写真提供 中尊寺 東北

「中尊寺金色堂」や「毛越寺」など平泉の世界遺産をめぐる旅

2017.12.21 東北岩手
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2017年は、「国宝」という言葉が誕生してから120年目の節目に当たります。明治維新後、それまでの価値観が大きく変わり、神社仏閣の宝物が破壊されたり、海外へ持ち出されたりするものまで出てきました。そうした時代に「国の宝を守り、後世まで伝えなければならない」との人々の思いが、1897年に「国宝」を誕生させたのです。

2017年11月現在、国宝の指定件数は1,108件。数ある国宝の中でも、1951年に文化財保護委員会が国宝建造物第1号と認定したのが「中尊寺金色堂」です。また中尊寺周辺は、「平泉の文化遺産」として2011年に世界遺産に登録され、世界デビューも果たしています。

今回は記念すべき年にふさわしい旅先として、代表的建造物であり、金箔に彩られた「中尊寺金色堂」を拝観する旅に出かけます。ほかにも平泉の世界遺産、そして岩手のおいしい料理が待っているとあれば、すぐにでも出かけたくなります。
JR東京駅から東北新幹線に乗り、目指すはJR一ノ関駅。いざ国宝の旅へ出発です!


【行程】


平安時代を代表する国宝&世界遺産、そして前沢牛に大興奮!

東北新幹線

東北新幹線「やまびこ」に乗って約2時間半、一ノ関駅からはJR東北本線に乗り換え7分、JR平泉駅で下車。

まずは平泉駅から徒歩15分、ここに行けば平泉の歴史がすべてわかる「平泉文化遺産センター」へ。立ち寄って歴史を学んでからお寺へ行くと、拝観がより楽しめます。充実した展示にもかかわらず、入館無料なのがうれしいですね。

 平泉文化遺産センター

平泉文化遺産センター

ワクワクする気持ちを抑えつつ、かつて松尾芭蕉も通ったという道を20分ほど歩くと、中尊寺の「玄関口」に到着します。

中尊寺 月見坂

月見坂

目の前にそびえる月見坂を登っていきます。まずは目的の国宝「中尊寺金色堂」を拝まねばなりません。途中の弁慶堂や薬師堂などは、あとで参拝することにします。
坂を登りきると、お目当ての国宝「中尊寺金色堂」が見えてきます。

中尊寺 金色堂

金色堂(国宝)

中尊寺 芭蕉像

芭蕉像

「五月雨の降り残してや光堂(ひかりどう)」
江戸時代にこの地を訪れた松尾芭蕉が残したこの俳句は、あまりにも有名です。学生時代、古典の授業でも習いましたよね。でも、現地に着くと興奮のあまり、芭蕉のように一句ひねり出す余裕はありません。

1124年に藤原清衡が建立した金色堂の中に一歩足を踏み入れると……黄金に輝く極楽浄土の世界が視界に飛び込んできます。

中尊寺 金色堂

中尊寺 金色堂(写真提供 中尊寺)

百聞は一見にしかずとは、まさにこのこと。細やかな装飾や決してけばけばしくない荘厳な輝きなど、写真で見たのと実際に目にするのとでは大違いです。

森閑たる山奥にこんな豪華絢爛な黄金の阿弥陀堂が建っているなんて、にわかには信じがたいことです。

中尊寺は、この金色堂をはじめとして約3,000点もの文化財を有しており、讃衡蔵(さんこうぞう)と呼ばれる宝物館に一部が展示されています。1,000年以上も前に極楽浄土を夢見て作られた祈りの品の数々は、都心の博物館で目にするのとでは感じ方がまるで違います。その土地に根付いた信仰は、やはり現地でしか味わうことができません。

平安時代に作られた仏像など、ありがたくて直視できないほどです。仏像展や御朱印集めがブームとなっていますが、仏像ファンや御朱印集めをしている方にとっても、中尊寺は絶対訪れてみたいお寺の筆頭ではないでしょうか。

