今回の列車旅ポイント
皆さん、こんにちは! 三度の飯より温泉が大好き♡温泉家の北出恭子です。
数年前に温泉にハマり、今では温泉探究が私のライフワーク。日本の温泉の素晴らしさを一人でも多くの方へ伝えられるよう、日々、温泉研究と情報発信に励んでいます。
さて……今回は新潟県魚沼市にある秘湯「栃尾又温泉 自在館」へ、のんびりマイペースな一人旅。
ひたすら温泉につかって、栄養バランスのとれた食事を食べて、泥のように寝て……、1泊2日のプチ湯治で体と心をゆっくりと癒やしてきました。
新潟県魚沼市へは、まずはJR東京駅からJR浦佐駅へ向かいます。
上越新幹線に乗って約1時間半の列車旅。乗り換えがなく、1本で目的地まで到着するのでとても楽ちん。「JR東日本びゅうダイナミックレールパック」であれば、新幹線と宿のセットがお得に予約できます♪
浦佐駅に到着。浦佐駅は1923年(大正12年)に開業し、ちょうど今年で100周年。
宿へは、浦佐駅から宿の無料送迎バス(事前予約制)を利用することができます。無料送迎バスは、行きも帰りも事前予約が必要なのでご注意くださいね。
送迎バスの待ち合わせ場所は、駅構内2階にある「うおぬま・浦佐駅観光案内所MYU」。MYUには、Wi-Fiが使えるフリースペースも併設されていて、旅前の情報収集や待ち時間などの利用に便利。挽きたてコーヒーや魚沼醸造の「糀ジェラート」を購入することもできますよ。
送迎バスで浦佐駅を出発!! 美しい山々や里山風景などの自然に癒やされながら、送迎バスに揺られること約30分。「栃尾又温泉 自在館」に到着です。
こちらは400年以上の歴史がある老舗旅館で、昔から湯治場として多くの人々を癒やしてきました。
湯治とは、2~3週間といった長期滞在をしながら、温泉に入って病気や怪我などを治療すること。
自在館では、現代のライフスタイルに合わせて、2泊や3泊などの「プチ湯治」をしながら、体の不調だけでなく心のバランスも整え、免疫機能を整える「現代湯治」を推奨しています。
一人旅の方が6割以上とのことで、孤独を感じずに安心して滞在できるのも魅力的。
館内は、木の温かみを感じるどこか懐かしいほっとする空間。
ロビーには、ベンチやテーブルだけでなく、囲炉裏や本棚などもあり、思い思いに好きな場所で過ごせます。自由度が高いのがうれしい。
宿泊したのは、木造建築のトイレ付き和室のひとり部屋。茶香炉の良い香りがお出迎えしてくれます。
お部屋には、仕事がはかどりそうなデスク、洗面化粧台や冷蔵庫まで備えてありとても快適! さらに、寝具には全室「昭和西川 muatsu sleep spa」が使われています。長期入院の方向けに開発されたマットレスとのことで、体が疲れずによく眠れるそう。
さて、それでは、お目当ての温泉に行きましょう♪
自在館には、各日で入れ替わりの大浴場が3ヶ所、内湯や露天風呂がある貸切風呂が3ヶ所あります。
ロビーに、バスタオルや作務衣、湯篭などを借りられるスペースがあるので、ここで温泉に行く準備をします。
まずは、貸切風呂の「たぬきの湯」から……。
事前予約(チェックイン後)で1回につき40分間も貸切ることができます。
浴場にはひとりでは贅沢すぎるほど広い石づくりの湯船が。
川沿いから湧き出た日本でも非常に稀少な自然湧出の温泉で、かけ流しの源泉が40℃に加温されています。泉質は、pH 7.8で弱アルカリ性の「単純弱放射能泉」。
なんと! 温泉の基準値の約6.5倍ものラドンが含まれています。ラドンは私たちの細胞を活性化するため、免疫力アップや新陳代謝の促進、痛みの緩和などが期待できるといわれています。
続いて、貸切風呂の「うさぎの湯」。こちらは、ひとりでちょうどいいサイズの湯船で、源泉はたぬきの湯と同じです。湯は無色透明で、少しツルツル感のあるふんわりとやわらかい湯ざわり。
うさぎの置物がなんともかわいらしく、窓からは緑が見えて癒やされます。
ロビーには湯上がりにうれしい! 無料のドリンクコーナーが。ドクダミ茶や麦茶、フレーバー温泉水、珈琲だけでなく、お菓子までもサービスなんてありがた過ぎます……。
温かいドリンクを飲みながら、のんびり休憩タイムをとったところで、夕食前に大浴場「霊泉の湯」に行ってみます。
大浴場「霊泉の湯」は栃尾又温泉の共同浴場を利用するスタイル。霊泉の湯には3つのお風呂がありますが、これから向かうのは、本館から少し離れた「うえの湯」「おくの湯」です。
広々としたおくの湯には、源泉かけ流し100%の約35℃ほどのぬる湯をメインに、加温した40℃ほどの湯船と寝湯があります。
濡れても良い本や雑誌を浴室に持ち込んで読むこともOK(携帯電話やタブレットはNG)なので、ぬるめの源泉につかりながら、ボーっと読書なんて過ごし方もいいですね。
うえの湯も、おくの湯と同じ源泉が湯船に注がれ、源泉かけ流し100%の約35℃ほどのぬる湯をメインに、加温した40℃ほどの湯船と寝湯があります。
泉質は、pH8.4で弱アルカリ性の単純弱放射能泉。うえの湯もおくの湯も、湯口から出ている源泉は飲泉することができるため、体の内と外から温泉パワーをチャージできます。無味無臭で飲みやすい味です。
さて! いよいよ! 待ちに待った夕食タイム☆
ぬる湯にじっくりとつかったので、いつもよりお腹がペコペコに空いています。メニューは「一汁六菜」で、地元食材がふんだんに使用された野菜中心でバランスの良い湯治食。
プリプリで新鮮なニジマスの刺身は、川魚独特の臭みもまったくなく、脂がのっていてとてもおいしかったです。付け合わせの蒟蒻や舞茸も最高!
