すぐに試せる!旅行写真の撮影テクニックをプロの旅ライターが伝授
旅行の思い出作りに欠かせないものといえば、写真。どうせ撮るなら、きれいで楽しい写真を残したいものです。東日本を旅して、素敵な写真を撮影してきてくれるびゅうたびライターのみなさんに、「すぐに試せる」「簡単」なテクニックを教えてもらいました。
【目次】
旅行先で食べ歩き写真をおいしそうに撮りたい
楽しい旅先での食べ歩き。せっかくの食べ物をおいしそうに撮影したいけど、なかなかうまくいかない……という方は多いのでは。人が多い観光地では、食べ物を置く場所も、キレイな背景もなかなか見つかりません。
例えば、おいしかったソフトクリームも、普通に撮影するとこんな感じに……。
そこでお手本にしたいのが、観音クリエイションさんの写真。
食べ物の全体像はしっかり捉えながらも、にぎやかな雰囲気だけ残し、背景をきれいにぼかしたこの写真。どうやって撮影しているのか、観音クリエイションさんに聞いてみました。
食べ歩き写真の撮影方法
背景をぼかしながら、食べ物だけはっきり写っている写真は、どうやって撮影しているんですか?
自分で食べ物などを持って撮影する場合は、
① 食べ物を持った左手を限界まで伸ばし、
② 右手にカメラを持って右脇を締め、
③ 息を止めてシャッターを切っています。
レンズの明るさを示す「F値」を1.4まで解放することで、背景だけきれいにぼかすことができます。
同行者がいる時には、手で食べ物を持ってもらうと雰囲気が出ます。
旅に行く時の機材は?
旅行先のおしゃれな食べ歩き写真は、こうやって生み出されていたんですね! 使っている機材は、特殊なカメラやレンズですか?
いいえ、普通の単焦点レンズ(焦点距離が固定されたレンズ)です。取材に持っていく機材はこんな感じです。
カメラボディ:FUJIFILM ミラーレス一眼 X-Pro2(写真右)
レンズ:FUJIFILM 単焦点標準レンズ XF35mmF1.4 R(写真右)
サブカメラ:RICOH GR III(写真左)
とてもコンパクトですね! ほかに「買ってよかった!」と思えるオススメの機材はありますか?
今のカメラにつけている、ARTISAN & ARTISTの「イージースライダー」が、とても良かったです!
カメラストラップなのですが、指一本で長さを調節できるので、移動する時には揺れないように短く、撮影する時には撮りやすい長さに即座に変更できます。旅行先での撮影にはオススメですよ!
ひとり旅の写真、風景ばかりで寂しいかも
気ままに楽しめるのが、ひとり旅の魅力。ただ、ひとりだと自分の入った写真を残しづらいという欠点も……。
そこでお話を聞いたのが、2012年から「彼女がいる風の写真」をひとりで撮り始め、海外でも有名になった地主恵亮さん。びゅうたびでも、楽しげな写真と共に、ひとり旅の様子を伝えてくれています。
ひとり旅でも、自分がしっかりと入った写真を撮影している地主さん。一体どうやって撮影しているのか、聞いてみました。
ひとり旅の撮影、どうやってるの?
びゅうたびの記事に載っている写真って、ほとんど地主さん自身が写っていますが、どうやって撮っているんですか?
三脚とタイマーを使用しています。シャッターが下りるまでに移動して、まるで誰かに撮影してもらっているかのような笑顔をキープです。
地道な努力によって撮影されていたんですね! この写真なんかは、カメラと地主さんの距離が、すごく離れているようなのですが……。
タイマーにより10秒後に1回、その後2秒ごとに2回、合計3回シャッターが下りる設定にしました。タイマーを設定して約15秒の間に全力で走ってフレームに収まり、自然な感じを装って撮っています。
走るのも大変ですが、立ち位置を定めるのも難しそうですね。
自分の立ち位置が多少前後しても大丈夫なように、F値を8とかにしておくと、ピントがシビアでなくなるので、より自由になれます。世界で最も自由で楽しい15秒間です。撮影後に確認すると、私はこんなにも自由だったのか! と感じます。
確かに、写真から楽しさと開放感が伝わってきます。なかなか自分のこういう姿を写真に残せる機会ってないですよね。
ひとり旅でも自分を写すことで、後で見返した時に、「こんな服を着ていたんだな」など、自分の変化に気づけます。三脚を使って撮影すると風景が広く写り、どこに行って、どんな状況だったかなどがわかるので、さらにいいと思います。
ひとり旅だからこそ、誰にも気兼ねすることなく撮影できるのがいいですね。地主さんは、どんな機材を持っていくんですか?
