今回の列車旅ポイント
「おでん」という食べ物がある。寒い冬に食べるには最適な一品だ。お酒が進み、会話が弾む。そんなおでんを路面電車の車内で食べたらどうだろうか。非日常な感じがして、さらにおいしく感じるのではないだろうか。趣深い気もする。
そんな願いが叶う路面電車が存在する。それが「おでんしゃ」。愛知県の豊橋を走る路面電車、豊橋鉄道「東田本線(市内線)」では車内でおでんが食べられる「おでんしゃ」を毎年、期間限定で運行している。おでんを食べながら豊橋を走るのだ。日本三大稲荷に数えられる「豊川稲荷」も詣でようではないか。
おいしいおでんには、さまざまなアプローチがあると思う。食材にこだわるのも大切だし、食べるシチュエーションも大切。豊橋鉄道の路面電車「東田本線(市内線)」で実施される「おでんしゃ」は、食材とシチュエーションの両方を兼ね備えている。そんなの絶対に食べたい。
どうも、この記事を書いている地主です!
「おでんしゃ」に乗るために、JR東京駅からJR豊橋駅を目指した。東海道新幹線に乗ると豊橋まではあっという間。「ひかり」だと約80分なのだ。おいしいおでんを80分で食べられると考えると早いとすら言える。だって、おいしいおでんをつくろうとしたら80分以上かかりますからね。
ちなみに、「JR東日本びゅうダイナミックレールパック」を利用すると、新幹線と宿をお得なセットで申込みできるのでおすすめです。
富士山が見えました!
おでんしゃは2026年度で19年目を迎える人気のイベント路面電車。車内でおでんを食べることができて、生ビールが飲み放題(※)。路面電車に揺られながらのおでんとビール。考えただけで幸せな気持ちになれる。
※編集部注:料金には「ヤマサちくわ特製おでん」、「特製おつまみ弁当」、生ビール飲み放題(紙コップで提供)、オリジナルカップ酒、オリジナル特製枡、数量限定で缶チューハイ・緑茶が含まれます。おつまみ、飲物の持ち込みは自由
豊橋駅に着きました!
おでんしゃはJR豊橋駅東口の目の前にある豊橋鉄道の「駅前停留場」から出発する。2025年度は水・金・土曜の夜と日曜の昼に実施され、2025年11月7日に始まり、2026年5月6日に終了する。ちなみに6月には「納涼ビール電車」を運行しており、こちらも車内でビールが飲み放題のイベント路面電車だ。
おでんしゃ登場です!
おでんしゃは、駅前停留場を出発して約30分、運動公園前駅に到着。トイレ休憩を兼ねて30分停車する。そして、また約30分をかけて駅前停留場に戻ってくる。トータル90分。おでんを食べ、アルコールを楽しむには十分な時間だ。
ラッピングは毎年変わるそうです!
一回の定員は30名ほど。車内は屋台のようになっている。路面電車なので、走る屋台という感じだ。
車内が屋台のようになっています!
実際に乗り込み、路面電車が動きだすと、おでんしゃが19年も続く理由を理解できた。楽しいのだ。アテンダントがいて、「今日はどちらから?」などと初めて会う乗客同士の交流を促してくれる。車内の雰囲気がめちゃくちゃいい。
おでん、おいしい!
もちろん楽しいだけではない。おいしいのだ。メインは「ヤマサちくわ特製おでん」。ヤマサちくわは、1827年(文政10年)創業の豊橋を代表する会社だ。そのヤマサちくわ直営の居酒屋「広小路でんでん」の料理長が「おでんしゃ」のために仕上げたおでんが提供される。少し甘めで深みのある味わいだ。
オードブル(特製おつまみ弁当)も付きます
生ハムとイベリコ豚のサラミの2種盛
オプションで「ヤマサちくわ揚物詰合せ」や「SANDWICH MOMENT 生ハムとイベリコ豚のサラミの2種盛」などのおつまみが、事前購入で追加(有料)できる。今回注文した生ハムは、豊橋にある日本初の国産生ハム専門店「SANDWICH MOMENT」のもの。お酒がめちゃくちゃ進んだ。
めちゃくちゃおいしいの!
