今回の列車旅ポイント
はじめて訪れる街にはいつも好奇心がくすぐられる。あの場所にはどんな出会いが待っているのだろうか。
少し浮き足立つ心を落ち着かせながら前日の夜をいつものように過ごす。上手く寝ることができるか考えながらパッキングをすることが好きで旅に出ているのかもしれない。色々な思いを詰め込んで、今回は青森県弘前市へ。弘南鉄道大鰐線、通称「りんご畑鉄道」から始まる自然を巡ってきました。
旅と暮らしを撮るフォトグラファーのモロイユウダイです。
JR東京駅から新幹線に乗ることは旅が始まる合図のように感じています。買うか迷う駅弁の棚や新幹線に乗る人の列を眺めながら、青森にはどんな空気が流れているかを想像していました。東京よりも肌寒くて、ツーンとした冬の空気がまだ残っているのかな。夜の空はここよりも鮮明に星が見えるかもしれない。初めて訪れる青森への期待は止まりません。
東京駅からJR新青森駅までは約3時間。快適なシートにもたれ掛かりながら、タブレットで映画を見たり、本を読んでいたりしたらあっという間に新青森駅に到着。改札あたりで突然、お祭りで聞くような笛や太鼓の音がアナウンスと共に流れてきました。「ねぶた祭りだ!!」と青森に来たことを実感しながら、「りんご畑鉄道」と呼ばれている弘南鉄道大鰐線へ向かいます。
ちなみに、青森への旅は、びゅうトラベルの「JR東日本びゅうダイナミックレールパック」を利用すれば、新幹線往復きっぷとホテルがセットでお得に申込みできます。どれくらいお得になるかは、記事下部で具体的にご紹介しています。こちらをチェック!
りんご畑鉄道の始まりの駅である中央弘前駅までは、新青森駅から約1時間。まずは奥羽本線でJR弘前駅へ。弘前駅から弘南バスに乗り継いで中央弘前駅へと向かいます。予定通りの列車に乗り、この旅の大きな目的である「車窓からのりんご畑」を眺める準備ができました。
※編集部注:弘南鉄道では交通系ICカードは利用できませんので、ご注意ください(2025年5月現在)
りんごの木に咲く花は何色だろう。青森へ来ることがなければきっと調べることもなく知らないままだったと思います。今この記事を読んでくださっている方もどんな色か想像してみてほしいです。りんごが赤や緑だから似たような色なのかな? とか、小さな花を細かく咲かせるのかな? とか。
どのような花を咲かせるのか下調べはしてきたけれども、本当に同じような花が咲いているのか疑問を持ちながら車窓を眺め続けていました。松木平駅に近づくにつれ、りんご畑の広大な緑が現れて答え合わせをする準備は万全。さあ、来るぞ。
りんごの木に咲く花は白く、縁はうっすらとピンクがかっていました。車窓からでも、りんごの花の細かいところまで見ることができました。こんなにも近くで見ることができる驚きと、一面に続くりんごの花が想像よりも美しくて見惚れていたと思います。
実際に足を運ばないと見ることのできない景色。東京からこの場所へ来てよかった。心の中でそう呟きました。
※編集部注:松木平駅〜津軽大沢駅(上下線)は、りんごの花が咲く時期(例年5月上旬頃)に徐行運転を実施しています。徐行時期と対象列車(時刻)は弘南鉄道のHPなどでご確認ください
りんご畑を眺めていると津軽大沢駅に到着しました。ホームに降りると秘境のような、日本ではないような、遠い昔にやって来たような不思議な空気が流れていました。
津軽大沢駅では、津軽富士と呼ばれる岩木山を背景にりんご畑を眺めることができるといいます。駅を出て数分歩くとすぐにりんご畑が現れ、その奥にはまだ雪化粧したままの岩木山が顔を出していました。
雪の積もった山脈は鮮明に見えましたが、1624メートルにもなる山頂は雲に隠れてしまい拝むことはできませんでした。
手前に広がるりんご畑からは微かに甘い香りが漂ってきて、嗅覚でも楽しめる場所です。
次の列車が来るまで1時間弱。岩木山をぼーっと見つめながら、たまにりんごの花を観察して、ゆるやかな時間を過ごしました。
終点の大鰐駅へ向かうためにホームへ戻ります。津軽大沢駅には車両検修所があり、ラッセル車や整備中と思われる車両を見ることができました。
再び列車に乗り込みます。
車内を見渡すと、赤い取っ手に緑色の葉っぱがついたりんごモチーフのかわいいデザインのつり革が連なっているのが目に入りました。さらに、1編成に1つ、ハートの形をしたつり革もあるということなので探してみることに。激しく揺れながら走る車内を歩きながら探すことが意外にも難しく、バランスゲームをするように慎重に、気をつけながらゆっくりハートのつり革を探しました。
無事にハートのつり革を見つけることができて大鰐駅に到着。この駅もまた、昭和の名残を残した趣のある素敵な駅でした。
