今回の列車旅ポイント

  1. 観光列車「ながら」に乗車
  2. カフェも併設する郡上八幡駅
  3. 北濃駅にある日本最古のアメリカ製転車台

ご乗車ありがとうございます。鉄道好きお笑い芸人ななめ45°岡安章介です。

みなさんも「観光列車」という言葉を耳にしたことがありますよね? 観光列車とは、移動手段としてだけでなく、乗ること自体も目的となる内外装にこだわった特別な列車。

今回は、岐阜県を走る長良川鉄道の観光列車「ながら」に乗って、食事や車窓を満喫。さらに沿線の郡上八幡や関などを旅してきました。

東京駅を出発

新幹線で一路岐阜へ

次々に列車が入線してくる早朝のJR東京駅。

東京駅 東海道新幹線「のぞみ」

東海道新幹線「のぞみ」号でJR名古屋駅へ向かいます。「JR東日本びゅうダイナミックレールパック」を利用すると、新幹線と宿をお得なセットで申込みできます。

特急「ひだ」HC85系 特急「ひだ」

名古屋駅からHC85系気動車の特急「ひだ」に乗り換え。揺られること約60分、JR美濃太田駅に到着。

観光列車「ながら」に乗車

日常を離れ、観光列車の旅

特急から降りると、隣の長良川鉄道のホームでロイヤルレッドの光沢が眩しい観光列車「ながら」がお出迎え。カッコいい。

観光列車「ながら」ナガラ300形鮎号 観光列車「ながら」ナガラ300形鮎号

観光列車・普通列車・新幹線・豪華クルーズトレインなど、全国各地でたくさんの車両デザインを手がけている工業デザイナーの水戸岡鋭治さんがデザインしています。

観光列車「ながら」

長良川鉄道(通称:長鉄)は美濃太田駅から北濃駅を結ぶ総距離72.1キロのローカル線。岐阜県の真ん中辺りを南北に、日本三大清流・長良川に沿って走ります。沿線には「刃物」「鵜飼」(関市)、「うだつの上がる町並み」(美濃市)、「名水100選第1号認定の宗祇水」「郡上おどり」(郡上市)などの文化や名産、観光地が点在しています。

「ながら」1号車・森号の車内 「ながら」1号車・森号の車内

そんな長鉄に満を持して登場した観光列車「ながら」。さっそく2両編成(「森号」と「鮎号」)の車内を探検します。

「ながら」2号車・鮎号の車内 「ながら」2号車・鮎号の車内

森号、鮎号ともにゆったりとした配置の座席。優雅な落ち着いた空間が広がります。地元岐阜県産の木々が使われた車内は丸く優美な曲線でデザインされ、自然の温もりが乗客をやさしくもてなします。

 観光列車「ながら」 筆者 ナガラ300形森号と記念写真

観光列車「ながら」のランチ

豪華なランチに舌鼓

定刻の10:45、美濃太田駅をゆっくりと発車した「ながら」。乗車したのは「1号ランチプラン」。美濃太田駅から郡上八幡駅まで約1時間半、清流・長良川の景色を眺めながら、都ホテル岐阜長良川の日本料理・料理長がつくる岐阜県産の食材をふんだんに使った和食弁当とデザートが楽しめるプランです。

ほかにも、郡上八幡のイタリアンレストラン「雀の庵」の特製スイーツが楽しめる「2号スイーツプラン」や、景色を楽しめる「ビュープラン」などがあります。詳しくは、観光列車「ながら」のホームページをご覧ください。

観光列車「ながら」 1号ランチプランのお弁当(重箱)

席にスタンバイされた重箱と御品書きに期待が膨らみます。

旅列車弁当「美濃り」 目にも鮮やかな旅列車弁当「美濃り」

二段のお重を開けると、さまざまな彩りと形の小鉢にきれいに納まる料理たち。視覚でも楽しめる、おいしい世界!

満面の笑みの筆者

もうテンション上り方面です。それでは旅列車弁当「美濃り」出発進行。

鮎の唐揚げの酢漬け 鮎の唐揚げの酢漬け

やはり清流長良川の郡上鮎は外せません。鮎の唐揚げの酢漬けは、しっかりした魚身とサッパリした酢漬けの爽やかさが相まっていい。

清流美どりのステーキ 金平 清流美どりのステーキ(奥)、金平(手前)

ブランド鶏・清流美どりのステーキは肉の弾力があっておいしい。金平がいい存在感。

飛騨牛すき焼き 飛騨牛すき焼き

お待ちかねの飛騨牛すき焼き。っんまい。これを列車内でいただけるなんて感動。

上質な肉の旨みと脂の甘み、タレが口の中に相互乗り入れしてきます。柔らかいお肉には、いつまでも口内停車して欲しいです。

車窓 長良川沿い

梅山駅を過ぎた辺りから、だんだんと長良川の姿を見ることができます。

「そろそろ〆のお茶漬けをご用意しますね」とアテンダントさんに告げられ、待っていると。

お茶漬け 今まで見たことのないお茶漬けの器

おおお! これがお茶漬け? オシャレ!

