京都御所と近くの観光スポットへ。『源氏物語』ゆかりの地を巡る
今回の列車旅ポイント
- ダイナミックレールパックを使って京都へ
- 京都駅周辺と宇治エリア、『源氏物語』ゆかりの地を列車で効率よく巡る
- 東京駅から京都駅までは新幹線で2時間ちょっと。夕方までゆっくり観光できる
2024年の大河ドラマで話題の紫式部著『源氏物語』。そのゆかりの地でもある京都御所、蘆山寺、宇治川周辺といった観光スポットを巡る京都旅。
文学系YouTuberの梨ちゃんです。大好きな『源氏物語』の世界観にどっぷり浸かる、1泊2日の列車旅に行ってきます!
東京駅を出発
東京から新幹線で一本の京都へ
JR東京駅から、東海道新幹線「のぞみ」号で2時間ちょっと、JR京都駅に向かいます。「JR東日本びゅうダイナミックレールパック」であれば、新幹線と宿のセットがお得に予約できます。
京都駅で新幹線の車両を記念撮影。写真では分かりませんが、フロントガラスの向こうの車掌さん? がカメラに向かって笑顔で手を振ってくれました。そんな優しさがうれしく、旅の高揚感が増し増しに。京都に来たぞー! やったー!
京都御所
『源氏物語』ゆかりの地を巡るならマスト!
京都駅から烏丸線で丸太町駅まで10分ほど。数分歩くと「京都御所」に到着!
京都御所は、794年に桓武天皇が平安京に都を移してから、明治維新に至るまでの間、天皇が住まいとしていた由緒ある場所。『源氏物語』では、主人公である光源氏が天皇の第二皇子としてこの地で誕生しています。『源氏物語』ゆかりの地を巡るとなったら、ここはマストと言っていいでしょう。
※編集部注:京都御所は、通年公開しています。参観可能な日程など詳しくはこちら
『源氏物語』の世界が目の前に広がっている……。トキメキが止まりません!
この日は天候にも恵まれました。青くて高い空に、建造物の線の美しさひとつひとつが映えます。
赤い門の奥に、紫宸殿(ししんでん)が。京都御所において最も格式の高い正殿です。第八帖「花宴」で描かれる桜の宴は、ここ紫宸殿で行われました。朧月夜と出会い、惹かれていく源氏の様子が強く印象に残る、とてもロマンチックな場面なのです。
こちらは清涼殿(せいりょうでん)。光源氏が元服(現代でいう成人式)をしたところ!
こちらは蹴鞠(けまり)の庭。
第三十四帖「若菜上」の蹴鞠の場面を思い出します。若い貴公子達が蹴鞠を楽しんでいる様子を御簾の陰から見ていた女三の宮の姿を柏木が捉え、そこから恋が燃え上がってしまうという名シーンの舞台。
胸熱! 胸熱です!!
京都御所はとても気持ちのいい場所でした。凛とした空気に背筋が伸びつつも、美しい庭園に心が和みます。
高校生のころに修学旅行で京都御所を訪れたときは、この魅力がよく分かっていませんでした。やっぱり京都って、大人になるほど良さが分かる場所なのかもしれません。
SASAYAIORI+ 京都御苑
和モダンな店内で抹茶スイーツを堪能!
京都御所の塀の外側に出ると、緑豊かな「京都御苑」が広がっています。ちょっと疲れたので、「SASAYAIORI+ 京都御苑」で休憩。
ロケーションが素晴らしいです。
「福来どらやき 宇治抹茶スペシャル」をいただきました。抹茶の味が濃い! どら焼きの生地もふわふわです〜!
和モダンな雰囲気の店内で、京都御所の余韻に浸りました。
廬山寺
紫式部が『源氏物語』を執筆した場所
京都御所から徒歩5分ほど。「廬山寺(ろざんじ)」に到着です。
ここはかつて紫式部の邸宅があった場所。廬山寺は天正年間(1573~1593年)に、この邸宅址に移転してきたそう。
紫式部はここで藤原宣孝と結婚生活を送り、『源氏物語』を執筆したのですね。
門をくぐると趣のあるお庭が。
お寺のなかでは、『源氏物語』にまつわる貴重な資料を見ることができます。物語のいろいろな場面が描かれた貝合わせが美しくて、つい見入っちゃいました。
こちらは「源氏庭」。例年6月末から9月上旬ごろまで、紫式部にちなんだ紫の桔梗が咲くとのこと。苔のしっとりとした曲線が美しいお庭です。
廬山寺の拝観受付でいただくことができる御朱印は、紫式部のモチーフがあしらわれていて、人気だそうです。お庭の桔梗が咲く季節限定で、桔梗の紫色が美しいスタンプが押されたものもあるとのこと!
縁側からはお庭を180度見渡せます。私が行ったときは、贅沢なことにほぼ貸し切り状態だったので、時間を忘れてぼんやりとお庭を眺め、優雅な気持ちに浸りました。至福……。
明るいお庭と、本堂につながる重厚な雰囲気の廊下とのコントラストも、大変風情があります。
廬山寺からゆっくり歩くこと20分ほど。丸太町駅から京都駅経由で約40分、JR宇治駅に移動しました。今日は宇治駅近くのホテルに宿泊。明日の宇治観光に備えます!
