最高の雪見温泉4選を、風呂デューサーに聞いてみた【東日本】
あったかい温泉に浸かりながら冷たい雪を眺める……最高すぎると思いませんか。雪見温泉は冬だからこそ許される、究極の贅沢だと私は思うのです。一年中「温泉行きたい」という言葉は口からこぼれますが、寒さに震えるこの時期は心の底から「温泉行きたい!!」ですよね。
今回は、銭湯、温泉旅館と、湯の現場で修業した私、毎川直也が実際に浸かって、記憶に深~く刻まれた雪見温泉をご紹介します!
【目次】
西の河原露天風呂(群馬県)
圧巻!500平方メートルの湯舟から見る雪景色
草津温泉のシンボル、湯畑から温泉街を歩いて約12分、賑やかな温泉街とは正反対の、荒涼とした場所が現れます。ここが西(さい)の河原公園。強い酸性の温泉が流れているため草木が育たず、この景色が形成されました。そんな温泉の力を横目に、さらに奥へ進んだ先に西の河原露天風呂はあります。
ここを私がオススメする理由は、とにかく広い! その広さは男女合わせて約500平方メートル。普段運動しない方が湯船の端から端まで歩くと、脚に重さを感じる……そんな広さです。さらに屋根がないため視界が開けており、透き通った空と山々が佇む大自然に包み込まれるこの感覚は、山深い温泉地だからこその醍醐味です。
雪の季節には、広大な湯船一面からもうもうと湯けむりが立ち上り、反対側の湯船の端が見えないほどです。この湯けむりに包まれる感覚……視界が遮られ、湯船を独占しているような、とても贅沢な気持ちになります。これは旅館の露天風呂では味わえない、野趣あふれる西の河原露天風呂だからこその体験です!
このポテンシャルに甘んじることなく、2019年1月から、毎週金曜日の17:30~20:00(最終入館は19:30/特定日を除く)を混浴時間としたり、山々をライトアップしたりするなど、先進的な取り組みにも挑戦しており、今後も話題となること間違いなしの温泉です!
スポット情報:
西の河原露天風呂
URL:http://sainokawara.com/
万座プリンスホテル(群馬県)
最高の相性!白濁した硫黄泉と白い雪が生む景色
JR吾妻線の万座・鹿沢口駅から、万座ハイウェーのくねくねした山道をバスに揺られること約45分、道が開けた山深いところにある温泉地が、万座温泉です。
万座温泉といえば、一度入ると忘れられないほど強烈な硫黄のパワーが特徴。それもそのはず、万座温泉は日本でも有数の硫黄含有量を誇る温泉なのです。その驚異的な硫黄のパワーは湯に浸かる前、浴室に入った時点で嗅覚に叩き込まれます。なんと幸せな硫黄のにおい……! 高まる期待を胸に湯に浸かると、実際の温度以上の熱量を感じ、汗がバンバン出てきます。これも硫黄の力なのか……!?「ガツンとくる温泉」という表現が存在しますが、まさにそれ。温泉好きでなくとも、すさまじさを感じられるはずです。
万座プリンスホテルの「こまくさの湯」は視界を遮るものがほとんどないため、ひんやりと冷たい風が吹き抜け、しっかりと温まるこの温泉が一層心地よく感じられます。硫黄の白みがかった温泉に白い雪……。雪が湯に溶ける瞬間に目を凝らしてみてはいかがでしょうか。
また、万座温泉は1,800mという高地にあるため、晴れた日の夜には数えていたら朝になるほどの星が輝きます。そしてこまくさの湯は東側に開けているため、朝方には朝日が望めますよ! さらに、こまくさの湯には混浴の湯船があるため、カップルや家族でこの光景を共有できるのも素晴らしい!
スポット情報:
万座プリンスホテル
URL:https://www.princehotels.co.jp/manza/onsen/
※2019年12月20日現在、吾妻線 万座・鹿沢口駅を含む、長野原草津口〜大前駅間は台風19号の影響により運転を見合わせており、バスによる代行輸送を実施しています。運転再開は2020年2月末を見込んでいます。最新の情報は公式サイトをご確認ください。
※万座プリンスホテルへは北陸新幹線 軽井沢駅から路線バスでのアクセスも可能です。
大沢温泉 湯治屋(岩手県)
歴史ある建築の雪化粧姿をしみじみと愛でる
JR花巻駅から約30分のバスの旅を経てたどり着くのが大沢温泉です。今回ご紹介するのは大沢温泉のお宿、湯治屋。自炊するための炊事場、生鮮食品の取り寄せも可能な売店、レンタルした寝具、冷暖房用具を基本価格に上乗せしていく昔ながらの「積上げ算」と、湯治の文化そのものを現在でも体験できるお宿です。
入浴の前後には館内の散策を。湯治屋はなんと築約210年、数々の調度品はもちろん、階段の手すりから廊下の床まで非常に味があります。さらっとした温泉でしみじみ過ごし、館内で濃厚な歴史を味わう。両方体験してこその湯治屋です!
そんな湯治屋の浴室は3つ。雪見温泉に最適なのは、混浴露天風呂「大沢の湯」です。眼前には豊沢川が流れ、その奥には築約160年の「菊水舘」の雪化粧姿が。そんな光景は美しくもあり、どこか寂しげでもあり……素晴らしい景色に歓声をあげるというよりは、しみじみと眺めるのがしっくりくるように思います。
泉質は優しいアルカリ性単純泉、長湯にもぴったりです。「大沢の湯」は、湯治屋の隣にある「山水閣」に宿泊しても無料で楽しむことができます。
スポット情報:
大沢温泉 湯治屋
URL:https://www.oosawaonsen.com/touji/
ホテル國富翠泉閣(新潟県)
ワイルドな岩風呂から望む、雪化粧した絶景
大糸線のJR平岩駅で下車し、姫川沿いを歩くこと10分。緑色の屋根が特徴の大きな建物が、ホテル國富翠泉閣です。館内は和モダンを演出しながらもどこか懐かしい、落ち着いた雰囲気。しんしんと降る雪を横目に渡り廊下を進んでいくと、浴室のために造られた離れに到着します。
ホテル國富翠泉閣の露天風呂は、大きな岩を配したワイルドな造り。内湯で十分に体を温めてから露天風呂の入口に立つと、視界には一切足跡がない雪化粧した丘。向こう側から野生動物がひょっこりとお顔を覗かせるのでは……そんな想像をして体が温まったら、岩に腰かけ風雪を浴びて体を冷ます。そんな贅沢な時間も雪見温泉ならでは。
ここは露天風呂だけでなく、内湯もオススメなんです。大きな湯船の中央にある壺からは、源泉かけ流しの湯がとめどなく溢れます。湯船に入り視線を上げると、贅沢に設計された高い天井、その天井まで続く大きな窓、外には雪化粧した山々……さらに落ち着いた浴室の照明と湯けむりで、雪の白さがいっそう映えます。聞こえる音は湯壺から溢れるお湯の音だけ。とても神聖な雰囲気でした。この時間の流れ方……体験したことがないくらいゆっくりだ……!
スポット情報:
ホテル國富翠泉閣
URL:http://kunitomi.co.jp/
雪でもアクセス可能! 冬限定の温泉体験を
今回ご紹介した温泉は、宿の近くまで列車や路線バスなどの公共交通機関や無料の送迎バスが通っています。「雪だから遠くまで出かけるのはちょっと……」という方はもちろんいるでしょう。しかし! 冬の温泉にはそれを乗り越える価値があります。この時期限定の雪見温泉、ぜひ体験してみてください!
掲載情報は2019年12月20日配信時のものです。現在の内容と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。