今回の列車旅ポイント
こんにちは。観音クリエイションと申します。音楽をつくったり、文章を書いたり、旅をしたりして生きています。
今回は、長野県の美しい風景とおいしい湧き水を求めて、安曇野へと足を延ばしました。目指すは「大王わさび農場」。清らかで豊富な湧き水で栽培されたわさびの香り、原風景が調和するこの場所で、心も体もリフレッシュする旅に出かけましょう。
東京からだと、JR新宿駅から特急「あずさ」に乗り込んで約2時間半でJR松本駅へ。松本駅で大糸線に乗り換え、約30分でJR穂高駅に到着。「JR東日本びゅうダイナミックレールパック」であれば、特急と宿がセットで予約できるので便利です。
列車を降り立った瞬間から、体がほぐれるような清々しい空気に包まれます。ああ、ここは、いいところだ。
穂高駅には旅行者を見守る道祖神が祀られていました。今回も安全で楽しい旅になりますように。
穂高駅周辺の景色はこんな感じ。北アルプスの山々に囲まれてとてものどか。
到着後、駅前の観光案内所でパンフレットを眺めつつ情報収集をしていたら、旅人の方が「あのー、ふらっと来たんですけど、この辺って何するのがいいですかね?」と質問していました。スタッフの方は「大王わさび農場がおすすめです」と即答。なるほど、安曇野に来たら外せないスポットみたいですね。よし、向かいましょう。
穂高駅からタクシーで約10分、一面の田んぼが広がる風景を見ながら「大王わさび農場」に向かいます。
大王わさび農場は約100年前に開拓が始まり20年かけて完成され、現在では、年間で100トンものわさびが生産される日本最大級のわさび農場。資料館やレストランが併設されていて、入場料は無料。ミシュラン・グリーンガイドで1つ星を取得しているスポットです。
到着したのが週末のお昼前だったので、混雑する前に、まずは施設内のレストラン「湧水飯釜大王庵」で腹ごしらえをすることに。こちらでは、名物「本わさび飯」が食べられるらしいです。
席に案内されると、卓上にはすでにわさびが用意されていました。自分ですりおろして、ツンとした爽やかなわさびの香りを感じながら、料理の提供を待つ時間は至福のひととき。あとお水がおいしい。近くの席についた他のお客さんも「ちょっと待って! お水めっちゃおいしい!」って言っていたので勘違いじゃないと思います。
注文した「信州そばと本わさび飯」のセットが到着。
アツアツのご飯にわさびの茎の甘酢漬け、鰹節、きざみねぎ、海苔をトッピング。最後に醤油をかけて、すりおろした生わさびをたっぷりのせたら本わさび飯の完成。
ぐるっとかき混ぜて食べてみるとシンプルながらも深い味わいで、「わさびって主役になれるんだ……!」と感動しました。すりたてのわさびは、辛みがそこまで強くなく、清涼感のある香りとコクが口の中に広がります。うまい。箸が止まらない。わさび、すごい。ちなみにご飯は農場内に湧き出る北アルプスからの伏流水で炊かれています。最高。
食事の後は農場内を散策。わさびが栽培されている様子や湧き水、緑いっぱいの風景、そして山々の美しい景色と三連水車が見どころ。場内は広く、写真を撮りながら1周するのに1時間半ほど。いい運動になりました。
日差しが強くなる時期のわさび田は、寒冷紗(かんれいしゃ)と呼ばれる黒い布で覆われています。流水の温度をおさえ、わさびを熱から守る効果があるそう。ちなみに、わさびの花の開花時期は3月~4月下旬頃で、小さな白い花をつけたわさびが見られます。
散策の途中に休憩がてら「大王オリジナル湧き水コールドブリューアイスコーヒー」を注文。湧き水を使って14時間かけて抽出したこのコーヒー、スッキリした後味が体をリフレッシュしてくれます。大王わさび農場内のレストランのレシートを見せると10%割引のサービスが受けられるので、忘れないように提示しましょう。
「大王プレミアム本わさびソフトクリーム」も試してみました。一見不思議な組み合わせも、ここならではの楽しみ。わさびというよりはミントのような存在感でした。
せっかくなので生わさびのお土産もゲット。旅を終えて自宅に戻ったら、今日食べた本わさび飯を再現してみようと思います。ちなみに本わさびは、まっすぐで太さが均一なものを選ぶといいそう。
散策の後は、大王わさび農場の横を流れる蓼川(たでがわ)で「安曇野气船 クリアボート」を体験するのも楽しいでしょう。取材日はあいにくの天候不良で欠航のため体験できませんでしたが、川の上から湧き水に触れることができる人気のアクティビティです。
複数人で乗り合わせて15分ほどのクルージング。クリアボートから足をのばして、水に浸ける体験が最高なんだそう。
「名水百選」「水の郷」にも選ばれた湧き水が流れる蓼川。真夏でも湧き水の水温は15度程度とのこと。次回は天気のいい日に体験しにくるぞ。
タクシーで約10分の穂高駅に戻り、ホテルへチェックイン。よく歩いた1日でした。心地よい疲れとともに、長野の夜を迎えます。
安曇野は数多くの美術館や工房が集まる、アーティスティックなエリアとしても有名です。2日目は安曇野生まれの彫刻家、荻原守衛(碌山)の作品を中心に展示する「碌山美術館」へ。穂高駅からは歩いて約7分。
展示されている作品の中でも、この「《文覚》1908年」という彫刻には特に心奪われました。前腕の筋肉の表現が印象的で、あふれんばかりの生命力を感じます。今にも動き出しそう。
作品だけでなく、ツタの絡まる碌山館や、館庭にある安曇野の湧き水スポット「杜江の水(もりえのみず)」も目を楽しませてくれます。居心地が良くて、気づいたら1時間以上も滞在していました。
「杜江の水」と呼ばれる井戸水は、荻原守衛が書簡のなかで使っている筆名「杜江」からその名が付けられたそう。
碌山美術館での鑑賞を終えたら歩いて穂高駅へ。美しい風景とおいしい料理、そしてアートまで堪能できる旅でした。心身ともにリフレッシュ。旅を終えても活力が続いています。
旅を終えて帰宅後、大王わさび農場で購入したお土産で本わさび飯をつくって、安曇野のおいしさを自宅でも味わいました。
大王わさび農場で購入した立派な本わさび。まっすぐで太さが均一なやつ。
再現した本わさび飯。自宅でも変わらずおいしかったです。おすすめ。
掲載情報は2023年9月14日配信時のものです。現在の内容と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。
今回の旅の行程
【1日目】JR新宿駅→JR松本駅→JR穂高駅→大王わさび農場/安曇野气船 クリアボート→JR穂高駅(ホテル)
【2日目】JR穂高駅→碌山美術館→JR穂高駅→JR新宿駅