紫式部像
宇治川をバックに、美しい石像に見惚れる
宇治は、『源氏物語』の終章にあたる「宇治十帖」の舞台です。宇治十帖は光源氏の子・薫を主人公に、光源氏亡き後の子孫たちの恋愛模様を描いた章。
街のいたるところに作品ゆかりの地や石碑があり、目的なくブラブラ歩くだけでも楽しそうです。
宇治駅から10分ほど歩いて、宇治川にやってきました。宇治橋と宇治川を背景に佇む「紫式部像」めちゃ良い……。宇治に来たぜー! って感じがします。
たおやかに巻物を広げる姿、美しいです。
宇治市源氏物語ミュージアム/雲上茶寮
誰でも『源氏物語』の世界を体感できる場所
宇治橋から10分弱歩いて「宇治市源氏物語ミュージアム」に到着。ひとまずお茶でも飲んで心を落ち着けたいなということで、館内にある「雲上茶寮」へ。
「抹茶チーズケーキと冷抹茶セット」を注文。私がいただいたお茶は、光源氏の孫で宇治十帖の重要な登場人物である「匂宮」の名前を冠した「抹茶 匂宮」。チーズケーキにとても合って美味でした。
ほかにも「玉露 薫」「有機和紅茶 浮舟」など、宇治十帖の登場人物にインスパイアされたお茶のメニューがありました。飲み比べするのもいいですね。
窓際の席で、お庭を眺めながら。抹茶とお庭の風景ってとても合いますよね。最高のペアリングです。
いよいよお待ちかね、ミュージアムの展示ゾーン(有料)へ。
まずは平安の間へ。『源氏物語』のうち、光源氏が主人公の物語と、そのなかで描かれた貴族の生活や文化に親しむことのできる展示がずらり。
実寸大の牛車。第九帖<葵>で、葵上と六条御息所の車争いの話がありますが、このシーンを思い出すと六条御息所に感情移入して大変辛い気持ちになってしまいます……。
牛車ってこんなに大きいんだなぁ……。これを壊しちゃうような乱暴って、大変なことよ……。
光源氏たちが暮らした六条院の復元模型!
「垣間見」の擬似体験コーナーも面白かったです。薄暗い部屋の外にいる男性が御簾越しに、室内の女性を見たとき、外からは顔が見えるが中からは見えないですよ、という明かりによる効果を体感。
こういう小さな体験コーナーでの記憶1つで、物語の解像度ってグッと上がりますよね。
平安の間と宇治の間を、神秘的な架け橋でつなぐという空間演出が素敵!
宇治の間は、展示室全体がシアターになっていて、音声や照明によって宇治十帖のあらすじがザッと分かる演出を観ることができます。
展示は、親しみやすい体験型のものから詳細な年表まで多岐にわたっており、じっくり見ていると時間がいくらあっても足りません! かなり楽しませてもらっちゃいました。大満足!
個人的には、無料ゾーンにあったこの展示が予想外に面白かったです。作品ゆかりの地や主要登場人物の簡単な解説を、ちょっとした仕掛けに触りながら楽しめるようになっています。
カジュアルでライトなコーナーに見えますが、よくよく観察すると、パッと見からは想像できない、隠されたメッセージ性のあるストイックな展示。「気づけるやつだけついて来いよ!」的な、施設のスタッフの情熱を感じる、まるでこちらが試されているような、あまり類を見ない構成だと思いました。
訪れた際はぜひじっくり見てみていただきたい推しコーナーです。
宇治市源氏物語ミュージアムの美しい建物。秋は紅葉がきれいだそう! いいな〜!
『源氏物語』に精通している人も、そうでない人も楽しめる、見応えのあるミュージアムでした。
宇治十帖モニュメント
宇治十帖を象徴するモニュメント
宇治市源氏物語ミュージアムから10分ほど歩いて「宇治十帖モニュメント」を観にきました。
宇治十帖を象徴するモニュメントで、匂宮が浮舟を小舟に乗せて宇治川に漕ぎ出す有名な場面をモチーフとしています。
私は作中のヒロインでは浮舟が一番好きなので、あのシーンの情景のなかに今自分が立っているんだ! と思うと胸が熱くなりました。
朝霧橋からのぞむ宇治川の夕景。
『源氏物語』の世界にどっぷり浸かれる宇治、来られて良かった……。
後ろ髪をひかれながら、宇治駅から京都駅へ。京都駅から新幹線に揺られ、東京に帰ります!
京都の風景に癒されながら『源氏物語』の空気感を肌で感じ、豊かで壮大な世界観に触れ、学ぶことも非常に多かった濃密な旅でした!
東京駅に到着
掲載情報は2024年3月12日配信時のものです。現在の内容と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。
今回の旅の行程
【1日目】JR東京駅→JR京都駅→京都御所→SASAYAIORI+ 京都御苑→廬山寺→JR宇治駅(ホテル)
【2日目】JR宇治駅→紫式部像/宇治橋→宇治市源氏物語ミュージアム/雲上茶寮→宇治十帖モニュメント→JR宇治駅→JR京都駅→JR東京駅