弘南鉄道大鰐線は2027年の年度末には運行休止になってしまうそうです。りんご畑鉄道に乗ることができるのも残すところ2年ほど。真っ白に染まるりんごの畑を眺められる列車はきっと日本でここだけです。普段は味わうことができない経験がこの列車には詰まっています。ぜひみなさんも一度は味わってみてください。
大鰐駅からは折り返し中央弘前駅へ戻り、今日は弘前駅近辺のホテルに宿泊します。
※編集部注:りんごラッピング列車は上下線各1日1本運行(2025年5月現在)
2日目は、弘前駅からタクシーで約15分の「弘前市りんご公園」へ。りんご公園は、約9.7ヘクタールの面積を誇る公園です。敷地内には80種、約2300本ものりんごの木が植えられ、シーズンに応じてりんご狩りや、それにまつわるイベントを楽しむことができます。
この日の空は曇っていて、どんよりとした空気に覆われていました。「晴れてほしかった」と思いながら敷地内に入ると、りんごの木がつくりだすやさしく溶かされてしまいそうな温かい空気に変わりました。
りんご公園のシンボルといえば「大きなりんごがのったポスト」。これを探して敷地内を歩き回ったけれど見つかりません。スタッフに尋ねると、どうやら入ってすぐのゲート近くにあったらしく、一旦戻り確認すると驚くほどにりんごの木と馴染んでいて気付けなかった。
その足で公園内にある「りんごの家」に向かい、簡単な軽食を取ることにしました。せっかくなので、りんごがふんだんに使われたものが食べたい。りんごのパフェかアップルパイか……。迷いに迷ったあげく「3種の食べ比べアップルパイ」を選びました。
施設内にはアップルパイを食べられるカフェのほか、りんごの品種模型の展示などもあり、違いを比べながら品種の由来を知って楽しむことができます。
りんご公園の敷地内には、1杯500円からシードルを楽しむことができる「弘前シードル工房 kimori」があります。シードルとは、りんごの果汁を酵母で発酵させてつくられたほかのアルコール飲料とは異なる味わいと香りが楽しめるお酒です。
kimoriの由来は、今年の豊作への感謝と来年への祈願を込めて、収穫の最後にりんごを1つだけ残しておく風習「木守り(きもり)」から名付けたとのこと。
弘前シードル工房 kimoriを後にして、タクシーに乗り弘前駅へ向かう。初めての青森はりんご畑に始まり、りんご畑で幕を閉じた。新幹線に約3時間揺られれば気温や空気の全く違う場所まで訪れることができる。気軽にというのは難しいかもしれないけれど、日常からはみ出したい人はぜひ、新幹線に乗って青森を訪れてみてください!
掲載情報は2025年7月3日配信時のものです。現在の内容と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。
フォトグラファーのモロイユウダイさんが青森県弘前市へ。りんご畑の中を走る弘南鉄道大鰐線、通称「りんご畑鉄道」と、岩木山の麓に広がるりんご畑を素敵な写真で紹介してくれました。弘南鉄道大鰐線の休業が決まり、この風景が見られるのもあと少し……。ぜひ、カメラを片手に弘前に行ってみませんか? 弘前への旅は、列車と宿がセットでお得に申込みできる「JR東日本びゅうダイナミックレールパック」がおすすめです。
今回ご紹介した旅のプランで、列車と宿を別々に申込みした場合と料金を比較してみると、単純計算で6,560円(※)もお得に旅ができます。桜の季節が終わる頃から咲き始めるりんごの花。弘前市りんご公園では、例年5月上旬に「弘前りんご花まつり」も開催されるので、りんごづくしの旅が楽しめそうです。
【今回の旅プランの場合】
A. JR東日本びゅうダイナミックレールパックで申込みした場合
旅行代金(目安額):33,800円(おとな1名)
B. 列車と宿を別々に申込みした場合
旅行代金(目安額):40,360円(おとな1名)
<内訳>
新幹線の指定席特急券と乗車券 33,860円※乗車券の往復割引適用済み
ホテル公式サイトで申込みした宿泊費 6,500円
★単純計算(B―A)で6,560円もお得!
※A、Bともに旅行代金は、2025年6月13日時点の2025年7月11日に出発する場合の金額です。
※往復JR+宿泊(2名1室利用時)のおとな1名の旅行代金で比較しています。
※ダイナミックレールパックは、価格変動型の個人旅行商品です。申込操作時期により同一内容でも旅行代金が異なる場合があります。
※ダイナミックレールパックの旅行代金に含まれるのは、往復JR+宿泊のみです。現地での移動・飲食等にかかる費用は含まれておりません。
今回の旅の行程
【1日目】JR東京駅→JR新青森駅→JR弘前駅→弘南鉄道大鰐線 中央弘前駅→津軽大沢駅→大鰐駅→中央弘前駅→JR弘前駅(ホテル)
【2日目】JR弘前駅→弘前市りんご公園/りんごの家/弘前シードル工房 kimori→JR弘前駅→JR新青森駅→JR東京駅