函館・縄文の旅へ。自然豊かな史跡垣ノ島遺跡、国宝・中空土偶
今回の列車旅ポイント
- 北海道新幹線で約4時間、函館までの快適な列車旅
- 函館駅前で楽しめる「HAKOVIVA(ハコビバ)」「どんぶり横丁市場」
- 函館市内の観光は、函館市電が便利
「2021年7月27日、北海道・北東北の縄文遺跡群が世界遺産に!」
そんなニュースを目にした。おそらく凄いことなんだろうが、具体的にどういうこと? 縄文遺跡群とは? という人も多いだろう。
大丈夫! 僕も何もわかっていないけど、今から函館に行ってみなさまにお伝えします!
東京駅
北海道新幹線「はやぶさ」で、函館まで直行!
本当に知らなかったんだけど、JR東京駅から函館(JR新函館北斗駅)までは新幹線で行ける。
このイルカロボみたいなフォルムの北海道新幹線「はやぶさ」に乗車。
車窓から景色を見てもいいし、ゆっくり寝てもいい。シートには枕もあって、長いなと思っていた4時間の列車旅はすごく心地よかった。
起きたら青森あたりだったんですが、車窓からの景色、「すごく平らだな」と思いました。
新函館北斗駅に到着し、JR函館駅に向かう。
「はこだてライナー」というわかりやすい名前の列車に乗ると25分ほどで到着するぞ。
函館駅到着! 謎の親子みたいなモニュメントを眺めつつ、駅周辺を少し歩いてみる。
HAKOVIVA
2019年12月OPENの複合施設
こちらが2019年12月にOPENした函館駅前の新名所「HAKOVIVA(ハコビバ)」。
HAKOVIVA内の「函館駅前横丁」は昭和レトロな様子になっており、飲食店やお土産屋さんが軒を連ねる。
すごく素敵な雰囲気で、ここでランチにするか迷ったのですが、せっかくなので函館駅から徒歩1分の市場「函館朝市」にも行ってみたい!
函館朝市
駅近で新鮮海鮮
こちらの「函館朝市 どんぶり横丁市場」は全19店舗中、海鮮を提供するお店が17店舗。すごい数だ。
直感で「櫻桂(おうけい)」さんに入店。
人気No.1の朝市横丁記念丼(税込1,850円)を注文。新鮮なイクラにウニ、ホタテ、サーモン、カニまでのって、さらに、あおさのお味噌汁までついててビックリした。
直感は正しくて全部が美味しかったです。ホタテが明らかに都内で食べるものと違い、サクッとした食感に甘みが押し寄せてきて最高でした。
お腹もいっぱいになったところで函館駅西口へ。「JR駅レンタカー」で車を借りて、世界遺産に登録された「史跡垣ノ島遺跡」に向かいます。
函館市縄文文化交流センター
道の駅機能も併せ持つ博物館
函館駅から車で1時間ほどで「函館市縄文文化交流センター」に到着。道の駅「縄文ロマン 南かやべ」も併設しており、史跡垣ノ島遺跡へは駐車場横の入口ゲートから入場できます。
遺跡を見る前に、約12,000年続いたといわれる縄文時代の文化を知るべく、まずはこちらのセンターに立ち寄ることに。館内には、函館市の縄文遺跡から出土したたくさんの縄文土器や石器などが展示されています。
これは右にいくほど新しい時代の土器となっていて、だんだんクオリティが上がっていくのがわかる。
土器ってよく聞くけど、そもそも何なのでしょうか?
縄文時代以前の旧石器時代といわれる時代、人々は移動を繰り返しながら、大型の哺乳類を追いかける狩猟を中心とした生活をしていましたね。それが縄文時代になると、家をつくって漁労・狩猟・採集を基盤とする定住生活を始めます。
その食生活を支えたのが、「土器」の発明といわれています。
土器によって「煮る」という調理法が可能になったことで、硬いものはやわらかく、植物のアクをぬいたりと食べられるものが増えます。また容器として使えば「貯蔵」も簡単、これで食の安定性が段違いにアップ。
動物の骨を使った「釣針」自体は旧石器時代からありますが、現代の針みたいに返しがついていて驚いた。道具の質が向上することで、縄文時代の生活も大きく変わっていったことでしょう。
と、いったことなどを学芸員さんがガイドしてくださいました。(※無料。事前の申し込みが必要)
函館市縄文文化交流センター
国宝「中空土偶」とご対面
交流センターには、国の重要文化財指定で、北海道唯一の国宝「中空土偶(ちゅうくうどぐう)」が展示されています。
それがこちら……!
