東北

冬の銀山温泉は極楽が待つ秘境だった

2017.03.06 東北山形
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東京から山形新幹線で約3時間。山形・尾花沢には、この時期深い雪にすっぽり覆われる、「銀山温泉」という秘境の温泉街があるという……。

はい。もう最高です! 最高すぎます。民話の世界のよう。

大正ロマンな雰囲気が漂う銀山温泉は、あのNHKドラマ『おしん』の舞台としても有名な温泉街。四季折々の景色を楽しむことができる銀山温泉ですが、中でも冬が絶景とのこと。この目で実際に見たい……行くしかない……!

午前9時、東京駅出発

朝9時東京駅

待ってろよ、雪。東京駅から山形新幹線「つばさ」で、まずは大石田へ向かいます

生まれてからずっと横浜に住んでいるので、久しぶりに見られるであろう雪にもワクワクです。

大人になってからの雪は、「すべてを包み込んで普段の景色を一変させる美しいもの」ではなく、「交通機関のダイヤが乱れる恐ろしいもの」というイメージになってしまいました。

おかしいなあ、子どものころはひたすら雪を純粋に楽しんでいたのに。これが大人になるということか。今回の旅で雪へのイメージはどんなふうに変化するのでしょうか?

仙台たんとん弁当

新幹線のお楽しみ、駅弁

まだ見ぬ雪と秘境温泉に対する高揚する気持ちをなんとか抑えつつ、東京駅で駅弁「仙台たんとん弁当」を買いました。東京も銀山温泉も関係ねえ。

仙台たんとん弁当

ほか~と湯気が。想像以上の温かさ

知識のみで知っていた、ひもを引っ張って温めるタイプの駅弁を初体験。これって想像以上に温かくなるんですね! 仙台の牛たんと宮城の豚肉が同時に楽しめるおいしい駅弁。やっぱり駅弁は新幹線の醍醐味だ~!

車窓は一面銀世界

新幹線は、着実に銀山温泉に近づいている

そうこうしているうちに、窓の外は一気に雪で覆われていきます。普段見ることがない雪景色に、「目の前のコレは夢かな?」みたいな感覚。

銀山温泉行きバス

大石田駅からはバスに揺られます!

大石田駅に到着しました。ここから40分ほどバスに揺られて、銀山温泉を目指します。かつて、銀山温泉までの道のりは非常に難路だったと聞きます。今は東京から新幹線で約3時間、そのあと直通のバス1本だもん。いい時代に生まれてよかったなー。

午後1時、銀山温泉着

雪の中の銀山温泉

銀山温泉が見えてきました

バスが到着しました。銀山温泉の雪、本当にすごくない? なんというか、雪の中に街があるみたいです。同じ日本なのに、東京とは別世界……!

余裕で自分よりも高い雪

こんなに積もっている!

どれぐらい積もっているかというと、一番多い場所だと高さ34mはあるのではないでしょうか。なお、人が通る場所はしっかり雪かきがされているので、通行に関して問題ありません。

雪の銀山温泉

雪の銀山温泉、情緒たっぷり

大正ロマンの雰囲気漂う銀山温泉の街並みは、歩いているだけで楽しいのですが、実は食べ歩きスポットが大充実しているんです! 歩き回れる範囲内にいろんな飲食店、カフェにお土産物屋さんがひしめいているので気軽に回りやすいのも魅力です。しかし、さ、さ、寒い……!

雪の中の銀山温泉

すごい雪です!!

雪、スゴッ! この日は午後からめちゃくちゃふぶいてきたわけですが、でもなんだか東京と寒さの質が違う! 寒いんだけど、湿度があるせいなのか、あたたかみを感じるような寒さというか……表現が難しいんですけどね。

銀山温泉は食べ歩きも大充実

はいからさん通り

ハイカラな外観が目を引く「はいからさん通り」

ちょっとここらでおなかを軽く満たしたいと思います。銀山温泉には小腹を満たすのにぴったりなフードがたくさん! まずは「はいからさん通り」名物の、カリーパンをいただきます。

※編集部注:2024年現在「はいからさん通り」は閉店しています。カリーパンをお求めの方は「銀山温泉・明友庵」または「大正ろまん館」で購入できます(商品の在庫数が日によって変化します)

コーヒーとカリーパンのセット

温かいコーヒーとかりっもちっふわっなカリーパンのセット

コーヒーとカリーパンのセットをいただきます。かりっもちっふわっというパン生地の中に、コクとうまみのあるカレーが入っていて、う、うまい!

次は、カフェのあたたかい明かりに誘われて「酒茶房 クリエ」へ。

クリエ

「酒茶房 クリエ」。銀山温泉にはおしゃれなカフェもある!

