今回の列車旅ポイント
ご乗車ありがとうございます。鉄道大好き芸人ダーリンハニー吉川正洋です。今回で「びゅうたび」では10回目の記事となります。そんな記念すべき10回目の舞台は……東京!
いままで日本全国を旅してきましたが、今回は原点回帰。鉄道が日本で最初に開業した地、東京で鉄分たっぷりの旅をしましょう!
JR東京駅からJR新橋駅へ。東京への旅行は、「JR東日本びゅうダイナミックレールパック」が便利。新幹線と宿のセットがお得に予約できます!
まずは新橋駅から少し歩いて、「旧新橋停車場」にやってきました。日本の鉄道は1872(明治5)年に新橋駅と横浜駅の間で運行が開始されました。その始まりの場所が、ここ旧新橋停車場です。現在の新橋駅からは少しだけ離れた場所にあります。
素直に「一番初めの駅は立派だったんだなぁ」と思わせてくれる場所です。見どころは再現度の高さ。開業当時の駅舎は関東大震災で壊れてしまったので、当時の写真と見比べながら可能な限り再現したとのことですが、細部へのこだわりが半端ではありません。
建物は立派でモダンな西洋建築。よく考えれば明治5年でこの建物ですからすごいですよね。ちょっと前までは江戸時代ですもの。この駅はまさしく文明開化の象徴で、当時の乗客のみなさんの驚きたるや凄まじいものだったと思われます。
嗚呼、行ってみたい明治5年。
1階は常設展示で当時の基礎や出土品、駅舎の再現模型などを見ることができます。2階は企画展示で、2023年7月25日〜11月12日の間、「鉄道と制服」というテーマで展示が行われています。私も吉川急行電鉄という架空の鉄道会社の制服をつくったことがあるので、とても興味深い内容でした。
※編集部注:展示室内は撮影禁止です。許可を得て撮影しています。
旧新橋停車場はまさしく鉄道の聖地。
ぜひ明治時代の鉄道への情熱と、歴史の始まりを感じてみてください!
次は現役の新橋駅を見に行ってみましょう。
旧新橋停車場から歩いて5分ほど、汐留口に着きました。ここには、日本で一番多く製造されたD51(デゴイチ)の動輪と、その横には「鉄道唱歌の碑」があります。
鉄道唱歌は明治時代に誕生した歌で、列車内で流れるオルゴールチャイムにも使われている鉄道の名曲です。一番はこんな歌詞から始まります。
汽笛一声新橋を
はや我汽車は離れたり
愛宕の山に入りのこる
月を旅路の友として
この歌は全国の鉄道沿線の風景を描写していて、諸説ありますが、歌詞がなんと374番まであります。もしかしたらみなさんの地元も歌詞になっているかもしれません。そんな壮大な鉄道唱歌の始まりも、もちろんここ新橋から。
嗚呼、汽笛が聞きたくなってきました。
日比谷口の目の前には、テレビの街頭インタビューなどで有名な「SL広場」があります。このSLは、新橋と横浜間で鉄道が走ったことを記念して、1972年に鉄道開業100周年のタイミングで保存されることになりました。2023年には、新たに高輪築堤の石垣が再現され、さらにパワーアップした鉄道スポットです。
このSL、12時15時18時の1日3回、汽笛を鳴らすのです!
汽笛一声新橋を〜!
令和の新橋に流れる汽笛の音。
時空を超えて、気分は明治へ。
しばらくノスタルジーに浸っていたら……
これはレア! 普段、山手線は新橋駅を通過しませんし、そもそもこの線路は基本的に京浜東北線が走る線路。試運転でたまたま走ったんですね。
びゅうたびの取材に来ると何かしらのレア場面に遭遇できてうれしいです!
新橋の鉄神様に大感謝!!
鉄道の聖地に立ち寄った後は、鉄道ファンの聖地に行ってみましょう。新橋駅から東京メトロ銀座線に乗り、三越前駅で半蔵門線に乗り換え、着いたのは神保町駅です。
神保町といえば本の町。特に古本屋さんが多いのですが、ここ「書泉グランデ」は趣味に特化した本を多数取り揃えている本屋さん。鉄道コーナーも充実していて、なんと5階のフロアがまるまる鉄道コーナーなのです!