ソリッドで重厚な銀の蓋を開けると。いい香りが鼻をくすぐります。鮎紫蘇の実南蛮茶漬けは、鮎の存在感もありつつ、あっさりのダシでサラサラといくらでもいける感覚。そこに、紫蘇の実がアクセントにぷちっと入ってくる。おいしく〆られました。

大福栗甘露煮と和栗ロールケーキとコーヒー 大福栗甘露煮、和栗ロールケーキとコーヒー

デザートは、大福栗甘露煮と和栗ロールケーキとコーヒー。大福とケーキのサイズ感が完璧。車窓を見ながらいただきます。和と洋を楽しめる至福の時。

郡上八幡駅

水のまち、郡上八幡を散策

額縁のようなしつらいの車窓を楽しみながら豪華な食事をいただく贅沢な時間はあっという間に過ぎ、郡上八幡駅に到着。

郡上八幡駅

郡上八幡駅は、1929年、国鉄越美南線の駅として開業。駅舎は開設当初の木造平屋建て。何度か改修されていますが、当時と変わらない趣があります。2015年、駅舎のほか、跨線橋、プラットホームなどが国の登録有形文化財になりました。

レンタサイクル 筆者

郡上八幡駅にはレンタサイクルがあり、自転車で郡上八幡の城下町を散策できます。

※編集部注:写真撮影時のみヘルメットを外しています

郡上八幡の城下町(いがわ小径、清水橋、宗祇水) 郡上八幡の城下町

用水路の「いがわ小径」(写真・中段左、下段右)や赤い欄干が印象的な「清水橋」(写真・中段右)、「名水百選」第1号に選定された湧水「宗祇(そうぎ)水」(写真・下段左)を巡りました。

古い町並みが軒を連ねる城下町には、いくつもの用水路が流れています。その昔、大火で町を焼失してしまった歴史があり、防火用として整備されたそう。また、防火用だけでなく炊事、洗濯などにも使われ、暮らしに欠かせないものでもありました。水の町と呼ばれるのも納得ですね。

郡上八幡城

山の頂にそびえ立つ郡上八幡城

山の上にある「郡上八幡城」へ。ちなみに、郡上八幡駅から自転車でまっすぐに向かうと25分ほど、タクシーを利用すると15分ほどです。

郡上八幡城 筆者

城下町全体を見下ろせる白亜の天守閣。現存する木造再建城としては日本最古。この日は雪化粧をしたお城に会えました。

郡上八幡城からの景色 お城から長鉄がちょびっと見えました

見晴らしのいい場所で城下を眺めていると、遠くに列車が! 慌てて撮影。色鮮やかな車両がミニチュア模型みたいで、かわいかったです。

郡上八幡博覧館 郡上八幡博覧館で郡上おどりを体験

次に立ち寄ったのは「郡上八幡博覧館」。郡上八幡の歴史を学べる展示を見学したり、特産品などのお土産を買ったりすることができます。

そして、郡上おどりの実演や体験も(※)。郡上おどりは日本三大盆踊りの一つで、毎年夏に30夜以上にわたって行われます。夜通し朝まで踊る日もあるんですよ。オールナイト盆踊り……夏に来てみたいな。

※編集部注:「郡上おどり実演」は土日祝を中心に開催。詳しくはこちら

郡上八幡駅舎Cafe

趣のある駅舎でひと休み

郡上八幡駅に戻りブレイクタイム。

郡上八幡駅舎Cafe 郡上八幡駅舎Cafe
郡上八幡駅舎Café 店内

駅舎に併設された「郡上八幡駅舎Cafe」は、観光案内所やレンタサイクル受付も兼ねています。

お団子セットとコーヒー、椎茸茶

風情のある駅舎でいただく「お団子セット」。なんともいえない幸せな時間でした。おいしかったです。

とういうことで、今日の旅は終点。美濃太田駅を経由してJR岐阜駅へ。駅近くのホテルで一泊します。

長良川鉄道を乗り鉄

始発駅から終着駅までたっぷり乗り鉄

2日目は、観光列車「ながら」のプランについている「2日間フリー乗車券(※)」を使って乗り鉄旅をしました。

※編集部注:美濃太田駅~北濃駅の長良川鉄道全線乗り降り可能な乗車券。プラン予約者に事前郵送

2日間フリー乗車券 2日間フリー乗車券

フリー乗車券で乗り鉄旅、終点の北濃駅を目指します。

美濃太田駅 パーシモン美濃里号 鮮やかな色のパーシモン美濃里号

国鉄キハ48系の首都圏色タラコ色を彷彿とさせる、2024年3月にデビューしたパーシモン美濃里号(ナガラ600形602号)が停車中。いきなり、最新車両に会えるのはうれしいですね。

それでは、美濃太田駅から出発進行!