名物の焼きココアをいただきます。

「酒茶房 クリエ」

焼きココア

カップごと焼き上げたココアにはたっぷりのマシュマロが。見た目の印象と違ってあまり甘くなく、むしろあっさりしているぐらいです! はあ~体が芯から温まります……何杯でも飲めちゃいそう。

焼きココア

ココアで体ぽっかぽか

野川とうふや

立ち食い豆腐を楽しむことができる「野川とうふや」

銀山温泉といえば、立ち食い豆腐も忘れちゃいけない。というわけで、野川とうふやへ。相変わらず雪がガンガン降っている。立ち食い豆腐、立ち食い生揚げもすごく気になるけど……寒さに負けて湯豆腐(冬季のみ販売)をチョイスしました。

湯豆腐

ほっこり湯豆腐をいただきます

なにこれ、すっごくおいしい! 大豆の味をしっかり感じる、ぎゅっとしているけどなめらかなお豆腐でした。晴れていたら、足湯に浸かりながら食べたかったけど……雪がすごいので、お店の目の前の休憩所で食べました。おいしー!

本日のお宿、瀧見舘

景色楽しんで、あとは食べてばっかりいた気がするけど、本日のお宿、「瀧見舘」へ向かいます。瀧見舘は文字通り、宿から雄大な自然や滝が見えるっていうことなんですが……。

一面の銀世界

道が雪で真っ白です!

道のりこれです。

さすが秘境! こんな雪道を乗り越えたあとのお風呂やご飯は、さぞや最高なのだろうな……。

瀧見舘

本日のお宿です

瀧見舘の入り口にたどり着きました! 私は歩いて乗り越えましたが、瀧見舘では送迎も行っているので適宜利用していただければと思います。部屋に入って一息つき、楽しみにしていた夕食をいただきます。

山形牛の陶板焼き

山形牛の陶板焼きをいただきます

いきなりのお肉ドアップですみません……! 山形牛陶板焼きのあざやかな色彩にやられました。程よく締まった肉質の、山形牛のおいしさを存分に味わうことができました。

イワナの塩焼き

イワナの塩焼きをいただきます

お肉だけじゃなくイワナの塩焼きも持ってきてくれるよ……程よい塩加減と焼き加減が最高だ……。温泉街を流れる川でも大きな魚を見たのですが、やっぱり水がきれいだから、川魚がたくさん取れるんでしょうね! 最高でした。

絶景また絶景の雪見風呂!

地元の幸を堪能し、おなかがふくれたらこの旅最大の目的! 「雪見風呂」にチャレンジです。瀧見舘には内風呂と露天風呂があり、露天風呂からは雪が見られるということですが、果たして……。

展望岩露天風呂

露天風呂からの景色

展望岩露天風呂からの景色、スゴッ! 鹿とか出てきそうです。雄大な自然を眺めて入る展望岩露天風呂、極楽じゃ~~!

露天風呂からの眺め

露天風呂からの景色

さらっとした湯ざわりで透明度が高い温泉は、含食塩硫化水素泉。神経痛、筋肉痛、リウマチなどに効能があるそうです。ここまでの旅の疲れなんて吹き飛びそうです!

夜の銀山温泉街へ

さて、最高の温泉を楽しんだら夜の銀山温泉へ繰り出します。夜の街は人気の撮影スポットでもあり必見とのこと。楽しみです。

夜の銀山温泉

雪の夜の銀山温泉

大正ロマンの雰囲気漂う街並みをガス灯が幻想的に照らしています。夜の闇の中、温かいガス灯の明かりに浮かび上がる銀山温泉……。来てよかった……! 心からそう思えます。

夜の銀山温泉

幻想的な銀山温泉

夜の銀山温泉、どこを見ても幻想的です。写真でも美しいのですが、実物は何十倍もきれいですよ! 

銀山温泉2日目

一夜明け、朝になりました。洋食と和食を選べる朝ごはんを終え、朝風呂へ。夜の露天風呂も最高でしたが、朝に入る露天風呂も最高なんです。

朝の展望岩露天風呂

朝はまた違う雰囲気です

天国かな……? 鏡のように景色を映す湯面です。まるで温泉ではなく景色そのものの中に入り込んでしまったかのようです。

雪に手が届く展望岩露天風呂

最高に癒やされました!

