今回の列車旅ポイント
平日会社員の旅フォトグラファー、hirotographerです。昨年に引き続き、今年も福島の美しい桜を追いかけて一路北へと向かいました。
少し遠出して都内の喧騒を離れ、旅情あふれる花見を楽しむのは格別。桜吹雪が舞い散る「鶴ヶ城城址公園」や「湯野上温泉駅」など、会津鉄道の沿線に咲く桜を追いかけて、温泉ありおいしい食事ありの素敵な春旅のご紹介です。
まずは、東北新幹線「なすの」に乗ってJR東京駅を出発。JR郡山駅まで約1時間半です。車内では、春めいた装いの方も多く見受けられ、私もワクワク。
開花情報などを調べているうちにあっという間に郡山駅に到着です。JR会津若松駅へは、磐越西線で1時間15分ほど。「JR東日本びゅうダイナミックレールパック」を利用すると、会津若松駅までの往復きっぷと宿をセットでお得に申込みできます。
途中には、素敵な風情の街並みあり白虎隊ゆかりの地ありで、寄り道も楽しそうです。今回は、往路・復路ともにあかべぇを利用しました。
鶴ヶ城入口停留所で降りて1分ほど歩くと、迫力ある城壁跡が出迎えてくれます。戊辰戦争時に、籠城1カ月でも落ちることなく耐えぬいた難攻不落の名城・鶴ヶ城。その守りの要所であった北出丸から入場すると、当時の名残をたたえる印象的な深い堀と高い石垣が聳え立っています。
春風に舞う花びら
鶴ヶ城城址公園は桜の名所として知られています。取材は満開の2日ほど後。散り際にあたりましたが、福島の春の風に吹かれて舞う花びらも美しく、青空との見事なコントラストを描いています。
お堀の水面に浮かぶ花筏(はないかだ)
お堀に散った花びらが風に流れていくさまは、ずっと見ていたい風情があります。白虎隊の辿った運命に想いを馳せながら、散りゆく桜を愛でられるのも鶴ヶ城ならでは。
城壁をくぐるように緩やかな坂道を進むと雪のような白壁に赤瓦の映える天守閣が現れます。
現存する国内唯一の赤瓦の天守閣
この赤瓦は、慶長の折に会津で開発されたもの。鉄分を多く含んだ釉薬による独特の色合いは、他所では見ることができません。
鶴ヶ城では、ボランティアによる無料の「鶴ヶ城ガイド」もあるので、時間が許せば参加してみたいところ。歴史をひもといたあとで眺める桜は、また異なる魅力を演出してくれることでしょう。
花見に合わせて太鼓の音が城内に響く
公園内は、いたるところで桜が咲いており、なんとその数約1,000本! 天守閣と一緒に見上げる桜、天守閣から見下ろす桜などお殿さま気分でお花見散歩を味わえます。
例年、桜の開花時期にあわせて4月上旬から5月のゴールデンウイーク頃まで「鶴ヶ城さくらまつり」が開催されます。取材時(2026年4月)、中央の広場では、さくらまつりのイベントの1つ「会津鶴ヶ城太鼓若駒会『和太鼓と獅子の共演』」が繰り広げられ、花見客も盛り上がっている様子。
暖かな日差しのなかでお花見を満喫し、帰りも周遊バスに乗って会津若松駅へ。
次なる目的地は、桜とひなびた駅舎が美しい芦ノ牧温泉駅です。会津若松駅からは20分ほど。
車窓にも春の雰囲気が溢れ出ていて、列車旅のワンシーンを盛り上げてくれます。これもまたローカル線の魅力でしょう。
芦ノ牧温泉駅のホームでも桜がお出迎え。
駅舎と桜のコントラストは絵になります。
猫の駅長をイメージした置物がお出迎え
こちらの駅は、猫が駅長を務めることでも有名です。駅の待合室はカフェにもなっており、コーヒーなどの飲み物をいただきながら、列車の往来を待って桜の写真を撮るのもオススメです。
例年、桜の開花時期にライトアップを実施事前に予約した送迎で芦ノ牧温泉駅から「芦ノ牧グランドホテル」へ向かいます。列車の到着時間に合わせて、駅から送迎(事前予約制)してもらえます。
あっという間に宿に到着。
広々としたロビーが迎えてくれます。
和室タイプのお部屋はスペースが十分にあり、温泉宿という感じがしてやっぱり落ち着きます。
部屋の眼下には、迫力ある大川渓谷の清流が広がります。新緑や紅葉の季節もきっと美しい景色を見せてくれることでしょう。
まずは、ひとっ風呂。
大浴場は清潔感があり、なんと床が畳張り! 見た目の贅沢さはもちろん、滑りづらく冷たくないという優れよう。
泉質は、ナトリウム・カルシウム硫酸塩・塩化物泉。無色透明・無臭、弱アルカリ性の万人向け。肌に優しいお湯でポカポカです。
加水、加温を一切せず、掛け流しが素晴らしい露天風呂。朝は露天風呂に面した渓谷に朝日が差し込み、雄大な景色を眺めながら入浴できます。冬の雪見風呂もよさそうです。