かんざん亭 金箔レアチーズケーキ

さて興奮した気持ちをクールダウンさせるべく、敷地内にある「かんざん亭」へ。疲れを回復させてくれる優しい甘さのデザート「金箔レアチーズケーキ」を、紅茶とともにいただきました。平泉を一望できるとても見晴らしのよい、ちょっと穴場的なカフェレストランです。

白山神社 能舞台

能舞台(重文)

白山神社 能舞台 鏡の松

写真提供 中尊寺鎮守白山神社

近くには重要文化財に指定されている、中尊寺鎮守のひとつ白山神社の能舞台もあります。近世能舞台遺構としては東日本で唯一の能舞台。こちらもお見逃しなく。

ジューシーな前沢牛をどんぶりで

国宝を堪能したら、急におなかがすいてきたので、登ってきた月見坂の麓にある「平泉レストハウス」内の「レストラン源」で「特選前沢牛ステーキどんぶり」を食べました。

肉質日本一を何度も獲得している前沢牛(まえさわぎゅう)の見た目からしておいしそうなレアステーキが、どんぶりの中に敷き詰められています。

レストラン源 特選前沢牛ステーキどんぶり

とても柔らかく、そしてジューシーなお肉。平泉まで来てよかった~と思える逸品です。ごちそうさまでした!

続いては世界遺産の毛越寺へ。平安時代の庭園に癒される

続いては、平泉駅から歩いて10分ほどの「毛越寺(もうつうじ)」で平安時代の庭園を観賞。こちらも世界遺産に指定されています。

毛越寺庭園

毛越寺庭園

「毛越寺庭園」は、奥州藤原氏が、仏国土、浄土をこの世に再現しようとして造ったものです。設置された解説パネルを読みつつ、悠久の時の流れの中に身を置くと、日常の嫌なこともどこかへ飛んでいってしまいます。

達谷窟毘沙門堂

達谷窟毘沙門堂

このほかにも、801年に征夷大将軍の坂上田村麿(さかのうえたむらまろ)が創建したと伝えられる「達谷窟(たっこくのいわや) 毘沙門堂」は必見です。自然の洞窟を覆うように建てられた懸崖(けんがい)造りの御堂で、平泉駅からはタクシーで約10分です。階段を上り中にも入ることができちゃいます。そこから見る景色も最高です!

達谷窟毘沙門堂 眺望

平泉観光の中で最もインスタ映えするのが、ここです!

世界遺産と国宝を鑑賞した後は、一関の名店で和牛を堪能!

国宝と世界遺産をがっつり目に焼き付けた、そんな日の夕飯には、がっつり牛肉です!
旅に出たら、その土地の名産をいただくのが醍醐味です。岩手県は全国トップクラスの出荷頭数を誇る、牛肉の一大産地。昼にも食べましたが、夕食には岩手県産黒毛和牛の熟成肉を食べました。
東京で何店舗も展開するあの有名な「格之進」の総本店「丑舎 格之進」が一関市にあるのです。これは食べに行かないわけにはいきませんでしょ!

一ノ関駅からはタクシーで20分。またはJR大船渡線で約15分のJR陸中門崎駅まで行き、タクシーで約10分です。

丑舎 格之進 名物かわさき盛り

「丑舎 格之進」名物かわさき盛り

よけいなタレなど必要としない熟成肉の旨味を、少しの塩で味わう幸せ。メダカが棲息する水のきれいな田んぼで収穫された岩手県産「門崎 めだか米」との相性は言うまでもありません。

国宝、世界遺産、牛肉と、大満足の1日目でした。一ノ関駅まで戻り、駅周辺のホテルに宿泊。2日目は平泉の自然を満喫します。

岩手・一関市内JR+宿泊 ホテル松の薫一関

1泊2日/東京駅⇒平泉駅・一ノ関駅⇒東京駅

※商品が0件の場合は検索条件を変更いただき、再検索をお願いします。

ここでしか味わえない自然美と団子!?

