今回の列車旅ポイント
こんにちは。着物ライフアドバイザーのはたみさこです。
今回は古都・奈良へ。奈良の見どころといえば東大寺や春日大社が定番ですが、「もっと知らない奈良を楽しみたい!!」ということで、選んだエリアは「ならまち」。
ならまちは、1998年に世界文化遺産に登録された元興寺(がんごうじ)の旧境内を中心とするエリアを指し、奈良の新しい人気スポットになっています。伝統的な町家の外観をいかしたお洒落な雑貨店やかき氷屋さん、着物をレンタルできるお店もあるとのこと。私の好きなものが集まった町に興味津々、さっそく着物で散策に出かけました。
JR東京駅から東海道新幹線「のぞみ」に乗りJR京都駅へ。「JR東日本びゅうダイナミックレールパック」であれば、列車と宿のセットがお得に予約できて便利です。
到着までの間に、今回の列車旅の着物コーデをご紹介。
夏の街歩きは風通しが良く乾きも早い麻着物がおすすめ。元興寺にちなんで仏具柄の帯(博多絽献上)を、かき氷のような配色の着物に合わせ、雪だるまの帯留を付けました。
京都駅で奈良線「みやこ路快速」に乗り換えて、東京駅から約3時間でJR奈良駅へ到着。奈良駅東口には「奈良市総合観光案内所」があり、ガイドマップをいただけます。案内所の屋根には相輪(そうりん)があり︎、奈良ならではの建築物に心が踊ります♪
奈良駅からバスに乗り「田中町」バス停で下車、徒歩5分ほどで「元興寺」へ。
東門をくぐると正面に「極楽堂(極楽坊本堂)」がお出迎え。屋根の曲線が美しく、無駄のないシンプルさに目が奪われます。
718年に創建された元興寺は、蘇我馬子が飛鳥の地に建立した日本最初の本格的伽藍(※)である法興寺(飛鳥寺)を、平城遷都に伴いこの地に移転し、寺名を元興寺と改めたのが始まりです。境内はゆったりとした時間が流れ、長居をしたくなる雰囲気があります。海を越えて旅をする蝶といわれる「アサギマダラ」も立ち寄るそうですよ。
※編集部注:伽藍(がらん)とは僧侶が集まり修行をする場。のちに、寺院の建物の総称
屋根の一部には1400年前の瓦が使われています。数々の出来事を乗り越えて、今なお現役で使われていることにロマンを感じ、物を大切にする日本の文化に惚れ直します(当時の職人さんに伝えたい)。
境内にある「禅室(極楽坊禅室)」の一番左の影向間(ようごうのま)は、弘法大師空海が修行されていたお部屋です。
「法輪館」では、日本最古の瓦を間近で見ることができ、国宝の「五重小塔」や数々の文化財など、貴重な資料が展示してあるのでお見逃しなく。
また、鬼との関わりが深い元興寺の境内には5体の鬼が隠れており、春・夏・冬のお休みシーズンには5体の鬼を探すと記念品がもらえる企画があるそうです。意外な所に隠れているので、ぜひ、見つけてくださいね。
初めに、作る香りの「テーマ」を決めます。お香には魔除けや邪除けの効果もあるそうなので「心身ともにデトックスできる香り」を目指すことにしました。
10種類以上ある香原料を順番に確認し、調合する香りを決めていきます。成功の秘訣は頭で考えすぎず直感で選択していくこと。
お店の方のアドバイスを頼りに調合し、使った原料と分量をメモしておきます。途中で香りを確認して「足す」ことはできますが「引く」ことはできません。色々な匂いを嗅ぎすぎて香りが分からなくなったら、自分の匂いを嗅ぐとリセットされます(不思議)。
調合が終わったら、香袋にお香と綿を詰めます。「福がいっぱいになるように」とぷくぷくに入れるのがポイント。
最後にお香の銘をつけて体験は終了。テーマ通りの香りに仕上がり「浄化」とつけました。目の前の香りにひとつひとつ向き合って調合していくので、思っていたよりも本格的な体験でした。
ちなみに、縁心屋では着物のレンタルもできます。レトロモダンのお洒落な着物が多く、合わせる帯や小物もとても素敵でしたよ。
香袋を着物の袂に忍ばせて、縁心屋から徒歩約3分で「ならまち格子の家」に到着です。奈良の伝統的な町家を再現した建物で、外観だけでなく建物内も見学ができます。
間口は狭く奥行きが深いというのが特徴。三室(みせの間・中の間・奥の間)が縦一列に並び、その先に、中庭、離れ、蔵と真っ直ぐ続きます。表通りに面した「みせの間」には格子があり、外から家の中を見えなくする目隠しの役割があるそうです。
中の間と奥の間は食事・居間・寝室に使う居住スペース。中の間の箱階段は収納も兼ねていて、空間を無駄なく使う先人の知恵を見ることができます。
中庭を設けることで採光を確保しています。奥に離れと蔵があります。
台所も兼ねる通り庭に吹き抜けを設けて採光と通風を確保。無駄がなく計算し尽くされた設計に思わずうなってしまいます。通りに面したみせの間から一番奥の蔵まで、一直線に通り抜ける風は本当に心地よく「こんなお家に住みたい」と妄想が膨らみました。