体が温まったあとは、待望の晩ご飯です。テーブルいっぱいにならんだ色とりどりの料理を見るとテンションが上がってしまうのは、いかんともしがたいもの。
プリンのような滑らかな食感の田楽。お酒が進みそうなニシンの山椒漬け。噛むたびに旨みを感じる馬刺しは「会津に来た!」という感じがします。
ほんのりとした苦みに春を感じる山菜の天ぷらにも心が躍ります。
メインの1品目は「活鮑の踊り焼き」。ポイントは肝を刻んでバターとレモンと合わせてソースにして頬張ること。噛めば噛むほど海の恵みとバターの香りが広がります。この食べ方はぜひ試して欲しいところ。
メインの2品目は釜飯。羽釜がぐつぐつと音を立て、ワクワクが止まりません。いざ開けてみれば、ふわっと広がるご飯と山菜の香り。おこげもしっかりついて言う事なし。添えられた香の物とも相性バッチリでペロリと完食。
とっても素敵な晩ご飯の後は、もうひとっ風呂浴びてふかふかの布団に包まれれば、もうぐっすり。
1泊2日/東京駅⇔会津若松駅/夕朝食付き
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翌日の朝食も、羽釜で炊かれたほかほかのご飯。ふんだんなお野菜・山菜を中心とした品々に、肉厚のお魚と温かい湯豆腐があればあとは何もいらないでしょう。
サケ
湯豆腐
湯豆腐には晩ご飯にも出てきたキクラゲが入っています。コリコリとした食感がとてもよく、おいしい。さすがは福島の名産といったところです。
景色で、温泉で、お料理で福島の季節を感じられる素敵なお宿でした。
ホテルの窓からは朝日に山桜が映える
2日目も会津鉄道に乗って桜巡り。まずは、芦ノ牧温泉駅から芦ノ牧温泉南駅へ。この時期の列車は、桜をくぐり抜けるように進みます。
窓からは桜を独り占めできることも
向かってくる景色、遠ざかっていく景色、車窓に流れる景色、全てに桜色が写り込みます。列車からのお花見もまたよいものです。思わず「わぁぁ……」とため息が。
桜のトンネルが出迎える芦ノ牧温泉南駅
芦ノ牧温泉南駅では桜のトンネルをくぐる会津鉄道の車両を写真に収めることができます。通り抜ける列車を陸橋から俯瞰で撮影することも可能。
芦ノ牧温泉南駅の駅舎
ダムに沈んだ旧桑原駅の行き先案内板
この芦ノ牧温泉南駅を出ると、旧桑原駅の行き先案内板を発見しました。この付近にできたダムのため、沈んでしまった旧会津線桑原駅の名残として立てられているようです。時間に余裕がある方は、途中下車して、そんな歴史を感じながらゆっくり散策してみるのもよいかもしれませんね。
芦ノ牧温泉南駅から1駅、東北の駅百選に選ばれた風光明媚な湯野上温泉駅へ。
トンネルを抜けると桜の回廊が続く
印象的な茅葺き屋根の駅舎と桜のコラボレーション。駅舎内には囲炉裏があり、その煙が茅葺きの虫よけの役割も果たしています。ただのディスプレイ用ではない「本物」です。
こちらの囲炉裏は、カフェスペースとなっています。お土産屋さん(売店)もあり、記念に1枚、桜の模様の絵葉書を購入しました。
充実した品揃え
桜の時期のお土産におすすめの絵葉書
足湯で憩いのひとときを過ごせる
湯野上温泉駅には無料の足湯もあり、列車の警笛を待ちながら浸かるのも一興。旅先で出会った方との会話も弾みそうです。ゆったりした時間を過ごしながら、往来する列車をフレームに収めれば、きっと忘れられない旅になるでしょう。
桜を巡る旅を終えて、郡山駅経由で東京に戻ります。今年もまた、新しい福島の桜に出会えて幸せな気持ちのまま春が過ぎていきそうです。
掲載情報は2026年6月29日配信時のものです。現在の内容と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。
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1泊2日/東京駅⇔会津若松駅/夕朝食付き
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今回の旅の行程
【1日目】JR東京駅→JR郡山駅→JR会津若松駅→鶴ヶ城城址公園→JR会津若松駅→芦ノ牧温泉駅→芦ノ牧グランドホテル
【2日目】芦ノ牧グランドホテル→芦ノ牧温泉駅→芦ノ牧温泉南駅→湯野上温泉駅→JR会津若松駅→JR郡山駅→JR東京駅