王道の鉄道本からマニアックな資料系、同人誌、全国各地の鉄道会社グッズ、バスやその他の乗り物、なんでもござれの本屋さん。私はここで「〇〇の本あるかな〜、さすがにあるわけないよな〜、あった!!!」という経験を何度もしております。鉄道は乗り鉄、撮り鉄、音鉄などがありますが、「読み鉄」もおすすめです!
書泉グランデも東京の名物鉄道スポットと言っていいでしょう。
たくさん本を買ってこの日は東京駅近くのホテルで一泊。鉄道本を読み耽りました。
2日目はJR神田駅へ。神田駅といえば、在来線のホームにご注目。1・2番ホームがおすすめです。
神田駅は個人的に大好きな新幹線ビュースポット。いろいろな種類の新幹線が見られますし、少し見上げる角度なのでとても迫力があります。神田駅に来たらぜひ新幹線をご堪能ください。
そんな神田駅から歩くこと6分ほどで「旧万世橋駅」に到着。
中央線の神田駅と御茶ノ水駅の間には、かつて万世橋という駅がありました。1912年に中央線の始発駅として開業した駅で、設計は東京駅と同じ辰野金吾さん。赤レンガの駅舎で、それはそれは豪華だったそうですが、残念ながら関東大震災で倒壊。新たに平家建ての駅が造られましたが、中央線の全通や秋葉原駅の旅客営業開始で利用客が減少し、1943年に休止となりました。
駅の跡地には「交通博物館」という鉄道の展示が充実した博物館がありました。私も子どもの頃よく親に連れてきてもらった思い出の場所でしたが、2006年に閉館しその展示品の多くは埼玉県さいたま市にある「鉄道博物館」に移されました。
現在は新たな商業施設「マーチエキュート神田万世橋」として生まれ変わった旧万世橋駅。こちらには非常に貴重な万世橋駅の遺構が残されています。
「1912階段」はまさしく1912年、万世橋駅開業時に造られた階段。一部補修がされていますが、当時の面影むんむんの階段です。「1935階段」は鉄道博物館(後の交通博物館)が建設された1935年にできた階段で、よく見ると1912階段とはタイルや踏面が違っています。
どちらも趣のかたまりといった風情。
歩いているとなんだか1912年と1935年に行けた気さえしてきます。
「鉄道階段界のレジェンド」とお呼びしたい階段です!
階段を上がると「2013プラットホーム」というデッキがあります。
素晴らしいトレインビュー。中央線の線路に挟まれるようにデッキがあり、運が良ければ特急を見ることもできます。過去の万世橋駅と現在の中央線がクロスオーバーする、まさに鉄道ロマン満載の光景です。
そしてデッキの先にはレストランがあります。最後はここでランチをいただくことにしましょう!
「PLATINUM FISH マーチエキュート神田万世橋」は新鮮な魚が食べられるお店。お昼はランチ営業もしています。
ノンアルコールメニューの「電車スカッシュ」には、「中央線」のほか、「山手線」「京浜東北線」「総武線」「京葉線」もあります。鉄道ファンにはたまらないドリンクですね!
そしてもうお分かりだと思いますが、このお店、とにかく立地が最高なのです!
きたきた中央線!!
中央線に挟まれながら食事をいただけるなんて、こんな贅沢なかなかありません。席によっては総武線や山手線、上野東京ライン、新幹線も見ることができます。
東京旅の締めに、ぜひおいしい食事と列車のシャワーを浴びてください!
東京には鉄道の過去と現在を体感できる場所がたくさんあります。古い遺構や美しく再現されたものに想いを馳せながら、今の鉄道のカッコよさも同時に味わいましょう。
ダーリンハニー吉川の東京鉄道旅、これにて終点です。今回もご乗車ありがとうございました!!
掲載情報は2023年11月1日配信時のものです。現在の内容と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。
今回の旅の行程
【1日目】JR東京駅→JR新橋駅→旧新橋停車場→JR新橋駅/SL広場→神保町駅→書泉グランデ→神保町駅→JR東京駅(ホテル)
【2日目】JR東京駅→JR神田駅→旧万世橋駅/マーチエキュート神田万世橋/PLATINUM FISH→JR神田駅→JR東京駅