日本全国を旅しながら星景写真を撮影している、宮坂雅博と小松由利江です。
今回は、山梨県の河口湖町本栖で毎年4月中旬から5月下旬に開催される「富士芝桜まつり」を訪問。
芝桜と一緒に、雄大な富士山を、一眼レフ24~70mmのズームレンズで撮影しました。今回はその様子を、撮影テクニックとともにご紹介します。
アクセスは、JR新宿駅から中央線特急に乗車して約1時間、JR大月駅で富士急行線に乗り換えて約60分で河口湖駅へ。
富士芝桜まつりの開催期間限定で運行されるバス「富士芝桜ライナー」に乗り、約40分で会場へ到着です。
会場の富士本栖湖リゾートは富士山まで約15㎞。首都圏最大級の約50万株の芝桜が植えられ、5月の見頃の時期になると、一面の芝桜と富士山の競演が楽しめると大人気です。
一周60分~90分と広い会場。どこから回るべきか悩みますが、まずは会場北側の展望広場を目指します。
地上3.8mの展望広場は、雄大な富士山とピンクや白の芝桜で彩られた美しい会場を一望できるスポット。カメラの設定はワイド(広角)で風景モードを選択すると、美しく撮影できます。
次は、手前にあるミニ芝桜富士に移動します。山頂を白い芝桜、山肌をピンクの芝桜で彩られたミニ富士山。背後の本物と左右に並べて配置するなど、構図を工夫しながら撮影してみましょう。
次に会場南側の竜神池のほうへ歩いていくと、途中で白い芝桜で表現された逆さ富士を見つけました。
河口湖に映る逆さ富士をイメージしながら、カメラの構図を決めて、撮影を楽しみます。
竜神池では、一面に広がる芝桜のじゅうたんと背後の富士山を構図に収めて撮影します。
富士芝桜まつりにおける定番構図で、絶対外せませんね!!
定番の構図を撮影したあとは、富士山をあえて入れず、カラフルな芝桜をモチーフに、独自の写真作品に挑戦してみましょう。
カメラ設定をズーム(望遠)寄りにして、景観の一部を切り取ります、今回は濃いピンクと淡いピンクとの境界線に注目して構図を決めました。
次は、濃いピンク色の芝桜を手前に配置して主役に。
背後が暗くなる場所を探して撮影することで、黒い背景が美しいピンク色を引き立たせます。
少し高度なテクニックですが、被写体に近づきつつも景観を生かした「広角マクロ」でも撮影してみましょう。
やわらかなピンク色が美しい品種「オータムローズ」の群生にカメラをなるべく近付け、ワイド(広角)設定にして背景に富士山を入れて撮影します。
花びらがくっきり写り、臨場感も出せます!
次は白地にピンクのラインがきれいな品種「多摩の流れ」の背後に、とがった白いテントと新緑の山を入れて撮影します。
少し難しいカメラ設定ですが、絞りを開けたり絞ったりしながら、背後のボケ具合を調整してください。
撮影に夢中になっているとお昼も間近になったので、会場の東側へ移動。同時開催している「富士山うまいものフェスタ」(※)で富士山周辺の名物料理を味わいます。
約50種類の中から、富士山揚げカマボコがのった、硬めでコシの強い富士吉田市の「吉田のうどん」と、山梨県民に愛される「甲州とりもつ煮」を選びました。どちらもおいしい!
名物料理のあとは、隣にある「桜カフェ FUJIYAMA SWEETS」(※)へ。芝桜にちなんだデザートを味わいながら、芝桜の景観を楽しむことができます。
桜風味のエクレア生地に、桜あん、カスタード、苺、生クリームを絶妙に組み合わせた、会場限定の桜エクレールをおいしくいただきました。
おなかもいっぱいになり、撮影も充分楽しみました。
会場をあとにして河口湖駅に戻ります。
※編集部注:2018年取材時の情報です。
今回の宿泊先は「風のテラスKUKUNA」。送迎車で河口湖駅から5分ほどの距離にあります。
こちらの自慢は、パノラマビューを楽しめる露天風呂。荷物を置いたら、早々に向かいます!
実は今回の旅で一番感激したのが、露天風呂に入りながら、河口湖に映る逆さ富士を眺めたひと時。
いつまでもお湯に浸っていたくなる、心地よい空間でした。
入浴し、ディナーを楽しんだら、いよいよ夜景撮影へ。
河口湖畔を歩き、7分ほどで景観名所の「産屋ヶ崎」へ到着。
ここは河口湖大橋のたもとにある、河口湖随一の富士山撮影スポット。
左側に富士山、右側に河口湖大橋を配置する構図で、三脚に固定して撮影を行います。
橋の照明が明るく、星空と同時に撮影するのは難しいので、カメラの夜景モードを選択して撮影するのがよいでしょう。
深夜ごろ、ちょうど富士山の直上にさそり座(冬季はオリオン座)が昇ってきます。
湖畔のホテル街が消灯されてもまだ明るいので、撮影結果をモニターで確認しながら露出時間を調整します。
湖面が穏やかであれば、湖面に映る街明かりが波の加減で変化する様子も楽しめます。
本日の撮影はこれにて終了。翌朝は、逆さ富士の撮影に挑戦です!
夜明けごろは湖面も穏やかで、逆さ富士を撮影するチャンス。
午前7時近くになると釣り船などの影響で波が出てくるので、朝食前に撮影するのがポイントです。
早朝撮影を終えて、逆さ富士を眺めながらの朝食で気分もリフレッシュ。
2日目は、河口湖に近い名所の撮影に向かいます。
河口湖駅前でレンタカーを借り、10分ほどの場所にある「河口浅間(あさま)神社」へ。ここは富士山信仰の対象として世界遺産登録の構成資産にもなった、由緒ある神社です。
樹齢1,200年といわれるご神木の七本杉は、圧巻の迫力。ワイド(広角)設定で、巨木を見上げるように撮影するとよいでしょう。
今回の最終目的地「母の白滝」を目指し山道を登っていく途中にあったオートキャンプ場「Retreat camp まほろば」で、いったん停車。河口湖大橋を望む景観を撮影しました。
この距離だと大橋も小さくなるので、ややズーム(望遠)寄りにレンズを設定します。
車で山道をさらに登り、河口浅間神社から10分ほどで駐車場に到着。停車して数分歩くと、母の白滝神社と滝があります。
昔はこの滝で身を清め、河口浅間神社で安全祈願をしてから、富士山登山に臨んだそうです。
こんな立派な滝が河口湖の近くにあるとは、思いも寄りませんでした!
カメラを三脚に固定して、スローシャッターで撮影することで、滝の流れが滑らかで印象的になります。シャッタースピードが長すぎると水しぶきの荒々しさがなくなってしまうので、撮影結果をモニターで確認しながら、絞りとシャッター時間を調整しましょう。
母の白滝の撮影を終えて、帰路に就きました。
河口湖周辺の名所撮影は、比較的短時間に回ることができ、かつ景観の変化にも富んでいて、満足できます。
ぜひとも訪れて、美しい景色を撮影してみてください。
掲載情報は2023年4月4日更新時のものです。現在の内容と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。
今回の旅の行程
【1日目】JR新宿駅→JR大月駅→河口湖駅→富士芝桜まつり→河口湖駅→風のテラスKUKUNA→産屋ヶ崎→風のテラスKUKUNA
【2日目】河口湖→河口湖駅→河口浅間神社→母の白滝神社→河口湖駅→JR大月駅→JR新宿駅