今回の列車旅ポイント
ご乗車ありがとうございます。鉄道好きお笑い芸人ななめ45°岡安章介です。
今回の旅の目的は、魅力的な車両で見どころ満載な岐阜県を走る「樽見鉄道」。ハイモ(ハイスピードモーターカー)に乗って朝から晩まで、始発から終点までたっぷり樽見鉄道を堪能するローカル線旅です。
まだ夜明け前のJR東京駅。東海道新幹線「のぞみ3号」博多行きでJR名古屋駅へ。名古屋駅から在来線に乗り換え、揺られること35分ほどで岐阜県を代表するターミナル駅・JR大垣駅に到着。
JRと共同の改札を通り、樽見鉄道大垣駅の6番乗り場へ。
さっそく入線してきたのは、ショッピングモール「モレラ岐阜」との合同企画で誕生したラッピング車両のハイモ330-702。カラフルでかわいい。
樽見鉄道は岐阜県の大垣駅から樽見駅を結ぶ34.5キロのローカル鉄道。織部駅を過ぎた辺りから、清流・根尾川沿いをゆっくりと走ります。
新鮮なイノシシ肉を味わいつつ冬の雪景色を堪能できる「しし鍋列車」や、地元産のヨモギやフキなど山の幸を詰め込んだ薬草弁当を楽しめる「薬草列車」などなど、イベントも豊富なんですよ。(※)
※編集部注:樽見鉄道のイベントについて詳しくはこちら
こちらは樽見鉄道グッズ、オリジナルキャラ「ハイモくん」のパスケース。大量の在庫を抱えた事もありましたが、最近は残りわずかだそう。欲しい方はお早めに! ちなみに樽見鉄道でICカードは使えません……
それでは樽見鉄道の旅、出発進行!
少しの間、東海道本線と並走し揖斐川橋梁を渡って行きます。
北方真桑(きたがたまくわ)駅でハイモ295-516に遭遇。この車両のような、「コーポレートカラーの青×赤」に「白い帯」のカラーリングが樽見鉄道の標準色。かっこいいですね。
樽見鉄道の本社のある本巣駅。元・三木鉄道(兵庫県)で活躍していたハイモ295-617。樽見鉄道初のセミクロスシートで地元ケーブルテレビのラッピング車両はお昼寝中。
本巣駅を出ると横に根尾川が見えてきます。
織部駅から川沿いを、鍋原駅からは川を縫うように進んでいき、抜群な絶景が続くエリアに入ります。
春になると桜と車両が撮れる撮影ポイントが日当(ひなた)駅の近くにあるんです。
それは、日当駅を出てすぐのトンネルの上の道。ここから撮ると車両・桜・橋梁の素敵な構図になりますね。
大垣駅から約1時間で樽見駅に到着。
駅を囲むように建てられた「うすずみふれあいプラザ」がお出迎え。駅舎でもあり、人が自然と集まれるような自由な憩いの場でもあるんですよ。
うすずみふれあいプラザから徒歩で淡墨桜のある「淡墨公園」へ。20分ほど坂を登っていくと……
根尾谷淡墨桜は、三春滝桜(福島県)、山高神代桜(山梨県)とともに日本三大桜に数えられる桜。樹齢約1500年、国の天然記念物に指定されています。
想像を遥かに超えた時を過ごし、今年も春を待つ淡墨桜。ここで1500年、時代時代の人々に春を告げてきたのか……。偉大で壮大ですね。
春の様子はこちら。
帰りはハイモ330-703に乗車。
ここでプチ情報。
樽見鉄道の社章はカタカナでデザインされています。
「タルミ」
わかりましたか?
本巣駅でプラレールラッピングされたハイモ295-315に遭遇。
カーテンや床まで可愛い。プラレール好きなお子さんにおすすめの車両です。2024年の4月末で運行終了なので、お早めに。
たっぷり乗り鉄を満喫し、本日は大垣駅周辺のホテルで一泊。
翌日は少し早起きして、今度は撮り鉄。東大垣駅から徒歩15分ほど、揖斐川沿いの撮影ポイントへ。
朝日とハイモ。
揖斐川橋梁を渡るモレラ岐阜ラッピング車両。
撮影ポイントから徒歩20分ほどで横屋駅へ。列車に乗り、約30分で谷汲口駅に到着。
なぜこの駅に来たかと言うと……、ある鉄道スポットに行きたいからです。
駅から徒歩だと40分~50分ほどかかるのですが、ここで「揖斐川町はなももバス」という予約制の乗合バスを利用して行きます。予約は1時間前までできるので、旅の行程に合わせて予約すると便利ですよ。土日は路線バスの「揖斐川町ふれあいバス」が走っています。詳しくは揖斐川町ホームページをご覧ください。
ということで、バスで約10分。着いたのは名鉄谷汲線の終点の駅「旧谷汲駅」。
近くに「谷汲山華厳寺」があり、参詣客や祭礼の見物客などで賑わう時期もあったものの、2001年に惜しまれつつ廃線となった名鉄谷汲線。
看板や運賃表が未だ現役のような雰囲気。駅の中に入ると当時活躍した車両が展示されています。
現役時は各方面で幅広く活躍。かつては高山線下呂駅まで直通運転していたことも。鵜沼駅〜下呂駅区間は非電化のためSL牽引列車に併結されて運転していました。
また、谷汲は豪雪地帯でもあるので、スノープラウ(除雪装置)を取り付け、ラッセル車(除雪車両)としても働くこともあったといいます。長く鉄道ファンから愛された赤い列車。時代を感じますね。
ホーム反対側には、現代では珍しい斬新なデザインの名鉄モ510形。
半円形ボディーで5枚窓の前面。戸袋の愛くるしい丸窓。転換クロスシート! この座席配置はたまらない。とても綺麗に保存されていて感動。廃止になったその時から時間が止まっているかのような空間でした。
帰りはゆっくり廃線跡に沿って歩きます。乗客はこの景色を見ていたのかな? と思いを馳せながら。
40分くらい歩いて谷汲口駅に戻り、列車で再び大垣駅へ。
大垣駅前にある、創業寛政10年の「金蝶園総本家 大垣駅前本店」。水の都と言われてきた大垣の水をふんだんに使った金蝶園饅頭や、季節に合わせた限定のお菓子などを販売しています。
こちらでお土産を購入して帰京します。
金蝶園饅頭(通年販売/写真左)は、ちょうどいい甘さの餡を薄皮で包みほんのりお酒の香り。シンプルで美味い! これぞ老舗だからこそ成せる味。季節のお菓子のいちご餅(例年11月下旬〜5月中旬販売/写真右)は、丸々一個入ったいちごの甘さと爽やかな酸味と白餡。ふんわふわのお餅と最高に合う、うんまい!
ローカル線のゆったりとした贅沢な時間。1500年の時を経てなお咲き続ける淡墨桜。時が止まったかのような保存車両。今回の旅はいろんな時の流れを感じる旅になりました。これから本格的に春が訪れる樽見鉄道沿線。時を感じる春に会いにいくのはいかがでしょうか。
掲載情報は2023年3月24日配信時のものです。現在の内容と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。
今回の旅の行程
【1日目】JR東京駅→JR名古屋駅→JR大垣駅→樽見鉄道・大垣駅→樽見駅/うすずみふれあいプラザ→淡墨公園/根尾谷淡墨桜→樽見駅→大垣駅(ホテル)
【2日目】大垣駅→東大垣駅→揖斐川橋梁付近→横屋駅→谷汲口駅→名鉄旧谷汲駅→谷汲口駅→大垣駅/金蝶園総本家→JR名古屋駅→JR東京駅