今回の列車旅ポイント
雪見露天風呂に目がない温泉ライターの泉よしかです。冬は空気が乾燥するせいか、最近どうもドライアイ気味。そこで今回は、なんと雪見露天風呂でドライアイ対策ができるという夢のような、新潟県の奥湯沢にある貝掛温泉へ。
しかも標高700mの山間の秘湯にもかかわらず、新幹線と路線バスで簡単にアクセスできちゃうそう。さらに、地のものをいただける食事もおいしいそう。これは行くしかないではありませんか!
東京は冬の青空。一方、これから向かう新潟県は雪予報。戦々恐々です。
JR上毛高原駅あたりまでは晴れていましたが、トンネルを抜けた先にあるJR越後湯沢駅はいきなりの銀世界。新幹線で約1時間20分。列車旅を終えていよいよ雪国にやってきました!
新潟への旅は「JR東日本びゅうダイナミックレールパック」を利用するのがおすすめ。新幹線と宿のセットがお得に申込みできます。
越後湯沢駅東口から浅貝・苗場プリンスホテル行きの路線バスに乗り、貝掛温泉バス停まで約20分。貝掛温泉バス停からは、お宿の送迎バス(事前予約制)に乗り換えて、雪の壁が左右に迫る細い道を進みます。
清津川に架けられた貝掛橋を渡るとお宿に到着。川を渡ることで、完全に非日常の世界に入り込んだようです。
これだけ首都圏から行きやすい秘湯も珍しいのに、ここは、なんちゃって秘湯ではありません。本物の秘湯なのにアクセスの良いところがうれしい。
「貝掛温泉」に到着してまず目に入るのは、玄関に積まれた米俵のディスプレイ。そういえば、ここは米どころ新潟県でした。
チェックインは食堂で。
チェックイン時にいただいたメグスリノキのお茶と笹団子。温かい笹団子はほっこりとするおいしさ。
明治時代に建てられたという宿泊棟の木造建築。
古い映画に出てきそうなレトロな雰囲気で、しかもどことなくお洒落。古い調度品など、秘湯らしい趣もたまらない!
お部屋の間取りも凝っています。
窓から見える静寂な雪景色。時々、屋根の雪がドサッと落ちてびっくりさせられることも。
さて、お風呂は時間帯によって男女別に分けられ、夜の7時~7時半を境に男湯と女湯が入れ替わります。
それぞれ内湯と露天風呂があり、内湯には大と小の浴槽があります。浴槽大には体温程度の源泉、浴槽小には加熱されたお湯が注がれています。
貝掛温泉の源泉は約36度。これを掛け流している方(浴槽大)に入ると、お湯に入っているような入っていないような、はたまた宙に浮いているような、不思議な心地よさ。のぼせないのでいつまでもリラックスして入っていられます。時々、加熱された方(浴槽小)に入れば、寒いこともありません。
体が温まったら、いよいよ温泉での洗眼にトライ!
目を洗う時は、ぬるい浴槽大の湯口か、掛け湯槽の湯口で。お湯を手のひらに受けて顔を浸します。大切なのは目を開けることですが、慣れるまではなかなか怖い。
エイヤッと目を開きました! 意外に刺激はなくマイルド。人によっては少し刺激を感じることもあるそうです。このあとはゆっくりパチパチとまばたき。うるうると潤った気がします。
※編集部注:正しい目の洗い方はお宿のホームページでも紹介されています
昔から目に良いと伝わる貝掛温泉のお湯には、なんと市販の目薬と同じような成分が含まれているそうです。目薬と同じような成分がドバドバと絶え間なく溢れているなんて、とっても贅沢な温泉ではないですか!
夕ご飯は、お食事処「白雲」で。17時半の回でお願いしたので、真っ暗になる前。空はまだ青みを残し、窓の外の雪景色が映えて、それはそれは美しくて感動的。
貝掛温泉の夕食は、連泊湯治をする人が飽きないように、3泊までは異なるメニューを出してくれるそう。食材は地のものが中心で、山の幸が丁寧に味付けされています。
名物料理の薬膳玄米粥は色合いがカラフル。すり下ろしたゴマと混ぜていただくと滋味深い味わい。
夏はイワナの塩焼きなどの焼き魚が出るそうですが、冬はすぐに冷めてしまうため、季節に応じたおいしいお魚を餡かけにしているとのこと。できるだけ温かいものを食べてもらおうという、この配慮がうれしいです。
今回のお魚料理は、アコウダイの餡かけでした。
そしてご飯! 契約農家から仕入れているという南魚沼産コシヒカリは、ふっくら炊き上がり、甘みがあって、おかずがなくてもパクパクいけちゃうほど。
大満足の夕食を終え、一休みして、男女が交代になったお風呂へ。
昼間は男湯だったこちらは、露天風呂が広い!