女性をイメージさせるフォルムの一方で、凛々しい眉やあご髭があるなど男性的な面も。性別を超越した、精霊のようなものとして考えられているのだとか。
ほー。と眺めつつ学芸員さんの解説を聞く。
(学芸員さん)「この中空土偶は、愛称で呼ばれて親しまれています」
「愛称……中空土偶だから……チュウくん、とかですか?」
(学芸員さん)「いえ、茅空(カックウ)と呼ばれています」
(学芸員さん)「南茅部(現:函館市)の中空土偶ということで、2文字を取り『茅空』という愛称で親しまれております」
解説を続けてくださったけど、チュウくん呼びしてしまったことが恥ずかしすぎて……。そんなかっこいい愛称なんだ。
ちなみに、「組みひもアクセサリー」や「縄文ペンダント」をつくって、縄文文化を実際に体験できるコーナー(有料)もあった。
教えてくれた学芸員さんはお気遣いで、「すごく早いですね! 上級者です!」と褒めてくれました。チュウくんのことは忘れてください。
史跡垣ノ島遺跡
人々が約6,000年! ものあいだ暮らした場所
この綺麗な公園に見えるまさにこの場所が、世界遺産に登録され、2021年7月28日に公開された史跡垣ノ島遺跡です。国内最大級の盛り土遺構や竪穴建物跡などの遺構が見学できます。
とても広大な遺跡のため、発掘調査はまだ全体の2パーセントほどしか行われていないそう。
約6,000年ものあいだ、人々がここで暮らしたと考えられています。また、北海道では採取できないヒスイなどの鉱物も出土しているらしく、これは他地域との交易があった証拠なのだとか。
人は同じ場所に6,000年も住めるのか? と思っていましたが、平らな土地は豊かな海に面しており、反対側には広葉樹の森。近くには川もあって、他の場所と比べてかなり住みやすかったのではと感じました。
縄文時代の地形を活かして整備された史跡垣ノ島遺跡は、当時の豊かな自然の中での生活を感じることができます。
これは縄文文化交流センターに展示されていた、子どもの足形がつけられた「足形付土版(あしがたつきどばん)」と呼ばれる出土品。
お母さんのお墓から出てくるそうで、死んだ子どもの形見か、先立つ際の思い出の品として副葬されたといわれています。1つの場所に長くいたからこそ、こういった文化も生まれたのでしょう。
「こういった豊かな精神性が感じられることも、世界遺産登録された理由の1つかもしれません」と、ガイドさんがおっしゃっていました。(※定時制。事前申し込み不要)
「各地に遺跡はありますが、それぞれ特徴が異なるので、ぜひ比較してみてください」とのこと。
青森県「三内丸山遺跡」や秋田県「大湯環状列石」など、「北海道・北東北の縄文遺跡群」として世界遺産登録された東北の縄文遺跡を、泊数を増やして立ち寄る旅もいいかもしれません。
ちなみに「北海道・北東北の縄文遺跡群」の土器みたいなロゴ、よく見ると北海道と東方地方。2つの地域が手を取り合っているように見え、交易があったことを示しているそうです。すごく良いロゴ。
帰り際、道の駅「縄文ロマン南かやべ」で販売されていた「縄文クルミソフト(税込350円)」を食べました。
クルミが合うのはもちろんのこと、ベースのソフトクリームのクオリティが凄まじく、本当に美味しかったので立ち寄った際は絶対食べてください。
この日は函館駅近くのホテルで宿泊しました。
函館駅
市電で五稜郭へ
余談なのですが、縄文文化に感化され、「縄文っぽい朝ごはんを食べよう」と考えた2日目の朝。
早起きして、市場でいかを釣って食べました。マジで「すみ」を吐いてくるので服装にお気を付けください。
さて、着替えたところで、函館の有名な城郭「特別史跡五稜郭跡」に向かいます。縄文に江戸に、函館はかなり歴史を感じられる場所となっていますね。
かわいらしい市電に乗って「函館駅前」から約20分で「五稜郭公園前」に到着します。
徳川幕府の命を受けた蘭学者・武田斐三郎(たけだあやさぶろう)が設計し、1864年に完成した国内初の西洋式城郭。
この星形の城郭、ヨーロッパ各地に造られた城塞都市をヒントにしたもので、この形を「西洋式土塁」というらしい。かっこいいだけでなく防御側の死角が少ないなどの利点があるそうです。
歩いてみると、五稜郭が不思議な形をしていることがよくわかる。
石垣の一部には「返し」がついており、下から覗くと「これは絶対登れないな」と思える。
箱館奉行所
蘇った箱館奉行所
日本の北辺防備の拠点として設置された「箱館奉行所」は、2010年に復元されました。
復元されたのは庁舎全体の3分の1ほどで、幕末にタイムスリップしたかのような感覚があります。
内部は資料館にもなっており、箱館戦争で使われた銃や砲弾などが展示されていました。
ラッキーピエロ
函館名物 ラッキーピエロでランチ
函館に来たら絶対に食べたい、ご当地バーガー全国No. 1の「ラッキーピエロ」でランチ。五稜郭からも徒歩5分ほどのところに店舗があります。
このバーガー、重さが300グラムもあるらしい。こんな重いハンバーガーを持ったことがない。
これを綺麗に撮影するのは、自分には不可能だったのですが、デミグラスソースやマヨネーズ、タマゴが入ったかなり洋風な味!
パンがふわふわで、本当にめちゃくちゃ美味しかった。家の近くにあれば週2で通う味。
新函館北斗駅
帰りもゆったり列車旅
ここからまた約4時間、新幹線でゆっくりと帰ります。
函館は涼しかったけど、東京はまだまだ蒸し暑い季節。現代でも気候によって生活様式は異なる。ガイドさんがおっしゃっていたように、縄文遺跡に地域ごとの違いがあるのも思えば当然のことで、そういった視点で他の遺跡を見比べてみるのも面白そうだと思った。
ちなみに函館では、やきとりといえば豚肉だそうです。やはり土地によって文化は少し変わるみたいだ。
東京駅
掲載情報は2021年10月26日配信時のものです。現在の内容と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。
今回の旅の行程
【1日目】JR東京駅→JR新函館北斗駅→JR函館駅→HAKOVIVA(ハコビバ)→函館朝市 どんぶり横丁市場 櫻桂→函館市縄文文化交流センター/史跡垣ノ島遺跡→JR函館駅→ホテル
【2日目】ホテル→函館駅前→五稜郭公園前→特別史跡五稜郭跡/箱館奉行所→ラッキーピエロ五稜郭公園前店→五稜郭公園前→函館駅前→JR函館駅→JR新函館北斗駅→JR東京駅