最高のロケーションの露天風呂です……! 季節の移ろいを感じることができるお風呂。ほかの季節もさぞや美しいんでしょうね。

2日目も食べ歩きに精が出る

1日目もずっと食べていた気がしますが、まだまだ銀山温泉には名物がたくさん! まずはお土産も買えるお菓子屋さん、「明友庵」へ。

明友庵

明友庵にあるさまざまなお土産

おまんじゅうや揚げまんじゅう、それにくぢら餅やずんだ餅など、店内にはさまざまな和菓子がいっぱい。名物は餅粉にクルミを入れ、砂糖やしょうゆで味付けした山形県の伝統菓子とくぢら餅ですが、ここで私が気になったお菓子はこちら。

銀山まんじゅう(ごま)

しっとり、ふかふかのおいしい銀山まんじゅう(ごま)

銀山まんじゅう。真っ黒なごままんじゅうは竹炭を練り込んだ生地でごまあんを包んでいます。数日しか日持ちがしないので、ふかしたてのおまんじゅうをいただくのがおすすめ。

お昼ごはんは、前日泊まった宿、瀧見舘にある「蕎麦処 滝見館」へ。

瀧見館の鴨そば

滝見館の鴨そば

あたたかい鴨そばをチョイス。小鉢でいろいろおかずがいただけるのもうれしい。左下の小鉢の赤いものは、なんとさくらんぼの漬物です。

おそばアップ

ふうふうして食べるのに冬は最高です

しっかりとした味を感じられる滝見館のおそばはおだしも美味しい。おそばは「限定50食」だそうで、訪れる人が多いときは並ばないと食べられないそうです。食べられてよかった! 寒暖の差が大きく霧の多い尾花沢は、そばの栽培に適しています。なので、滝見館のように、ひきたて、打ちたて、ゆでたてのおそばを提供しているお店が多いのです。

伊豆の華

これまたレトロな雰囲気の店構えの「伊豆の華」

おなかがいっぱいになったらおそばのほかに甘味が楽しめるカフェ「伊豆の華」へ。「銀山温泉なのに伊豆?」と思うかもしれませんが、昔このお店のご先祖様が伊豆から商人としてこの地にやってきて、そのまま住み着いて出身地を名字したんだとか。そして、先代がお店を始める時に名字から命名をしたそうです。創業は1952年、伊豆の華に歴史あり、ですね。

蕎麦ソフト

蕎麦ソフトをいただきます!

甘味と日本酒を頼んだところ、サービスでお漬物をいただきました。このパリパリとしたお漬物がまたおいしく、甘味で口の中が甘くなったら漬物を食べて、体が冷えたらセルフサービスのそば茶を飲んで……永遠に食べていられる。香ばしいそばの香りとソフトクリームの相性は最高! 大人の味わいで、甘いものがあまり得意ではないという人にもおすすめです。

蕎麦白玉ぜんざい

蕎麦白玉ぜんざいもいただきました!

蕎麦白玉ぜんざいは、白玉を口に入れると、とけるような食感で、そばの風味がふわっと広がります。ごちそうさまでした!

無料で入れる和楽足湯へ

温泉街にある無料の足湯、和楽足湯に向かいます。雪がすごかったので、前日は断念した足湯。この日は晴れてくれました。

和楽足湯

無料で入れる和楽足湯

源泉をそのまま使用した和楽足湯。あたりには温泉の香りが立ち込め、お湯の中には温泉成分である湯の花が揺れています。

和楽足湯

熱っ!!

足をつっこんでみましたが熱っっ! さすが源泉。結構熱かったのでおそるおそる浸かりましたが、すっかり体がぽかぽかです。銀山温泉には足湯以外にも共同浴場や貸切風呂などがたくさんあります!

銀山ダム

銀山温泉の近くにある銀山ダム

銀山温泉からの帰り際、バス停から少し先にある銀山ダムまで足を延ばしてみました。雪の多い地域のダムってこんな姿になるのかという衝撃の姿でした。ダムの堤防に残っていた足あとは、いったい何の動物だったんだろう……。

銀山温泉には、地図には書かれているものの、冬は雪で埋もれて近寄れない銀鉱洞(国指定史跡)や山の神神社といった観光スポットがあるので、今度はそちらも訪ねてみよう……と再訪する決意を新たにして現実世界に戻っていきました。また絶対行きます!

 

この記事の内容は2019年9月13日時点の情報です。

 

今回の旅の行程

【1日目】JR東京駅→JR大石田駅→銀山温泉→はいからさん通り→酒茶房 クリエ→野川とうふや→瀧見舘→銀山温泉

【2日目】瀧見館→銀山温泉→明友庵→蕎麦処 滝見館→和楽足湯→銀山ダム→JR大石田駅→JR東京駅

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この記事を書いた人

井口エリ

オタク気味のフィギュア好きサブカルフリーライター。執筆の動力源は好奇心。ニュースサイトやポータルサイトなどWEBを中心に、「井口エリ」もしくは「ちぷたそ」名義にて、幅広いジャンルの執筆を行う。最近は御朱印や神社仏閣に夢中。
Twitter:https://twitter.com/chip_potekko
雑な日記:http://chiptaso.hatenablog.com/

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