炭火で丁寧にじっくりと時間をかけて焼き上げられた「岩魚の炭火焼き」は、頭や骨まで丸ごと食べられるほどやわらか。
お部屋で食後の休憩をしたら、寝る前に霊泉の湯の3つ目のお風呂「したの湯」へ。
本館にある「したの湯」へは、約70段の階段を下りて行きます。
浴室には、40℃に加温した湯船と約35℃で源泉かけ流し100%の湯船の2種類。
自在館式湯治は、ぬる湯に1〜3時間つかる長湯が基本で、上がり湯として40℃の温泉をかけ湯します。
ぬる湯の源泉浴槽につかったら、浴室の周りを囲んでいる石を枕代わりに、自分の好みのポジションを見つけます。
目を閉じて温泉の流れる音を聴きながら、全身の力を抜いて、ふわふわと浮遊するイメージで湯に身を任せましょう。
したの湯の源泉は湯口の真下。自然湧出したばかりのとてもフレッシュな温泉です。
入浴や飲泉ももちろん良いのですが、ラドンは気体なので大きく深呼吸して、浴室に充満している成分を呼気からもしっかりと体に取り入れましょう。
静かにじっと長く温泉に入っていると、はじめは少し冷たく感じていた湯温が徐々にポカポカとしてくるのが気持ちいい。電球がぼんやりと照らしてくれる薄暗い雰囲気に、ウトウトと眠くなってきたのでお部屋に戻ります。
それでは、おやすみなさい☆
おはようございます!
朝風呂は、貸切露天風呂「うけづの湯」へ。
源泉はたぬきの湯やうさぎの湯と同じで、約40℃に源泉が加温されています。大自然を目の前に川のせせらぎを聴きながら、温かい温泉に包まれる朝の幸せ時間……。
湯上がりには、栄養たっぷりでボリューム満点の朝食。なんといっても、自在館での朝の一番のお楽しみは「ラジウム納豆」。
契約農家の畑でとれた大豆をふやかす工程で、自在館の温泉水が使われている、ここでしか味わえない逸品。相性抜群のポン酢をかけていただきます。
炊き立ての魚沼産コシヒカリは、水分が多くみずみずしく粒がしっかりとしていて、嚙めば嚙むほど甘みが感じられます。何もおかずがいらないくらいおいしい!
そこへ大粒で濃厚な大豆本来の旨みがつまったラジウム納豆をかけて食べれば、至福のひととき……。ごちそうさまでした。
送迎バスの発車までの時間、敷地内を散策。すぐ隣には「栃尾又薬師堂」があります。
お堂の周りは樹齢400年以上といわれる杉や欅の大木に囲まれています。御神木の「夫婦欅」をくぐり「子持杉」を跨ぐと「子宝に恵まれる」と言い伝えられているそう。
薬師堂には、健康祈願、子宝・安産祈願として、千羽鶴や子授けキューピー、絵馬などがたくさん奉納されています。
子授けキューピーやお守りなどは、自在館の帳場で購入することができます。
帰りも無料送迎バスで浦佐駅へ。道中の「道の駅ゆのたに」で15分間の休憩タイム。地元の新鮮野菜や果物、特産品やお土産などを買うことができるのでうれしいです。
浦佐駅からは上越新幹線に乗って東京駅へ。お疲れさまでした~!
今回の旅、いかがでしたでしょうか?
湯治の基本は、「温泉にのんびり入る」「栄養があるものを食べる」「ひたすら眠る」といわれています。自在館では、この3つのサイクルを繰り返すことで、心身のバランスを整えて免疫力を高め、明日への活力を養うことができます。
仕事にプライベートに何かと慌ただしく過ぎる日々。たまにはPCもスマホも手放して、毎日頑張っている自分へのご褒美はいかがでしょう。温泉でゆっくりしながら、ちょっとだけプチ湯治してみませんか?
掲載情報は2023年11月21日配信時のものです。現在の内容と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。