旅行に行く時の機材は?
これが取材用の機材一式です。
① カメラボディ:LUMIX GH5
② レンズ:LUMIX G X VARIO 12-35mm/F2.8
③ レンズ:LUMIX G X VARIO 35-100mm/F2.8
④ レンズ:OLYMPUS 超広角ズームレンズ M.ZUIKO DIGITAL ED 9-18mm F4.0-5.6
⑤ バッテリー:カメラにセットしたものも含め、純正品を4本
⑥ スマホ固定:Zacro スマートフォンホルダー
⑦ ライト:Wsiiroon LED 懐中電灯
⑧ 室内三脚:Manfrotto ミニ三脚 PIXI ブラック MTPIXI-B
⑨ メイン三脚:Velbon ファミリー三脚 EX-440
これらを着替えと一緒に35リットルのリュックに入れています。あとはノートパソコンを持っていって、旅先でも毎日バックアップを取っています。消えたら泣いちゃうので!
こんなに! これだけの数のものが、リュックに入るんですか?
専用のケースなどを使うと荷物が多くなるので、カメラはニットキャップ、レンズはもふもふの靴下で保護してリュックに入れています。メーカー的には推奨する持ち運び方ではないと思うので、万が一の事態が起きた時は自己責任で! ただ、私の場合は今のところ、壊れたりしたことはありません!
旅慣れた人ならではの収納術ですね!
おしゃれな色味の写真を撮りたい
SNSで目立つのは、鮮やかな色味のおしゃれな写真。中でも、旅行先で撮る海や空など、青がきれいに出ている写真は人気があります。
ぱっと目を引く、色味がきれいな写真は、どうやって撮影すればよいのでしょうか? #ぽんずブルーと呼ばれる、透明感のある青色の写真で人気のぽんずさんに聞いてみました。
旅行先で見つけたきれいな色を写真に残すには?
旅行先できれいな風景を撮影するために、どんなことに気をつけていますか?
デジタルの強みは、あとから色と明るさを大幅に補正できることです。なので、いろんな景色を撮りたい旅先では、その場で細かく設定を変えるよりも、レタッチする前提で「いいな」と思った風景はどんどん撮るようにしています。
あとは、水平と垂直を保つこと、なるべくまっすぐ正面から撮ること。画面のバランスだけは、あとから補正するのが難しいので。
まずは構図、色は後から補正、という撮り方ですね。補正はどんなふうに行っていますか?
帰宅したらAdobeの写真編集ソフト「Lightroom」で補正を行います。透き通った印象の写真が好きなので、レタッチ(画像の修整)の際には明るさを補正することがほとんど。やりすぎかな? と思うくらい、思い切って明るくしてみて、そのあと徐々に程よい明るさに戻していきます。影になっている部分を補正して、暗い部分を少なくすることもあります。
特に、青の色味にこだわってレタッチしています。ポイントは、Lightroomの補正機能の中でも「色温度」を使った補正ではなく、「カラーミキサー」を使うこと。人の肌など青くしたくない部分はそのままで、選んだ色だけ補正することができます。
元の写真もきれいですが、補正することで、さらに印象的になりますね! 機材は、どんなものを持っていきますか?
カメラボディ:FUJIFILM X-T3(写真左)
レンズ:FUJIFILM XF35mmF1.4 R(写真左)
レンズ:FUJIFILM XF10-24mmF4 R OIS(写真中央)
レンズ:FUJIFILM XF90mmF2 R LM WR(写真右)
こんな感じです。FUJIFILMがとても好きで、このカメラもお気に入りです。
旅のお供にするには、カメラもお気に入りだとうれしいですよね。そのほかに、何か工夫をしていることはありますか?