ならまち格子の家から徒歩約10分の「ほうせき箱」(完全予約制)へ。滝のような汗を流しながら散策していたので、この時間が本当に待ち遠しかったです。
さっそく、かき氷「ベリーベリーヨーグルト」を注文。
見た目がかわいすぎ♡ 食べる前からおいしさが想像できます。
オーラが隠しきれず、てっぺんが光って見える!! まさに宝石。
驚くほどふわふわの氷に果肉たっぷりのラズベリーのソースと、ミルク系のエスプーマが想像をはるかに超えておいしい♪
これ、私が食べたかき氷……かわいすぎる♡ 根付や帯留にしてもいいかも!? ほかにも、Tシャツなどかき氷グッズが販売されています。
お腹も心も満たされ、奈良駅近くのホテルへ向かいます。1日目は終了。
2日目、再びならまちへ。中川政七商店が創業の地である奈良に2021年4月にオープンした「鹿猿狐ビルヂング」を巡ります。奈良駅からは徒歩で15分ほど。
まずは、麻織物を保管していた蔵を改装した施設「布蔵」と「時蔵」を見学します。1716年に奈良晒(ざらし)の商いからはじまった中川政七商店。布蔵には、麻に関わる道具や機械が所狭しと並び、手績(う)み手織りの工程が現物を見ながら学べます。
気の遠くなるような作業工程を知り、布に対するありがたみを感じます。手織りの織機を使って機織りを体験することもできます。(※)
※編集部注:布蔵は体験コンテンツの参加者のみ見学が可能です。体験コンテンツについて、詳しくはこちら
次は、中川政七商店の300年の歴史が保管されている時蔵へ。創業から現在までの歴史を辿る貴重な資料が展示されています。
1階から2階まで繋がった壁一面に設置された桐箱には、創業当時からの資料が年代ごとに収納されており、なんと2137年までの収納スペースが確保されています。まるで、タイムカプセルのよう。お話を伺うだけでワクワクが止まりません。
ちょっと格式が高いと感じる茶道も、鹿猿狐ビルヂング内にある「茶論 奈良町店」では気軽に楽しめます。
「季節の主菓子と飲物セット」を注文。お菓子もお茶も数種類から選べ、奈良の名店・樫舎(かしや)さんの葛菓子「みよしの」と、旨みと甘みがしっかりした薄茶の「碧」を選びました。みよしのは、硬そうな見た目を裏切る柔らかさで、お抹茶のきめの細かな泡は口当たりも滑らかでした。
お庭を眺めながらゆっくり過ごしたい美しい空間。比較的混み合っていない午前中に伺うのがおすすめです。
お土産を探しに「中川政七商店 奈良本店」へ。奈良本店は2つのエリアに分かれており、茶論の隣にある「旧 遊中川 本店」は、築130年の町家を活かした店内に、麻を中心とした衣服やバッグなどが並んでいます。手績み手織りの麻を使った暖簾のオーダーやハンカチの刺繍サービスなどもあり、プレゼントにも良さそう。
随所に置かれた什器には古い金庫や鏡箱などがセンス良く活用され、電話室は試着室に。試着室に入ったらタイムスリップしてしまいそうでちょっとドキドキ。
もう一方のエリア、北側の猿田彦珈琲の2階には暮らしを豊かにする道具が並んでいます。
約3,000点のオリジナル商品が一堂に並び、さすが本店の豊富な品揃えは圧巻です。同店限定の商品もたくさんあり、また、奈良在住の作家による商品を取り扱っているのも珍しい特徴です。
「鹿猿狐みくじ」はなんとも言えない表情が癒やし♡ ひとつひとつ表情も違うのでお気に入りの子を探してください。
奈良の工芸「かや織」を活かしたふきんは、中川政七商店の看板商品(私も愛用中)。柄の種類が豊富で、面白い柄を見つけるとつい欲しくなります。たくさん買ってしまっても発送サービスがあるので、心置きなくお買い物を楽しめます。
奈良本店限定の鹿玩具柄の「花ふきん」を、びゅうたび読者5名にプレゼント。ぜひご応募ください。
※プレゼント詳細は記事下部をご覧ください
無事にお土産を購入して、今回の旅の目的は全て達成。奈良駅に戻り、京都駅を経由して帰京します。
ならまちは、どこを歩いても歴史的文化財にたどり着きます。細い路地に迷い込みぐるぐる巡ってみても、意外な発見や出会いがあり面白い町でした。
掲載情報は2023年9月19日配信時のものです。現在の内容と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。
応募期間は終了しました。沢山のご応募ありがとうございました。
今回の旅の行程
【1日目】JR東京駅→JR京都駅→JR奈良駅→元興寺→縁心屋→ならまち格子の家→ほうせき箱→JR奈良駅(ホテル)
【2日目】JR奈良駅→鹿猿狐ビルヂング(布蔵/時蔵/茶論 奈良町店/中川政七商店 奈良本店)→JR奈良駅→JR京都駅→JR東京駅