しかし……、降りやまぬ雪が横殴りになり、あまりの寒さに途中で撤退。これは明日の朝に再チャレンジですぞ!
貝掛温泉のご主人曰く、冬は雪の日が多く青空は週1回くらい。晴れた朝は本当に美しいとのこと。だからちょっとは期待していました。
しかし残念ながら、朝風呂も降りしきる雪の中で……。
朝風呂のあとは朝食。昨夜と同じ席です。
小鉢が多く、どれから食べるか迷ってしまう。
自分で炙る干物は、小ぶりながら脂が乗りまくりのノドグロ。栃尾の油揚げと一緒にアツアツをいただきます。
おっとここで雪がやみました。なにやらうっすらと青空も。こ、これは、もう一度朝風呂に行ってみるべきなのでは!
露天風呂に入るころには空から雲が消え、頭上には驚くほど鮮やかな青空が。少し溶けた雪が光を浴びてプリズムのようにキラキラ光っています。
ご主人が最高だと言っていた景色はこれか! まさか目にすることができるとは思わず、とても感動してしまいました。本当に来てよかった。
ぬるめのお湯は体への負担が少なく、しっとりとして肌あたりもやさしい。このままいつまでも入っていたいと思うほどです。
チェックアウトを済ませ、お宿の送迎バスで再び貝掛温泉バス停へ。越後湯沢駅行きの路線バスに乗り換えて約5分で道の駅みつまた前バス停に到着。「道の駅 みつまた」に立ち寄ります。
外は雪が積もりすぎですが、建物の中はしごく快適。なんと源泉掛け流しの足湯まであるんですよ!
さっそく移動で冷えた足を温めてひと息。実は外にも足湯があるのですが、冬は雪で埋まってしまうんです。
お土産のほか、登山やスキーといったアクティビティの際に寄るお客さんも多いため、アウトドアグッズが充実。アウトドア系ブランドとコラボしたオリジナルデザインの機能素材Tシャツなどが人気だそうです。
そしてそして、お酒コーナーの品ぞろえも見逃せない! 新潟といえば名酒の宝庫。特に日本酒はたくさんありすぎて選べない。そこで道の駅のスタッフにオススメを伺ってみました。
お土産にイチオシなのは、かぐらみつまた限定販売の「神楽の雪男」(写真右)とのこと。地域限定販売には弱い私。それに大辛口なのにラベルがユーモラスで可愛い。私の好きな「鶴齢」を製造している青木酒造のお酒でもあるので、1本はこれで決まり。
もう1本は、越後湯沢を代表する白瀧酒造の「上善如水(じょうぜんみずのごとし)」から、女性に人気という「上善如水 スパークリング」(写真左)をセレクト。タイプが全然違うので、開けるのが楽しみすぎ。
ところで、この道の駅の奥にはレストランがあって、こちらのモツ煮が知る人ぞ知る名物メニュー。なんでも生モツから手間をかけて何度も茹でこぼし、しっかり臭みを抜いたトロットロのモツ煮はファンが多いとか。これは食べるしかない!
券売機で「モツ煮丼」を注文。私の前後の人もみんな「モツ煮丼」や「モツ煮定食」を注文していました。本当に人気が高い。
ご飯を覆い尽くすたっぷりのモツ煮。それではいただきまーす!
おお、噂にたがわずとても柔らかく甘みがある。小鉢と具だくさんのけんちん汁、「笹雪」(粒あんをコシヒカリを練り込んだお餅で包んだ越後湯沢銘菓)まで付いてオトク。
ふと気が付くと、テーブル席でなく足湯でご飯を食べている人もいます。とても楽しそうなので、次回来た時は私もやってみたい!
モツ煮丼をいただいたら、路線バスと新幹線で帰ります。1泊でスッキリリフレッシュできて、目も潤い視界良好です。おうちに着いたらお土産に買った日本酒を開けましょう。
掲載情報は2025年3月27日配信時のものです。現在の内容と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。
今回の旅の行程
【1日目】JR東京駅→JR越後湯沢駅→貝掛温泉
【2日目】貝掛温泉→道の駅 みつまた→JR越後湯沢駅→JR東京駅