今回の列車旅ポイント

  1. 特急「あずさ」で約2時間半。クラフトと工芸のまち・松本へ
  2. 松本駅から徒歩で中町通りへ。クラフト・工芸店巡りを楽しむ
  3. 「松本ホテル花月」から観光スポットへは徒歩圏内。松本駅からは送迎バスもあり

古いまちなみとホテル、建物が好きな偏愛はな子です。忙しい日々に追われ、気がつけば部屋には、間に合わせで買ったものがあふれている……。ネット上に情報があふれる今だからこそ、つくり手のこだわりと愛情が感じられる作品を、実際に手にとって選ぶ尊さ。

そんなかけがえのない時間を求めて、クラフトのまち、長野県の松本へ。中町通りでは、クラフト・工芸のお店を巡り、「泊まれる民藝」とも呼ばれている松本ホテル花月に宿泊します。

新宿駅を出発

特急「あずさ」に乗って松本まで約2時間半

平日にお休みをとって向かうJR新宿駅は、少しの優越感と期待感。この機会を逃すまいと積読だった本を数冊、かばんに忍ばせ、ほくほくとした気持ちで特急「あずさ」に乗って松本へ向かいます。

特急「あずさ」

「まつもとぉ〜まつもとぉ〜」と、ほっとするような心落ち着くアナウンスとともに、JR松本駅に到着。改札を出ると駅の背景に立ち並ぶ、雄大な北アルプスがお出迎え。東京よりも少しひんやりとした空気が心地よく感じます。

松本への旅は、「JR東日本びゅうダイナミックレールパック」を利用すると、特急と宿のセットがお得に予約できるのでおすすめです。

松本駅 駅構内から望む北アルプス

松本・中町通り

美しい蔵のまちなみをお散歩

松本駅から徒歩10分ほど、クラフト・民芸品を扱うお店やカフェなど、個性豊かなお店が軒を連ねることでも有名な「中町通り」を散策します。

中町通り 白と黒の美しいコントラスト

400年の歴史のある城下町、松本。善光寺街道沿いにあり、松本城からも近い中町通りは、江戸時代末期〜明治の大火から守るためにつくられたという、漆喰の「なまこ壁の土蔵」が今なお残る美しい通りです。

松本・中町通り「陶片木」

全国各地に愛好者が多い松本の名店へ

中町通りの外れにある「陶片木」は、広告営業所だったという築90年の建物を改築・改修し、38年前に始められたお店。

陶片木 外観
陶片木 店内(2階) 中町通りを見下ろす2階にも商品が並ぶ

懐かしさを感じる店内には、唐津焼や備前焼などの器や木工品が空間と調和するように並んでいます。

陶片木 店内 使うシーンを想像して手にとり選ぶ楽しさ

30〜40点はあるというオリジナル商品は、日々の生活をヒントに店主の小林さんがデザインしたもの。炒めさじや竹べら、片手で扱えるすり鉢など、美しい佇まいと実用性を兼ね備えた品々は、ここでしか手に入らないものばかり……。どの商品も、心揺さぶられる思いやストーリーがあり、ひとつひとつが一層愛おしく感じます。

松本・中町通り「中町・蔵シック館」

中町通りのランドマークは元造り酒屋

次に向かうのは、中町通りのシンボルとも言える「中町・蔵シック館」。

中町・蔵シック館 外観 大きな杉玉が目印

明治〜大正時代に建てられた造り酒屋を移築したという3棟からなる施設で、うち2棟(母屋、離れ)は、観光スポットとして無料で見学できるほか、文化を発信するレンタルスペースとしても使われています。

中町・蔵シック館 館内 圧巻の吹き抜け

驚くのは、母屋に足を踏み入れた瞬間、目の前に現れる土間の吹き抜けと豪快な梁。豊富な湧水を生かした酒造業が盛んだった当時の豊かさがしのばれます。

中町・蔵シック館 茶房 外観

蔵シック館に併設された「中町・蔵シック館 茶房」で少し休憩。明治に建てられた土蔵を利用したお店は、重厚で落ち着いた店内に松本民芸家具、そして日本庭園が。静かでゆったりとした時の流れを感じます。

中町・蔵シック館 茶房 店内

松本民芸家具とは、松本市周辺でつくられている民芸家具のこと。松本の家具づくりの歴史は古く、室町時代に生産が始まり、江戸時代に入ると松本家具として庶民の生活にも広まり、大正時代の末には日本有数の和家具産地になったそう。戦後に衰退しますが、民藝運動が転機となり、松本民芸家具として復活。1951年には「松本家具」として、家具分野では全国に先駆けて伝統的工芸品に指定されています。

中町・蔵シック館 茶房「ケーキセット」

注文したのは、蔵の形をしたかわいらしいケーキと、手網自家焙煎した豆をネルドリップで淹れたコーヒーがセットになった「ケーキセット」。「今日は最高の1日!」と思わずにんまりします。

松本ホテル花月

松本の民芸と歴史に浸る滞在

そろそろ本日の宿、創業明治20年の「松本ホテル花月」へ。中町通りや松本城まで徒歩5分ほど。観光の便も良く、130年以上、松本に訪れる旅人を迎え入れてきた老舗ホテルです。

松本ホテル花月 外観 向かって右が旧館、左が本館

松本駅からは徒歩で20分ほどですが、送迎バス(事前予約制)を利用することもできます。

松本ホテル花月 ロビー 松本民芸家具が配されたロビー

館内の随所に松本民芸家具が置かれ、「民藝」の何気ない美しさと積み重ねた歴史を感じる贅沢な空間です。ロビーにある椅子に腰をおろし、艶のある肘掛けをそっと撫でる……思わず自宅に持って帰りたくなるほどの座り心地の良さと美しさ。