オリジナル枡に入った、オリジナルのカップ酒(日本酒)が1本付いている。こちらは豊橋の会社、「福井酒造株式会社」のもの。枡は、愛知のお隣である岐阜県の大垣市でつくられたものだ。そのまま飲んでももちろんおいしいのだけれど、おでんのだしを入れて飲むと、趣深さもあり、おいしかった。最高の組み合わせなのだ。
枡は持ち帰れます!
路面電車の揺れが心地よい酔いを生み出す。ビールサーバーが車内前方にあるので、アテンダントが入れた「おかわり」をみんなで回して渡す。その一体感も車内の温かい空気をつくっていたように感じる。
あっという間に折り返し地点!
ガチャやります!
基本的に運行中は立ち上がれないので、折り返し地点で停車中にガチャを。おでんしゃにはオリジナルグッズの出てくるガチャがあるのだ。こんなの絶対にやりたい。アクリルキーホルダーなんていくらあってもいいですからね。
いいのが出ました!
じゃんけんは負けたけども!
折り返してからの車内では「じゃんけん大会」が開かれた。もちろん賞品がある。おでんしゃオリジナルタオル(負けても車内限定で買うことができます)やビール会社のグッズなど。マジで盛り上がった。私は1人で参加していたのに、同窓会のような一体感。
楽しい時間でした!
ちなみに、「お酒が飲めない」という人のために、ノンアルコール便も月に1便ほど走っている。通常便にもソフトドリンクはあるけどね。
提灯もいいよね!
90分はあっという間だったし、お腹もいっぱいになった。満足感しかない濃密な時間だった。常連さんに話を聞くと、「冬のおでんしゃもいいけど、4月以降の暖かい時期のおでんしゃも、それはそれでいい。窓を開けておでん食べるのがいいんだよ」と言っていた。また乗りたくなった。
豊橋駅近くのホテルで1泊して、朝になった。本日は、日本三大稲荷に数えられる「豊川稲荷」を訪れるのだ。1441年に開山された歴史ある寺院で、2026年11月1日から23日までは、72年ぶりに鎮守・豊川吒枳尼真天(とよかわだきにしんてん)の御開帳が行われるという。
豊川駅に来ました!
最寄りのJR豊川駅までは、豊橋駅から飯田線で15分ほど。豊川駅から豊川稲荷までは徒歩5分ほど。参道にはいろいろなお店が並び、歩いていて楽しい。詣でたあとにぜひ参道で食事をしようと思う。
豊川稲荷の総門に着きました!
「稲荷」と聞くと稲荷神社を思い浮かべるけれど、豊川稲荷はお寺だ。正式名を「妙厳寺」という。祀られているのは「豊川吒枳尼真天」で、この豊川吒枳尼真天が、稲穂をになって白い狐に跨っていたことから、豊川稲荷と呼ばれるようになったそうだ。
本殿です!
本殿は大きかった。総けやき造りで、高さは30メートルを超える。清らかな空気が流れていると感じた。つまり「ありがたいな」と思わず口に出してしまうのだ。ちなみに、本殿は2030年に創建100年となり、御開帳より期間の長い大開帳が行われる。
狛犬ではなく狛狐ですね!
豊川稲荷には狐がたくさんいる。本殿の前も狛犬ではなく、狛狐だし、霊狐塚に行くと、もはや数えられないほどの狐だ。祈願成就のお礼として奉納された狐が赤い前掛けをつけてたくさん鎮座していた。
霊狐塚の狐!
霊狐塚は奥まったところにあり、まわりには高い木々があるので光も強くは入らない。そのためか神秘性をより強く感じる。そして、狐はまだある。絵馬だ。
狐の絵馬
狐が描かれ、狐の形をした絵馬。どちらも笑顔に見える。豊川稲荷に詣でて清らかになった私には、狐の表情がわかる気がする。どちらも極上の笑顔だ。
お守りもあります!
