乳頭温泉郷を温泉家がレポート!泉質の違う七湯を湯めぐりしてみた
皆さん、こんにちは!温泉家の北出恭子です。今回私は秋田県の乳頭温泉郷に行ってきました! 乳頭温泉郷には7カ所の温泉があり、それぞれ歴史も風情も泉質もまったく違う、類いまれなる温泉地です。温泉家ならではの視点で、そんな乳頭温泉郷七湯をすべてめぐり、良質なお湯を体感してきました。
【行程】
- 乳頭温泉郷でもっとも古い「鶴の湯」からスタート
- 7つの湯を自由に入れる「湯めぐり帖」をゲット
- 木造校舎を移築した「大釜温泉」
- 原生林に囲まれた露天風呂がある「蟹場温泉」
- 秋田名物がいただける「妙乃湯」に宿泊
- 湯治場の風情を残した「孫六温泉」
- 温泉卵が絶品。乳白色の秘湯「黒湯温泉」
- 締めは緑に囲まれた「休暇村乳頭温泉郷」
まずはJR新幹線「こまち」に乗って、JR田沢湖駅を目指します。JR東京駅から田沢湖駅まではおよそ2時間50分。田沢湖駅から乳頭温泉郷までは羽後交通バスで40分ほどかかりますが、田沢湖や駒ヶ岳などの美しい自然を眺められるコースなので、飽きることはありません。
乳頭温泉郷でもっとも古い「鶴の湯」からスタート
まずは、400年の歴史を誇る「鶴の湯温泉」へ向かいます。「アルパこまくさ」のバス停で下車すると、鶴の湯温泉の送迎を利用できて便利です(要事前予約)。
鶴の湯温泉は乳頭温泉郷の中で一番古く、湯治場風情を残す人気の宿。4つの源泉と多くの浴槽があり、それぞれ泉質が違うので湯めぐりも楽しめます。
名物は混浴露天風呂。足元からぷくぷくと源泉が湧き出す、全国でも珍しい温泉です。女性専用の入口があり、目隠しとスロープで外から見えにくいような配慮がされています。硫黄成分だけでなく重曹成分や塩分を含み、皮脂や角質を落とす美肌の湯。さらに保湿保温効果も高く、さながら「オールインワン温泉」です。
ツルツルとする浴感ながらも、しっとり感のある気持ち良いお湯。硫化水素(硫黄成分)の香りが漂い、お湯をなめると、たまご味、塩味、強苦味を感じます。
混浴はちょっと……という方には女性専用露天風呂もあるので、こちらを利用してくださいね。
ランチは、宿泊の予約がなかなかとれない、本陣の客室でいただきます。名物「山の芋鍋」は、つなぎなしの山の芋100%で、芋本来のやさしい甘みを感じられる味。豚肉やたくさんの野菜、きのこから出ただしと自家製味噌だけで作られたスープは、甘めでコクのある味わいです。
7つの湯を自由に入れる「湯めぐり帖」をゲット
山の幸を堪能したら、次の目的地の大釜温泉へ。ここからは「湯めぐり帖」(2,500円)をゲットして「湯めぐりバス」を利用するのが便利です。「湯めぐり帖」は宿泊者限定のサービスなので、宿泊先以外で購入する場合はフロントの方に宿名と名前を伝えましょう。
木造校舎を移築した「大釜温泉」
運転手さんによる乳頭温泉のガイドを聞きつつ、バスに揺られること約20分。大釜温泉に到着します。
ここには、内湯と露天風呂があります。お湯はギシギシとした浴感で、少し刺激を感じます。なめると、レモンのように強烈に酸っぱいです。ピーリング作用があるので、毛穴が引き締り、ピンッと肌が張る感じ。天然保湿成分のメタケイ酸も、たっぷりと含まれています。
原生林に囲まれた露天風呂がある「蟹場温泉」
さて、続いては、大釜温泉から徒歩で3分ほどの場所にある蟹場温泉へ。
蟹場温泉には3本の源泉がありますが、混浴露天風呂はブナ林に囲まれた川沿いにあり、自然に溶け込んだ雰囲気。静寂の中、川のせせらぎに癒やされます。ほんのりと硫化水素の香りのする弱アルカリ性の温泉は、ツルツル感としっとり感を持ち合わせたお湯。赤ちゃんやご年配の方など、肌が敏感な方にオススメの温泉です。