長鉄にはみどころが沢山あるんです。

一風変わった関口駅(写真上) 岐阜関刃物会館(写真真ん中) 長鉄本社のある関駅(写真下)

まずは、コンビニと合体し、一風変わった関口駅(写真上)。珍しいですね。ちなみに、コンビニできっぷは買えません。

沿線の関市は世界有数の刃物のまち。せきてらす前駅から徒歩1分ほどの「岐阜関刃物会館」(写真真ん中)では、そんな関の刃物文化について知ることができます。その昔、ある一人の刀匠が、「良質な長良川の水と土と炭に恵まれ、ここは刀づくりに適した土地だ」と住みついたことが始まりといわれています。

そのお隣の関駅(写真下)には長鉄の本社があります。

関駅

関駅の駅名看板の上にも刀が。さすが刃物のまち。

さらに、長鉄にはとても気になる車両が……。

食品サンプル列車内 仰天! 車内の時が止まる!?

それが食品サンプル列車。今回は関駅から郡上八幡駅まで乗車できました。

車内に入ると、そこは食品サンプルだらけの異世界! 心を鷲掴みされたのは、ただサンプルを飾るのではなく、列車の揺れで「あふれる」「こぼれる」といった演出。その瞬間で止まっている食品サンプルがなんとも面白い。

郡上市は食品サンプルの生産量が日本一で、発祥の地ともいわれています。その縁で、このような車両が誕生したそうです。これは、一度は乗るべき楽しい列車ですね。

※編集備考:食品サンプル列車の運行情報は、長良川鉄道のホームページ公式Xをご確認ください

北濃駅

長良川鉄道の終着駅へ

列車は郡上八幡駅を過ぎ、さらに北へと進みます。だんだんと雪深くなっていきます。

郡上八幡駅辺り 車窓の雪景色 郡上八幡駅辺り。車窓の雪景色
美濃白鳥駅での列車交換

列車交換(列車をすれ違いさせる)のため、美濃白鳥駅で停車。

北濃駅到着

雪に覆われた終点北濃駅に到着。国鉄時代にはこの先に線路を延ばし、お隣福井県の越美北線につなげる計画もあったとか。つながっていたらと妄想が膨らむ一方、お腹は減ってきました。よし、ご飯だ!

終着北濃駅

駅に併設されている食堂「終着北濃駅」へ。木の温もりを感じる店内で人気メニューの「味噌カツ」をいただきます。

サクサク衣、柔らかいお肉に甘い味噌ダレがたっぷり。濃いめの味付けで、ご飯のノッチが上がりっぱなし。うんまい。ほかにも、味噌ラーメン、鍋焼きうどんなどがあり、北濃に来たらここは外せませんね。

終着北濃駅

岐阜県郡上市白鳥町歩岐島長良川鉄道北濃駅

営業時間:11時~14時/17時~20時30分(L.O. 20時)

定休日:月曜夜の部、火曜

あと、鉄道ファンは通過できないスポットがあると聞き……。

転車台

今まで雪景色を満喫しておいてなんですが……ここには雪は欲しくなかったな……。雪に埋もれていて、最初迷いました。

1902年のアメリカンブリッジ社製。現存する日本最古のアメリカ製転車台です。岐阜駅で使われていたもので、1934年に北濃駅に移設されました。

転車台とは機関車などを方向転換させるための台。終着の駅ならではの光景が残っていました。

北濃駅を発つ「ながら」 雪と北濃駅を発つ「ながら」

観光列車「ながら」を見送り、次の列車で美濃太田駅に戻り東京へ。

片道約2時間の長良川鉄道の旅。その土地ならではの魅力や表情が異なり、名産や名物がたくさんありました。季節によっても変わるので、何度訪れても毎回違う感動が味わえる路線だと思いました。もう、もう一度行きたくなっている岡安でした。

東京駅に到着

掲載情報は2025年4月10日配信時のものです。現在の内容と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。

今回の旅の行程

【1日目】JR東京駅→JR名古屋駅→JR美濃太田駅/長良川鉄道美濃太田駅→観光列車「ながら」に乗車→郡上八幡駅→郡上八幡散策(いがわ小径/清水橋/宗祇水郡上八幡城/郡上八幡博覧館)→郡上八幡駅/郡上八幡駅舎Cafe→美濃太田駅/JR美濃太田駅→JR岐阜駅(ホテル)

【2日目】JR岐阜駅→JR美濃太田駅/美濃太田駅→関口駅→せきてらす前駅→関駅→美濃白鳥駅→北濃駅/食堂終着北濃駅→美濃太田駅/JR美濃太田駅→JR名古屋駅→JR東京駅

岐阜市内
JR+宿泊 ダイワロイネットホテル岐阜

1泊2日/東京駅⇔名古屋駅

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