お守りにも狐がいる。やはりこちらも笑顔の狐だ。ちなみに「レースお守り」というものもあった。お守りは中に木札が入っていることが多いと思うけれど、レースお守りは透明な素材。レースも透けているので太陽にかざすととてもきれいだった。
レースお守り! きれい!
狐といえば油揚げ。油揚げといえば「いなり寿司」。豊川市は、いなり寿司発祥の地の1つに数えられている。豊川稲荷の門前でも、古くからいなり寿司が販売されていた。いろいろなお店で豊川のいなり寿司は食べられるのだけれど、今回は、総門から徒歩10秒の「門前テラス縁福」内にある「門前そば山彦 本店」でいただこうと思う。
門前テラス縁福
門前テラス縁福は、2025年12月28日にオープンした施設。近代的な建物ではあるけれど、街に馴染んでいる感じがするし、地元に根付いた飲食店がお店を構えている。参拝後に立ち寄るのもおすすめだ。
門前そば山彦
門前そば山彦は、そもそもこの場所で100年以上いなり寿司を提供している。お正月などは、1日万単位でいなり寿司が売れるそうだ。歴史ある人気店なのだ。
いなほ稲荷寿司です!
今回いただいた「いなほ稲荷寿司」は五目稲荷。「ひじき・にんじん・しいたけ・クルミ・タケノコ」が混ぜ込まれている。いなり寿司なので少し甘いのだけれど、その甘みが最高にご飯に合うものだった。お米もイキイキしている感じで、食べ応えがある。マジでおいしくてすぐに食べ終えてしまった。
お土産用にも買ったよね!
あまりにおいしかったので、お土産のいなほ稲荷寿司も買った。その日売る分をその日につくっているので、基本的に賞味期限は次の日の朝。
その場で食べてしまったお土産!
まあ、お土産に買ったけれど、我慢できなくて食べたから関係ない。門前テラス縁福の2階には、豊川稲荷を眺めながら休憩できるスペースがあり、食事もできるのだ。
最後に、「ヤマサちくわ 豊川稲荷表参道店」に行こうと思う。おでんしゃのおでんがおいしかったのだ。なかでも私の好みは「ちくわ」だった。だからぜひ行きたかった。豊川稲荷表参道店では焼きたてのちくわを食べることができるのだ。ちなみに、門前テラス縁福からは徒歩15秒くらいです。
ヤマサちくわ 豊川稲荷表参道店
焼きたてのちくわを食べることができます!
最初は真っ白だったちくわに焼き色がついていく。膨らんで破裂しないように、たまに櫛みたいなやつで刺しながら焼いていく。食欲をそそるいい香りがしてくる。さっきいなり寿司を食べたけれど、別腹。焼き上がるのが待ち遠しかった。
絶対においしいやん!
温かいので、ちくわのよい香りも引き立つ。どのくらいおいしかったのか、それを可視化してこの旅を終わりにしたい。すばらしい旅だった。おでんしゃに乗り、豊川稲荷に手を合わせ、いなり寿司を食べて、焼きたてちくわ。「完璧」と言いたい。
※編集部注:門前テラス縁福にある豊川門前店の飲食スペース「竹輪茶寮一福」では、自分でちくわを焼いて、飲食スペースで食べることができる「ちくわ焼き体験」を実施しています。詳しくはこちら
Tシャツを買うくらいおいしかった!
東京駅から約80分で豊橋に着いてしまう。そんな時間で日常から離れられるのは、すばらしい体験だった。ちなみにTシャツは、豊橋駅のヤマサちくわの店舗に売っていたので買った。おいしかったから迷わず買った。食べるだけではなく、身につけたいと思うおいしさだった。
おでんしゃ車内限定で買えるタオルです!
掲載情報は2026年3月12日配信時のものです。現在の内容と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。
今回の旅の行程
【1日目】JR東京駅→JR豊橋駅→豊橋鉄道「おでんしゃ」→JR豊橋駅(ホテル)
【2日目】JR豊橋駅→JR豊川駅→豊川稲荷→門前テラス縁福/門前そば山彦 本店→ヤマサちくわ 豊川稲荷表参道店→JR豊川駅→JR豊橋駅→JR東京駅