訪れたのは、奇石、怪岩、深淵、そしてエメラルドグリーンの川の水、どれをとっても目に珍しく、ほかでは見ることのできない自然美を楽しめる「厳美渓(げんびけい)」です。
一ノ関駅からバスで20分、バス停からは徒歩すぐです。

厳美渓

磐井川の浸食により自然が生み出した岩の彫刻は、ロダンにも見せてあげたいほどダイナミック。渓谷にかかる橋からの景色や、川沿いの岩肌の上を歩きながら、自然が作り出した「美」を存分に堪能していると、おなかがすいてきました……。

ここでしか味わえないのは、自然美だけではありません。一関産ササニシキで作った手作り団子も名物です。

郭公屋 郭公だんご

郭公だんご

中でも「郭公屋(かっこうや)」の売り方はとても変わっていて、奇岩の上に建てられたあずまやの脇にあるかごに400円を入れ、コンコンと木づちで叩くと、なんと対岸にある郭公屋から「郭公だんご」が、空を飛んでやって来るのです。

郭公屋 郭公だんご

「空飛ぶだんご」の何がすごいって、このシステムを始めたのが明治時代というのですから驚きです。

 郭公屋 千葉晴夫さん

ご主人である千葉晴夫さんは4代目だそうです。

郭公屋 郭公だんご

厳美渓が国の名勝および天然記念物に指定されるはるか以前から、ここでは団子が空を舞っていたのです。
売り切れ次第閉店なので、できれば早めに訪れましょう。冬季は休業しています。(12月~3月上旬ごろまで)

舟下りが楽しめる猊鼻渓

また、一関市には、似た名前の名勝「猊鼻渓(げいびけい)」もあります。せっかくなので、こちらにも行ってみます。

一ノ関駅からJR大船渡線で30分の、JR猊鼻渓駅で下車すると便利です。駅から案内板に従ってのどかな自然の中を歩くと、5分ほどで舟の乗り場に到着します。

12月~2月末はこたつ舟が出ているので、寒い時期でも舟下りを楽しめます。水深が浅いためほとんど揺れないので、船が苦手な人でも安心です。

 猊鼻渓 舟下り

船頭さんの舟歌を聴きつつ、高さ100mもある壁岩が次々と現れる迫力ある自然美を味わいました。

平泉周辺には見どころがとても多いため、駆け足での紹介となりました。
日帰りでも観光は可能ですが、1泊すると、時間に余裕を持って魅力に触れることができます。

節目で注目が集まっている国宝。東北にはほかにも、山形県の「羽黒山五重塔」や宮城県の「大崎八幡宮社殿」など、見どころのある国宝がたくさんあります。次はどこに行こうか、今から楽しみです。

この記事の内容は2019年3月20日時点の情報です。

 

今回の旅の行程

【1日目】JR東京駅→JR一ノ関駅→JR平泉駅→平泉文化遺産センター→中尊寺→かんざん亭→レストラン源→毛越寺→達谷窟→丑舎 格之進

【2日目】厳美渓→郭公屋→JR猊鼻渓駅→猊鼻渓→JR一ノ関駅→JR東京駅

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1泊2日/東京駅⇒平泉駅・一ノ関駅⇒東京駅

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この記事を書いた人

Tak(タケ)

アートブログ「弐代目・青い日記帳」主宰。展覧会レビューをはじめ、幅広いアート情報を毎日発信する美術ブロガー。単行本『カフェのある美術館』(世界文化社)、『美術展の手帖』(小学館)等の編集・執筆、小学館、集英社、朝日マリオン・コム、サントリー文化財団等でコラムを担当。アートイベントも多数行っている。
Twitter:https://twitter.com/taktwi
青い日記帳:http://bluediary2.jugem.jp/

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