いざ、坂東三十三観音巡りへ。栃木には笑い閻魔の御朱印があるらしい!?
今回の列車旅ポイント
- 東京から基点の栃木駅まで約1時間
- 列車+バスでめぐる、栃木県内の坂東三十三観音
- 駅直結のJR東日本ホテルメッツ宇都宮
トラベルライターの大浦春堂です。
人間が抱える苦悩を救い、導いてくださる観音様を祀った関東のお寺を巡礼する坂東三十三観音霊場。1番札所から33番札所まで、約1300kmの長い道のりを旅して歩きます。
今回は、その札所の中で、東京から列車で約1時間の栃木にある3つのお寺をお参りして、御朱印をいただいてきました。
東京駅
第17番札所・満願寺で札所めぐりをスタート
JR東京駅から東北新幹線で約40分のJR小山駅へ、そこから両毛線でJR栃木駅まで約10分。栃木駅から出ているふれあいバスに乗ること約1時間、出流観音バス停で下車。徒歩5分ほどで、栃木市出流町(いづるまち)にある坂東三十三観音霊場第17番札所の満願寺に到着です。
天平神護元(765)年、日光輪王寺を開いた勝道上人によって開山。境内の「観音の霊窟」(奥之院)と呼ばれる鍾乳洞には自然にできた十一面観音像があり、お参りすることで子宝運に恵まれるといわれています。
編集部注:「観音の霊窟」(奥之院)は台風の影響により、現在は立ち入りできません。(2020年1月現在)
御朱印をいただくための坂東三十三観音霊場の専用納経帳は各寺院で取り扱いをしています。もちろん、専用の納経帳(御朱印帳)でなくとも御朱印をいただけます。
御朱印は各寺院で数種類ありますが、札所の御朱印を指定しましょう。
満願寺のある出流地区には、現在8軒のおそば屋さんがあり、「観音様と手打そばの郷」として知られています。参拝の後には山門を出て徒歩5分のところにある、「手打そば いしやま」でお昼ごはんをいただきます。
門前町には、おそば屋さんが軒を連ねます。今から50年ほど前に町おこしの一環として手打そばを出す店が増えたのだそう。
いただいたメニューは野菜の天ぷらと寒晒しそば。コシが強く、風味の強いおそばで、ペロリと食べてしまいました。寒晒しとは、冷蔵庫がなく長期保存が難しかった時代に生まれた調理法。そばの実を寒風に晒して、しっかりと乾燥させてから作られるそうです。
出流地区で出すおそばの特徴の一つに、おそばを大ザルで出すことが挙げられます。家族やグループで来るときにはぜひお試しを。
再びふれあいバスに乗って栃木駅まで戻り、東武宇都宮線で約45分の東武宇都宮駅へ移動。市街地を散策しながら徒歩25分ほどのJR宇都宮駅へ。今日は宇都宮駅直結のホテル、JR東日本ホテルメッツ宇都宮に泊まります。
大谷寺
第19番札所・大谷寺の圧巻「大谷磨崖仏」
宇都宮駅の西口から関東自動車の路線バスで約30分、大谷観音前バス停で下車し徒歩3分ほど、坂東三十三観音霊場第19番札所の大谷寺(おおやじ)へと向かいます。
洞窟内部に彫られた大谷観音(千手観音)がご本尊であることから、洞窟に囲まれるように本堂が建つ独特な景観です。
大谷石の洞窟内部に彫られた巨大な大谷観音は、弘法大師(空海)の作と伝えられています。
寺院内では、高さ4メートルの迫力ある大谷観音のほか、釈迦三尊や阿弥陀三尊など十体の仏様のお姿を見ることができます。
石壁に彫られた仏様十体は総称して大谷磨崖仏と呼ばれ、国の特別史跡および重要文化財に指定されています。
THE STANDARD BAKERS
焼き立ての絶品パンが食べられるカフェ
大谷寺から歩いて5分ほどの場所にある「THE STANDARD BAKERS」は、パン屋さんとレストランが一緒になったお店。たっぷりと光が差し込む明るい店内で、食事を楽しむことができます。
お昼にいただいたのは、国産牛のハンバーグプレートデミグラスソースに、焼き立てパンの盛り合わせ。肉汁たっぷりのジューシーなハンバーグにソースがよく絡んで、とってもおいしかったです。パンは日替わりで、その日の3種類がサーブされ、もっちりしっとりした生地が絶品♪
他には、栃木で採れた野菜を使ったサラダプレートなど、地元産食材メニューもいっぱい。
西明寺
第20番札所・西明寺で珍しい「笑い閻魔」を拝観
お腹がいっぱいになったら、関東自動車の路線バスで再び宇都宮駅に戻り、路線バスを乗り換えて約50分で益子駅に移動します。益子駅から坂東三十三観音霊場第20番札所の西明寺まではタクシーに乗って10分ほどで到着です。
西明寺は天平9(737)年、行基によって創建され、平安時代の歌人・紀貫之の一族である紀有麻呂によって仏様をお祀りするお堂などの建造物が完成されました。境内には国指定重要文化財である三重塔、本堂厨子、楼門のほか、弘法大師堂など見どころも数多くあります。
特徴的なのは正徳4(1714)年に建立された閻魔堂の笑い閻魔。怖いはずの閻魔様が大きな口を開けて笑っている様子はとてもユーモラスです。閻魔様の隣には地蔵菩薩が立っており、このお地蔵様の化身が閻魔様だといわれています。
札所の御朱印のほか、笑い閻魔が描かれた絵入りの御朱印も。絵入りの御朱印は、電話で事前予約した方が確実に書いていただけます。
※編集部注:益子町陶器市期間中(2020年4月29日~5月6日)は閻魔の絵入り御朱印は授与していないとのこと。
中禅寺
第18番札所・中禅寺
今回は1泊2日の行程で周りきれず、益子駅から下館駅と小山駅を経由して東京へと戻ったのですが、栃木県にはもうひとつ、坂東三十三観音霊場第18番札所の中禅寺もあります。日光山輪王寺の別院で、根がついたままの桂の立木を彫った御本尊・立木観音が有名です。
栃木県というと遠方のイメージを持つ方がいるかもしれませんが、列車を使えば1時間程度で到着できて、行きやすい観光地。札所巡りをしながら、春はいちご狩りや冬は温泉なども楽しめるので、友達同士や家族と一緒のおでかけにもおすすめです。
東京
掲載情報は2020年3月24日配信時のものです。現在の内容と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。
今回の旅の行程
【1日目】JR東京駅→JR栃木駅→満願寺→いしやま→東武宇都宮駅→宿
【2日目】宿→JR宇都宮駅→大谷寺→THE STANDARD BAKERS→西明寺→JR東京駅