色味はすべてLightroomで補正しているため、色彩を鮮やかにしたり、光量を調整したりするレンズフィルターは使用していません。撮影時に光をきれいに入れたいときには、プリズムを使っています。
レンズの目の前にプリズムをかざすようにして写真を撮ると、プリズムが光を反射して、虹のようなキラキラした効果を得ることができます。
プリズムはネット通販でも手軽に購入できますが、プリズム以外にも、ガラスのコップや透明なピアスなど、身のまわりのアイテムで代用できます。
旅先で、その場にある素材でいろいろ試してみるのも楽しそうですね!
流行中のフィルムカメラ、難しいの?
最近、注目を集めているフィルムカメラ。びゅうたびの記事でも、フィルムカメラで撮影された素敵な写真が増えています。
宮城県で白石川堤一目千本桜を撮影してくれたもなみんさんも、フィルムカメラ愛好者のひとり。フィルムカメラの魅力や、旅先での使い方などを聞いてみましょう。
フィルムカメラの良さは?
フィルムカメラで撮影された写真には、独特の雰囲気がありますよね。どんなところが魅力ですか?
デジタルカメラには出せない、ざらっとした粒子感が、どこか懐かしくて好きです。デジタルほど完璧な仕上がりじゃないからこそ、写真を見た人にさまざまな解釈の余地を与えてくれるのが、フィルムカメラの良さだと思います。
前回の記事では、どんな機材を持っていきましたか?
デジタルとフィルム、旅行先での使い方の違い
前回の旅では、デジタルカメラとフィルムカメラを持っていきました。
デジタルカメラボディ:SONY α7(写真右)
フィルムカメラ:Canon AutoboyS(写真左)
Canon AutoboySはコンパクトフィルムカメラで、文字通りサイズもコンパクト。オートフォーカス・自動巻き上げと使い勝手もよく、旅に連れていくのにぴったりなんです。
フィルムはSDカードよりも撮影できる枚数が少ないですが、一回の旅に何本くらい持っていくんですか?
持っていくカメラの数にもよりますが、36枚撮りフィルムが1日に5~6本あったら安心します。テンションが上がるとたくさんシャッターを切ってしまうので、多めに持っていきます(笑)。
フィルムカメラで撮った写真は、整理方法もデジタルとは違いがありそうなのですが、どうやって整理していますか?
フィルム写真でも、お店に現像を頼むとデータ化してくれるんです。だから、デジタル写真のようにスマホとハードディスクに取り込んで、管理・編集しています。お気に入りの写真は、プリントしてもらうのもうれしいですよ。
フィルムカメラで撮影した写真も、パソコンで編集できるんですね! データで管理できるなら、フィルムカメラに挑戦するハードルが下がります。旅から帰ってきて現像した写真を見るのも、とてもワクワクしそう。
旅行の写真を、もっと素敵に
今回教えてもらったテクニックは、旅行先で取り入れやすいものばかり。次の旅では、これまでよりもグレードアップした写真を撮影して、素敵な思い出を残しましょう。
教えてくれたびゅうたびライター
観音クリエイション
ヒップホップのトラックメイカー。1985年生まれ。大阪府出身。作曲のほか、写真を撮ったり文章を書いたりして生きています。ものごとを全力で楽しむのが得意です。楽しんだことをそのままアウトプットするブログ「mozlog」を個人で運営。
Twitter:https://twitter.com/kannnonn
mozlog:https://kannnonn.com/
地主恵亮
1985年福岡生まれ。基本的には運だけで生きているが、取材日はだいたい雨になる。2014年より東京農業大学非常勤講師。著書に「妄想彼女」(鉄人社)、「インスタントリア充」(扶桑社)がある。
ぽんず
コピーライター・フォトグラファー。会社勤めの傍ら、旅をしています。そろそろ世界一周に行こうとたくらみ中。Twitterとnoteで、毎日発信しています。
Twitter:@yuriponzuu
note :@yuriponzuu
Instagram:@yuriponzuu
もなみん(Mona)
普段はフィルムカメラメインで撮影し、インスタグラムに公開。たいていワンピースを着ています。
Twitter:@and_monami
Instagram: https://www.instagram.com/and_mona/
掲載情報は2019年9月5日配信時のものです。現在の内容と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。