
こんにちは、美術ブロガーの明菜です。普段は美術ブログ「アートの定理」で美術館巡りの楽しさを発信しています。
最近は街歩きをしながら素敵な建築物を発見するのにハマっています。文豪が原稿を書いていた喫茶店のようなレトロな建築も良いし、不思議な形をした最新の建築も良いですよね~。
なんと今回、東京都心からサクッと行ける場所でレトロ建築と最新建築の両方を楽しめる! ということを知り埼玉県へ。川越のレトロ建築と所沢の最新建築を巡ってきました。それでは新旧の建築巡りスタートです!
JR東京駅から上野東京ラインに乗って約30分、JR大宮駅で川越線に乗り換えて約20分。あっという間にJR川越駅に到着しました!
東京駅から約1時間で来られるなんてプチ旅行にぴったりの目的地ですよね。さあ、川越のレトロ建築を巡るぞ~!
川越駅から歩くこと約15分、「リストランテ ベニーノ」に到着! 白い壁と赤い屋根が印象的なレトロ建築の1階で、素敵なイタリア料理をいただくことができます。
1937年(昭和12年)頃に改築して「六軒町郵便局」として使われていた木造の建物で、国の登録有形文化財にも指定されています。とんがり屋根が可愛らしく、童話に出てきそう~。
店内は大人の雰囲気が溢れるオシャレ空間! 焦げ茶色で統一されたテーブルを、大きな窓から差し込む優しい光が照らしています。
ランチは生パスタを使った「渡り蟹のトマトクリームソース フェットチーネ」をいただきました。
生パスタはもっちもち、蟹の身はプリップリ! 蟹のうまみとトマトの酸味が絡み合ってソースには深いコクがあり、とってもおいしかったです。
ベニーノから徒歩約10分、「川越商工会議所」に到着しました! 鉄筋コンクリート造りで地上2階、地下1階の建物で、重厚な外観が特徴です。
川越商工会議所の面白い所は、さまざまな時代の西洋建築の要素が取り入れられていること! 外柱は古代ギリシャ神殿風のドーリア式でどっしりとした印象。入り口の上には、17世紀頃のヨーロッパで流行したバロック風の渦巻きを用いた装飾が施されています。
この建物は1927年(昭和2年)に武州銀行川越支店として建てられ、後に川越商工会議所が譲り受けて現在は事務所として使われています。1998年(平成10年)に国の登録有形文化財に指定されました。
川越商工会議所から歩くこと約2分、「川越アートカフェ エレバート」に来ました!
目を引かれる石造りの建物で「田中家住宅」として川越市の有形文化財(建造物)に登録されています。1915年(大正4年)の建築で、美術館として使われていたこともあるそうです。
内部は土蔵造り。内装もレトロでとってもオシャレ! 落ち着いた音楽が流れており、とても居心地が良いですね~。観光の休憩にもピッタリですが、近くに住んでいたら読書しに来たいカフェです。
エレバートのおすすめは、川越のクラフトビール「COEDO(コエド)ビール」です! 店員さんいわく、川越の観光エリアでは、全6種類を樽生で飲めるのはエレバートだけなのだそうです。時期によっては期間限定のCOEDOビールも取り扱っているそうですよ~!
6種類のCOEDOビールの中から「瑠璃」と本日のケーキ(私が訪れた日はベイクドチーズケーキ)を注文しました(セット)。口当たりが軽くて飲みやすく、ほどよい酸味と苦味があり、かつフルーティーな味わいでした! 一杯目のビールにぴったりだと思います。お酒が飲めるのも列車旅の良い所ですよね。
エレバートから歩くこと約3分、青緑のドーム(塔屋)が見えてきました! 国の登録有形文化財「旧八十五銀行本店本館(※)」です。2020年6月までは「埼玉りそな銀行 川越支店」として使用されていました。
※編集部注:埼玉県で初めて設立された銀行。建物に入る銀行は何度か改名しており、文化庁の登録名は「あさひ銀行川越支店(旧八十五銀行本店本館)」
第八十五銀行の本店として1918年(大正7年)に完成した3階建てのルネサンス様式の建築です。青緑色の屋根が上品ですね~。ワンポイントの縞模様はインドのサラセン風デザインですが、ヨーロッパの様式との相性もバツグンです。
このあたりは蔵造りの建物が立ち並び、まさに小江戸の雰囲気です! レトロ建築に別れを告げ、街並みを散策しながら本日のホテルに向かいました。
2日目は所沢で最新の建築巡りをしましょう! まずは川越駅から15分ほど東武東上線に乗って朝霞台駅へ行きます。隣接する北朝霞駅へ移動したら、武蔵野線に乗って10分弱でJR東所沢駅に到着です。
東所沢駅は2020年のリニューアルを経て、本棚のような外観に生まれ変わりました! こんな風に大きな本棚のある家に住んでみたいなぁ……!