松本ホテル花月 ロビー ロビーには「民藝」に関連する書籍も
松本ホテル花月 客室

お部屋は、白を基調に松本民芸家具の調度品が配置され、コンパクトながらかわいらしい雰囲気。民藝作品も飾られています。

松本ホテル花月 部屋着 スリッパ

着心地の良い部屋着とスリッパは、ホテル内のショップ「tsumugu」で購入することもできます。

さてさて、お部屋で一息ついたら、お楽しみの館内探検へ。

松本ホテル花月 ロビー ロビーには艶のある椅子が
松本ホテル花月 ロビー 歴史を感じる展示があちこちに

ホテル併設の喫茶室「八十六温館(やとろおんかん)」はクラシックな雰囲気。店名の由来にもなった、86度のお湯で一杯一杯丁寧にネルドリップしたコーヒーが名物です。

松本ホテル花月 八十六温館 喫茶室「八十六温館」

松本民芸家具の創始者でもある池田三四郎氏監修のもと設計された店内は、什器の配置まで創業当時のまま今も営業されているそう。印象的なステンドグラスのランプシェードは、飯野歌之助氏作のもの。

松本ホテル花月 夕食・大浴場

「ながのテロワール」長野の食材を満喫

そろそろ、夕食の時間。ディナーは、館内のレストラン「I;caza(イカザ)」で。名称の由来は、長野県のテロワール言葉(歴史・風土に根ざした言葉)で「行こうよ!」という意味だそう。

松本ホテル花月「I;caza」
松本ホテル花月「I;caza」草間彌生の作品 草間彌生さんの作品

松本生まれの芸術家、草間彌生さんの初期の作品などがさりげなく展示してあるのも見どころ。

地域の食材や調理法を取り入れたコース料理と聞いて、期待に胸が高まるなか、まず運ばれてきたのは、見た目にも美しいアミューズ。

松本ホテル花月 夕食 アミューズブーシュのアソルティ

アミューズのラインアップは四季折々でかわり、今回は秋の味覚を存分に味わえるもの。松本市今井地区産の洋梨のスープや、日本酒の酒粕が与えられた信州吟醸豚のジャンボンブラン(スモークせずにボイルで仕上げる白い色のハム)など、ちょっとずつ楽しめる贅沢な一皿です。

松本ホテル花月 夕食 前菜

前菜は、信州のりんごと信州サーモンをバラの花のように仕立て、信州味噌のソースを添えたもの。甘酸っぱいりんごの風味と、香ばしいナッツの食感、濃厚な味噌の香りがアクセントに。

松本ホテル花月 夕食 国産黒毛和牛ロース肉グリエ

季節の野菜を添えたメインのお肉は、旨みが凝縮した味わい。添えられた、くるみ味噌、安曇野本わさび、フランス海塩、藻塩などが肉や野菜の美味しさを一層引き立たせます。

この後、和栗のモンブラン、花月ブレンドコーヒーまでたっぷり堪能。

深志の湯

食休みをしたら、大浴場「深志の湯」へ。平成の名水百選にも選ばれた、アルプスの雪解け水の地下水を利用したお湯は、肌触りがよく、疲れが癒やされるよう。部屋に戻れば、次第に心地よい眠気に誘われます。

松本ホテル花月 朝食

朝食は心躍る「和食おばんざいビュッフェ」

ぐっすり寝たあとは、お待ちかねの朝食。

松本ホテル花月 朝食

信州の食材がふんだんに使われた「和食おばんざいビュッフェ」。

松本ホテル花月 朝食

卵かけご飯には「会田養鶏」の卵や「植田鰹節店」の天日干しを繰り返した本枯節。さらに、近隣の山形村産長芋のとろろや、安曇野産わさびなども。

松本ホテル花月 朝食
松本ホテル花月 朝食

ついつい朝食を食べすぎてしまうのも、旅先の一興。チェックアウトは11時なので、朝食後は部屋に戻ってゆっくり休むことができるのもうれしいポイントです。

松本・中町通り「ちきりや工藝店」

民芸の老舗店でうつわ選び

チェックアウト後は、松本駅に向かう道すがら民芸のお店へ。

ちきりや工藝店 外観

中町通りの「ちきりや工藝店」は、松本市郊外に位置する「松本民芸館」を創館した丸山太郎氏が創業し、現在は、そのご家族が引き継いでいるという老舗工芸店。

ちきりや工藝店 趣のある店内

店内には、砥部(とべ)焼、小鹿田(おんた)焼、湯町窯(ゆまちがま)などが壁一面に並べられ、見ているだけでもワクワクします。不思議と洋風も合う懐かしさを感じるデザインに、どれを自宅に迎えようか妄想がとまりません。手の届くお値段というのもうれしいですよね。

手にとってお気に入りのものに出合う……。松本に今も息づく民芸の精神に触れることで、ついついおざなりになりがちな日々の生活をちょっと見直すそんな機会となりました。東京から気軽に行ける距離、ふらっと訪れてはいかがでしょうか?

新宿駅に到着

掲載情報は2024年12月23日配信時のものです。現在の内容と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。

今回の旅の行程

【1日目】JR新宿駅→JR松本駅→中町通り→陶片木→中町・蔵シック館/茶房 中町・蔵シック館→松本ホテル花月

【2日目】松本ホテル花月→中町通り→ちきりや工藝店→JR松本駅→JR新宿駅

長野・松本市内
JR+宿泊 松本ホテル花月

1泊2日/新宿駅⇔松本駅/夕朝食付き

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