秋田名物がいただける「妙乃湯」に宿泊
温泉を堪能したところで、5分ほど歩き今晩のお宿「妙乃湯」へ。川沿いに面した、高級感の漂うお宿です。
秋田名物のきりたんぽ鍋やいぶりがっこに稲庭うどん、この土地で採れた山の幸をふんだんに使用した秋田の味は、どれも本当においしくて大満足でした。
ここの名物は、滝を目の前に湯浴みできる混浴露天風呂。
金の湯と銀の湯の、まったく違う2種類の泉質を楽しめるのも魅力。金の湯は茶褐色の濁り湯で、鉄分などのミネラルをたっぷり含む酸性の湯。キシキシとした浴感ですが、肌に潤いをもたらしハリを与えてくれる硫酸塩が主なので、しっとりとコーティングされる濃厚な感覚です。
銀の湯は、ぬるめで無色透明の、少しツルツル感のあるやさしい湯。肌が弱くて心配な方は、金の湯で温まった後に銀の湯で成分を落とす「上がり湯」をするのがベストでしょう。保温効果がある湯なので、ずっと体がポカポカとしてぐっすりと眠れました。
湯治場の風情を残した「孫六温泉」
湯めぐり2日目は、妙乃湯から湯めぐりバスに乗り「孫六温泉」へ。およそ10分で到着します。
敷地内から湧き出す温泉は、唐子の湯、石の湯、混浴露天風呂、女性専用露天風呂の4カ所。ツルツル感としっとり感がある湯で、ほんのりと硫化水素の香りがして、なめるとたまご味がします。
※編集部注:2024年11月現在「孫六温泉」は改装工事のため休業中です。2025年春にリブランドオープン予定。詳しくは公式サイトをご確認ください
温泉卵が絶品。乳白色の秘湯「黒湯温泉」
続いては、およそ350年の歴史がある「黒湯温泉」へ向かいます。(徒歩5分)
この湯畑で3時間以上かけてつくられる、「黒たまご」(70円)が絶品です。
泉源は2種類ありますが、混浴露天風呂は硫黄成分を全身で感じられる湯で、浴感はベピーパウダーをはたいたようにサラサラとふんわりした湯。遠くに山々を眺めながら温泉を堪能できます。例年、宿泊も日帰り入浴も11月上旬までの営業で、それ以降は冬季休業となりますのでご注意ください。
締めは緑に囲まれた「休暇村乳頭温泉郷」
「休暇村乳頭温泉郷」へは、一面にブナ林が広がる道を20分ほど歩くと到着します。
ここでは、個性の違う2種類の泉質を体験できます。左側の「田沢湖高原の湯」は白濁としたお湯で、露天風呂と同じ泉質になっています。皮脂がとれてサッパリとしながらも、弱酸性で肌にやさしい湯です。
右側の「乳頭の湯」は、肌表面の角質を柔らかくしてツルツル肌に、そして保湿力もキープしてくれる泉質。炭酸成分も多く含まれているので血行を良くし、美容と健康に◎。
ランチは、比内地鶏を使った親子丼※をチョイス。弾力と歯ごたえがあり、旨味の強く濃厚な味の比内地鶏は、感激の美味しさでした!
さて今回、乳頭温泉郷七湯をコンプリートして感じたのは、七湯七色だということ。pHの幅も酸性から弱アルカリ性まで幅広く、泉質の種類もお湯の数と同じだけ存在する、全国でもまれで貴重な温泉地です。お湯の色や香りや味もそれぞれにまったく違うので、五感でお湯を比べて、自分好みの温泉を見つけてくださいね。とにかく、湯めぐりが楽しかったぁ〜。
※現在、親子丼の提供は終了しています。
掲載情報は2020年3月18日更新時のものです。現在の内容と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。
今回の旅の行程
【1日目】JR東京駅→JR田沢湖駅→「鶴の湯」→「大釜温泉」→「蟹場温泉」→「妙乃湯」
【2日目】「孫六温泉」→「黒湯温泉」→「休暇村乳頭温泉郷」→JR田沢湖駅→JR東京駅