東所沢駅から徒歩約10分、2020年にオープンした「ところざわサクラタウン」にやってきました! ここは株式会社KADOKAWAと所沢市が共同ですすめる、緑豊かな所沢から文化と産業を生み出し、世界に発信する「COOL JAPAN FOREST 構想」の拠点施設。コンセプトを聞くだけでもワクワクが止まらない場所ですね。
まずは「武蔵野坐令和神社(むさしのにますうるわしきやまとのみやしろ)」通称「武蔵野令和神社(むさしのれいわじんじゃ)」へ! ところざわサクラタウンの事業の安全や繁栄を祈願した神社であり、市民や来訪者の憩いの場でもあります。
昔ながらの神社とは少し違って、なんだかスッキリとした印象のお社です。建物には大きなガラスが使われており、金属が使われた鳥居は細くてスレンダー。現代的な神社ですよね。
デザインを監修したのは国内外で活躍する建築家・隈研吾(くま・けんご)氏です。伝統的な神社の建築様式を踏襲しつつ、ガラスや金属といった現代的な素材を使っており、洗練された「令和の神社」になっていると感じました。
ちなみに私、御朱印を集めておりまして、武蔵野坐令和神社でもいただいてきました!
ところざわサクラタウンの最大の見所といえば、「角川武蔵野ミュージアム」です! 地上5階建ての巨大な岩のようなこちらの建物も、隈研吾氏によるデザインです。
立方体ではなく複雑な形をしているので、見る角度によって違う形に見える面白いデザイン。地上からと少し高い所から見るのとでも、建物の表情が変わって見えますね。
気になるモザイクのような外壁には、なんと約2万枚もの花崗岩が使われているそうです! 自然の素材と現代の建築家の発想がシナジーを生み、唯一無二のミュージアムになっています。
私が訪れたときは、外壁に現代美術家の鴻池朋子(こうのいけ・ともこ)氏の作品『武蔵野皮トンビ』が展示されていました。2021年11月まで展示されているそう。
ミュージアムの中に入ってみましょう! 検温と手指のアルコール消毒を済ませ、「本棚劇場」がある4階〜5階へ。
本棚劇場は、約8メートルの高さの本棚に囲まれ、圧倒される空間です。定期的にプロジェクションマッピングが上映されており、ショーを楽しむこともできます。
同じく4階にある「ブックストリート」には、約2.5万冊の本が所蔵されているとのことで、本好きにはたまらない! テーマごとに本が集められているので、興味のあるテーマが見つかると、あれもこれも読んでみたくなってしまいました。時間がいくらあっても足りない~!
さて、名残惜しいですが新旧の建築を巡る旅はここまで。再び東所沢駅に戻り、武蔵野線から中央線に乗り継ぎ、約1時間で東京駅に到着します。
東京都心からサクッと行けるエリアで、レトロ建築と最新建築の両方を楽しむことができ、本当に良い旅になりました。川越のレトロ建築は懐かしい雰囲気で胸がキュッとなりますし、所沢の斬新な最新建築にはワクワクが止まりません! COEDOビールはまだコンプリートできてないし、また行きたいな~。
掲載情報は2021年3月23日配信時のものです。現在の内容と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。
今回の旅の行程
【1日目】JR東京駅→JR大宮駅→JR川越駅→リストランテ ベニーノ→川越商工会議所→川越アートカフェ エレバート→旧八十五銀行本店本館→ホテル
【2日目】ホテル→JR川越駅→JR東所沢駅→ところざわサクラタウン(武蔵野坐令和神社、角川武蔵野ミュージアム)→JR東京駅